2022年5月15日日曜日

子供の健康な成長と細胞外小胞

人の身体を大きく区分すると
細胞、組織、臓器と分けることができます。
つまり、細胞の集まりが組織で、
組織が連結すると臓器になります。
また組織の間には血液を含む体液が流れ
細胞の間には間質があります。
そこに粘着質の細胞外マトリックスなどがあります。
身体は様々な外的、内的因子に適応できるように
恒常性システムがあります。
それは小さくは細胞同士が密に連携しているからである
とほぼ間違いなく想定されます。
それらの連携の一部は神経系、免疫系ですが、
それ以外の連携もあります。
それを高次に担うものが細胞外小胞です。
細胞間の物質の輸送を自由度を上げて担う事によって
より柔軟にシステムを保持する事ができると考えられます。
このような細胞外小胞による連携は
生を受けて、胎児、幼児の頃から備わっています。
従って、細胞外小胞は細胞、組織、成長にも
密に関わっていると考える事も出来ます。
Lesley Cheng & Andrew F. Hill(敬称略)らは
上述した細胞間の連携や免疫機能だけではなく
組織の成長、維持にも関わっていることを
簡略に総括されています(1)。
その組織の成長の観点から想起される
子供の健全な成長について本日は考えてみます。

子供の健全な成長は、適正な生活習慣の中にあると考えられます。
健全な脳の発達では
親、家族、先生、友達との良好なコミュニケーション。
自ら率先して取り組む経験、学業を含む学習。
努力して勝ち得た成功体験。
十分な睡眠。
身体の成長においては
適度な運動、バランスの取れた十分な食事、十分な睡眠。
遊びの中で得る身体的な感覚。
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このような子供の持続的幸福に関わる健全な心身の成長は
上述した手段によって形成されますが、
体内ではそれを支える生理機序があるはずです。
子供の中には環境に恵まれず、
あるいは身体的な障がいによって
上述した理想的な生活をどうしても送れないケースがあります。
あるいは新型コロナウィルス感染症の後遺症の影響を
受けている子供も少ないですがいます(3)。
そうした場合、医療が手を差し伸べることは
今まで通り今後も考えられることです。
そのレベルが今後向上する可能性は高いです。
例えば、
母乳バンク(2)や代替母乳(5)の開発など
母乳が得られない子供や超早産児に対して
立ち上げられています。
このような取り組みのすそ野が広がり、
発展途上国の子供も含めて
世界のお子さんの健康レベルを上げていくためには
母乳そのものの分子生物学的な理解も必要になります。
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上述したように細胞外小胞は
単に細胞間のコミュニケーションだけではなく
それを通して臓器の恒常性、成長にも関わるとされています(1)。
飲食を通じて得た遊離している栄養素だけではなく
細胞外小胞に包まれたある程度
細胞の能力によって仕分けされた積載物が
密に連携して臓器、組織の恒常性
発達期の子供であれば成長に関わっていると考えられます。
従って、環境要因、身体的要因に関わらず
発達に問題のある子供に対して
細胞外小胞を通じて、より特異的に
成長を促し、健康状態に近づけるような医療も考えられます。
例えば、
母乳由来のエクソソームは
上皮細胞由来のエクソソームを多様に含むと言われています。
その積載物質の中でmicroRNA-148aは
〇腸の成熟
〇脳の機能
を促すとされています。
とりわけ壊死性腸炎を防ぐと言われています。
また、母乳由来のエクソソームは
肝臓、胸腺、脳、膵島、脂肪組織(白色、褐色、ベージュ)、骨など
様々な組織に対して「エピジェネティック」プログラム
に影響を与えるかもしれないとされています(4)。
つまり、後天的な要素としてこれらの健全な
成長を支える可能性です。
母乳のエクソソームを多く分析して
その統計的なデータの中で、
「質の高い母乳」「母乳補助薬」というのも
細胞外小胞の観点から作ることができる可能性もあります。
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また、子供の身体の成長曲線がありますが、
それぞれの年齢の子供の尿、血液などの液体生検の中の
エクソソームを含む細胞外小胞の分析から
それぞれの年齢で成長において重要な
エクソソーム、内容物の特定を行う事ができる可能性があります。
臓器、組織の成長に関わる事と
エクソソームは液体生検から分析できるので
健康な子供からの採取可能な事は
日本を含め、世界の子供の発達の健全性を
数段向上させる事ができる可能性があります。
身体的健康だけではなく
子供のメンタルヘルスと細胞外小胞の関連も
研究対象となります。
従って、年齢別の子供のエクソソームの大規模なデータが
医療において大きな意義を生む可能性も考えます。

(参考文献)
(1)
Lesley Cheng & Andrew F. Hill
Therapeutically harnessing extracellular vesicles
Nature Reviews Drug Discovery volume 21, pages379–399 (2022)
(2)
日本財団母乳バンク、新施設が4月1日より稼働
https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2022/20220316-68323.html
(3)
Karel Kostev, Lee Smith, Ai Koyanagi, Marcel Konrad & Louis Jacob 
Post-COVID-19 conditions in children and adolescents diagnosed with COVID-19
Pediatric Research (2022)
(4)
Bodo C Melnik 1, Wolfgang Stremmel 2, Ralf Weiskirchen 3, Swen Malte John 1 4, Gerd Schmitz 5
Exosome-Derived MicroRNAs of Human Milk and Their Effects on Infant Health and Development
Biomolecules. 2021 Jun 7;11(6):851.
(5)
代替母乳を開発するTurtleTreeがシリーズAで約34億円を調達
https://foodtech-japan.com/2021/11/08/turtletree-4/


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