例えば、半導体であるGaAsは
トリメチルガリウムとアルシンを前駆物質として
気相成長法によって基板上に成長して作製することができます。
しかし、当然、陽子、電子から作ることはできませんし、
ガリウムそのものと、ヒ素そのものから合成することも難しいです。
これは構成としてはシンプルな無機材料ですが、
それが有機になればもっと複雑になります。
高分子になればなおいっそうそうです。
その高分子の集まりである細胞ならどうか?
自然の力を借りる事なくしては作る事はできません。
細胞内小器官、細胞外小胞、膜を一つ一つパーツとして
人工的に組みあげることはできません。
それは、細胞内の重要な構成要素である
遺伝子(DNA,RNA)でも同じです。
そういった中で
おそらく医学生理学、生物学は
「逆問題」が非常に難しいと考えられます。
つまり、タンパク質を任意にコンピューターグラフィックスで
組み立てて、それを遺伝子から作ることができるか?
おそらくそれは難しいと考えられます。
その「逆問題」を細胞種特異的輸送系統
(Cell-type-specific delivery system)
において世界に問うていることになっています。
つまり、標的とするリガンドの特定の結合部位に
結合親和性の高いタンパク質を作ることができますか?
ゴールのビジョンは明白ですが、
これは完全に逆問題となっています。
順問題のように
「この遺伝子から表現される物質は何ですか?」
というのと逆です。
従って、偶然できるのを待つしかない部分もあります。
Rosana S. Molina, Gordon Rix(敬称略)ら
医療研究グループは
生体内で高頻度変異に対する手法を総括されています(1)。
この高頻度変異の中で生み出された
遺伝子(DNA, RNA)を逃さずに取り出して、
生みだせるタンパク質の貯蔵を増やそうという考えに及びます。
概要の部分で
"These systems advance the scale, evolutionary search depth, ease and overall power of directed evolution and access important new areas of protein evolution and engineering."
と記されています(1)。
この最後のエンジニアリングには
上述したような逆問題の難しさが背景があるのではないか
と推測しました。
考えてみれば、逆問題はどの物理分野でも難しいです。
量子ドットのようにエネルギー的なくぼみを
フロケ結晶のように作って、
そこに回転の逆の電子ペアを入れて
マイスナー効果を満たす空間を作ることができるか?
その形はわかっていても、
それを作ることは容易ではありません。
結果的に、偶然できたという事も多くあります。
医学生理学、生物学の場合には
特定の逆問題を解くための方法に関与する
原材料、前駆物質は
生物に作ってもらうというのが
1つの有効な方法であると考えます。
(参考文献)
(1)
Rosana S. Molina, Gordon Rix, Amanuella A. Mengiste, Beatriz Álvarez, Daeje Seo, Haiqi Chen, Juan E. Hurtado, Qiong Zhang, Jorge Donato García-García, Zachary J. Heins, Patrick J. Almhjell, Frances H. Arnold, Ahmad S. Khalil, Andrew D. Hanson, John E. Dueber, David V. Schaffer, Fei Chen, Seokhee Kim, Luis Ángel Fernández, Matthew D. Shoulders & Chang C. Liu
In vivo hypermutation and continuous evolution
Nature Reviews Methods Primers volume 2, Article number: 36 (2022)
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