いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
日本に供給予定のファイザー社(さん)のワクチンにおいては
2回接種が標準とされていますので
1億2000万回分のワクチンの供給という事は
2回接種なので6000万人分ということになります。
しかしながら
ファイザー社が公表している副反応については
2回目接種以降のほうが軽度なものに関しては
少なくとも多く出ています(2)。
また1回接種後、2回目接種前の段階でも
ある程度感染予防が出ていることから、
1回の接種で様子を見るという選択肢も考えられます。
2回目の接種を想定しているワクチンにおいて
1回目の接種だけでその後
ワクチンの性能である抗体量や中和能が
どのような推移を示すか?
その重要性も高いと思っています。
武田薬品工業社(さん)とワクチンにおいて提携している
ノババックス社(さん)のワクチンにおいて
いくつかの条件を比較したデータが公表されています(1)ので
その結果について読者の方と情報共有したいと思います。
/ワクチンについて/
名称:NVX-CoV2373
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タイプ:不活化ナノ粒子ワクチン
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ナノ粒子の周りに
新型コロナウィルスのSタンパク質を形成。
従って、このSタンパク質を免疫細胞が抗原認識して
B細胞が抗体を発現、分泌すると考えられます。
また、ワクチンのSタンパク質自体もACE2受容体に結合する
可能性が考えられますが、
タンパク質のへき開が起こらないように設計されています(2,3)ので
(おそらく?)細胞内にエンドサイトーシスしないため
細胞内に脂質やタンパク質が入ることによる
なんらかの影響は少ないと考えられます。
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ナノ粒子ワクチンと
Matrix-M1と呼ばれるアドジュバント(免疫補強剤)が
ワクチンの成分の中に含まれ同時に接種されます。
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ワクチン、免疫補強材ともに
2~8℃で保存されます。
/条件/
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(場所)
オーストラリア
(Nucleus Network, Herston, Queensland, Melbourne, Victoria)
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治験の段階:フェーズⅠ
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(期間)
2020年5月27日~6月6日
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(比較条件)
rSARS-CoV-2ワクチン(μg)/Matrix-M1アドジュバント(μg)
A:プラセボ(偽薬) 25人
B:1回目 25/0 2回目(21日後) 25/0 25人
C:1回目 5/50 2回目(21日後) 5/50 25人
D:1回目 25/50 2回目(21日後) 25/50 25人
E:1回目 25/50 2回目(21日後) 偽薬 25人
/結果/
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(IgG 抗体価 EU/ml)参考文献(1) Figure.3より
1回目接種より21日後(図より概算)/35日後
A:上昇なし ※数人既に抗体保持
B:200/575
C:2000/63160
D:3000/47521
E:3000/2932
新型コロナウィルス罹患回復期
無症状:1661
有症状:7420
入院:53391
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(中和能 IC>99%)参考文献(1) Figure.3より
1回目接種より21日後(図より概算)/35日後
A:上昇なし
B:0/41
C:100/3906
D:128/3305
E:128/128
新型コロナウィルス罹患回復期
無症状:254
有症状:837
入院:7457
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Th1 CD4+ヘルパーT細胞の反応
A:反応なし
B:反応なし
C:28日後反応
D:28日後反応
E:データなし
/副反応について/
※ワクチン接種後7日間
--
接種の痛みは共通して存在
アドジュバント有無で差が大きいことから
アドジュバントの影響である可能性がある
--
発熱はほとんどない
--
2回目、アドジュバントありで
倦怠感、頭痛、筋肉痛、不安などがあります。
アドジュバントの影響である可能性がある
/追記、考察/
2回目の接種において、抗体価、中和能が上がっているのは
条件Bとの比較を考えると
おそらくアドジュバントを2回接種していることが大きい
のではないか?と考えました。
つまり、ある程度の量のSタンパク質を入れた時に
それを引き出すのはアドジュバントであって
その機会が2回あると抗体価、中和能があがる
ということかもしれません。
つまり
F:1回目 25/50 2回目(21日後) 0/50 25人
G:1回目 5/50 2回目(21日後) 0/50 25人
この条件が気になります。
副作用もアドジュバントに関連している可能性が高いです。
もし抗体価、中和能と連動しているのであれば
1回目のワクチン接種後の痛みや副反応の検査は接種後7日までなので
その時点では抗体価、中和能の反応は低いので
副反応に差が出ない可能性があります。
また、2回目以降顕著に多くなるはずです。
しかし、1回目からアドジュバント有無で差があることから
アドジュバントの効果によって出ていると考えるのが自然です。
従って、
ワクチンの成分による副作用よりも
むしろアドジュバントの方が大きいとすれば
過去のワクチンと同じアドジュバントであれば、
そのワクチンの長期的な副反応を再調査することで
一定のワクチンの安全性を評価できる可能性があります。
しかし、新型コロナウィルス特有の抗体の
免疫機能に対する影響はFc受容体などから考えられます。
従って、
その特異性については排除できるものではありません。
つまり、新型コロナウィルス特有の抗体が
高い状態で体内にある事による副反応についての
影響はないとはいえません。
しかしながら、
その場合においても
すでに新型コロナウィルスに罹患して
ポリクローナルではありますが抗体を持っている人が
その抗体によってどのような影響を受けているか?
そこからも抗体の免疫機能に対する影響も
一定割合洗い出すことができると考えます。
ノババックス社はすでに
ナノ粒子ワクチンの安全性に対して
子供、妊娠女性、高齢の方に対する安全性のデータ
は持っているといわれています(6-8)。
Matrix-M1アドジュバントを使った4300人のデータが
生後5か月~85歳まであり、
この安全性がどれくらいの期間、証明されているかというのは
このタイプの新型コロナウィルスの
長期的な安全性において一つの指標となります(8-10)。
インフルエンザのワクチン接種において
病院内で新型コロナウィルスの感染リスクが下がったり
サイトカインの反応が良くなったと言われています(11)。
これはひょっとすると
インフルエンザワクチンに含まれる
アドジュバント(免疫補強剤)が効いている可能性があります。
日本では
小児用肺炎球菌ワクチン
B型肝炎ワクチン
HPVワクチン
三種混合ワクチン
四種混合ワクチン
これらのワクチンにアドジュバントを添加していますが、
子供のころに集団接種するワクチンにおいて
アドジュバントが添加されていることで
新型コロナウィルスに対する免疫反応に関連がある可能性があります。
しかしながら、
アドジュバントの半減期は42時間で
2日後には0.1~0.3%になるといわれているので
アドジュバントの成分自体は注射後すぐに失われます(12)。
アドジュバントの影響が体の中にある状態での
新型コロナウィルス感染時の
身体の中の応答に違いがあるか?
もしくは
アドジュバントによって生まれた免疫機能が
アドジュバント成分自体が失われたとしても
時間差で体内に入ってきた新型コロナウィルスに対して
抗原認識性を上げて
初期の免疫応答に影響を与えるのか?
それについて考える余地は大きいです。
重症化とも関連があるからです。
これを考えることは
子供のワクチンの集団接種の意義や
毎年接種するインフルエンザワクチンを接種する意義
につながる可能性があります。
また
共通で使われるアドジュバントの開発、安全性
それとの新規ワクチンの相互作用を理解することも
ワクチン自体の基礎的な生理を理解するだけではなく
それを安全な形で臨床で運用したり、
あるいは今後のウィルスの脅威に向かきあう上で
非常に重要になることです。
従って
新型コロナウィルスにおいて
その基礎的な研究においても
アドジュバントと一緒に注入することによって
どのような免疫機能の動きがあるか?
あるいは抗体反応はどうなるか?
そういったことも調べる必要があります。
以上です。
(参考文献)
(1)
C. Keech, G. Albert, I. Cho, A. Robertson, P. Reed, S. Neal, J.S. Plested, M. Zhu, S. Cloney‑Clark, H. Zhou, G. Smith, N. Patel, M.B. Frieman, R.E. Haupt, J. Logue, M. McGrath, S. Weston, P.A. Piedra, C. Desai, K. Callahan, M. Lewis, P. Price‑Abbott, N. Formica, V. Shinde, L. Fries, J.D. Lickliter, P. Griffin, B. Wilkinson, and G.M. Glenn
Phase 1–2 Trial of a SARS-CoV-2 Recombinant Spike Protein Nanoparticle Vaccine
The New England Journal of Medicine 2020;383:2320-32.
(2)
Fernando P. Polack, M.D., Stephen J. Thomas, M.D., Nicholas Kitchin, M.D., Judith Absalon, M.D., Alejandra Gurtman, M.D., Stephen Lockhart, D.M., John L. Perez, M.D., Gonzalo Pérez Marc, M.D., Edson D. Moreira, M.D., Cristiano Zerbini, M.D., Ruth Bailey, B.Sc., Kena A. Swanson, Ph.D., Satrajit Roychoudhury, Ph.D., Kenneth Koury, Ph.D., Ping Li, Ph.D., Warren V. Kalina, Ph.D., David Cooper, Ph.D., Robert W. Frenck, Jr., M.D., Laura L. Hammitt, M.D., Özlem Türeci, M.D., Haylene Nell, M.D., Axel Schaefer, M.D., Serhat Ünal, M.D., Dina B. Tresnan, D.V.M., Ph.D., Susan Mather, M.D., Philip R. Dormitzer, M.D., Ph.D., Uğur Şahin, M.D., Kathrin U. Jansen, Ph.D., and William C. Gruber, M.D., for the C4591001 Clinical Trial Group*
Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine
The New England Journal of Medicine December 10, 2020,
(3)
Tian J-H, Patel N, Haupt R, et al.
SARS-CoV-2 spike glycoprotein vaccine candidate NVX-CoV2373 elicits immunogenicity in baboons and protection in mice.
June 30, 2020 (https://www . biorxiv . org/ content/ 10 . 1101/ 2020 . 06 . 29 . 178509v1). preprint.
(4)
Wrapp D, Wang N, Corbett KS, et al.
Cryo-EM structure of the 2019-nCoV spike in the prefusion conformation.
Science 2020; 367: 1260-3
(5)
Fries L, Shinde V, Stoddard JJ, et al.
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(6)
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May 18, 2020 (https://www . medrxiv . org/ content/ 10 . 1101/ 2020 . 08 . 07 . 20170514v1). preprint.
(11)
Priya A. Debisarun, Patrick Struycken, Jorge Domínguez-Andrés, Simone J.C.F.M. Moorlag, Esther Taks, Katharina L. Gössling, Philipp N. Ostermann, Lisa Müller, Heiner Schaal, Jaap ten Oever, Reinout van Crevel, View ORCID ProfileMihai G. Netea
The effect of influenza vaccination on trained immunity: impact on COVID-19
medRχiv doi.org/10.1101/2020.10.14.20212498
(12)
Marc Dupuis et al.
Distribution of adjuvant MF59 and antigen gD2 after intramuscular injection in mice
Vaccine. 1999;18(5-6):434–439
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