2022年1月18日火曜日

COVID-19:長引く神経症状を平等にケアする事の重要性

新型コロナウィルスの世界的流行が始まってから
もう2年以上になります。
膨大に蓄積されたいくつかの疫学データでは
急性期、急性期直後の脳神経、精神の問題は
程度の差はありますが35-85%と言われています(1-4)。
脳血管、味覚、嗅覚、認知、記憶、感情、神経筋
あるいは倦怠感や頭痛といった一般的なものまで
多岐にわたります(Ref.(1) Table.1)。
急性期を過ぎて、慢性期に入った時期において
上述した脳神経、精神症状が持続するかどうかの知識は
現在の所、限定的です。
その中で、アメリカとヨーロッパのオンラインの調査では
急性期に上述した脳の症状があった人の多くの割合の人が
3か月から6か月の持続が見られたとされています(5)。
ここで挙げられている症状は
〇記憶、認知障害
〇不安障害
〇倦怠感
〇不眠症
〇頭痛
〇味覚、嗅覚障害
これらです。
そのうち30%の人が30-59歳の比較的若い人でした。
またこれらの症状は間欠的な場合もあります。
再発のきっかけとなるのは
〇運動
〇頭を使う事
〇感情的なストレス
〇月経
これらでした(1)。
日本でも後遺症を専門に見られている病院では
歩行なども含めて症状がある時には運動は控える事が
強く注意喚起されていました。

繰り返される感染の波による急性期患者さんの増加の中で
後遺症の治療は後手に回りがちでした。
その様な事も含めて資源が分散された事に寄って
新型コロナウィルス感染症で急性期から長期間にわたって
継続的に診られる脳神経症状、精神症状への
医学薬学的、医療的理解はまだ限定的です(1)。
後遺症の治療に対する報告を注視していますが、
疫学、臨床における報告は私の知る限り極めて限定的です。
現在でも後遺症で日常生活に支障をきたしている方がいるのか?
そういった情報も最近のオミクロン株の流行で信頼できる情報が
十分に流布されていない状況です。

このように単にウィルスを減らす、免疫を調整する
肺の機能を回復させるといった治療だけではなく、
後遺症を含めた脳神経症状、精神症状など
幅広い医療を提供する必要がありますが、
限られた、また分散された医療資源の中で
ワクチンの配分同様に格差、不平等が生じています。
医療機会に恵まれない民族の方においては
おおよそ60%の人が治療機会がありませんでした(6)。

ハーバード大学、マサチューセッツ総合病院の
LaShyra T. Nolen, Shibani S. Mukerji, Nicte I. Mejia
(敬称略)からなる医療研究グループは、
コメントの中でそのような民族ではなく、
患者さん、地域を中心としたアプローチで
後遺症の治療、理解に努めるべきであると述べれられています。
つまり、医療は
「目の前の患者さんを守る。」
「地域の医療を守る。」
これに平等に集中する必要性を述べられています。

医療において恵まれなかった民族の方々の多くは
社会にとって絶対的に必要なエッセンシャルワーカーである
とされています。
しかし、労働環境は問題がありました。
〇低い賃金
〇有給休暇などの福利厚生がない
〇保護具の不備
これらです。
これにより感染して、後遺症を背負ってしまった人が多くいます。
この状況が問題視されています(1)。

コロナ禍において勝ち組と負け組が鮮明に分かれたと
考える事も出来ます。
このようにアメリカ合衆国から格差の問題が出てくるのは
コロナ禍においてその差が浮き彫りになったからかもしれません。
なぜなら、世界に流通している資産の量には変わりがないからです。
そういった中でこのような表現があります。
"Our findings strongly corroborate the notion 
that‘conspiracy theories are for losers".(7,8)。
これを読まれている方はこの表現を観た時にどう思うでしょうか?
このコロナ禍の中で非常に苦しい思いをしている人の
傷口に塩をぬるような表現に感じます。
陰謀説"conspiracy theories"というのは
自分が陰謀を抱くのではなく、
特定の団体に対して「十分な証拠がないにも関わらず」
その団体が陰謀、悪意をもって社会活動をしている事を
信じ込むことです。
こうしたことは社会的な負け組の人たちに生じやすい
ということでした(7)。
これはある指標に基づいた科学的なデータが示しているので、
感情的な側面を持って反駁する余地はないのかもしれません。
しかしながら、
コロナ禍において、勝者と敗者の差が大きく浮き彫りになっている
状況では異なってくる部分があります。
陰謀論を抱くのは教育レベルが低い(7)とか
そういった科学的な情報を追加的に引用、記載することに
例え、それが科学論文であっても
このタイミングで記載される事は私は一定の違和感を抱きます。
但し、それはデータから事実なんでしょう。
また、特定の状況(COVID-19)に内容を制限されるべきではない
という反駁も考えられます。
但し、Ref.(7)にはCOVID-19の記載があります。

エリートの記載、グループ分けも出てきます(7)。
エリートとは
〇高い学歴である
〇教養の話を家族、友人とする
〇世界のリーダーとして活躍する
〇世界の文化を理解した国際人として活躍する
、、、
様々な観念体系があると思います。
私の考えは、
コロナ禍において弱い立場の人に目を向ける人たちを支持します。
その人たちこそがエリートだという考えです。
但し、このような考えは人に押し付けることはできません。
主張し、明らかにすることに留まります。

社会において問題があった時に批判は重要です。
それをなくすことはできません。
日本では「黙る」という事が重宝されることもあります。
一方、
「批判的に主張する」という事が認められるのであれば、
ここで批判に対して、批判で返してみようと考えに至ります。

(参考文献)
(1)
LaShyra T. Nolen, Shibani S. Mukerji & Nicte I. Mejia
Post-acute neurological consequences of COVID-19: an unequal burden
Nature Medicine (2022)
(2)
Chou, S. H. Y. et al. 
JAMA Netw. Open 4, e2112131 (2021).
(3)
Ross Russell, A. L. et al.
Brain Commun. 3, fcab168 (2021).
(4)
Mao, L. et al. 
JAMA Neurol. 77, 1 (2020).
(5)
Davis, H. E. et al. 
EClinicalMedicine 38, 101019 (2021).
(6)
Robinson-Lane, S. G. et al. 
J. Am. Med. Dir. Assoc. 22, 2245–2250 (2021).
(7)
Roland Imhoff et al.
Conspiracy mentality and political orientation across 26 countries
Nature Human Behaviour (2022)
(8)
Uscinski, J. E. & Parent, J. M. 
American Conspiracy Theories (Oxford Univ. Press, 2014).

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