新型コロナウィルスの世界的流行が始まって2年以上経ちます。
コロナ禍で生まれた子供は1歳以上の子もいます。
今、母親のお腹の中にいる胎児もいると思います。
その中でお子さんの健全な成長に対して
心配している親御さんも多いと思います。
そういった不安な状況下で
初めにこの記事で述べたい結論を言うと、
「子供は適応能力がある。」
ということです。
例えば、
マスクやサングラスをしていても
大人の感情を正確に推定する事ができるという報告もあります(1,2)。
日本ではマスクをしている人が多いですが、
口の動きの情報が遮断されても
言葉を理解できる能力があるという報告もあります(7)。
さらに、親の表情を見て、
そこから感情表現する事もありますが(3)、
情報が制限されても、適応して感情を読み取る能力があります。
-
一方、いくつかの報告では
特にコロナ以前と比べて、
立ち上がったり、階段を登ったりといった
総合的な運動能力が低い傾向にあると言われています(4,5)。
女の子よりも男の子のほうがその傾向が強いとも言われます(5)。
しかしながら、前述したように
このような傾向があったとしても、
長期的にこの結果を引き継ぐかどうかはわかりません。
仮に発達が遅れても、正常な軌跡に戻す事は可能です(1)。
一方、今、オミクロン株が世界的に広がっていますが、
この世界的流行が長引けば、
子供の発達に対する影響は大きくなるかもしれません(1)。
-
子供の発達の中核をなす
運動能力、コミュニケーション能力、言語能力は
人との直接的な接触機会によって発達すると考えられます。
例えば、イギリスの調査では
このコロナウィルスの世界的な流行の中で
8カ月から3歳までの子供において
デイケア、保育園、幼稚園などで
集団的に周りの子供とコミュニケーションをとった場合
上述した能力が高い傾向にありました。
これは特に経済的に恵まれない家庭の子供において
顕著だったとされています(6)。
-
カナダでは8000人の妊娠女性に対して調査を行いました。
その中で約50%の人が不安、約33%の人が抑うつの症状がありました。
そうした状態が胎児の偏桃体や前頭葉の連結性に
影響を与える事があります(8)。
これらは感情や実行機能に影響を与える部位です。
但し、脳は可塑的なので、
その後の成長環境も重要です。
-
冒頭でも述べましたが、
子供は未熟ではありますが、成長期であるために
より適応能力に優れているとも言えます。
人の子供は長い期間をかけて成長するので
そのタイムスケールの中での総合的な環境が重要である
と考える事も出来ます。
-
ここで、
Melinda Wenner Moyer氏が示した大切な文章を
以下に引用させていただきます(1)。
---
"Children are so adaptive. They should be able to be resilient to a lot of what’s happened."
"Children are so adaptive, and elastic. And we do expect that things are going to improve and that they should be able to be resilient to a lot of what’s happened,"
"Even if kids'brains are truly being affected by the pandemic, there is still time to steer them back on course,"
"The brains of six-month-olds are very plastic, and we can get in there, and we can change their trajectory."
"The more that we can stimulate them and play with them and read to them and love them — that’s what it’s going to take."
---
私は特に最後の文章が重要だと思います。
「たくさん触れ合って、刺激してあげましょう。」
「可能な限り一緒に遊びましょう。」
「たくさんの本を読みきかせましょう。」
「たくさんの愛を提供しましょう。」
これらが私たちができることです。
---
新型コロナウィルスの感染症は社会的な問題でもあるので、
今まで通りの生活ができない部分がありますが、
一方で、テレワークが進んだことによって、
親御さんが家にいる機会が増えました。
それによってお子さんがいる家庭では一緒にいる時間も増えています。
子供は様々なストレスを感じ取っているかもしれません。
制限された環境内でも一緒に楽しめるツールは
今のテクノロジーにおいて沢山あると思います。
親も楽しむことができれば"Win-Win"です。
子供は適応能力に優れているので、
うまく今の難しい社会状況を補償する事ができれば、
子供の発達、心と身体の健康に貢献できると考えます。
(参考文献)
(1)
Melinda Wenner Moyer
The COVID generation: how is the pandemic affecting kids’ brains?
Nature 601, 180-183 (2022)
(2)
Ruba, A. L. & Pollak, S. D. PLoS ONE 15, e0243708 (2020).
(3)
Tronick, E., Als, H., Adamson, L., Wise, S., Brazleton, T. B.
J. Am. Acad. Child Psychiatry 17, 1–13 (1978).
(4)
Shuffrey, L. C. et al. JAMA Pediatr. https://doi.org/10.1001/
jamapediatrics.2021.5563 (2022).
(5)
Deoni, S. C. L., Beauchemin, J., Volpe, A., D’Sa, V. &
the RESONANCE Consortium. Preprint at medRxiv
https://doi.org/10.1101/2021.08.10.21261846 (2021).
(6)
Davies, C. et al. Infant Child Dev. 30, e2241 (2021).
(7)
Singh, L., Tan, A. & Quinn, P. C. Dev. Sci. 24, e13117 (2021).
(8)
Manning, K. Y. et al. Preprint at medRxiv
https://doi.org/10.1101/2021.10.04.21264536 (2021).
登録:
コメントの投稿 (Atom)

0 コメント:
コメントを投稿