いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
日本の治療に当たられている医師の方の話によれば、
新型コロナウィルスの治療では
レムデシビルやデキサメタゾンの
「投薬のタイミング」が重要だ
と言われます。
レムデシビルでは重症化する前の段階で
投与する場合があるとされています。
その背景にあるのは
新型コロナウィルスが罹患した初期の段階と
重症化した後の症状が十分に出ている段階では
身体の応答が異なり、治療方針も同様に異なるから
だと考えられます。
後述するように感染初期では免疫機能が抑えられ
ウィルスが増殖して、肺などに炎症が生じ
症状が強く出る段階では免疫応答が強く出ると
考えられます。
免疫抑制剤であるデキサメタゾンは
免疫が抑えられている時に仮に投与されると
逆効果という事も考えられるので
その投薬のタイミングが重要だということです。
Wenmin Tian氏らは
新型コロナウィルスに罹患された方は
2つ段階があると考えており、
初めに免疫抑制の作用を受けて、
その後、臓器がダメージを受けて
サイトカインストームが生じることを
尿による詳細なたんぱく質の分析により明らかにしました(1)。
比較条件
①14人のPCR陽性:新型コロナウィルスに罹患
(9人が軽症、5人が重症)
②13人:新型コロナウィルス罹患ではない肺炎
③10人:健康状態
全体的な結果
1986種類のタンパク質のレベルが
①新型コロナウィルス罹患で②、③に比べて変化
/結果/
※初期の段階
リンパ球、血小板の減少を示すタンパク質
・tyrosine phosphatase receptor type C
・leptin
・tartrate-resistant acid phosphatase type 5
これらの減少
リンパ球、血小板の減少は新型コロナウィルス
罹患で確認されています(2)。
その他、それを補助するシステムである
・complement C3
・complement C1q
・subcomponent subunit C
・complement C1r subcomponent
・PZP-like alpha-2-macroglobulin domain-containing protein 8
これらが減少。
小食細胞、好中球、NK細胞、単球の減少
・ spleen tyrosine-protein kinase
これの減少。
これは免疫細胞が持つFcγR受容体を介した細胞の食作用
に関わる。
マクロファージ(単球)に機能に関わる
・apolipoprotein A-IV(APOA4)
・apolipoprotein E
これらの減少。
免疫細胞を引き付けるケモカイン
・C-C motif chemokine 14
・C-C motif chemokine 18
・C-X-C motif chemokine ligand 12
これらの減少。
単球、B細胞、T細胞に関するケモカインで
減少することでこれらの分布に影響を与えます。
・C-X-C chemokine receptor type 2
・signal transducer
・activator of transcription 3, 5B, and 6
これらの減少。
好中球、単球、T細胞の機能を抑制。
新型コロナウィルスで急性呼吸窮迫症候群が問題になります。
これは肺炎や敗血症などがきっかけとなって
重症の呼吸不全をきたす病気です。
これは肺胞のバリア機能が失われて、
浸透率が高まることが一つの大きなリスク要因である
と考えられています(3)。
このバリア機能は上皮細胞の表面近くに帯状に存在する
密着接合(Tight junction)に依存しています。
この密着接合性が悪くとなると
上皮組織のバリア機能が悪くなると言われています(4)。
この密着結合は他の臓器、
腸、腎臓、脳にもあると言われています(5,6)。
従って、これらの臓器不全とも関係すると考えられます。
このTight junctionの健全性を示すタンパク質
・TJ protein ZO-1, TJ protein ZO-2,
・claudin-2, claudin-3, claudin-11, claudin-19,
・Afadin, cingulin,
・protein crumbs homolog 3,
・cAMP-dependent protein kinase
・catalytic subunit alpha (PRKACA)
・Rho GTPase-activating protein 17
これらの減少が認められました。
(参考文献(1) Fig2(b)参照)
--------
新型コロナウィルスに罹患して、末期症状になると
サイトカインストームが生じると言われています(7-9)。
Wenmin Tian氏らによる調査でも
初期症状では免疫抑制が見られ
(参考文献(1) Fig.3(b))
末期では免疫活性が見られています。
(参考文献(1) Fig.3(c))
/考察/
考えられる治療方針としては重い症状が出る前の段階で
如何に免疫機能を引き出してあげるか?
ということになります。
肺炎などが生じ、重い症状が出た後は
単球、好塩基球、好中球、好酸球、リンパ球など
白血球が上昇して免疫機能が活性化していて、
それがTight junctionなど
組織の破壊につながっている可能性もあるので
基本的には免疫機能を制御しながら
回復を促すという事になるのではないかと思います。
重い症状が出ている場合には
ウィルス量の増加、
免疫機能が大きく乱れた状態
臓器の一部が不全になっている状態なので
基本的には薬剤によっても治療は難しくなる
と思います。
重い症状が出る前の段階で
如何に適切な処置ができるか?
ということが大切になると考えられます。
以上です。
(参考文献)
(1)
Wenmin Tian, Nan Zhang, Ronghua Jin, Yingmei Feng, Siyuan Wang, Shuaixin Gao, Ruqin Gao, Guizhen Wu, Di Tian, Wenjie Tan, Yang Chen, George Fu Gao & Catherine C. L. Wong
Immune suppression in the early stage of COVID-19 disease
Nature Communications volume 11, Article number: 5859 (2020)
(2)
Luo, X. et al.
Prognostic value of C-reactive protein in patients with COVID-19.
Clin. Infect. Dis. https://doi.org/10.1093/cid/ciaa641 (2020).
(3)
Herrero, R., Sanchez, G. & Lorente, J. A.
New insights into the mechanisms of pulmonary edema in acute lung injury.
Ann. Transl. Med. 6, 11 (2017).
(4)
Wittekindt, Oliver Tight junctions in pulmonary epithelia during lung inflammation.
Pflug. Arch. Eur. J. Physiol. 469, 135–147 (2017).
(5)
Sawada, N.
Tight junction-related human diseases.
Pathol. Int. 63, 1–12 (2013).
(6)
Blasig, I. E. & Haseloff, R. F.
Tight junctions and tissue barriers.
Antioxid.Redox Signal. 15, 1163–1166 (2011).
(7)
Chen, G. et al.
Clinical and immunological features of severe and moderate coronavirus disease 2019.
J. Clin. Invest. 30, 2620–2629 (2020).
(8)
Ritchie, A. I. & Singanayagam, A.
Immunosuppression for hyperinflammation in COVID-19: a double-edged sword?
Lancet 395, 1111 (2020).
(9)
Mehta, P. et al.
COVID-19: consider cytokine storm syndromes and immunosuppression.
Lancet 395, 1033–1034 (2020)
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