先日、小学校の女の子の学習指導をする機会を頂きました。
算数の授業を受け持ちましたが、
一定時間ごとに休む、他の事をするという感じで
なかなか持続的に集中して取り組むことができませんでした。
しかし、算数が苦手ではなく、
同じ学校に通っている友達の女の子は
「**ちゃんは算数はよくできる」と評価していました。
では、なぜ勉強を中断するのでしょうか?
それを彼女に尋ねてみると、
「計算問題をして考えるとお腹が痛くなるから。」
このように言っていました。
ーー
本日、問題にする機能的腹痛疾患
Functional abdominal pain disorders (FAPDs) は
世界の子供のうち25%が経験するという統計もあります(2)。
後述する病因のうち、
心理的な部分も含まれるとすると
私が指導した女の子は
(一時的に)機能的腹痛疾患を経験していたかもしれません。
子供が「お腹が痛い。」
このようにいう事は多くあるかもしれません。
慢性的かそうではないか?
程度はどうか?頻度はどうか?
特定の状況でそうなるか?
症状の長さはどうか?
などいろんなケースがあると思いますが、
子育てをする親御さんは
機能的腹痛疾患というのは比較的多くの子供が経験する
ということを知っておくことが大切かもしれません。
ーー
Nikhil Thapar, Marc A. Benninga, Michael D. Crowell, Carlo Di Lorenzo, Isabelle Mack, Samuel Nurko, Miguel Saps, Robert J. Shulman, Hania Szajewska, Miranda A. L. van Tilburg & Paul Enck
(敬称略)からなる医療研究グループは
機能的腹痛疾患について総括されています(1)。
その内容の一部について参照させていただき、
丁寧に記述していきたいと思います。
現時点では良い薬剤の開発が遅れているとあります。
その他の治療の効果は決して低くはないとされていますが、
この記事によってこの疾患の認知度に貢献し、
世界のどこかでの薬剤開発のきっかけになればと思います。
また、本日から丁寧に内容を追う中で
薬剤の開発のヒントを見つけていきたいと思います。
//概要(Ref.(1)//ーー
幼児機能性腹痛疾患の病理は
腸と脳の相互作用として参照されます。
その腹痛の原因となる腸では
〇過敏性腸症候群
〇機能性消化不良
〇腹性片頭痛
などが挙げられています。
これらは
「The Rome IV diagnostic criteria」
による評価基準によって定義されます。
--
機能性腹痛疾患は国、年齢、性別に依りますが
疫学として3-16%の子供が経験するといわれています。
--
病因、病理、生態生理などの理解が
日進月歩、進んでいます。
それらの要因として
〇腸(炎症、腸運動性、腸内細菌)
〇中枢因子(心理、感受性、神経の連携や活性)
〇外部因子(感染症)
これらが挙げられています。
その中で、腸内細菌-腸-脳軸の乱れのタイミングが
発症に対して重要な因子のようだとされています。
--
診断は困難を伴いますが、
主に臨床症状から、
あるいは他の器質的原因を取り除く事によって
行うとされています。
器質的原因とは食道などに炎症があって
食べ物が通る道がふさがれているケースの事を指します。
また、不必要な侵襲的な診断手順を避ける必要がある
とされています。
--
利用できる薬剤による介入は子供に対しては
限定的であるとされています。
そのため処置、維持としては
〇心理標的介入(催眠療法、認知行動療法)
〇食事(プロバイオティクス)
〇経皮電気神経系刺激
これらが挙げられています。
これらの臨床的な効果のエビデンスは
十分ではないですが、一般的に良好であるとされています。
症状が軽快し、生活の質が上がります。
今後、10年間でさらに理解が深まり、
原因が十分にわからない不可解な腹痛疾患に対する
治療、経過観察の改善が期待されます。
(参考文献)
(1)
Nikhil Thapar, Marc A. Benninga, Michael D. Crowell, Carlo Di Lorenzo, Isabelle Mack, Samuel Nurko, Miguel Saps, Robert J. Shulman, Hania Szajewska, Miranda A. L. van Tilburg & Paul Enck
Paediatric functional abdominal pain disorders
Nature Reviews Disease Primers volume 6, Article number: 89 (2020)
(2)
Robin, S. G. et al.
Prevalence of pediatric functional gastrointestinal disorders utilizing the Rome IV criteria.
J. Pediatr. 195, 134–139 (2018).
登録:
コメントの投稿 (Atom)

0 コメント:
コメントを投稿