2022年1月11日火曜日

血液中の免疫細胞の動的振る舞いの集団的解析

 //背景//--
マルチオミックス解析によって、
単一細胞の遺伝子、タンパク質、代謝生成物などの情報を
取得することができますが、
それは一時的な情報にすぎません。
任意の単一の細胞の情報は時間が経てば変わる可能性があります。
その様な中で
Georgiana Crainiciuc, Miguel Palomino-Segura(敬称略)ら
医療研究グループは主に炎症部位における
移動性の高い免疫細胞における運動性や細胞の形(モフォロジー)
などの動的な振る舞いの包括的状況(Landscapes)について
報告されています(1)。
実際に細胞がどのように振る舞うか?
これについての情報は、近年発展が著しい細胞治療の薬理機序を
掴むうえで重要である可能性があります。
例えば、CAR免疫細胞治療や幹細胞技術(ES, iPS, ミューズ細胞)
において、上述した炎症箇所を含めて、
これらの細胞がどのように振る舞うか?
これを調べる事は治療の有効性を評価する上で重要です。
-
Georgiana Crainiciuc氏らの報告(1)の結果一部を抜粋させていただき
読者の方と情報共有したいと思います。

//結果(1)//--
(免疫細胞遺伝子改変による形状、運動性の変化)
*血小板欠損(platelet depletion)
運動性の低下、細胞形状アスペクト比向上
*Cdc42-ΔN(阻害):細胞分裂制御遺伝子
運動性の向上
(Fig.3c)

樹状細胞:移動領域が大きい:スピード遅い
好中球:移動スピードが速い:領域小さい
(Fig.1f)

運動の特徴を3つ(B1,B2,B3)に分類
①B1
細胞の形:アスペクト比大きい
分布:血管壁から遠い
②B2
運動性:速い、偏差大きい
細胞の形:より大きく変化する
③B3
細胞の形:大きい、長い、アスペクト比大きい
分布;血管壁から近い
例えば、
血小板欠損を行うとB1が多くなる。
つまり血管壁での免疫細胞分布が少なくなります。
③B3の振る舞いでは
動きの最小値が小さくなっています。
これは血管壁にトラップされるからではないかと考えられます。

//考察//--
例えば、腫瘍組織内の局所的なリンパ節、
及び、免疫細胞群における運動性の分類ができれば、
付加的な結果、分析指標を与えると考えられます。
仮に、癌細胞の近傍に免疫細胞を分布させやすい
遺伝子改変、あるいはサイトカインがわかれば
それによる治療効率の改善なども期待できる可能性もあります。

(参考文献)
(1)
Georgiana Crainiciuc, Miguel Palomino-Segura, Miguel Molina-Moreno, Jon Sicilia, David G. Aragones, Jackson Liang Yao Li, Rodrigo Madurga, José M. Adrover, Alejandra Aroca-Crevillén, Sandra Martin-Salamanca, Alfonso Serrano del Valle, Sandra D. Castillo, Heidi C. E. Welch, Oliver Soehnlein, Mariona Graupera, Fátima Sánchez-Cabo, Alexander Zarbock, Thomas E. Smithgall, Mauro Di Pilato, Thorsten R. Mempel, Pierre-Louis Tharaux, Santiago F. González, Angel Ayuso-Sacido, Lai Guan Ng, Gabriel F. Calvo, Iván González-Díaz, Fernando Díaz-de-María & Andrés Hidalgo 
Behavioural immune landscapes of inflammation
Nature (2022)

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