幼児機能的腹痛疾患は腸内細菌、腸、脳軸の
機能、組織が乱される事によって生じる
と想定されている複雑な疾患です。
様々な要因と多重的、かつ複雑に関連し、
生物、心理、社会モデルと結び付けられます。
これらのモデルでは
臓器の感覚が過剰に敏感になることが
病理の一つとして挙げられていますが、
はっきりとは証明されていません。
またそういった要因は個人差があると考えられています。
環境的、かつ/あるいは、遺伝的な要素は
重要ですが、幼児機能的腹痛疾患発症との高い相関を
示す要因としては十分ではありません(1)。
ーー
Nikhil Thapar, Marc A. Benninga(敬称略)ら
医療研究グループは病理として挙げられている
一つ一つの要因を掘り下げて総括されています。
その内容の一部を読者の方と情報共有したいと思います。
//神経-免疫相互作用//ーー
機能的腹痛疾患を持つ一定数の子供は
低グレードの腸の炎症と
神経-免疫相互作用が症状と関連があるとされています。
その相互作用とは
回腸結腸の粘膜にある神経の近傍の
アレルギーに関わる肥満細胞が増加している事が
1つの研究で明らかになっています(2)。
この肥満細胞はヒスタミンなど
神経を活性化させて痛覚を刺激する物質を分泌するので
肥満細胞が増加していることは
腹痛を感じやすい事に対して論理根拠があります。
--
消化不良の場合は、
胃の腔の部分の好酸球と肥満細胞が
50%以上の患者さんで活性化されている事がわかりました。
これによって胃内容物の排出が遅れたり
胃の不整脈や律動不整が生じます(3)。
また十二指腸の好酸球過多も関係していました(4)。
--
神経系の侵害受容器の閾値が下がると言われています(5)。
つまり、肥満細胞や好酸球の過多によって
〇セロトニン(5-HT)
〇ヒスタミン
〇神経成長因子(NGF)
〇プロテアーゼ
〇プロスタグランジン
これらの物質が多く発出され、
神経シナプスの受容体で頻繁に結合すると
感作が起こり、敏感になることが考えられます。
//胃腸の運動性//ーー
胃腸の運動性の異常は幼児機能的腹痛疾患の
病理の一つであると考えられています(1)。
その運動性は胃や結腸など上部、下部の消化器の
いずれか、両方に生じる事があると考えられます。
胃の運動性に異常があれば、
内容物除去や内容物貯蔵能力が低下します。
下部の消化器に異常があれば、
結腸の内容物通過が
遅くなったり、速くなったりします。
骨盤底の筋肉の共同運動障害を引き起こすこともあります。
この筋肉は排便の際に腹圧が加わったとき、
直腸に腹圧を伝える支えとなる役割があるので
排便に影響が出る可能性があります。
(参考文献)
(1)
Nikhil Thapar, Marc A. Benninga, Michael D. Crowell, Carlo Di Lorenzo, Isabelle Mack, Samuel Nurko, Miguel Saps, Robert J. Shulman, Hania Szajewska, Miranda A. L. van Tilburg & Paul Enck
Paediatric functional abdominal pain disorders
Nature Reviews Disease Primers volume 6, Article number: 89 (2020)
(2)
Di Nardo, G. et al. Neuroimmune interactions at
different intestinal sites are related to abdominal pain
symptoms in children with IBS. Neurogastroenterol.
Motil. 26, 196–204 (2014).
(3)
Friesen, C. A. et al. Antral inflammatory cells, gastric
emptying, and electrogastrography in pediatric
functional dyspepsia. Dig. Dis. Sci. 53, 2634–2640
(2008).
(4)
Wauters, L., Nightingale, S., Talley, N. J., Sulaiman, B.
& Walker, M. M. Functional dyspepsia is associated
with duodenal eosinophilia in an Australian paediatric
cohort. Aliment. Pharmacol. Ther. 45, 1358–1364
(2017).
(5)
Schappi, M. G. et al. Mast cell- nerve interactions
in children with functional dyspepsia. J. Pediatr.
Gastroenterol. Nutr. 47, 472–480 (2008).
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