2020年11月13日金曜日

特異的T細胞による事前免疫

いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。

実際に新型コロナウィルスに罹患したり、
あるいはワクチンを接種すると
新型コロナウィルスに対する(に対して特異的な)
抗体を獲得することができます。
それは、B細胞が抗原を認識して
抗体を放出すると考えられていますが、
実際に人の免疫においてはB細胞だけではなく
別の免疫細胞も働くことが考えられます。
そのうち細胞傷害性T細胞は
CD8という遺伝子(受容体)を発現しているもので
ウィルスなどの感染時において
感染細胞を攻撃して死滅させる効果が期待できます。
その時に新型コロナウィルスに感染している
細胞を特定する必要があるので
新型コロナウィルスに対して特異的に働く必要があります。
HLAという血液でいう血液型のようなものがあり
新型コロナウィルス感染において
特有の抗原提示が細胞側行われたときに
CD8+T細胞がその細胞の抗原を見分けて
特異的に攻撃する必要があります。
(と理解しています。)

その新型コロナウィルスに特異的に反応する
SARS-CoV-2 specific CD8+T細胞が
感染後回復期の方、あるいはそれ以外の人にあるか
どうかをIsabel Schulien氏らが調べています(1)。
具体的にはT細胞側にある抗体に複数ある
エピトープ(攻撃するためのスイッチの働きをする面)
を調べることによって
新型コロナウィルスに対する特異性を評価しています。

その中でその特異的T細胞の特徴として
-----
・急速に形成される(rapid induction)
・生成持続性がある(prolonged contraction)
  >100日(参考文献(1) Fig.3(b)より)
・異種性がある(emergence of heterogeneous)
 様々なエピトープを形成している?
・免疫交差性がある(functionally competent cross-reactive)
-----
これらを確認しています(1)。

また、この細胞性免疫の良いところは
SARS-CoV-1(2)やコモンコールドな
他のコロナウィルスと高い交差性を持つことです。
つまり、
東アジアを始め日本などで
常在していると考えられる
風邪ウィルスの一つであるコロナウィルスに
定期的に感染していることで
新型コロナウィルスに対する
細胞性免疫に対する免疫機能を有している
可能性があるということです。

参考文献(1)はドイツの調査ですが、
実際に新型コロナウィルスに対して
抗体を有していない、
つまり感染していない人においても
新型コロナウィルスに対して特異的な反応性を持つ
T細胞が検出されたということです(1)。

日本でも新型コロナウィルスに罹患した時に
無症状や軽症で済む方もいます。
あるいは重症化してしまう方もいます。
その差が何であるか?
というのを分析するときに
もちろん年齢、性別、既往歴など
排除できない要因はありますが、
新型コロナウィルスに対して特異的に働く
T細胞あるいは他の免疫細胞があるかどうか?
その量などのレベルはどうか?
というのは分析する上での一つの項目になる
と考えます。
その中で風邪ウィルスである
コモンコールドなコロナウィルスについても
今後調べる重要性が出てくると考えられます。

以上です。

(参考文献)
(1)
Isabel Schulien, Janine Kemming, Valerie Oberhardt, Katharina Wild, Lea M. Seidel, Saskia Killmer, Sagar, Franziska Daul, Marilyn Salvat Lago, Annegrit Decker, Hendrik Luxenburger, Benedikt Binder, Dominik Bettinger, Oezlem Sogukpinar, Siegbert Rieg, Marcus Panning, Daniela Huzly, Martin Schwemmle, Georg Kochs, Cornelius F. Waller, Alexandra Nieters, Daniel Duerschmied, Florian Emmerich, Henrik E. Mei, Axel Ronald Schulz, Sian Llewellyn-Lacey, David A. Price, Tobias Boettler, Bertram Bengsch, Robert Thimme, Maike Hofmann & Christoph Neumann-Haefelin 
Characterization of pre-existing and induced SARS-CoV-2-specific CD8+ T cells
Nature Medicine (2020)
(2)
Grifoni, A. et al. 
A sequence homology and bioinformatic approach can predict candidate targets for immune responses to SARS-CoV-2. 
Cell Host Microbe 27, 671–680 (2020).


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