2022年5月25日水曜日

エンドソームの動的機序と成熟

細胞内への物質の取り込みは
細胞の生存における一つの主要な生理です。
その取り込みの中で
エンドサイトーシスを介した小胞が関わる事が
主要な経路の一つです。
従って、その小胞の動的機序を理解する事は
細胞内外での物質の交換過程を理解する上で
非常に重要になります。
その交換過程に関わる
細胞内の小胞であるエンドソームの機序について
York Posor, Wonyul Jang & Volker Haucke
(敬称略)からなる医療研究グループは
総括されています(1)。
その内容の一部、追記、考察(疑問)を
読者の方と共有したいと思います。

//エンドソームの動的機序//ーー
エンドサイトーシスによる細胞内浸入の後
その小胞は初期のエンドソームと会合、融合します。
それで小胞は大きくなり、成長します。
エンドサイトーシス小胞の輸送物、構成物は
〇細胞膜に再生利用されます。
〇トランスゴルジネットワークに輸送されます。
〇後期の多胞体となります。
〇リソソームによって分解されます。
このように複数の運命を持っています。
エンドソームを示すホスフォイノシチドは
PtdIns3Pです。
これは
〇sole class III PI3K VPS34
〇class II PI3Ks(関与は低い)
こられによってPtdInsから合成されます。
それは細胞種によります(2,3)。

//初期エンドソームの生理//ーー
〇Small GTPase RAB5
これは初期エンドソームの維持、機能において
重要な役割を持ちます。
このRAB5の活性は
〇RME6
〇GEF
 ⇒これはクラスリンAP2脱コート化と
  PtdIns(4,5)P2喪失を結びつけます(4)。
これらによって
エンドサイトーシス小胞の形成と関係します。
この初期エンドソームのRAB5の活性は
〇RAB5 GEF Rabex 5
〇RAB5–GTP-associated VPS34 complex II(5)
〇PtdIns3P
〇RAB5 effector Rabaptin 5
 ⇒これはRabex 5を複合体化します。
これらによって制御されます。
これらの生理経路は
初期のエンドソームに特徴的な
RAB5–GTP、PtdIns3Pを豊富に含む
膜環境を生みだし、維持します。
これら
RAB5–GTP、PtdIns3Pの認識は
同型の初期エンドソーム融合の基礎となります。
あるいは
〇エンドサイトーシス小胞の輸送の維持
〇初期エンドソーム膜の恒常性の維持
これらに必要な反応の基礎となります(6)。
--
RAB5エフェクターは
〇5-phosphatases OCRL
〇INPP5B
〇PtdIns(3,4)P2 4-phosphatases INPP4A
〇INPP4B
これらを含みます。
これはホスフォイノシチドをPtdIns3Pを
変換させる役目があります。
--
膜融合に加えて
エンドソームPtdIns3Pは輸送物の運命に関わります。
PtdIns3Pを豊富に含むエンドソーム内に
内包化された輸送物が到着すると
サブドメインに分離しようとします。
その中で回復、維持、もしくは劣化の
仕分けが行われます(7)。
--
初期エンドソームは
エンドサイトーシスで形成された小胞の
同型の膜融合によって形成されます。
(参考文献(1) Fig.2c)

//エンドサイトーシスのリサイクリング//ーー
エンドサイトーシスリサイクリングの間
被膜はPtdIns3Pを含むエンドソームから
PtdIns4P/PtdIns(4,5)P2を豊富に含む
細胞膜へ戻されます。
この細胞膜はエンドソームから
タンパク質複合体を通じて
チューブ状の小胞輸送体
(tubulovesicular carriers)
これを介して引き戻します。
このタンパク質複合体は
〇Retromer
〇Retriever
〇ESCPE-1
これらを含みます。
これらの引き戻し複合体は
特定の仕分けモチーフを含む輸送体をクラスター化します。
そのクラスターの密度が閾値に達すると
被膜がチューブ状に形成されます。
それは
〇BAR domain-containing SNXタンパク質
〇Wiskott–Aldrich syndromeタンパク質
〇SCAR homologue(WASH)-dependent branched F-actin formation
これらの連携によって形成されます(8,9)。
これらの取り戻し複合体は
PtdIns3Pによってエンドソームに標的化されます。
Retromerは
SNX3 or SNX27を持つカーゴたんぱく質の
再生利用の中で作動します。
SNX3、SNX27は両方
PtdIns3P-binding PX domain
これを含みます(8)。
Retriever、ESCPE-1は
それぞれSNX17、SNX1/2によって
似た役割を果たします(9-11)。
PtdIns3Pレベルの制御は
細胞膜へ再生利用する機序に関わる物質を
通して行われます。
PtdIns3Pレベルの上昇は
VPS34に依存します。
また
エンドソーム構造の
WASH複合体、Fアクチンの蓄積に関係します(12)。
PtdIns3Pの特徴的な貯め込みは
RAB11-positiveエンドソームのPI3KC2αに合成されます。
これはエンドサイトーシスのリサイクリングにも
関与します。しかし、その物理はよくわかっていません。
--
WASH複合体の機能は
〇PI4KIIα/β
〇小胞体-エンドソーム接合部位(13)
これらを通して
PtdIns4Pによる制御に従います。
これはエンドソームの回復が
PtdIns3PからPtdIns4Pへのホスフォイノシチド変換
に関係しているかもしれない可能性を示唆します。
エンドソームから回復するとすぐに
輸送物はPtdIns4Pを豊富に含む目的地である
トランスゴルジネットワーク、細胞膜
どちらかに輸送されます(8)。
リサイクリングされた小胞のエクソサイトーシスは
ホスフォイノシチド変換モジュールである
〇PtdIns3P phosphatase MTM1
〇PI4KIIα 
〇Exocyst complex
これらを必要とします(14)。
このMTM1が失わえると
リサイクリング小胞は細胞膜と融合する事ができません。
--
従って、エンドソームから細胞膜へのリサイクリングは
被膜のリン脂質であるホスフォイノシチドが
PtdIns3PからPtdIns4Pへ返還される事を必要とします。

//エンドソーム成熟//ーー
エンドソームに陥入して腔内膜小胞を形成する過程は
ESCRT 0–IIIの4つのサブ複合体によって推し進められます。
ESCRT 0はHRSとSTAMのヘテロダイマーで
初期エンドソームへ標的化されます。
それはHRSの
PtdIns3P-binding FYVeドメインによって起こります。
--
ESCRT-IからESCRT-IIIへの系統的な活性は
エンドソーム膜の陥入、内側の発芽を仲介します。
従って、エクソソームの前駆体である
腔内膜小胞の形成に関わっています。
腔内膜小胞の量が増えると
エンドソームは後期課程の多胞体へと成熟します。
これにはRAB5, RAB7が関与します。
このRAB7-GTPのエフェクターが
後期エンドソームの特性に影響を与えます。
また
〇VPS34 complex II
〇Retromer complex
これらを含みます。
これはエンドソームの運命を決める
PtdIns3Pの形成を行います。
後期課程のエンドソームのPtdIns3Pは
PtdIns3P 5-kinaseのための基盤として働きます。
これはエンドソーム、リソソーム機能や
その恒常性において重要です。

//まとめ//ーー
エンドソームが初期過程で細胞質に戻されるか。
後期課程の多胞体に成熟するか、
あるいはリソソームに分解されるかは
エンドソーム膜のリン脂質である
ホスフォイノシチドの型によって決まります。
エンドソームはPtdIns3Pに偏って膜形成されますが、
それがPtdIns4Pに変わると細胞質に変わります。
またPtdIns3Pが強固に残ると
エンドソームはそのまま存在し続け
後期課程に成熟するか
リソソームによる分解されます。

//考察、疑問//ーー
エクソソームの前駆体である腔内膜小胞は
後期課程のエンドソームに陥入することで生じます。
その時の膜の融合の際に
ホスフォイノシチドの変換は必要なのか?
必要でなければ、
腔内膜小胞の膜のリン脂質はPtdIns3Pが
主要であると言えます。
また、それがエクソサイトーシスする際には
またエンドソームは細胞膜と融合する必要があるため
ホスフォイノシチドの変換が必要ですが、
その際に内腔にある腔内膜小胞の膜のリン脂質は
影響をうけないのか?
つまり、最終的に細胞外に放出された
エクソソームのリン脂質のホスフォイノシチドの型の
構成は典型的にはどのようなのか?
そのような疑問が残ります。

(参考文献)
(1)
York Posor, Wonyul Jang & Volker Haucke
Phosphoinositides as membrane organizers
Nature Reviews Molecular Cell Biology (2022)
(2)
Bilanges, B., Posor, Y. & Vanhaesebroeck, B. PI3K 
isoforms in cell signalling and vesicle trafficking.  
Nat. Rev. Mol. Cell Biol. https://doi.org/10.1038/
s41580-019-0129-z (2019).
(3)
Marat, A. L. & Haucke, V. Phosphatidylinositol 
3-phosphates-at the interface between cell signalling 
and membrane traffic. EMBO J. 35, 561–579 (2016).
(4)
Semerdjieva, S. et al. Coordinated regulation of AP2 
uncoating from clathrin-coated vesicles by rab5 and 
hRME-6. J. Cell Biol. 183, 499–511 (2008).
(5)
Tremel, S. et al. Structural basis for VPS34 kinase 
activation by Rab1 and Rab5 on membranes.  
Nat. Commun. 12, 1564 (2021).
(6)
Wandinger-Ness, A. & Zerial, M. Rab proteins and  
the compartmentalization of the endosomal system. 
Cold Spring Harb. Perspect. Biol. 6, a022616 (2014).
(7)
Norris, A. et al. SNX-1 and RME-8 oppose the 
assembly of HGRS-1/ESCRT-0 degradative 
microdomains on endosomes. Proc. Natl Acad. Sci. 
USA 114, E307–E316 (2017).
(8)
Cullen, P. J. & Steinberg, F. To degrade or not to 
degrade: mechanisms and significance of endocytic 
recycling. Nat. Rev. Mol. Cell Biol. 19, 679–696 (2018).
(9)
Weeratunga, S., Paul, B. & Collins, B. M. Recognising 
the signals for endosomal trafficking. Curr. Opin. Cell 
Biol. 65, 17–27 (2020).
(10)
Ghai, R. et al. Phox homology band 4.1/ezrin/radixin/
moesin-like proteins function as molecular scaffolds 
that interact with cargo receptors and Ras GTPases. 
Proc. Natl Acad. Sci. USA 108, 7763–7768 (2011).
(11)
Simonetti, B. et al. Molecular identification of a  
BAR domain-containing coat complex for endosomal 
recycling of transmembrane proteins. Nat. Cell Biol. 
21, 1219–1233 (2019).
(12)
Singla, A. et al. Endosomal PI(3)P regulation by the 
COMMD/CCDC22/CCDC93 (CCC) complex controls 
membrane protein recycling. Nat. Commun. 10, 4271 
(2019).
(13)
Dong, R. et al. Endosome-ER contacts control  
actin nucleation and retromer function through 
VAP-dependent regulation of PI4P. Cell 166,  
408–423 (2016).
(14)
Ketel, K. et al. A phosphoinositide conversion 
mechanism for exit from endosomes. Nature 529, 
408–412 (2016).  

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