2020年11月9日月曜日

DNA修復と適正なテロメア伸張を両立できるか?

いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。

世の中にあるものは循環で
恒常性が成り立っている部分が多くあります。
炭素を始め、様々な元素が
生態系の中で循環することで環境が維持されています。
それは人の体でも同じです。
食べ物を頂いて、そこから栄養を得て
いらないものを排出し、
排出したものが生物の餌となって
またそこから私たちは食べ物を頂くことができます。
その時に摂食、排泄をより細かく見ると
身体の中のタンパク質などの物質が
合成され、蓄積され、
分解され、排出されます。
そのような循環があります。
それはもう少し大きな単位である細胞でも同じです。
細胞分裂で数を増やし、
機能不全の細胞を消滅させます。
細胞の生成、消滅のバランスがあります。
その中で健康を保っていると考えられます。

しかし、
その細胞分裂には限界があります。
細胞分裂の度に、その有糸分裂の際に複製される
染色体の端のテロメアが切り取られていきます。
人が年を重ねて、細胞分裂回数が
身体の至る所で多くなると
それぞれの細胞でテロメアは短くなり、
そこで染色体の遺伝子は不安定になるために
いろんな疾患を抱えたり、
あるいは細胞が老化、細胞死します。
そうした中である時期になると人生を全うする
と考えられます。
人の寿命の限界はこの細胞分裂の限界説からいうと
120年といわれますが、
世界最高齢の方はおおよそその年齢と一致します。

先日の記事でテロメアを
「癌化しないような条件で」長くできれば
寿命は長くなるか?
という問いかけをしました。
しかし、どこか引っかかる部分があり、
先ほど調べていました。
もし、テロメアを長くできたとしても
細胞そのものの質が低ければ、
逆に体にとってリスクになるのではないか?
と考えたからです。
では、その「細胞の質」とは何か?
この問いに向き合うことになります。

そこで「細胞の老化」というキーワードで調べたところ
その内容の中でポイントだと思ったのは
「DNAの修復」です。
先ほどの「細胞の質」に対する一つの答えは
DNAが正常な状態からどれくらい変異しているか?
その変異の程度が低ければ正常に近い
ということだと考えています。
そうした時に、人の体には
DNAを修復する能力があります。
DNA repairのメカニズムは
2015年のノーベル化学賞のテーマです。
Tomas Lindahl氏, Paul Modrich氏, Aziz Sancar氏が
DNA修復のプロセスの分子メカニズム
で受賞されています。

私たちの体は常にDNAが変異するような
外的な環境にさらされています。
例えば、
紫外線を浴びれば変異します。
でも、変異しても修復する力があるから
それに対して耐性を持っています。
従って、
変異<修復能力
という不等号が成り立つならば、
細胞は健康なままでいられると
単純には考えることができます。
しかし、
変異>修復能力
というバランスになってしまうと
例えば、
染色体のDNAに変異が残ったままになります。
その状態のまま細胞分裂すると
その変異が引き継がれます。
おそらく体は染色体のDNAの変異の程度が多くなると
端にあるテロメアを短くするような
生理があるのではないか?と推測しています。
(※未確認です。今後調査します。)
仮にそうであるとすると
テロメアを短くして老化、細胞死させることで、
その変異した細胞の数を減らすことになります。
そしてまだ変異が少ない通常の細胞を多く残そうとします。
そのような組織としての恒常性を保つような
生理機序があると考えています。

しかし、
テロメアが短くなると
テロメアループという構造がオープンになることで
テロメラーゼ逆転写酵素が働きやすくなります(1)。
おそらく
テロメアが「カメレオンのしっぽ」のように
ループしていることは、
テロメアーゼ逆転写酵素が働く活性サイトを
構造的にクローズにする(隠す)働きがあるのではないか?
と推測しています。
(※未確認です。今後調査します。)

このような事を踏まえると、
・より高齢でも良い身体の状態でいられる
・寿命が延びるかもしれない
ということだけではなく
色んな病気を防ぐためには
ベースとしては
「DNAの修復能力をあげる」
ことが大事ではないか?と考えました。
しかし、
歳を重ねると細胞分裂の回数が増えます。
それでテロメアが短くなると
染色体の遺伝子が不安定になるので
より変異が入りやすい状態になると考えられます。
そうするとより修復回数を増やさないといけないから、
若い時よりも高い修復能力が必要になります。
それがより負担になります。
そう考えると
①「DNAの修復能力をあげる」
②「テロメアを長くして染色体遺伝子を安定化させる。
 細胞分裂残り回数を増やす。」
この両輪を回す必要があります。
その時に注意が必要なのが
テロメアを長くするときに
「カメレオンのしっぽ」のようにループするような
形状で組織形成しないと
テロメアーゼ逆転写酵素の活性サイトが
常にオープンになった状態になり、
テロメアの長さが異常に長くなり、
細胞分裂の制御がきかなくなる恐れがあります。
そうするとそれは癌化のリスクを招く可能性があります。

これだけではないと思いますが、
少なくとも単にテロメアの長さを
若い時と同じような構造で再現できたとしても
そのベースとなる細胞自体の質が悪ければ、
おそらく逆効果だと思われます。
従って、DNAの状態も含めて
「細胞の質」とは何なのか?
ということをベースとして考える必要があると思います。
少なくともその一つの基礎として挙げられるのが
「DNAの修復(DNA repair)」だと考えられます。

従って、
DNAの修復能力を高めるような機序を調べて
それを実現する物質を特定し、
質を良くしたい細胞に運ぶことが
一つの指針になると思います。
そして
その中でテロメアの長さをどのように
テロメアーゼ逆転写酵素が過剰に働かないように
した状態で伸張できるか?
ということだと思います。
そのためにはテロメアとテロメアーゼが
化学反応するときの両方の活性サイトを明らかにし、
詳細な構造解析をすることが第一歩としてあると思います。
もしそれがわかれば、
立体構造的に再現が難しいループにしなくても
活性サイトを何らかの形でクローズにすることで
テロメアーゼ逆転写酵素の活性を制御できる
かもしれません。

以上です。

(参考文献)
(1)
Xiaotian Yuan, Catharina Larsson & Dawei Xu 
Mechanisms underlying the activation of TERT transcription and telomerase activity in human cancer: old actors and new players
Oncogene volume 38, pages6172–6183(2019)

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