エクソソームが標的細胞にどのように取り込まれるか?
これについて理解する事は
エクソソームを使った治療における
オンターゲット、オフターゲット効果を想定、考察、評価
分析する上で重要になります。
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Raghu Kalluri and Valerie S. LeBleu(敬称略)
からなる医療研究グループは
エクソソームがどのような機序で取り込まれるか?
その複数の機序について図示、総括されています(1)。
(Ref.(1) Fig.6参照)
それに対して、より付加的な調査、説明を行い
読者の方と情報共有したいと思います。
//受容体//ーー
エクソソームは受容体を通じて
細胞内に浸入、エンドサイトーシスすることができます、
例えば、トランスフェリンなどの受容体が想定されます(2)。
一方で、
受容体と結合した時に細胞質側の結合物質を分離させることで
細胞内にシグナルを与える機序と
前述したように受容体への結合を介して
細胞内へ陥入するプロセスがあります。
糖、タンパク質、脂質などの代謝に関わる物質は
細胞内に取り込まれることが想定されるので
栄養に関わる受容体はエンドサイトーシスしやすいかもしれません。
例えば、インスリン様成長因子などです(3)。
従って、エクソソームを使って薬剤を輸送する場合において
エンドサイトーシスさせたい場合には
利用する受容体がエンドサイトーシスに寄与するかどうか
を調べる必要があります。
//クラスリンコート//ーー
クラスリンはエンドソームの外側を作る骨格となる
タンパク質です。従って、細胞膜が変形し
エンドソーム形成依存的に生じるエンドサイトーシス
であると考えられます。
(参考文献(4) Fig.5a参照)
//脂質ラフト//ーー
細胞膜のミクロドメインの一種で
スフィンゴ脂質とコレステロールが多く含まれる
細胞膜のドメイン(部位)です。
細胞表面リガンドや受容体を引き込むことで
脂質ラフト依存のエンドサイトーシスを誘発します(5)。
--
カベオラも脂質ラフトの一種です。
同様にエンドサイトーシスを誘発します(6)。
//食作用//ーー
細胞がその細胞膜を使って大きな粒子を取り込むプロセスです。
//マクロピノサイトーシス//ーー
低分子量のGタンパク質Racの活性化を含む
シグナル伝達によって細胞骨格であるアクチンが重合し
細胞膜が波打ちます(ラメリポディア)。
骨格の構造が変わるので形が変わるからです。
その振動を利用して細胞膜は大きな突起を作り
1μmの大きさを超える細胞外小胞、細胞外液を取り込みます。
従って、ファーゴサイトーシスよりも
取り込める最大量は大きいことが特徴です。
//直接的な融合//ーー
エクソソームと細胞が直接的に融合します。
従って、この場合エクソソームの内容物が
融合後すぐに細胞質へ放出されます。
//追記(7)//ーー
細胞は必要に応じて変形、融合、分裂したりします。
そのような細胞の動的機序を誘発するのは
モータータンパク質と細胞骨格タンパク質です。
モータータンパク質はアデノシン3リン酸を加水分解することで
力学的なエネルギーを生み出します。
そのエネルギーをもらって細胞骨格タンパク質は
線維上の構造を作り出し、
その線維が可塑的な衣服のように柔軟性を持って
変形すると想定されます。
その変形は「特定の部位だけ」行う必要があるため
極性システムを有しています。
この極性システムではPARシステムにより
静電気的に負に制御することでエネルギーを集め
局在的な変形を実現していると考えられます。
実際に変形を必要とするエンドサイトーシスでは
細胞膜に固定されたモータータンパク質が
細胞骨格であるアクチンまで輸送されます(8)。
アクチンフィラメントが構造的に改変する事で
マクロスコピックに細胞膜が変形し、
それによってエクソソームの細胞への陥入が生じる
と考えられます。
//考察//ーー
エクソソームが細胞内に取り込まれる機序は
上述したように複数あるので、
細胞種特異的輸送系統(*)のために
標的細胞特異的な表面リガンドをエクソソームに
形成させたとしても、
オフターゲットが生じてしまうと考えられます。
(*)Cell-type-specific delivery system
従って、受容体の作用を強めるため
他のエンドサイトーシスのシステムが生じにくいような
環境設定、機能化が必要かもしれません。
(参考文献)
(1)
Raghu Kalluri and Valerie S. LeBleu
The biology, function, and biomedical applications of exosomes
Science 367 , eaau6977 (2020)
(2)
C Harding, J Heuser, P Stahl
Receptor-mediated endocytosis of transferrin and recycling of the transferrin receptor in rat reticulocytes.
J Cell Biol (1983) 97 (2): 329–339.
(3)
Receptor-Mediated Endocytosis
Comprehensive Molecular Insect Science, 2005
(4)
Sonam Gurung, Dany Perocheau, Loukia Touramanidou & Julien Baruteau
The exosome journey: from biogenesis to uptake and intracellular signalling
Cell Communication and Signaling volume 19, Article number: 47 (2021)
(5)
Patrick Lajoie, Ivan R Nabi
Lipid rafts, caveolae, and their endocytosis
Int Rev Cell Mol Biol. 2010;282:135-63.
(6)
Anna L Kiss and Erzsébet Botos
Endocytosis via caveolae: alternative pathway with distinct cellular compartments to avoid lysosomal degradation?
J Cell Mol Med. 2009 Jul; 13(7): 1228–1237.
(7)
荒田 幸信
Cell shape and animal morphogenesis
https://www.biophys.jp/highschool/C-09.html
(8)
Elizabeth Granger, Gavin McNee, Victoria Allan, and Philip Woodman
The role of the cytoskeleton and molecular motors in endosomal dynamics
Semin Cell Dev Biol. 2014 Jul; 31(100): 20–29.
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