世界の疫学から見ると、必ずしも飽食環境にあることが
肥満率と正の相関があるとは限りません。
適性な価格で日常生活における飲食物を選択できるからこそ
よりバランスの取れた栄養状態を維持する事ができる。
このように考える事も出来ます。
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持続可能な開発目標の2は
「飢餓をゼロ」となっています。
実際に食べ物が十分に行きわたらない低所得の国の
一部の人々は必ずしも低体重の状態にあるかわかりません。
むしろ、この記事で主に取り上げる
「砂糖入りの飲み物」などの多飲によって
肥満率が向上している可能性も考えられます。
実際に低中所得国の砂糖入り飲料の1日当たりの消費量は
1990年から2015年まで右肩上がりに増えています。
(参考文献(1) Fig.1)
また、これは世界全体ですが、
子供の肥満率は1975年では1%未満でしたが
2016年には6-8%となっています。
同時期における
一般男性は3%⇒11%, 女性は6%⇒15%です(7)。
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この肥満はWHOの定義でいうと
BMIが30以上にあたる人です。
この数字は170cmの身長に対して約87kg以上です。
BMIが25以上は「Overweight」という定義になっています。
BMIが25以上になると170cmで73kg以上なので
おおよそ14kgの差があるので、
医学的に肥満の議論をするときには
その定義がどうなのか?というのは重要です。
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肥満状態なると
〇Ⅱ型糖尿病
〇冠動脈心疾患
〇脳卒中
〇癌
これらのリスクが高まります(1)。
主に循環器系の機能が低下する可能性が高いので
体内の老化にも関係する可能性があります(2)。
これらのリスクについて、
下述する砂糖入り飲料との関連について
参考文献(1)で総括されています(1)。
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Vasanti S. Malik & Frank B. Hu(敬称略)からなる
医療研究グループは
上述した砂糖入り飲料の日常的な消費量が
肥満や上述した慢性疾患と強い関わりがあるという事に
着目されています(1)。
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この砂糖入り飲料の消費量は参考文献(1)Fig.2から
わかるように国、地域ごとに大きなsがあります。
特にアメリカ、中米、南米、アフリカ南部が多くなっています。
これは複数の因子が関係していると考えられます。
医学生理、環境、行動、社会、経済などの因子です。
例えば、
毎日通うスーパーマーケットに
多く、そして安く砂糖入りの飲料が陳列されていれば、
経済的に恵まれない人は、
このような砂糖入り飲料を常飲する可能性が高まります。
小さい頃からの習慣も関わると思います。
逆に、
砂糖入りではない飲料の選択肢が多ければ、
ゼロにはならなくても、1日の消費量は少なくなります。
実際にアジアでは1日の消費量が他の地域に比べて
顕著に少なくなっています。
おおよそ中米の消費量の1/7です。
1990-2015年の間でも消費量は増えていません。
例えば、ベトナム、インドの肥満率は1-2%程度です。
一方、インドネシア、日本は4-5%程度です。
世界の平均よりも顕著に少ない割合になっています。
これはVasanti S. Malik氏、 Frank B. Hu氏らが
指摘する砂糖入り飲料の消費量と関係している可能性があります。
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砂糖入り飲料消費量とⅡ型糖尿病の関連では
ほとんどのコホートで
消費量が上がるとリスクが高まります。
体重の効果を補正してもリスクは上がります。
(参考文献1 Table.1)
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また砂糖はドーパミン信号を通じた
依存的な作用もあります(3)。
従って、摂取量が多くなると
より多くの砂糖入りの飲料が欲しくなる傾向が
現れると考えられます。
これは動物による結果で
人においては必ずしも当てはまらないとされています(4)。
しかし、喫煙と同じように
依存的な症状というのは自覚できるので
1日に度々砂糖入りの飲料がほしくなる衝動が
現れている場合には注意が必要です。
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代替として
フルーツジュースがありますが、
フルーツで糖をとる場合には
ジュースよりもそのまま果物として食べるほうが
吸収が少なくて済むといわれています(5,6)。
より好ましいのは
砂糖を含まない水、お茶、コーヒーなどです(1)。
コーヒーは砂糖の量を調整できるうえ、
砂糖以外のミルクなども選択することができます。
//まとめ//ーー
日常生活の中で糖の摂取が避けられないように
砂糖もありふれていて同様です。
但し、1日に食べられる飲食物の量というのは決まっています。
それが多くなると当然、肥満のリスクが高まります。
毎日、何を飲み、何を食べるか?
糖、タンパク質、脂質、ビタミン、食物繊維など
バランスを考える中で
砂糖の摂取量も決まってきます。
その中で如何に適正な水準にできるか?
この事が肥満のリスク低減と関わります。
特に中高年になると考える必要が出てくると思います。
また、
低中所得国の飲食料支援にあたる際には
穀物や砂糖入り飲料水だけではなく、
他の必要栄養素を含む飲食物を
バランスよく提供するという事は
1つの視点になると考えられます。
(参考文献)
(1)
Vasanti S. Malik & Frank B. Hu
The role of sugar-sweetened beverages in the global epidemics of obesity and chronic diseases
Nature Reviews Endocrinology (2022)
(2)
Paul R. H. J. Timmers, Evgeny S. Tiys, Saori Sakaue, Masato Akiyama, Tuomo T. J. Kiiskinen, Wei Zhou, Shih-Jen Hwang, Chen Yao, Biobank Japan Project, FinnGen, Joris Deelen, Daniel Levy, Andrea Ganna, Yoichiro Kamatani, Yukinori Okada, Peter K. Joshi, James F. Wilson & Yakov A. Tsepilov
Mendelian randomization of genetically independent aging phenotypes identifies LPA and VCAM1 as biological targets for human aging
Nature Aging volume 2, pages19–30 (2022)
(3) DiNicolantonio, J. J., O’Keefe, J. H. & Wilson, W. L.
Sugar addiction: is it real? A narrative review.
Br. J. Sports Med. 52, 910–913 (2018).
(4)
Olszewski, P. K., Wood, E. L., Klockars, A. & Levine, A. S.
Excessive consumption of sugar: an insatiable drive for reward.
Curr. Nutr. Rep. 8, 120–128 (2019).
(5)
Ravn-Haren, G. et al.
Intake of whole apples or clear apple juice has contrasting effects on plasma lipids in healthy volunteers.
Eur. J. Nutr. 52, 1875–1889 (2013).
(6)
Pepin, A., Stanhope, K. L. & Imbeault, P.
Are fruit juices healthier than sugar- sweetened beverages?
A review. Nutrients 11, 1006 (2019).
(7)
NCD Risk Factor Collaboration (NCD- RisC).
Worldwide trends in body- mass index, underweight, overweight, and obesity from 1975 to 2016: a pooled analysis of 2416 population- based measurement studies in 128·9 million children, adolescents, and adults.
Lancet 390, 2627–2642 (2017).
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