2022年1月29日土曜日

COVID-19:α1-アンチトリプシン欠乏症の現状

新型コロナウィルスに対するリスク因子において
顕著に高い疾患がある方がいます。
一般的には腎臓に疾患があり透析をしている人は
新型コロナウィルス感染症のリスクが高いとされています。
ただ、腎臓に疾患のある人はワクチンの接種対象となっています。
腎臓移植を受けた人の抗体陽転は低い値になっていますが、
透析を受けている患者さんの抗体陽転は7割以上となっています。
(参考文献(2) Table.1)
しかしながら、
ワクチンの評価から除外された難病を持つ患者さんがいます。
α1-アンチトリプシン欠乏症
(α1-antitrypsin deficiency:AATD)
この指定難病がそうです。
α1-アンチトリプシンは肺を始め、臓器を保護する役割を持つ
タンパク質であり、それが欠乏する事に寄って
例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)を発症すると言われています。
日本では、1000人未満の患者さんがいるとされています。
全世界では340万人の方が重いAATD(homozygous AATD)を
発症しているとされています(3)。
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上述したようには慢性閉塞性肺疾患を併存するほかに
免疫系の異常があるケースも多く、
ワクチン接種をしても抗体陽転するかどうか?
それについては定かではありません。
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Alpha-1 Foundationの評価では
α1-アンチトリプシン欠乏症のおおよそ32%が
中等症以上で入院するといわれています(1)。
これは、通常の2倍の高さです。
さらに
新型コロナウィルスの後遺症と症状が重なる事から
感染症にかかった後、症状がより長く続く可能性も
示唆されています(1)。
ただ、それについては疫学データはなく
今後、追跡評価が必要であるとされています。
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Chengliang Yang, Hedi Zhao & Scott J. Tebbutt 
(敬称略)からなる医療研究グループは
①α1-アンチトリプシン欠乏症の人に対する
ワクチンプログラムの設定、実施。
②α1-アンチトリプシン投与よる治療。
③周りの方のワクチン接種
これらの必要性を訴えられています。
例えば、ワクチン接種において
2回目で十分な抗体量が得られなくても
3回目ブースター接種で
十分な血清陽転が実現するかもしれません。
また通常の方と副反応などの安全性が異なる可能性があります。
その様な事を確かめる必要があります。
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α1-アンチトリプシン欠乏症
日本では10万人に1人以下
世界でも1万人に4人程度の非常に稀な疾患です。
しかし、
Chengliang Yang氏, Hedi Zhao氏、Scott J. Tebbutt氏は
持続可能な開発目標の標語としてある
"Leave no one behind"と表題を付けています(1)。
誰一人取り残さない包摂的な
新型コロナウィルス感染症対策の重要性が謳われています。

(参考文献)
(1)
Chengliang Yang, Hedi Zhao & Scott J. Tebbutt 
Leave no one behind: inclusion of alpha-1 antitrypsin deficiency patients in COVID-19 vaccine trials
European Journal of Human Genetics (2022)
(2)
Merve AKYOL et al
Immunogenicity of SARS-CoV-2 mRNA vaccine in dialysis and kidney transplant patients: A systematic review
Tuberk Toraks 2021;69(4):547-560
(3)
Greene CM, Marciniak SJ, Teckman J, Ferrarotti I, Brantly ML, Lomas DA, et al. 
α 1-Antitrypsin deficiency. 
Nat Rev Dis Prim. 2016;2:16051.


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