2020年11月26日木曜日

植物由来の薬剤開発のための計算結果

いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。

アメリカのファイザー社(さん)、モデルナ社(さん)に続き
イギリスのアストラゼネカ社(さん)も
第3相の中間報告でワクチン接種時の予防効果は
統計的にみて有意な差があったとされています。
これらのワクチンは、開発が成功すれば、
いずれも日本に供給予定で、
日本での治験を終了し次第、
日本でも接種を実施すると考えられます。
昨日の日本政府の発表では、
ここ2週間での感染状況を見て拡大が進むようであれば、
年末年始の事も考慮入れると、
緊急事態宣言を実施することも辞さない構えである
という声明を発表しています。
昨日、大阪のある看護師さんで
新型コロナウィルスの治療の当たられている方の
コメントをメディアでの取材を通じて伺いました。
その中で
「この状態がいつまで続くのか?」
ということを言われていました。
自然な収まりを見せる気配のない世界的な感染状況において
ある程度、制御できる程度の状況にするためには
ワクチンによる集団免疫の獲得は
必要不可欠であると私は考えます。
ワクチンによって病気を予防するだけではなく
「重症化」も防ぐことが期待されます。
感染しても「免疫の初動」がよければ、
症状が重くなることを防ぐことができると考えるからです。
重症化する前段階のプロセスで
免疫細胞であるリンパ球の減少が見らえれる
ケースが報告されているからです。
第3波に入って
東京医科歯科大学や聖マリアンナ医科大学など
関東の病院を始め、
新型コロナ病棟の様子が報道されますが、
重症化している患者さんには多くの機械を装着して、
多くの医療スタッフの方を要します。
従って、
もちろん感染対策は必要ですが、
仮に感染しても重症化しないことが大事です。
重症化を防ぐうえで、もう一つ大事なのは
罹患した後に投与する特効薬の開発です。
今のところ新型コロナウィルスに対して
特別な薬効を示す薬は存在しません(1)。
リパーポスによっていくつかの薬は存在しますが、
インフルエンザの治療薬のような薬効には
まだ届いていないと認識しています。
今、世界の大学や企業などにおいて
ワクチンと並行して薬の開発も進められています。

その薬の開発において
ある程度、人工的に化学物質を構成するのではなく
自然にあるものを利用するという方略もあります。
その中で植物を利用するというプロセスがあります。

植物は自ら移動できないため
昆虫、草食動物、病原体から身を守るため
多くの2次代謝産物を合成します。
それらの物質の一部は、植物の細胞に蓄積され
外敵が摂食した際に特定の作用を引き起こすことで
外敵から身を守ります(2,4)。
結果的にそのような防御機能を備えた植物が
進化、生き残ってきたと考えることもできます。
Kotaro Yamamoto氏ら研究グループは
ニチニチソウと呼ばれる熱帯に生息する植物が
合成するテルペノイドインドールアルカロイド
という物質が抗癌作用を持つことに着目しています(3)。
このように従来から
植物が生成する天然物の薬理効果が利用されてきました。

Hariprasad Puttaswamy氏ら研究グループは
多様な植物の2次代謝生成物の構造から
新型コロナウィルスの様々な病理プロセスのにおいて
薬理効果を示すかどうかを
コンピューターを使って検証しています(1)。

/計算条件/
4704種類の分子(代謝生成物)
植物203種類

/結果/
新型コロナウィルスの生体内の増殖に関わる各プロセスにおいて
それぞれそれに関わる物質の働くを抑制するための
結合に対する強さ(結合エネルギー)を評価しています。
(参考文献 Table 1より 下記第3位まで)
負の結合エネルギーが強いという事は
結合しやすく、離れにくいということです。
従って、より強い薬理作用が期待できるということだと
考えています。
-----
Spike protein
①Bismahanine ②Coagulin N ③Arecatannin A3
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RNA-dependent RNA polymerase (RdRp)
①Eriodictyol-7-O-rutinoside ②Narirutin ③Hippomannin A
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Human transmembrane serine protease (TMPRSS2)
①Glycyrrhizic acid ②cis-Miyabenol C ③Proanthocyanidin A2
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Main protease (Mpro)
①Hypericin ②Amentoflavone ③Terflavin B
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以上です。

(参考文献)
(1)
Hariprasad Puttaswamy, Hittanahallikoppal Gajendramurthy Gowtham, Monu Dinesh Ojha, Ajay Yadav, Gourav Choudhir, Vasantharaja Raguraman, Bhani Kongkham, Koushalya Selvaraju, Shazia Shareef, Priyanka Gehlot, Faiz Ahamed & Leena Chauhan
In silico studies evidenced the role of structurally diverse plant secondary metabolites in reducing SARS-CoV-2 pathogenesis
Scientific Reports volume 10, Article number: 20584 (2020) 
(2)
神戸大学 研究ニュース 2016/3/22
植物が薬理作用をもつ天然物を合成する過程を解明
(3)
Kotaro Yamamoto, Katsutoshi Takahashi, Hajime Mizuno, Aya Anegawa, Kimitsune Ishizaki, Hidehiro Fukaki, Miwa Ohnishi, Mami Yamazaki, Tsutomu Masujima, Tetsuro Mimura
Cell-specific localization of alkaloids in Catharanthus roseus stem tissue measured with Imaging MS and Single-cell MS
PNAS first published March 21, 2016; https://doi.org/10.1073/pnas.1521959113
(4)
Pichersky, E. & Gang, D. R. Genetics and biochemistry of secondary metabolites in plants: An evolutionary perspective. 
Trends Plant Sci. 5, 439–445.(2000)


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