癌が転移する事は広く知られています。
例えば、乳癌では肺や脳に転移しやすいと言われています。
このように特定の臓器への走化性、向性。
つまり特定の臓器に転移しやすい特徴を持っています。
これを「Organotropism」と呼ばれますが
それがなぜ生じているのはというのは未知でした。
Ayuko Hoshino, Bruno Costa-Silva, Tang-Long Shen(敬称略)ら
医療研究グループは
肺、肝臓、脳に対する向性を持つ癌細胞由来のエクソソームが
それぞれの肺、肝臓、脳に輸送され、
前転位ニッチ状態を作ることを示されています(1)。
そのエクソソームの特徴は
表面リガンド、タンパク質のうちインテグリンに現れていました。
インテグリンはα鎖とβ鎖のヘテロダイマーからなります。
それぞれの鎖がサブタイプを有しています。
そのうち
肺転移:α6β4, α6β1
肝臓転移:αvβ5
これらでした。
ー
エクソソームを利用した薬剤輸送において
このようにエクソソームのリガンドよって
短距離輸送から長距離輸送まで影響を受けている
という事実は非常に重要です。
単純に適用できるかどうかは研究の余地がありますが、
例えば、
α6β4のインテグリンを豊富に持つエクソソームは
肺に対する疾患を治療する際に輸送媒体として使える可能性があります。
実際にこのインテグリンを刺激することで
癌化する可能性もありますが、
おそらくそれだけではなくエクソソームに含まれる
癌細胞由来の拡散やタンパク質、表面リガンドなどが
前転位ニッチ構成に関与していると想定されます。
従って、
癌だけではなく、他の肺の疾患の治療において
エクソソームの内腔に含まれるたんぱく質や核酸に注意し、
その疾患に効果があると考えられる薬剤を封入する事で
肺組織に対して向性があり、特異性を持った治療が行える
可能性があります。
(参考文献)
(1)
Ayuko Hoshino, Bruno Costa-Silva, Tang-Long Shen, Goncalo Rodrigues, Ayako Hashimoto, Milica Tesic Mark, Henrik Molina, Shinji Kohsaka, Angela Di Giannatale, Sophia Ceder, Swarnima Singh, Caitlin Williams, Nadine Soplop, Kunihiro Uryu, Lindsay Pharmer, Tari King, Linda Bojmar, Alexander E. Davies, Yonathan Ararso, Tuo Zhang, Haiying Zhang, Jonathan Hernandez, Joshua M. Weiss, Vanessa D. Dumont-Cole, Kimberly Kramer, Leonard H. Wexler, Aru Narendran, Gary K. Schwartz, John H. Healey, Per Sandstrom, Knut Jørgen Labori, Elin H. Kure, Paul M. Grandgenett, Michael A. Hollingsworth, Maria de Sousa, Sukhwinder Kaur, Maneesh Jain, Kavita Mallya, Surinder K. Batra, William R. Jarnagin, Mary S. Brady, Oystein Fodstad, Volkmar Muller, Klaus Pantel, Andy J. Minn, Mina J. Bissell, Benjamin A. Garcia, Yibin Kang, Vinagolu K. Rajasekhar, Cyrus M. Ghajar, Irina Matei, Hector Peinado, Jacqueline Bromberg & David Lyden
Tumour exosome integrins determine organotropic metastasis
Nature volume 527, pages329–335 (2015)
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