いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
体には何十兆個という細胞があり、
細胞からなる組織があり、
その組織によって血管、臓器、皮膚などを始め
いろんな体の部位があります。
そのような身体の部位、組織、細胞は
互いにクロストーク「会話、相互制御、相互作用」
をしていると考えられています。
例えば、
「内分泌の臓器」と呼ばれる筋肉(1)を
運動により動かし、伸張、収縮させると
マイヨカインと呼ばれる物質が放出されて
身体のいろんな部位と相互作用することが知られています。
運動後に「心地よい」と感じるのも
その一部にはこの内分泌物質が脳や神経などに働き
その感覚に貢献している可能性もあります。
このような内分泌物質は一つの分類として
「エクソソーム」と呼ばれます。
その大きさによって「エクトサム」という
分類になることもありますが、
細胞よりもずっと小さな胞子が
細胞、組織、体の部位の中で
情報の交換をしています(2,3)。
例えば、
肝臓の調子が整える必要がある場合には
この内分泌物質によって
他の臓器、血液などを調整する仕組みがあると考えられます。
また
免疫応答、癌細胞、ウィルスの分布のような
身体に対して脅威にもなるような因子に対しても
恒常性を保つため重要な役割をしていると
考えられています(4,5)。
従って、新型コロナウィルスにおいても
関連性が推測されます。
しかし、このエクソソームの
生体内での分布、動的機序(ダイナミクス)を
どのように制御できるか?
というのはわかっていない部分が多く
またそれを実現することも難しいと考えられています(6)。
そこでShiyu Liuらは
このような組織の恒常性、修復に寄与すると考えらえる
エクソソームから発現されている
①抗原CD63に対して特異的結合性を有する抗体
と
損傷し梗塞した心臓の筋組織から発現されている
②myosin ligh chainに対して特異的結合性を有する抗体
これらの2種類を表面装飾したナノ粒子を作製しました。
これによって
ナノ粒子は体内なるエクソソームの
「輸送体」として働くことができます。
また
このナノ粒子は炎症が起こっている心臓筋組織で
想定されるやや酸性の条件(pH 6.8程度)で
ナノ粒子に装飾された抗体が母体のナノ粒子との
結合が外れる状態になっています。
(参考文献(6) Fig.1 inset参照:イメージ図)
それによって筋組織に到達した時に
エクソソームが放出されます。
(参考文献(6) Fig.5(b):8時間程度で100%放出)
従って、
ナノ粒子という「輸送体」を通して
エクソソームが炎症を起こした心臓筋組織付近に
多く分布されるように制御することができることを
示しています(6)。
(参考文献(6) Fig.4(a):肺と心臓の比較-心臓に局在)
また、
Masson's trichrome staining images
という梗塞性心筋症で
コラーゲン(青)、筋組織(赤)で染色させて図示する
手法で評価しています。
それによると赤の部分が大きくなっており
エクソソームをナノ粒子で輸送することによって
筋組織の回復が確認されました。
※ただし、人ではなくマウスのケース。
(参考文献(6) Fig.6(b))
/ナノ粒子の構造/
核:Fe3O4
核周辺層:SiO2
核表面装飾:PEG-CHO
これらの3つの構造が主となっています。
そして上で述べた①②の抗体を装飾しています。
(参考文献(6) Fig.2(a):ナノ粒子のイメージ図)
また
ナノ粒子がどのようにエクソソームを輸送するかの
イメージは参考文献(6) Fig.1を参照ください。
/考察/
実際にどこから静脈注射されたか?
あるいはマウスの個体の大きさが小さいことから
目的とする心臓に到着するまでの
ナノ粒子の状態について考えるところがあります。
周りにSiO2やPEG-CHOを付けることで
体にあるたんぱく質やDNAなどの物質が
意図しない形で付着して、
抗体の選択性、特異性を下げる事を防いでいるか?
という観点があります。
エクソソームはCD9,CD63という遺伝子を
発現していることが多いと言われています(7)。
サイトカイン、ケモカイン
あるいはエクトサム、
上述したマイヨカインなども含めて
身体の内分泌物質がどのようなエピトープを
発現しているか?というのを広範囲で調べることで
同じようなコンセプトでこのような内分泌物質を
任意の組織や臓器、
あるいはその中の特定の細胞に
輸送することができると考えられます。
以上です。
(参考文献)
(1)
Mark A. Febbraio & Bente K. Pedersen
Who would have thought — myokines two decades on
Nature Reviews Endocrinology volume 16, pages619–620(2020)
(2)
Thery, C., Zitvogel, L. & Amigorena, S.
Exosomes: composition, biogenesis and function.
Nat. Rev. Immunol. 2, 569–579 (2002).
(3)
Valadi, H. et al.
Exosome-mediated transfer of mRNAs and microRNAs is a novel mechanism of genetic exchange between cells.
Nat. Cell Biol. 9, 654–659 (2007).
(4)
Steinbichler, T. B., Dudas, J., Riechelmann, H. & Skvortsova, I. I.
The role of exosomes in cancer metastasis.
Semin. Cancer Biol. 44, 170–181 (2017).
(5)
Skog, J. et al.
Glioblastoma microvesicles transport RNA and proteins that promote tumour growth and provide diagnostic biomarkers.
Nat. Cell Biol.10, 1470–1476 (2008).
(6)
Shiyu Liu, Xin Chen, Lili Bao, Tao Liu, Pingyun Yuan, Xiaoshan Yang, Xinyu Qiu, J. Justin Gooding, Yongkang Bai, Jiajia Xiao, Fengxing Pu & Yan Jin
Treatment of infarcted heart tissue via the capture and local delivery of circulating exosomes through antibody-conjugated magnetic nanoparticles
Nature Biomedical Engineering volume 4, pages1063–1075(2020)
(7)
Moh'd Khushman et al.
Exosomal Markers (CD63 and CD9) Expression Pattern Using Immunohistochemistry in Resected Malignant and Non-malignant Pancreatic Specimens
Pancreas. 2017 Jul; 46(6): 782–788.
登録:
コメントの投稿 (Atom)

0 コメント:
コメントを投稿