新生児の脳神経の異常に関わるてんかん発作は
近年、珍しい病気ではなく
1000人中2.0-2.8人くらいの新生児で確認され
低出生体重児ではその4~6倍程度となっています(2)。
特に出生時において血流遮断などによって
酸素の供給が滞り、虚血性脳症に罹っている
新生児においては、てんかん発作は
生まれてから24時間が最もてんかん発作の負担が
大きくなる時期であるとされています(3,4)。
また、持続性のてんかんや繰り返してんかん発作が起こると
脳神経にダメージが残る危険性があるとされています(2)。
ーー
てんかん発作の確認には脳波記録が使用される事がありますが、
発作、てんかんの臨床症状を確認してから
処置を行う場合と脳波計を使って
新生児のてんかん治療に当たる場合と比べた調査では
明確な有意差がなかったとされています(NEST trial)(5)。
しかし、潜在的には
脳波記録による管理においては
臨床症状を示さないてんかんや
その他の脳神経の症状を確認することができるため
脳波記録による管理の有意性は見直される必要があるか?
といった疑問が
Sampsa Vanhatalo, Nathan J. Stevenson(敬称略)ら
医療研究グループによって投げかけられています(1)。
ーー
上述したNESTによる評価では
脳波記録の適用がもっとも発作、てんかんのリスクが高まる
生後24時間を超えているため、
正確には脳波記録の有意性を評価できてはないのではないか?
とされています(1)。
またNESTによる比較評価では
てんかんのリスク、発生頻度の見積もりにおいて
主要な交絡因子が存在しているため
他との切り分けが十分にできておらず
正確に比較できているか?
といった評価がなされています(1)。
ーー
NESTなどで行われたような新生児の治療有意性を
調べるコホート研究のデザインは
新生児の身体の状態が普遍的に臨界期にあって
劇的に変化する事と、
評価の期間が成長も含めて長期にわたることから
非常に難しいとされています(1)。
ーー
Sampsa Vanhatalo, Nathan J. Stevenson(敬称略)らは
なぜ、新生児のてんかん発作の管理において
脳波記録の適用が求められるかどうかについての
疑問の重要性を説いたのでしょうか?
それは、NESTによる有意差なしという結果によって
脳波記録の実施がメリットを見出さないと
一般的に考えられる事に対する危惧からです(1)。
脳波計は潜在的には臨床症状を示さないてんかんにおいても
確認する事ができるとされています。
また、そのような臨床症状を示さないてんかん発生の
見落としはお子さんの予後において
リスクを生み出す可能性も考えられます。
また、脳波記録をとる事で
脳の損傷からの回復状況、起床-睡眠のサイクルなど
てんかんそのものの診断以外の状況もわかります(6-8)9-11。
ーー
少なくとも脳神経系のおいてリスクのある
新生児の健康管理においての脳波計の使用の価値判断においては
慎重な姿勢が必要で、生後24時間以内のデータも含めて
追加的な調査が必要であると考えられます。
(参考文献)
(1)
Sampsa Vanhatalo, Nathan J. Stevenson, Ronit M. Pressler, Nicholas S. Abend, Stéphane Auvin, Francesco Brigo, M. Roberta Cilio, Cecil D. Hahn, Hans Hartmann, Lena Hellström-Westas, Terrie E. Inder, Solomon L. Moshé, Magda L. Nunes, Renée A. Shellhaas, Kollencheri P. Vinayan, Linda S. de Vries, Jo M. Wilmshurst, Elissa Yozawitz & Geraldine B. Boylan
Why monitor the neonatal brain—that is the important question
Pediatric Research (2022)
(2)
新生児けいれん
https://www.nobelpharma.co.jp/general/ssjkrn/
(3)
Pavel, A. M. et al.
Neonatal seizure management: is the timing of treatment critical?
J. Pediatr. 3476, 00961 – 00966 (2021).
(4)
Rennie, J. M. et al.
Characterisation of neonatal seizures and their treatment using continuous EEG monitoring: a multicentre experience.
Arch. Dis. Child Fetal Neonatal Ed. 104, F493 – F501 (2019).
(5)
Hunt, R. W. et al.
Effect of treatment of clinical seizures vs electrographic seizures in full-term and near-term neonates: a randomized clinical trial.
JAMA Netw. Open4, e2139604 (2021).
(6)
van Rooij, L. G. et al.
Recovery of amplitude integrated electroencephalographic background patterns within 24h of perinatal asphyxia.
Arch. Dis. Child Fetal Neonatal Ed. 90, F245 – F251 (2005).
(7)
Pavel, A. M. et al.
A machine-learning algorithm for neonatal seizure recognition: a multicentre, randomised, controlled trial.
Lancet Child Adolesc. Health 4, 740 – 749 (2020).
(8)
Glass, H. C. et al.
Neurocritical care for neonates.
Neurocritical Care 12, 421 – 429 (2010).
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