//背景//---
癌治療において、治療を難しくするのが
〇転移
〇治療抵抗性
これらです。
治療抵抗性は薬物治療によって癌組織が消滅、退行しても
再度、成長して、以前使用した薬物が効きにくくなることです。
このような転移と治療抵抗性は今まで腫瘍学の中では
重複しない領域として分けられて考えられてきました(1)。
しかし、転移の移動の中で癌遺伝子の変化、
生理機序のリプログラミング、変化が起こり、
そこで抵抗性、強化されたうえで転移する事も考えられます(1)。
その生理機序のリプログラミングとは
〇遺伝子修復プログラム
〇抗アポトーシス過程(細胞死を防ぐ)
〇代謝の変化、順応
〇幹細胞化
これらが挙げられています(1)。
これらの環境に対する適応度の向上は
〇インテグリン、カドヘリンなどの受容体
〇細胞と細胞の信号伝達
〇細胞にかかるストレス
これらの周辺の環境要因によって生じます(1)。
より微視的な分子機序においては
自己分泌、傍分泌による
〇ケモカイン
〇成長因子
これらが関わっています。
このような信号は癌細胞の土壌である癌微小環境の
適応度を上げ、癌細胞がより成長しやすくなることが考えられます(1)。
このような癌細胞自身、細胞間、周辺環境との
相互作用の中で治療に対する抵抗性を巧みに構築していきます。
従って、癌細胞が転移などの移動を含めた中で
どのように抵抗性を獲得していくか?
逆に抵抗性を獲得したことによって転移が
どの様に生じやすくなるか?
このような機序を正確にとらえていく事で
新たな治療機会が生まれる可能性があります。
-
Felix Weiss, Douglas Lauffenburger & Peter Friedl
(敬称略)からなる医療研究グループは
癌の転移と治療抵抗性の重複した生理機序を明らかにし
そこから標的治療をどのように行うか総括されています(1)。
本日は、その内容の中で癌の転移についての
序論について、自身の視点も加えて抽出しました。
その内容を読者の方と情報共有したいと思います。
//癌の転移について//---
癌の転移は
〇上皮間葉転換
〇血管壁への侵入
〇血流の中でのシェアストレスに耐える
〇転移先の環境に適応する
このようなそれぞれ独立ではない過程があります(2,3)。
それぞれの過程は機械的、化学的な検知によって進行します。
例えば、上述した
〇ケモカイン
〇成長因子
これらを癌細胞が転移する中で化学的に検知します(4,5)。
また、癌細胞は血管壁を浸入、血液に滲出する過程で
形状を変える必要があります。
その際に癌細胞の形状を決める細胞骨格を動かす必要があります。
また、吸着や遊走によって移動する必要があります。
こうしたプロセスは機械的な検知が関わっています。
一方、
原発腫瘍の周りには細胞外マトリックスがあります。
それが通常よりも多く、粘着性が高いと言われていますが、
その細胞外マトリックスから信号を受けて、
癌細胞内の小器官、遺伝子を修復し、
それによって細胞死を防ぎ、生存性を高めます(6)。
このような細胞の周りの環境との相互作用は
転移の過程で生じる癌細胞の移動の中で生じる事も考えられます。
-
また上皮間葉転換や代謝ストレス反応は
癌細胞の成長、分化、幹細胞化とそれぞれ連結しています(3,4,6)。
-
さらには転移サイトでの常在細胞から傍分泌された
信号によって癌細胞はリプログラミングされ
その一部の環境適応性が高まります(1)。
(参考文献)
(1)
Felix Weiss, Douglas Lauffenburger & Peter Friedl
Towards targeting of shared mechanisms of cancer metastasis and therapy resistance
Nature Reviews Cancer (2022)
(2)
Welch, D. R. & Hurst, D. R. Defining the hallmarks
of metastasis. Cancer Res. 79, 3011–3027 (2019).
(3)
Friedl, P. & Alexander, S. Cancer invasion and the
microenvironment: plasticity and reciprocity. Cell 147,
992–1009 (2011).
(4)
Quail, D. F. & Joyce, J. A. Microenvironmental
regulation of tumor progression and metastasis.
Nat. Med. 19, 1423–1437 (2013).
(5)
Obenauf, A. C. et al. Therapy-induced
tumour secretomes promote resistance and tumour
progression. Nature 520, 368–372 (2015).
(6)
Meredith, J. E., Fazeli, B. & Schwartz, M. A.
The extracellular matrix as a cell survival factor.
Mol. Biol. Cell 4, 953–961 (1993).
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