新型コロナウィルスの飲み薬の治療薬として
メルク社 モルヌピラビルが日本において特例承認されました。
このモルヌピラビルは
NHC triphosphateとして
ウィルスのRNAの複製を防ぐ働きがあります(2-4)。
すでにフェーズ3の治験で経口投与で
新型コロナウィルス感染症の患者さんにおいて
臨床症状の顕著な改善が見られています(5)。
一方、
ファイザー社のニルマトレルビルは
プロテアーゼ3CL-proは
ウイルスRNAから翻訳されたポリタンパク質を
プロセシングするのに不可欠な役割を果たしている酵素で
この働きを抑える働きがあります(6)。
すでに治験フェーズ2/3で89%の入院、死亡リスクの低下が
確認されています(7)。
今、日本で申請中の薬「パクスロビド」は
このニルマトレルビルとリトナビルの配合剤です。
ー
培養細胞に感染させてウィルス定量をする方法である
TCID50 assayによってウィルス量を
Pengfei Li(敬称略)ら医療研究グループは
上述したモルヌピラビルとニルマトレルビルの
抗ウィルス性についてワイルドタイプとオミクロン株について
比較評価されています(1)。
ー
その結果によると
モルヌピラビルに関してはWTよりもオミクロン株の方が
少ない用量でウィルス量が低下しています。
例えば、ウィルス量が半分になる濃度は
〇WT:1.965μM / オミクロン株:0.7556μM
このようになっています。
より少ない用量でウィルス量が低下しており、
オミクロン株 5μMにおいて
900倍のウィルス量低下が見られています。
(ref.(1), Fig.1)
一方
ニルマトレルビルにおいても
WTよりもオミクロン株の方が
少ない用量でウィルス量が低下しています。
例えば、ウィルス量が半分になる濃度は
〇WT:0.1765μM / オミクロン株:0.02462μM
このようになっています。
より少ない用量でウィルス量が低下しており、
オミクロン株 2.5μMにおいて
1200倍のウィルス量低下が見られています。
(ref.(1), Fig.1)
またモルヌピラビルとニルマトレルビルを
両方同時に投与した時の培養細胞内のウィルス量評価では
単一の場合より高いウィルス量低下が見られています。
Synagy score;4.131
(ref.(1), Fig.1oより)
ー
これらの結果を踏まえて、
新型コロナウィルスのオミクロン株の治療に対して
Pengfei Li氏らはモルヌピラビルとニルマトレルビルの
同時投与条件での臨床研究の必要性を訴求しています。
(考察)
少なくともオミクロン株に進化したことによって
薬剤の抵抗性を持っているということはありません。
ワクチンの効果の低下はありますが、
RNAの複製を防ぐような薬剤における効果は
むしろオミクロン株の方がワイルドタイプよりも高くなっています。
従って、罹患初期のウィルス量を減らす事が
より求められる時期に適切に投与する事によって
すでに臨床結果でも示されている(5,7)ように
入院、重症化のリスクを下げる事ができると考えられます。
(参考文献)
(1)
Pengfei Li, Yining Wang, Marla Lavrijsen, Mart M. Lamers, Annemarie C. de Vries, Robbert J. Rottier, Marco J. Bruno, Maikel P. Peppelenbosch, Bart L. Haagmans & Qiuwei Pan
SARS-CoV-2 Omicron variant is highly sensitive to molnupiravir, nirmatrelvir, and the combination
Cell Research (2022)
(2)
Wang, Y. et al. Virology 564, 33 – 38 (2021).
(3)
Wahl, A. et al. Nature 591, 451 – 457 (2021).
(4)
Toots, M. et al. Sci. Transl. Med. 11, eaax5866 (2019).
(5)
Jayk Bernal, A. et al. N. Engl. J. Med.
https://doi.org/10.1056/NEJMoa2116044 (2021).
(6)
Owen, D. R. et al. Science 374, 1586 – 1593 (2021).
(7)
Mahase, E. BMJ 375, n2713 (2021).
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