いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
新型コロナウィルスで重症になったときに現れる
深刻な症状として肺炎があります。
そうではなく軽症でも咳の症状が現れます。
咳には喉当たりの不快感によって出るものもあれば、
肺からこみ上げてくるような深い咳があるといわれています。
ただ、咳込むということにおいては
肺に対して一定の何らかの症状が出ている可能性もあります。
従って、
重症ではなくても肺に対する影響は無視できない
と考えられます。
肺に対して新型コロナウィルスが
どのような影響を与えているのか?というのを調べるときには
一つの方法としては、
人の肺から細胞を取り出して、
気管、気管支を含め肺胞などの細胞種を特定して
新型コロナウィルス感染時に影響の受けやすい細胞を
そこからさらに特定して、
その細胞に焦点を当てて、
新型コロナウィルスに感染した時の
細胞の機能の変化を分析することです。
しかしながら
そういった肺の各組織にある細胞が
どのような異種性を持っているのか?
というのはまだわかっていないとされています(1)。
そこでAmeen A. Salahudeen氏らは
人の肺胞、気管支などの細胞に対して
オルガノイドを形成することで細胞種を特定し、
その中で新型コロナウィルス感染において
影響の大きな細胞種を特定しました(1)。
読者の方が最も気になると考えられる
新型コロナウィルス感染性が強い細胞は
「SCGB1A1+ club cell」です。
気管支にあります。
/細胞種の特定/
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気管支(Club cell)
発現遺伝子:SCGB1A1+ SFTPC+(強め)
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上皮基底部(Basal cell)内腔、気道全体に分布
発現遺伝子:KRT5+、SCGB1A1+、SFTPC+
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肺胞(AT2 cell)
発現遺伝子:SCGB1A1+(強め)、SFTPC+
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(参考文献(1) Fig.1より)
新型コロナウィルスの細胞内感染に関わる
ACE2、TMPRSS2の発現は
気管支(Club cell)、
上皮基底部(Basal cell)、
肺胞(AT2 cell)
全てで見られますが、
気管支、肺胞の細胞が多くなっています。
(参考文献(1) Extended Data Fig.10aより),
上皮基底部のKRT5+ Basal cell
あるいは繊毛のあるAcTUB+ ciliated cell
これらでは新型コロナウィルスの感染が見られない
しかし、
2次元のALI培養では上気道部の繊毛細胞で
新型コロナウィルスの感染が見られたという
報告もあります(2,3)。
新型コロナウィルス感染性が強い細胞は
気管支の「SCGB1A1+ club cell」です。
この細胞は肺の多糖構造を保護する働きがある
と考えられているので
それを阻害する可能性があります(1)。
肺胞のSFTPC+ AT2細胞でも
新型コロナウィルスの感染が見られました。
/考察、追記/
肺の炎症には
結果的には免疫の乱れによって起こっていると
考えられていますが、
ウィルスを大気中から吸い込んだときに
肺胞、気管支は暴露される部位なので
大気中からの一次的、直接的なウィルス感染によって
それらの細胞が影響を受け、
それに対して肺炎などを引き起こしている可能性も
考えられます。
従って、
ワクチンを接種した時に
抗体が体のどこに分布するのか?
といった観点も重要になると考えられます。
例えば、気管、気管支、肺胞の
内腔、粘膜にも分布するのでしょうか?
以上です。
(参考文献)
(1)
Ameen A. Salahudeen, Shannon S. Choi, Arjun Rustagi, Junjie Zhu, Vincent van Unen, Sean M. de la O, Ryan A. Flynn, Mar Margalef-Català, António J. M. Santos, Jihang Ju, Arpit Batish, Tatsuya Usui, Grace X. Y. Zheng, Caitlin E. Edwards, Lisa E. Wagar, Vincent Luca, Benedict Anchang, Monica Nagendran, Khanh Nguyen, Daniel J. Hart, Jessica M. Terry, Phillip Belgrader, Solongo B. Ziraldo, Tarjei S. Mikkelsen, Pehr B. Harbury, Jeffrey S. Glenn, K. Christopher Garcia, Mark M. Davis, Ralph S. Baric, Chiara Sabatti, Manuel R. Amieva, Catherine A. Blish, Tushar J. Desai & Calvin J. Kuo
Progenitor identification and SARS-CoV-2 infection in human distal lung organoids
Nature (2020)
(2)
Rawlins, E.L., et al.
The role of Scgb1a1+ Clara cells in the long-term maintenance and repair of lung airway, but not alveolar, epithelium.
Cell Stem Cell 4, 525-534 (2009).
(3)
Kathiriya, J.J., Brumwell, A.N., Jackson, J.R., Tang, X. & Chapman, H.A.
Distinct Airway Epithelial Stem Cells Hide among Club Cells but Mobilize to Promote Alveolar Regeneration.
Cell Stem Cell 26, 346-358.e344 (2020).
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