人の身長、体重(太りやすさ)、顔の形、手足指の長さ
など基本的な事(形質)から、
今までどんな病気に罹ったのかという既往歴から
将来の病気のリスクに至るまで、
大元では身体の主に細胞内にある遺伝子が関わっています。
環境による遺伝子の状態変化(装飾などによるスイッチなど)や、
生まれながらにして親から引き継いだ遺伝子によって
それぞれの人の特質、形質は決まってきます。
従って、
ある特定の病気の病理、薬剤開発、治療を考えていく際には
その病気を生み出している元の遺伝子変異を調べることが
根本で大切になります。
しかしながら、
遺伝子の作用は単一ではなくて
中には数百といった多くの遺伝子が複雑に相互作用しながら
関与している疾患もあります。
その中には特定の疾患の表現効果(Effect size)が小さい
コード化されていない遺伝子もあります(3)。
また、遺伝子の効果は細胞種特異的に(Cell-type-specific)
変わるとも言われています(3)。
加えて、細胞の状態(老化など)によっても
変化する可能性があります(3)。
ーー
特定の形質(疾患など)に対して
遺伝子(群)がどのように関わっているか?
というのを調べるためには
ある程度大きな母集団において
その形質の有無のグループに分けて
一人一人の遺伝子を調べて、統計的に比較する事が必要です。
各グループの遺伝子多型のガウシアン分布に大きな開きがあれば、
その遺伝子はその形質において影響が大きいと考える
こともできます。
このような遺伝子的な差異の比較を
細胞種ごとに把握できるように
単一細胞レベルでRNAシーケンス調査を行う方法がありましたが、
従来の方法ではコストや労力の点で
十分なデータを得ることが難しかったとされています(1,2)。
Richard K. Perez, M. Grace Gordon, Meena Subramaniam
(敬称略)ら(1)、
Seyhan Yazar, Jose Alquicira-Hernandez, Kristof Wing
(敬称略)ら(2)、
医療研究グループは、自己免疫疾患に対して、
それに影響の大きな遺伝子座を細胞種ごとに調べることに
成功されています(1,2)。
その成果を支えた方法は
Multiplexed scRNA-seq (mux-seq)と呼ばれる手法です(4)。
その多重化のためには
細胞種ごとに脂質からなるタグ(目印)を付け
ドロップレットでまとめて測定する
と報告されています(4,5)。
例えば、
全身エリテマトーデスの報告(1)において
免疫細胞の数のデータをみると
この疾患に罹っていないグループよりも
個人差があり、ばらつきが大きなデータになっています。
これは、
この疾患が異種性が高いと知られている
ことを反映しているかもしれません(6)1。
従って、統一的な治療ではなく、
個別化医療の必要性を感じます。
その様な事が一つ明らかになっています。
//細胞種特異的輸送系統の観点//ーー
このような特定の疾患に対する
Genome-wide association studies(GWAS)は
国際的なチームによって精力的に行われています(7,8)。
癌であれば、
臓器横断的に様々な影響があるかもしれません。
乳癌などの組織常在型の癌種であっても、
循環器の免疫細胞は影響を受けるので
血液採取によって免疫系のGWASをすることで
明らかになる事はあると考えられます。
そのような遺伝子的な差を見つける事によって
根本での病理の理解による
遺伝子治療の進展、薬剤開発、治療、個別化治療
などの改善が期待できるだけではなく、
疾患依存的な
Cell-type-specific(細胞種特異的な)遺伝子データが得られるため
特異的な表面タンパク質の発見、選定に繋がる可能性があります。
なぜなら、細胞種ごと、疾患などの状態、老化などに対して
細胞表面のタンパク質の状態などは
未知な部分は多くあるからです。
全ゲノム関連解析(GWAS)は国際的な協力の元
科学的に意義のあるデータが次々に発表されていますが、
Multiplexed scRNA-seq (mux-seq)の手法の確立により
細胞種特異的な(Cell-type-specific)データを得ることで
同時にCell-type-specific delivery systemの
実現に貢献するものであると考えます。
(参考文献)
(1)
Richard K. Perez † , M. Grace Gordon † , Meena Subramaniam † , Min Cheol Kim, George C. Hartoularos,
Sasha Targ, Yang Sun, Anton Ogorodnikov, Raymund Bueno, Andrew Lu, Mike Thompson, Nadav Rappoport,
Andrew Dahl, Cristina M. Lanata, Mehrdad Matloubian, Lenka Maliskova, Serena S. Kwek, Tony Li,
Michal Slyper, Julia Waldman, Danielle Dionne, Orit Rozenblatt-Rosen, Lawrence Fong, Maria Dall ’ Era,
Brunilda Balliu, Aviv Regev, Jinoos Yazdany, Lindsey A. Criswell, Noah Zaitlen * , Chun Jimmie Ye *
Single-cell RNA-seq reveals cell type–specific molecular and genetic associations to lupus
Science 376 , eabf1970 (2022)
(2)
Seyhan Yazar † , Jose Alquicira-Hernandez † , Kristof Wing † , Anne Senabouth, M. Grace Gordon,
Stacey Andersen, Qinyi Lu, Antonia Rowson, Thomas R. P. Taylor, Linda Clarke, Katia Maccora,
Christine Chen, Anthony L. Cook, Chun Jimmie Ye, Kirsten A. Fairfax, Alex W. Hewitt *† , Joseph E. Powell *†
Single-cell eQTL mapping identifies cell type-specific genetic control of autoimmune disease
Science 376 , eabf3041 (2022)
(3)
Tomokazu S. Sumida, David A. Hafler
Population genetics meets single-cell sequencing
Science 376, 134-135 (2022)
(4)
Christopher S. McGinnis, David M. Patterson, Juliane Winkler, Daniel N. Conrad, Marco Y. Hein, Vasudha Srivastava, Jennifer L. Hu, Lyndsay M. Murrow, Jonathan S. Weissman, Zena Werb, Eric D. Chow & Zev J. Gartner
MULTI-seq: sample multiplexing for single-cell RNA sequencing using lipid-tagged indices
Nature Methods volume 16, pages619–626 (2019)
(5)
Hyun Min Kang, Meena Subramaniam, Sasha Targ, Michelle Nguyen, Lenka Maliskova, Elizabeth McCarthy, Eunice Wan, Simon Wong, Lauren Byrnes, Cristina M Lanata, Rachel E Gate, Sara Mostafavi, Alexander Marson, Noah Zaitlen, Lindsey A Criswell & Chun Jimmie Ye
Multiplexed droplet single-cell RNA-sequencing using natural genetic variation
Nature Biotechnology volume 36, pages89–94 (2018)
(6)
E. E. Carter, S. G. Barr, A. E. Clarke,
The global burden of SLE:Prevalence, health disparities and socioeconomic impact.
Nat. Rev. Rheumatol. 12, 605 – 620 (2016)
(7)
Tarjinder Singh, Timothy Poterba et al.
Rare coding variants in ten genes confer substantial risk for schizophrenia
Nature (2022)
(8)
Vassily Trubetskoy, Antonio F. Pardiñas et al.
Mapping genomic loci implicates genes and synaptic biology in schizophrenia
Nature (2022)
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