いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
新型コロナウィルスに対する薬の効果というのは
インフルエンザの特効薬のように
圧倒的な薬効を示すものではない限り、
〇患者の条件(年齢、性別、民族)
〇投薬の容量、タイミング
〇併用薬の種類、有無
〇症状の程度
〇薬以外の患者(さん)の看護、経過観察の適切性
(例えば、酸素、水分、栄養の維持状態)
、、、、
いろんな要因が関わるので
報告ごとに結果が異なるというのは十分に考えられます。
例えば、
炎症性サイトカインとして知られるIL-6は
新型コロナウィルスの症状と正の相関があり
一つの予測できる要因であるとされています(2-4)。
つまりIL-6が少なければ軽症で済むケースが多い
ということです。
ただ、IL-6の効果を弱めるモノクローナル抗体である
トシリズマブが臨床として
〇効果がある(5-7)、
〇効果に疑いがある(8-11)、
という報告が混在しており、
その薬効については議論の余地があります。
しかし、
冒頭で述べた様に「投薬の条件」というのが重要だろう
と考えられます。
つまり、
「適切な条件を探し、それに従って投薬すること」で
患者さんの症状を改善することにつながると考えられます。
例えば、
本日内容の一部を紹介する参考文献(1)では、
比較データは示されていないものの
デキサメタゾンとトシリズマブの併用は
症状のより強い改善につながる可能性が示唆されています。
Carlos Salama氏ら医療、研究グループは
トシリズマブ(IL-6拮抗薬)の薬効を
肺炎患者に対して偽薬と比較することで評価しています(1)。
医療機関の方を含め、読者の方と
その一部の内容について情報共有したいと思います。
(※)
=====の⇒は私の追記、考察を含みます。
(※)
Table S1のSはSupplementary material appendixより
//結果概要//-----------
患者(さん)の救命率の改善は見られませんでしたが、
人工呼吸器装着への臨床症状の悪化を含めると
トシリズマブの薬効が確認されました。
-----
⇒
ただ、抗ウィルス薬やコルチコステロイドの併用は
患者の8割に達しており、
(参考文献(1) Table S5参照)
これらの併用による薬のブースター効果、強化は
排除できない可能性があると考えています。
しかし、偽薬の群も同様に
抗ウィルス薬やコルチコステロイドは
標準的な治療として使われています。
実際に参考文献(1)Discussion内で
デキサメタゾンとの併用の効果に触れられています。
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//条件//-----------
(治験開始時条件)
人工呼吸器の装着はなく、肺炎が所見
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酸素飽和度94%以下
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(人数)
トシリズマブ 249人
偽薬 128人
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(トシリズマブ用量)
体重1kgあたり8mg、800mgを超えない
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(民族)
ヒスパニック、ラテン系 57.4%
黒人系 14.1%
インディアン、アラスカ系 13.3%
白人系 11.2%
その他 4%
-----
⇒従って白人が少なく
ヒスパニック、ラテン系が多い。
比較的民族としてリスクが高い層となっています。
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(平均年齢)
55~56歳
※やや高い
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(場所、人数比)
アメリカ⇒80.7%
メキシコ、ケニア、南アフリカ、ペルー、ブラジル
⇒19.3%
従って、ほぼアメリカ
-----
(臨床試験開始時、臨床症状段階)
※参考文献(1) Table S1より
---
2 Non–ICU hospital ward (or ready for hospital ward),
not requiring supplemental oxygen
(集中治療の必要なし、酸素補給の必要なし)
臨床症状段階 2 24人
---
3 Non–ICU hospital ward (or ready for hospital ward),
requiring supplemental oxygen
(集中治療の必要なし、酸素補給の必要)
臨床症状段階 3 161人
--
4 ICU or non–ICU hospital ward,
requiring noninvasive ventilation or high-flow oxygen
(集中治療有無両方、挿管による通気、高濃度酸素)
臨床症状段階 4 64人
※
5 人工呼吸、6 ECMO、7 命を落とす
-----
⇒酸素が必要な人が多く中等症に相当する人に対して
治験を開始しています。
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(血液の状態、平均値 投薬、偽薬 ()通常範囲)
C-reactive protein level 124、143 mg/l (<10)
d-Dimer level 1.60、1.21 μg/ml (<0.25)
Ferritin level 1401.34、1353.14 pmol/l (32~421)
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⇒従って、血液の状態は異常値を示しています。
炎症などがすでにみられる段階です。
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//結果//-----------
参考文献(1) Figure.S2より
トシリズマブ投薬後
4~7日の退院の割合が偽薬の群に対して高くなっています。
一週間後以降、差が小さくなります。
※Table S1の基準の臨床症状段階改善も同じ傾向
(参考文献(1) Figure S4より)
-----
⇒従って、回復が一定割合の患者さんに対して
数日程度早いということがいえます。
-----
参考文献(1) Figure.S2より
一方、救命率に対しては
早期の段階では若干のトシリズマブ投薬による低下が
見られますが、28日後においては変わりません。
-----
⇒ただ割合が10%以下と低いので
統計的に優位に比較できるような人数ではないため
慎重な判断が必要です。
-----
参考文献(1) Figure.2より
臨床状態 5,6,7に当たる人工呼吸器~救命不可においては
投薬3日後に大きな差が現れています。
//副作用//-----------
参考文献(1) Table 3より
偽薬群に対して目立った副作用はありません。
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//追記//-----------
トシリズマブは中等症の患者に対しては
投薬から1週間程度で一定割合の人が効果が表れる
という可能性を示しています。
長い間、血管や臓器などが炎症状態にさらされることは
身体に対して負担がかかることから
数日でも回復が速くなる、早く症状が軽くなる
あるいは開始数日で回復する人が多いというのは
投薬する利点がある事を示しています。
1週間程度投薬した後の臨床的意義に対しては
議論が必要なところだろうとこの結果から推察できます。
-----------
以上です。
(参考文献)
(1)
Carlos Salama, M.D., Jian Han, Ph.D., Linda Yau, Ph.D., William G. Reiss, Pharm.D., Benjamin Kramer, M.D., Jeffrey D. Neidhart, M.D., Gerard J. Criner, M.D., Emma Kaplan-Lewis, M.D., Rachel Baden, M.D., Lavannya Pandit, M.D., Miriam L. Cameron, M.D., Julia Garcia-Diaz, M.D., Victoria Chávez, M.D., Martha Mekebeb-Reuter, M.D., Ferdinando Lima de Menezes, M.D., Reena Shah, F.R.C.P., Maria F. González-Lara, M.D., Beverly Assman, M.S., Jamie Freedman, M.D., Ph.D., and Shalini V. Mohan, M.D.
Tocilizumab in Patients Hospitalized with Covid-19 Pneumonia
The New England Journal of Medicine December 17, 2020,
(2)
Aziz M, Fatima R, Assaly R.
Elevated interleukin-6 and severe COVID-19: a meta-analysis.
J Med Virol 2020; 92: 2283-5.
(3)
Zhu J, Pang J, Ji P, et al.
Elevated interleukin-6 is associated with severity of COVID-19: a meta-analysis.
J Med Virol 2020 May 29 (Epub ahead of print).
(4)
Herold T, Jurinovic V, Arnreich C, et al.
Elevated levels of IL-6 and CRP predict the need for mechanical ventilation in COVID-19.
J Allergy Clin Immunol 2020; 146(1): 128-136.e4.
(5)
Xu X, Han M, Li T, et al.
Effective treatment of severe COVID-19 patients with tocilizumab.
Proc Natl Acad Sci U S A 2020; 117: 10970-5.
(6)
Morrison AR, Johnson JM, Griebe KM, et al.
Clinical characteristics and predictors of survival in adults with coronavirus disease 2019 receiving tocilizumab.
J Autoimmun 2020; 114: 102512.
(7)
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(8)
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Tocilizumab in hospitalized patients with COVID-19 pneumonia. September 12, 2020
(https://www . medrxiv . org/ content/10 . 1101/ 2020 . 08 . 27 . 20183442v2). pre-print.
(9)
Salvarani C, Dolci G, Massari M, et al.
Effect of tocilizumab vs standard care on clinical worsening in patients hospitalized with COVID-19 pneumonia: a ran-domized clinical trial.
JAMA Intern Med 2020 October 20 (Epub ahead of print).
(10)
Hermine O, Mariette X, Tharaux P-L, et al.
Effect of tocilizumab vs usual care in adults hospitalized with COVID-19 and moderate or severe pneumonia: a randomized clinical trial.
JAMA Intern Med 2020 October 20 (Epub ahead of print).
(11)
Stone JH, Frigault MJ, Serling-Boyd NJ, et al.
Efficacy of tocilizumab in patients hospitalized with Covid-19.
N Engl J Med. 10.1056/NEJMoa2028836.
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