//背景//ーー
人の細胞は筋肉、各臓器、循環器、骨、脂肪など様々な細胞種がり
分類の基準によりますが、少なくとも270種類あると言われています。
iPS細胞は多能性幹細胞なので、
原理的にはほとんどの細胞種に分化させる事ができます。
心筋細胞や網膜の組織を作るときにはそれを構成する細胞に
iPS細胞から特異的に分化させてオルガノイドを作る必要があります。
しかし、各細胞に対して分化させるときの製造条件が異なり、
(おそらく?)その分化の条件がわかっていない細胞種もあるのではないか
と想定しています。
また分化させる条件がわかっていても、
色んな細胞が混じることがあるとされています。
従って、例えば、心筋細胞であれば
それだけを作り出す、純化が非常に重要になります。
それによって一つはiPS細胞を使った治療の普及に必要な
製造コストの低減に貢献すると考えられます。
//主内容抜粋(1)//ーー
Yoshihiko Fujita(敬称略)ら医療研究グループは
目的の細胞に分化させる工程において、
その純度を上げていくために
不要な細胞のみを細胞死させる仕組みを
microRNAを使って実現させました(1)。
細胞死させる(Bnタンパク質)をON/OFF
細胞死を抑制する(Bsタンパク質)をON/OFF
これを
除く細胞:Bn-ON Bs-OFF
取り出す細胞:Bn-OFF Bs-ON
このように組み合わせることによって
遺伝子導入して細胞死させるシステムの中で
どうしても生じるリーク(つまり逃れる細胞)を
劇的に減らすことに成功しています。
(参考文献(1) Fig.6C)
つまり取り除く細胞は
細胞死させるタンパク質を多く
細胞死を抑制するタンパク質が少なくなるように
2重のシステムをくみ上げました。
これを
・HeLa細胞
・293FT細胞
・iPS細胞
・心筋細胞
これらで実現しています(1)。
このシステムは細胞の純化だけではなく
特定の細胞だけを細胞死させる事に使える可能性があります。
例えば、
癌細胞だけを細胞死させることもできます。
また、Cell-type-specific delivery systemにおいて
ナノ粒子を細胞とした場合の
細胞内の物質を放出させるためのスイッチとしても
使える可能性があります。
(参考文献)
(1)
Yoshihiko Fujita 1 *, Moe Hirosawa 1 , Karin Hayashi 1 , Takeshi Hatani 2 , Yoshinori Yoshida 2 , Takuya Yamamoto 1,3,4 Hirohide Saito 1 *
A versatile and robust cell purification system with an RNA-only circuit composed of microRNA-responsive ON and OFF switches ,
Science Advance. 8, eabj1793 (2022)
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Affiliation
1 Department of Life Science Frontiers, Center for iPS Cell Research and Application, Kyoto University, 53 Kawahara-cho, Shogoin, Sakyo-ku, Kyoto 606-8507, Japan.
2 Department of Cell Growth and Differentiation, Center for iPS Cell Research and Application, Kyoto University, 53 Kawahara-cho, Shogoin, Sakyo-ku, Kyoto 606-8507, Japan.
3 Institute for the Advanced Study of Human Biology (WPI-ASHBi), Kyoto University, Yoshida-Konoe-cho, Sakyo-ku, Kyoto 606-8501 Japan.
4 Medical-risk Avoidance based on iPS Cells Team, RIKEN Center for Advanced Intelligence Project (AIP), Kyoto 606-8507, Japan.
2022年1月7日金曜日
Cell-type-specific delivery system,
iPS細胞,
遺伝学/遺伝子治療,
医療工学
2種類のRNAスイッチを活用した細胞選別と特異的細胞死の実現
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