新型コロナウィルスは組織を破壊したり、
炎症性の免疫系を活性化させると言われていますが、
どのように免疫系を通じて炎症作用を惹起させているか?
というのは今まで理解されていない部分があります(2)。
ーー
Caroline Junqueira, Ângela Crespo, Shahin Ranjbar
(敬称略)らは
Antibody-opsonized virus。
つまり、新型コロナウィルスに抗体が結合した状態で
抗体の露出された部分Fcドメイン、
表面受容体CD16を通して
単球に感染し、その単球が下記いくつかの
炎症性物質、信号。
(NLRP3, AIM2、Caspase-1, GSDMD)
これらを活性化することを明らかにされています(1)。
しかしながら、
感染した単球からは
感染性を有するウィルスの検出はありませんでした、
これらの炎症性物質、信号を通じて
感染した単球は細胞死しました(Pyroptosis)(1)。
ワクチン接種では抗体のみの産生で
ウィルス株自体は存在しないので
Antibody-opsonized virusが存在しない事から
同様の炎症性信号の惹起は確認されませんでした(1)。
感染した方の血液から
おおよそ6%の単球が感染している事がわかりました。
上述した炎症性物質、信号は
重症の患者さんで多くの頻度で見られています。
上述したように免疫細胞のCD16受容体を介して
抗体が結合したウィルスが感染するので
同じようにCD16が表面タンパクとしてある
細胞傷害性T細胞やNK細胞、好中球にも
同様の機序で感染する可能性が指摘されています(1)。
しかしながら、リンパ球に関しては
患者さんから細胞死が増加した証拠はありませんでした(1)。
ーー
このように単球を通じた感染は
Pyroptosisによって細胞死し、
感染性を持ったウィルスの検出がなくなるため
体内での感染を広げないという正の側面もありますが、
一方で、炎症性物質、信号により
免疫機能が高まり、サイトカインストームを
起こすという負の側面もあります。
//考察//ーー
Antibody-opsonized virusを介した単球の感染は
当然、ウィルスと抗体が両方体内にある場合に起きます。
抗ウィルス薬の治療ではなく
モノクローナル抗体による治療では
ウィルスと抗体が両方体内に生まれる為
同様の機序で免疫細胞に感染する可能性が考えられます。
ワクチンを接種した状態でも
その後、ブレークスルー感染した時には
ウィルスと抗体が両方存在するため
同様に単球感染する可能性があります。
しかしながら、感染した単球は
細胞死して残らないため、
(炎症物質ではなく)細胞依存的な
免疫的後遺症の程度は高くないかもしれません。
(参考文献)
(1)
Caroline Junqueira, Ângela Crespo, Shahin Ranjbar, Luna B. de Lacerda, Mercedes Lewandrowski, Jacob Ingber, Blair Parry, Sagi Ravid, Sarah Clark, Marie Rose Schrimpf, Felicia Ho, Caroline Beakes, Justin Margolin, Nicole Russell, Kyle Kays, Julie Boucau, Upasana Das Adhikari, Setu M. Vora, Valerie Leger, Lee Gehrke, Lauren Henderson, Erin Janssen, Douglas Kwon, Chris Sander, Jonathan Abraham, Marcia B. Goldberg, Hao Wu, Gautam Mehta, Steven Bell, Anne E. Goldfeld, Michael R. Filbin & Judy Lieberman
FcγR-mediated SARS-CoV-2 infection of monocytes activates inflammation
Nature (2022)
(2)
Del Valle, D. M. et al.
An inflammatory cytokine signature predicts COVID-19 severity and survival.
Nat Med 26, 1636–1643, https://doi.org/10.1038/s41591-020-1051-9 (2020).
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