いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
理科、薬学、医学、医療の学習を重ね、
人に対する貢献を考える中で重要だと思ったのが
「天秤」です。
例えば、
新型コロナウィルスの治療において
デキサメタゾンは一定の薬効が認められるという
臨床医学的な報告があります(1)。
しかし、
日本の医療に携わる医師の方の見解では
確かにステロイドの投薬によって
数日で解熱などの改善が見られる患者さんもいれば
逆に病状が悪化する場合もあるようです。
つまり、
デキサメタゾンは新型コロナウィルス治療薬として
パナシーア(万能薬)ではありません。
ステロイドは免疫抑制剤なので
過剰に反応した免疫機能を抑える働きがあります。
検証は必要ですが、本来必要な免疫機能も抑制してしまう
可能性も考えられます。
そうしたことも考慮に入れると副作用も考えられます。
「人によって違う」
という事を強く考えさせられます。
そういう中で重要なのが「天秤」です。
小学校の理科の実験で上皿天秤に分銅を乗せました。
重いほうが当然下がるわけですが、
そういったことは生体内でもあると考えています。
新型コロナウィルスなど
正常とは大きく異なる反応があれば
免疫機能の天秤は大きく揺さぶられます。
多数の皿を持つ上皿天秤は
どこかの軸で傾き、沈んでいます。
薬や医療の貢献できる事はその傾きを正すことだと
僭越ながら思っています。
例えば
x1、x2、x3、x4、x5という軸があって
患者Aさんがx5に大きく傾いてバランスを欠いているなら
その他の軸を使ってx5の歪を緩和することです。
でも過剰にそれをすると
今度は別の軸のお皿が沈むことになります。
そうすると副作用が出ます。
私が貢献するところは薬学寄りだと思いますが、
医師の方の腕の見せ所は
そういった微妙な調整だと思っています。
つまり、
医療においてパナシーアはありません。
良い薬もバランスを欠けば毒になると考えています。
そう考えた時に
どこの上皿が沈んでいるか?というのを
それぞれの患者さんで把握するためには
問診によって患者さんの感覚を確かめる事と
適切な検査だと思っています。
私は技術者であり解析をしてきた身なので
どうしても数値的なデータが出る
検査や重要だと思う部分があります。
また心理学を学んできたので
問診も大事だと思う部分があります。
そこを医師の方にお任せして
最高の薬剤を提供したいと思っています。
薬剤の究極の目標は
「届けたい場所に対して求める薬効を示す。」
というのがあると思っています。
こうやって書くと当たり前です。
でも、例えば
口から錠剤を飲んで、腸の炎症を治したい時に
その錠剤は腸「だけ」に届くでしょうか?
おそらくそうではないです。
肝臓、胃、血管などいろんな組織を通り
働きかけ、副作用も生みます。
だから腸の炎症の薬剤の目標は
「投与するなら腸だけに届けたい」です。
それが細胞特異的輸送系統の最大の目的です。
ゆえに「効率的な輸送」という事を
かなり真剣に考えることになります。
細胞特異的輸送系統を思いついたとき
新型コロナウィルスでの
抗体の働き、構造評価を応用した部分があります。
そこで細胞の表面には多くの受容体となる
突起物質があると知ったからです。
もし、その突起物質が患部特異的で
それに対して特異的な結合性を持つ胞を構築できれば
上で述べた「(例えば)腸だけに」運ぶことができる
と考えたからです。
しかし、そこには「スケール」という問題があります。
つまりどれくらいの範囲で考えるか?
ということです。
このような考え方は
「極めて近い位置でしか」効果は期待できません。
つまり、細胞から「やや遠いところ」
「遠いところ」では特異性は見出せません。
そうした時に重要な概念は
「走化性」「正の向性」です。
つまり、腸であれば、
やや離れたところから腸に引き付けられるように
薬剤が特異的なベクトルを持って進んでくれる必要があります。
これを受け側からいえば
「Recruitment」と表現されます。
例えば、癌組織があります。
癌組織においては、免疫機能に抵抗性を示すように
免疫機能を弱めるような免疫細胞を引き付けるような
機構が働きます(2)。
その時におそらく細胞周辺の空間には
そのような良くない免疫細胞を引き付けるような
環境になっていると思われます。
例えば、CCL**というのが
そのような「悪い免疫細胞」と結合性があれば
そのケモカインCCL**が腫瘍組織の周りに
多く分泌されています。
それで「悪い免疫細胞」が「Recruitment」されます。
そうした中で
癌腫瘍細胞を退行させるような「良い免疫細胞」
はそもそもそこに近づきにくくなっています。
もちろん細胞表面の受容体の働きによって
免疫細胞の機能が歪められたり、
その受容体にリガンドがつくことによって
機能を果たせなかったりという事も考えられますが、
平行して、空間的に近づけない
という事も考えられます。
今まで、細胞特異的輸送系統では
細胞表面の受容体に焦点を当ててきました。
しかし、
そういった走化性も考えると
患部周辺の分泌物質についても
効率的な輸送の上で考える必要があります。
それはスケールの観点で言えば
受容体との親和性を考えるよりも大きくなります。
従って、
前述した腫瘍組織で炎症性免疫細胞を引き付けるような
ケモカインが多くあれば、
それに結合するように表面受容体を設計すれば
「近づく」ことができます。
それを巧みに利用するということです。
表面の受容体の結合を考える事とに重複させて
周辺環境の分泌物を考慮に入れて設計することが大事です。
このスケール、まだ大きくする必要があります。
このような実験はまずは「マウス」でされます。
しかし、マウスの体の大きさは
人の手くらいの大きさで
人体とは顕著に違うものです。
そうした中で薬剤の輸送を考えると
大きな乖離があります。
つまりマウスで効果があっても
輸送の事を考えると人での効果はわからない
という事です。
例えば、
肝臓の疾患を治したいときに
人の肩から注射しました。
距離としては0.5mくらいあります。
血管で回り道するとなるともっとでしょうか?
マウスの体全体の4倍くらいあります。
そうした時に薬剤は肝臓まで特異的に届くか?
そういったことも考える必要があります。
先ほどの表面受容体
あるいはケモカインによる走化性は
これよりもはるかに狭い領域の話です。
例えば
人の循環器は心臓から下は右回りだとすると
肝臓に届けたいときには
右肩よりも左肩に注射するほうがいいかもしれません。
そういったことも考える必要があります。
また、これから知りたい事として
「よりスケールが大きな領域での走化性について」です。
これについては常にアンテナを貼っています。
こういった
「表面受容体」「患部周りの分泌物質」
「循環器の流れ」「スケールの大きな走化性」
、、
こういったことを多層的に考える上での
最高の薬剤を想定しています。
そして
その上で医師の方には
難しい多次元の天秤の調整をお願いしたい
と思っています。
新型コロナウィルスから学ぶところは大きいですが、
今、世界の理科、薬学、医学、医療に関わる方の
努力は決して無駄にはしたくありません。
それを最大限今後の医療に応用できるようなことを
ずっと考えています。
それは伝わっているかなとも思っています。
以上です。
(参考文献)
(1)
The RECOVERY Collaborative Group
Dexamethasone in Hospitalized Patients with Covid-19 — Preliminary Report
The New England Journal of Medicine July 17, 2020
DOI: 10.1056/NEJMoa2021436
(2)
Linda Tran, Jin-Fen Xiao, Neeraj Agarwal, Jason E. Duex & Dan Theodorescu
Advances in bladder cancer biology and therapy
Nature Reviews Cancer (2020)
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