2022年4月6日水曜日

子供の頃の心臓血管リスク因子と成長後の心臓血管疾患発症の関係

世界の死因を見ると
1位が虚血性心疾患、2位が脳卒中であり、
共に心臓血管、循環器に深い関わりのある疾患です。
(日本の死因の1位は癌)。
大人における心臓血管疾患に対する
リスク因子(例えば、肥満、喫煙、高血圧、高脂血症など)は
明らかにされていました(2)。
しかし、このような心臓血管のリスク因子は
子供のころから関係していることが指摘されています(3,4)。
つまり、子供の頃、肥満であると
大人になってから心臓血管疾患に罹るリスクが
高まる可能性があるということです。
しかしながら、これを立証するためには
数十年にわたるフォローアップ研究が必要になります。
ーー
The International Childhood Cardiovascular Cohorts(i3C) Consortium
はオーストラリア、フィンランド、アメリカ合衆国の
子供の7つのコホートデータ(集団データ)を有しており
そこからD.R. Jacobs, Jr., J.G. Woo(敬称略)ら
医療研究グループは1970-1990年代から始まった
平均して35年、42324人に対するフォローアップ研究により
子供の頃のリスク因子と成長後の心臓血管疾患の関係性を
明らかにすることに成功しています(1)。
本日はその内容の一部を読者の方と情報共有したいと思います。

//結果//ーー
(心臓血管イベント)ハザード比
--
青年期の喫煙 
1.70
--
BMI
Low-normal(<50th) Reference
High-normal(50th to 85th) 1.19
Overweight (85th to 95th) 1.92
Obese (>95th) 3.39
--
最高血圧(収縮期血圧)
Low-normal(<50th) Reference
High-normal(50th to 90th) 1.46
Pre-hypertension (90th to 95th) 1.99
Hypertension (>95th) 2.31
--
トリグリセリドレベル
Low-acceptable Reference
(Age3-11:<50mg/dL, Age12-19:<50mg/dL) 
High-acceptable 1.34
(Age3-11:50-75mg/dL, Age12-19:50-90mg/dL) 
Borderline-high 1.69
(Age3-11:75-100mg/dL, Age12-19:90-130mg/dL) 
high 2.47
(Age3-11:>100mg/dL, Age12-19:>130mg/dL) 
--
トータルコレステロールレベル
Low-acceptable(<140mg/dL) Reference
High-acceptable(140-170 mg/dL) 1.15
Borderline-high(170-200 mg/dL) 1.50
high(>200mg/dL) 2.13
--
これらのリスクは年齢と共に高まり
40歳以降で少しずつ発症します
(参考文献(1) Figure.2)

//考察、疑問//ーー
今回(Ref.(1)、子供の頃のリスク因子
喫煙、肥満、高血圧、中性脂肪、コレステロールなどが
大人になってからの心臓血管疾患にどのように
影響を与えるかどうか調べられました。
ただ、
子供の頃の肥満は大人になって解消されるケースもあります。
それぞれのリスク因子に対して、
「どれくらいの期間、年月」その値(異常値)であったか?
というのが心臓血管疾患リスクに影響を与えるか?
このような疑問があります。
こうしたことを調べるためには
非常に複雑な評価プロセスが必要で難しいと思いますが、
おそらくハザード比に影響を与えると考えます。
当然、リスク因子が子供から大人にかけて
長く持続される方が発症リスクが高くなることが推定されます。

(参考文献)
(1)
David R. Jacobs, Jr., Ph.D., Jessica G. Woo, Ph.D., Alan R. Sinaiko, M.D., Stephen R. Daniels, M.D., Ph.D., Johanna Ikonen, M.S., Markus Juonala, M.D., Ph.D., Noora Kartiosuo, M.S., Terho Lehtimäki, M.D., Ph.D., Costan G. Magnussen, Ph.D., Jorma S.A. Viikari, M.D., Ph.D., Nanhua Zhang, Ph.D., Lydia A. Bazzano, M.D., Ph.D., Trudy L. Burns, Ph.D., M.P.H., Ronald J. Prineas, M.B., B.S., Ph.D., Julia Steinberger, M.D., Elaine M. Urbina, M.D., Alison J. Venn, Ph.D., Olli T. Raitakari, M.D., Ph.D., and Terence Dwyer, M.D., M.B., B.S., M.P.H.
Childhood Cardiovascular Risk Factors and Adult Cardiovascular Events
The New England Journal of Medicine April 4, 2022
(2)
Virani SS, Alonso A, Benjamin EJ, et al. 
Heart disease and stroke statistics — 2020 update: a report from the American Heart Association. 
Circulation 2020; 141(9): e139-e596.
(3)
Pool LR, Aguayo L, Brzezinski M, et al. 
Childhood risk factors and adulthood cardiovascular disease: a systematic review. 
J Pediatr 2021; 232: 118-126.e23.
(4)
Raitakari  O,  Pahkala  K,  Magnussen CG.  
Prevention  of  atherosclerosis  from childhood. 
Nat Rev Cardiol 2022 January 5 (Epub ahead of print).

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