2022年4月5日火曜日

COVID-19:国際機関によるウィルスリスクの監視

新型コロナウィルスが流行し始めて2年が経ちました。
全世界での感染者数は5億人程度と言われます。
無症状や検査漏れなどを考えると
もっと多くの方が新型コロナウィルスに感染した可能性があります。
天文学的な数のウィルスが人の細胞を介して
その数を維持、増やしてサイクルを繋いでいます。
新型コロナウィルスはRNAウィルスですから
細胞内で増殖するときには
一定割合コピーミスが起こり変異します。
多くの場合は自然淘汰されると考えられますが、
そのうちのごく一部の環境適応優位性を持った株が
生き残り、従来株から置き換わります。
ーー
日本では今までアルファ株、デルタ株、オミクロン株
これらのウィルス系統、株が主流となりました。
その間にmRNAワクチンの接種が進んだこともあり、
流行し始めた2年前よりも重症化の割合は減りましたが、
オミクロン株に関しては、感染力が強いため
感染者数がなかなか減らない現状となっています。
それは全世界でも当てはまります。
ーー
Marciela M. DeGrace, Elodie Ghedin, Matthew B. Frieman, Florian Krammer,  Alba Grifoni
(敬称略)ら医療研究グループは
上述したような変異を繰り返す新型コロナウィルスのリスクを
どのように国際的なチーム(SAVEなど)で定義して、
世の中に迅速に発信してきたかという事に対して
そのプロセス一つ一つにおいて詳細に総括されています(1)。
ーー
この国際的なチームの一つであるSAVEは
アメリカ国立衛生研究所が主に立ち上げたチームです。
このSAVEは学際的かつ国際的なチームです。
世界から免疫学、ワクチン学、ウィルス学、
構造生物学、生物情報学、ウィルス遺伝学、
ウィルス進化学など様々な専門性を持つ研究者が
集まったチームです。
これらのチームが定期的に会議を開き、連携して
世界の中でVariant of Concern(VOC)
つまり脅威となるウィルス変異が起きたら
その系統、株の系統樹を調べ(作り)、
まずはウィルスそのものを分析します。
そして、試験管でウィルス毒性やワクチン反応などを分析し、
それを動物など生体内でより実情に近い状態で調べます。
そしてその結果を迅速に政府に報告します(2)。
またその結果をピアレビューを同時並行で行いながら
プレプリント版としてサーバーに
オープン資料として掲載します。
ーー
日本にも同様の
The Genotype to Phenotype Japan(G2P-Japan)
という組織があります。
この組織も同様に繰り返される変異、VOCに対して
呼吸器や免疫学的なリスクや
ワクチンの効き目などを評価します(1)。

//考察//ーー
この2年間、新型コロナウィルスの情報発信を
世間の状況を確認しながら精力的に行ってきました。
その中で、詳しい報告が揃うまでに
どうしても時間がかかるので、
ウィルス変異の世の中の流れに
分析、報告が遅れるという印象がありましたが、
報告が掲載されるまでのスピードは変わってきていて
速くなっています。
プレプリントは最も早い時期に公表されますが、
その情報を見つけられないということもあります。
しかし、重要な情報のサマリーは
メディアで取り上げられることもありました。
ウィルスの状況は数か月で変わるので、
その速いサイクルに対して、
どのように検知、分析、報告のサイクルを間に合わせるか?
このようなところが課題であると考えます。
もちろん後追いで一つ一つ丁寧に調べていく事も
大きく意義がある事です。

(参考文献)
(1)
Marciela M. DeGrace, Elodie Ghedin, Matthew B. Frieman, Florian Krammer, Alba Grifoni, Arghavan Alisoltani, Galit Alter, Rama R. Amara, Ralph S. Baric, Dan H. Barouch, Jesse D. Bloom, Louis-Marie Bloyet, Gaston Bonenfant, Adrianus C. M. Boon, Eli A. Boritz, Debbie L. Bratt, Traci L. Bricker, Liliana Brown, William J. Buchser, Juan Manuel Carreño, Liel Cohen-Lavi, Tamarand L. Darling, Meredith E. Davis-Gardner, Bethany L. Dearlove, Han Di, Meike Dittmann, Nicole A. Doria-Rose, Daniel C. Douek, Christian Drosten, Venkata-Viswanadh Edara, Ali Ellebedy, Thomas P. Fabrizio, Guido Ferrari, William C. Florence, Ron A. M. Fouchier, John Franks, Adolfo García-Sastre, Adam Godzik, Ana Silvia Gonzalez-Reiche, Aubree Gordon, Bart L. Haagmans, Peter J. Halfmann, David D. Ho, Michael R. Holbrook, Yaoxing Huang, Sarah L. James, Lukasz Jaroszewski, Trushar Jeevan, Robert M. Johnson, Terry C. Jones, Astha Joshi, Yoshihiro Kawaoka, Lisa Kercher, Marion P. G. Koopmans, Bette Korber, Eilay Koren, Richard A. Koup, Eric B. LeGresley, Jacob E. Lemieux, Mariel J. Liebeskind, Zhuoming Liu, Brandi Livingston, James P. Logue, Yang Luo, Adrian B. McDermott, Margaret J. McElrath, Victoria A. Meliopoulos, Vineet D. Menachery, David C. Montefiori, Barbara Mühlemann, Vincent J. Munster, Jenny E. Munt, Manoj S. Nair, Antonia Netzl, Anna M. Niewiadomska, Sijy O’Dell, Andrew Pekosz, Stanley Perlman, Marjorie C. Pontelli, Barry Rockx, Morgane Rolland, Paul W. Rothlauf, Sinai Sacharen, Richard H. Scheuermann, Stephen D. Schmidt, Michael Schotsaert, Stacey Schultz-Cherry, Robert A. Seder, Mayya Sedova, Alessandro Sette, Reed S. Shabman, Xiaoying Shen, Pei-Yong Shi, Maulik Shukla, Viviana Simon, Spencer Stumpf, Nancy J. Sullivan, Larissa B. Thackray, James Theiler, Paul G. Thomas, Sanja Trifkovic, Sina Türeli, Samuel A. Turner, Maria A. Vakaki, Harm van Bakel, Laura A. VanBlargan, Leah R. Vincent, Zachary S. Wallace, Li Wang, Maple Wang, Pengfei Wang, Wei Wang, Scott C. Weaver, Richard J. Webby, Carol D. Weiss, David E. Wentworth, Stuart M. Weston, Sean P. J. Whelan, Bradley M. Whitener, Samuel H. Wilks, Xuping Xie, Baoling Ying, Hyejin Yoon, Bin Zhou, Tomer Hertz, Derek J. Smith, Michael S. Diamond, Diane J. Post & Mehul S. Suthar
Defining the risk of SARS-CoV-2 variants on immune protection
Nature (2022)
(2)
SARS-CoV-2 Assessment of Viral Evolution (SAVE) Program
https://www.niaid.nih.gov/research/sars-cov-2-assessment-viral-evolution-program


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