2022年4月5日火曜日

幼児機能的腹痛疾患(2)-概要-

幼児機能的腹痛疾患(FAPDs)は
子供の頃に経験する最も共通的な病気で
世界の子供のおおよそ25%に影響を与えるとされています(2)。
その病因は複雑です。
鬱、不安、ストレスなどが原因としてあり、
腸と脳が密接に関わっています。
また、環境の影響も受けるため、
病因は生物、心理、社会が関わります(1)。
また、腸には無数の腸内細菌がいます。
従って、腸と脳の相互作用に腸内細菌が関わります。
ーー
大人の腹痛疾患と同じように
小児の機能性腹痛疾患は
「The Rome IV criteria」
によって臨床症状従って分類されます。
例えば、
〇過敏性腸疾患
〇機能性消化不良
〇腹性片頭痛
〇その他
これらが分類の中に存在します(3)。
子供が知覚する痛みは過敏になっていることが
多くのケースであります。
それは遺伝的な要因や
初期での感染症、アレルギー、腸内細菌の乱れなどの
負のイベントが関係したり、
それと心理、社会、生物学的な要因が重なって
起こることがあります。
今述べた初期での腸、脳、腸内細菌軸の
環境に対する脆弱性は胎児期、新生児(~1歳)で
最も高くなります。
ーー
小児機能性腹痛疾患のカテゴリの一つである
過敏性腸疾患は末梢の消化管が関与しています(1)。
腸の運動性などに関わる排便の異常によって
腹痛が生じることがあります。
また腸だけではなく胃にも影響が出る事があります。
食事後の残留感や気持ち悪さ
あるいは早期の飽食などの異常があります。
ーー
腹性片頭痛は
〇発作性
〇持続性
〇集中的
〇急性
などの特徴がそれぞれあり、
へそ周囲、正中線の部位や
拡散性の痛みを感じることがあります(1)。
これらの痛みは
日常的な活動の能力を奪うものです。
またこれらの痛みは
頻度や重篤性が増し、感作性を示すことがあります。
この腹痛は
食欲不振、吐き気、嘔吐、頭痛、光恐怖症
顔面蒼白などの症状を伴うことがあります。
ーー
幼児機能性腹痛は原因があって起こることもありますが、
これを発症した事によって、
原因となる要素を悪化させる事もあります。
従って、因果関係は双方向で
負のスパイラルになる事も考えられます。
その原因は以下のように多岐にわたります。
〇腸内毒素症(腸内細菌の乱れ)
〇抗生物質の使用
〇炎症、感染症、アレルギー
〇消化器運動性疾患
〇幼児期の痛み
〇家族のストレスや子育て
〇薬物の乱用
〇鬱、不安、ストレス
〇コーピング対処
(不快な感情を減らすための対処)
〇二次利得
(症状がある時の2次的な効果)
これらが挙げられています(Ref.(1) Fig.1)。
それによって
〇不眠症
〇腸内細菌-腸-脳軸の乱れ
〇臓器の感受性の高まり、運動障害
〇中枢系の感作
これらが生じることあります(Ref.(1) Fig.1)。

//考察//ーー
幼児期というのは腸内細菌のバランス、
腸の成長、脳の成長など
腸と細菌と脳の軸の安定性を決める
要因が全て過渡期にあります。
従って、内的、外的に乱されやすい時期にある
と考える事もできます。
腸内細菌、尿、便などの分析などの
生物学的なアプローチもありますが、
どういう状況の時に症状がひどくなるか?
あるいは緩和するか?
というケースバイケースの治療方針もあると思います。
例えば、
食物アレルギーでは
対象となる食物を避けるという事をします。
また対象となる食物を少しずつ与える
という減感作療法もあります。
これに倣うと
まずは腹痛が生じる状況を避けるところからスタートして
少しずつ慣らしていくという事が考えられます。
もちろん家族のストレスなど
避けられないこともあるので、
その場合は別のアプローチを考える必要があります。
不安やストレスなど心理的な事も関わるので
お子さんの話をよく聞いて、身体に耳を傾けて
まずは安心させる事は基本軸としてあるのではないか?
と考えられます。

(参考文献)
(1)
Nikhil Thapar, Marc A. Benninga, Michael D. Crowell, Carlo Di Lorenzo, Isabelle Mack, Samuel Nurko, Miguel Saps, Robert J. Shulman, Hania Szajewska, Miranda A. L. van Tilburg & Paul Enck
Paediatric functional abdominal pain disorders
Nature Reviews Disease Primers volume 6, Article number: 89 (2020)
(2)
Drossman, D. A. 
Functional gastrointestinal disorders: history, pathophysiology, clinical features and Rome IV. 
Gastroenterology 150, 1262–1279 (2016).
(3)
Hyams, J. S. et al. 
Functional disorders: children and adolescents. 
Gastroenterology https://doi.org/ 10.1053/j.gastro.2016.02.015 (2016).  


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