近年、先進国では自閉症スペクトラム症候群を含めて
発達障害が増えているという報告があります(2-4)。
日本におけるこの理由としては
①見かけ上の増加と②真の増加に分けて考える必要がある
かもしれないとされています(5)。
ーー
①見かけ上の増加
発達障害の診断基準が変更されました。
軽症例であっても二次障害をきたす恐れがある事から
以前より軽症でも当てはまるとされています。
また、発達障害自体が一般に広く知られるようになり、
親御さんやお子さんの診断ニーズが高まっていることが挙げられる
とされています(5)。
-
②真の増加
遺伝を含めた生物学的要因、環境要因に分けられます。
環境要因では
・インターネットやスマホなどのメディア視聴
・睡眠の不整
・化学物質の暴露
・周囲のストレス
これらが挙げられています(5)。
しかし、日本で過去から特に増えている理由に
「晩婚化」が挙げられるのではないか?
と考えます。初産と子供の健康についての
報告はまだ十分にある状況ではありませんが、
高齢出産が障害のリスクを高めるという情報もあります(6)。
また、本日の記事の内容のメインとなる
妊娠女性の運動と睡眠はスマートフォンの普及と
関係している部分はあるかもしれません。
ストレスも同様です。
ーー
②の真の増加で述べたような遺伝的、環境的な要因は
妊娠前後、出産後のいずれの期間においても
お子さんの自閉症スペクトラム障害のリスク因子となります。
その環境的な要因の中で
運動と睡眠(時間、入眠時)は重要な要因となります(7,8)。
早産、妊娠糖尿病、炎症(免疫異常)、肥満、脂質異常症
これらが関わってお子さんに影響が出る事もあります(10,11)。
しかしながら、
今まで介入研究において運動と睡眠が
どのように子供の自閉症スペクトラム障害に関わるか?
といった報告はありませんでした。
Kazushige Nakahara, Takehiro Michikawa(敬称略)ら
医療研究グループは
69969人の日本の女性から生まれた子供の
3歳時の自閉症スペクトラム障害のリスクを
運動、睡眠の観点で大規模調査されています(1)。
本日はその内容の一部と独自の調査を加え
読者の方と情報共有したいと思います。
//運動//ーー
(定義)
10分以上持続する運動で仕事、家事、レジャーを含む。
(階層)
Q1-Q4まで運動の強度別に段階的にグループ分けをしています。
Q4が最も運動強度が高いとされています。
(結果)
運動は中程度(Q3)から高程度(Q4)においては
妊娠前、妊娠後ともに生まれたお子さんが
3歳の時点で自閉症スペクトラム症候群に罹患している
割合は有意に低くなっています。
自閉症に罹る割合としてはおおよそ0.3-0.5%程度です。
詳細は参考文献(1) Table 1参照
--
(参考)Ref.(9)
アメリカ産婦人科学会によると
妊娠中は週に最低150分の中程度の有酸素運動をすることが
理想的であるとされています。
平均すると1日当たり30分の運動を週5回です。
お勧めの運動は
①ウォーキング
②マタニティスイミング
③マタニティヨガ
これらが挙げられています。
①のウォーキングに関して
日常的な買い物を徒歩で行くなど
生活に組み込むと自然に続けられるという事はあるかもしれません。
注意点としては
〇お腹が張ったり、気分が悪くなったら中断する。
〇万が一のときのためにスマートフォンと母子手帳を携帯する。
〇水分補給をしっかり行う。
〇怪我をしたり、ジャンプしたり、お腹を圧迫したりするような運動を避ける。
このようなことが挙げられています。
//睡眠//ーー
睡眠は妊娠前、妊娠中ともに
7時間から9時間程度。
就寝時間は21時から24時が望ましいとされています。
特に妊娠中の睡眠不足(6時間以下)は
リスクが高くなります。
詳細は参考文献(1) Table 2参照
//結論//ーー
自閉症スペクトラム障害を誰が、どのように(どのような基準で)
診断したかは不明であり、
かつ、運動、睡眠の調査は参加者のアンケート調査によるものなので
精度という点でいくつか制限があります(1)が、
3歳の時点での自閉症スペクトラム障害は
特に妊娠時の運動量、睡眠状態に影響を受けるかもしれない
ということが示されました。
運動量は多く、睡眠は7-9時間で21-24時就寝が
好ましいかもしれないとされています。
//考察//ーー
運動と睡眠というのは密接に関わっています。
日中に太陽をある程度浴びて、運動をすることで
良い睡眠がとれるという事があると思います。
また、就寝時間に関しては
眠くなるように部屋の明かりを早めに暗くする
あるいはスマートフォンの就寝直前の使用を控えるなど
工夫することで安定した入眠が得られるかもしれません。
(参考文献)
(1)
Kazushige Nakahara, Takehiro Michikawa, Seiichi Morokuma, Norio Hamada, Masanobu Ogawa, Kiyoko Kato, Masafumi Sanefuji, Eiji Shibata, Mayumi Tsuji, Masayuki Shimono, Toshihiro Kawamoto, Shouichi Ohga, Koichi Kusuhara, Michihiro Kamijima, Shin Yamazaki, Yukihiro Ohya, Reiko Kishi, Nobuo Yaegashi, Koichi Hashimoto, Chisato Mori, Shuichi Ito, Zentaro Yamagata, Hidekuni Inadera, Takeo Nakayama, Hiroyasu Iso, Masayuki Shima, Youichi Kurozawa, Narufumi Suganuma & Takahiko Katoh
Association of physical activity and sleep habits during pregnancy with autistic spectrum disorder in 3-year-old infants
Communications Medicine volume 2, Article number: 35 (2022)
(2)
Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology of Japan.
Number of students taking special classes in 2014. page 1, Figure. Changes in the
number of students taking special class from 1993 to 2014 (in Japanese). https://
www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/material/__icsFiles/afieldfile/2015/
03/27/1356210.pdf. (2014).
(3)
Schendel, D. E. & Thorsteinsson, E.
Cumulative incidence of autism into adulthood for birth cohorts in Denmark, 1980-2012.
JAMA 320, 1811–1813 (2018).
(4)
Zablotsky, B. et al.
Prevalence and trends of developmental disabilities among children in the United States: 2009–2017.
Pediatrics 144, 2009–2017 (2019).
(5)
西宮市
第14回「発達障害は増えているのか?」(令和元年5月)
https://www.nishi.or.jp/kosodate/kodomomiraicenter/column/back/ootasensei_14.html
(6)
ヒロクリニック
高齢出産は35歳から?40歳から?障害やダウン症リスクと対策の最新情報
https://www.hiro-clinic.or.jp/nipt/late-child-bearing/
(7)
Niño Cruz, G. I., Ramirez Varela, A., da Silva, I. C. M., Hallal, P. C. & Santos, I. S.
Physical activity during pregnancy and offspring neurodevelopment: a systematic review.
Paediatr. Perinat. Epidemiol. 32, 369–379 (2018).
(8)
Wang, C., Geng, H., Liu, W. & Zhang, G.
Prenatal, perinatal, and postnatal factors associated with autism: a meta-analysis.
Medicine (United States) 96,1–7 (2017).
(9)
妊婦さんは運動不足になりやすい!おすすめの運動3選
【医師監修】杉山 伸子(産婦人科医)
https://www.aquaclara.co.jp/kosodate/column/column03.html
(10)
Facco, F. L. et al.
Association of adverse pregnancy outcomes with self-reported measures of sleep duration and timing in women who are nulliparous.
J. Clin. Sleep Med. 14, 2047–2056 (2018).
(11)
Pauley, A. M. et al.
Short nighttime sleep duration and high number of nighttime awakenings explain increases in gestational weight gain and decreases in physical activity but not energy intake among pregnant women with overweight/obesity.
Clocks Sleep 2, 487–501 (2020).
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