女性には男性では理解するのが難しい様々な問題があると考えられます。
初潮、月経、出産、閉経など様々な人生の中の境界となるイベントで
個人差はもちろんありますが、
身体全体の健康の状態に関わる内分泌物質である
(性)ホルモンバランスが変わる事から
それに合わせて体調の変化があると想定されます。
この記事で主題とする産後うつに関しても
性ホルモンであるプロゲステロンの妊娠中期から出産直後の
変化が大きいほうが産後に心のバランスを崩しやすい
という報告があります(2)。
そうではなくても性ホルモン量の変化がありますから
顕著ではなくても周りのサポートが必要です。
-
ある大学の女性の先生が言われていました。
「昔は人は集団で子育てをする文化があった。」という事です。
核家族化して、子育てを父親と母親の2人でしないといけない状況で
かつ父親は仕事をしなければいけない状況であれば、
当然、主に母親の心の負担も大きくなります。
昔は、祖母、祖父も含めて集団での子育てが当たり前で
1人の子供に対する世話をする人の数が多かったからです。
従って、子供を出産した後の心のバランスの問題は
集団で子育てをしていた時よりも顕著になっている可能性があります。
-
アメリカのオークランド大学の
Erin Kennedy氏、Kristen Munyan氏は
産後に心のバランスを崩す(産後うつ)の問題は
母親だけにはとどまらないと指摘しています(1)。
父親も同様に生じるとされています。
産後うつというと出産を終えた母親が想起されますが、
父親も通常よりも心のバランスを崩すリスクが高まっています。
少なくともアメリカの調査では2倍であるとされています(1)。
そのリスクは
・母親の心のバランスが崩れている場合
・出産前にうつの前兆、罹患していた場合(3)
・生まれた子供に何らかの異常があった場合
・生まれてから3か月から6か月の間(4)
少なくともこれらの要因によって高まるとされています。
また、父親、母親のいずれかが心の病に罹っていた場合
家族である生まれた子供、兄弟において
感情発達に異常が出るなど精神疾患に罹る割合が
高くなることが示されています(5,6)。
-
また父親の場合は女性とは傾向が異なる部分があります。
例えば、攻撃性が高まる、リスクの高い行動に出る
家庭内暴力、不倫などのリスクが高まるとされています(7)。
-
日本の兵庫大学のAkiko Nishimura氏, Kazutomo Ohashi氏
医療研究グループによる調査によると
父親もしくは/かつ母親が産後うつになるリスク因子は
・精神科に罹った既往歴
・意図的ではない妊娠(Unintended pregnancy)
・一時的な雇用条件
・無職
・不安定な雇用環境(Readjustment, changing)
従って、父親、母親の雇用環境が健全に子育てをするうえで
非常に重要であることが示されています(8)。
-
このことから
・男性の育児休暇の取得、理解
・子育ては頼ってもいいという許し
・祖母、祖父の協力
・地域社会の理解、協力
・友人同士のつながり、情報交換
・感染症(新型コロナウィルス)などによる孤立の抑止
・経済的な事も含めた国、自治体のサポート
・精神科による正しい治療、忌避の抑止
、、、
様々な側面で母親だけではなく、父親も含めた
子育て世帯を支えていく必要があります。
もっと大きなスケールではその国の社会経済の状況が重要です。
さらにはジェンダー平等性も重要です。
同じ価値の仕事をしているならば、
男性も女性も関係ないという文化の醸成です。
子育てを行っていく中で、母親の育児休暇環境が整っていて
正社員として職場復帰できると父親も同様であれば
経済的に安定するので、出産直後の不安定な状況においても
安心材料の一つとなると考えられます。
-
出産というのはとてもおめでたいことです。
私が大切にしている病院で生まれた赤ちゃんの写真が
お正月にInstagramに更新されていました。
その画像を見た時に私の子供ではないですが
素直におめでたいことだと思い、お祝いのメッセージを送りました。
出産に伴うリスクを様々な側面で減らすことができれば
より出産、子育てという大切な人生のイベントに対して
社会全体で肯定感が増してくると考えられます。
(参考文献)
(1)
Erin Kennedy & Kristen Munyan
Sensitivity and reliability of screening measures for paternal postpartum depression: an integrative review
Journal of Perinatology (2022)
(2)
東北大学
2021年 | プレスリリース・研究成果
出産前後の性ホルモン変化と「産後うつ」との関連を解明
(3)
Kerstis B, Aarts C, Tillman C, Persson H, Engström G, Edlund B, et al.
Association between parental depressive symptoms and impaired bonding with the infant.
Arch Women ’ s Ment Health. 2016;19:87 – 94.
(4)
Paulson JF, Bazemore SD, Goodman JH, Leiferman JA.
The course and inter-relationship of maternal and paternal perinatal depression.
Arch Women ’ s Ment Health. 2016;19:655 – 63.
(5)
Ramchandani PG, Stein A, O ’ Connor TG, Heron JON, Murray L, Evans J.
Depression in men in the postnatal period and later child psychopathology: A population cohort study.
J Am Acad Child Adolesc Psychiatry. 2008;47:390 – 8.
(6)
Ramchandani PG, Psychogiou L, Vlachos H, Iles J, Sethna V, Netsi E. et al.
Paternal depression: an examination of its links with father, child and family functioning in the postnatal period.
Depress Anxiety. 2011;28:471 – 7. https://doi.org/10.1002/da.20814.
(7)
Altenau N. Paternal postpartum depression,
My American Nurse. 2020. https://www.myamericannurse.com/paternal-postpartum-depression/.
(8)
Akiko Nishimura, Kazutomo Ohashi
Risk factors of paternal depression in the early postnatal period in Japan
Nurs Health Sci. 2010 Jun;12(2):170-6
登録:
コメントの投稿 (Atom)

0 コメント:
コメントを投稿