2020年12月18日金曜日

オックスフォード大学によるワクチン1回接種の評価結果

いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。

今、日本に供給予定のワクチンは
基本的には2回接種が原則となっています。
世界での治験も2回接種を基本として行われています。
少なくとも「軽い副作用について」は
2回目接種の後の方が大きく出ていると理解しているので
副作用の事を考えると1回の方がいいかもしれないですが、
その場合、抗体の持続や
感染予防のための十分な抗体量が得られるか?
といった不確定性もあります。
できれば、今、イギリスやアメリカで
ワクチンの接種が始まりましたが、
2回目の接種までに感染の状態がどうであるか?
といった大きな規模でのデータがほしいところです。
しかし、この場合、偽薬のグループがいないので
定量的にワクチンの効果を見積もることはできませんが、
接種した人の何%くらいの人が
2回目の接種までに新型コロナウィルスに感染したか?
という一元的なデータは出てきます。
それと同時に副作用のデータも出てきます。

日本に供給予定のオックスフォード大学と
アストラゼネカ社のワクチンに関して
1回の接種の後、「2回目の接種がない」条件で
8週間にわたり88人と小規模ですが、
リンパ球や抗体の働きを
Katie J. Ewer氏らワクチントライアルグループが
評価しているので
その報告の一部を読者の方と共有したいと思います(1)。

(注目した結果)
--
抗体量は接種後56日までは維持される。
(参考文献(1) Fig.1(a,b))
--
抗体量は罹患者回復期と比べると無症状の人のレベルと近い。
中等症、重症の方と比べると1桁以上小さい。
(参考文献(1) Fig.1(a,b))
--
CD4+、CD8+T細胞などの
ヘルパーT細胞や細胞傷害性T細胞が接種で誘発される。
(参考文献(1) Fig.1(f,g))
--
SARS-CoV-2のS1タンパク質と「S2タンパク質」に対して
「T細胞」の反応が見られる。
(参考文献(1) Fig.4(a))

S2サブユニットは構造変化が起きにくい
風邪ウィルスでもあるコロナ系ウィルスで共通性の高い
タンパク質部位(2)であり、
S2に対する反応性が見られることは
仮に新型コロナウィルスが変異したとしても
あるいは新たなコロナ系ウィルスが出てきたとしても
「T細胞に関しては少なくとも」
このワクチンで効果が見られる可能性があります。
気になるのは
抗体を発現する「B細胞」の反応性はどうだったか?
その点です。
もし、S2ユニットに反応する抗体も
このワクチンで出ているとなれば、
ワクチンの効力の広範性にも関わると考えられます。

(追記)
抗体量のレベルからすると
無症状で感染した人の回復期と同じ程度なので
無症状で感染した人が
どれくらいの割合で再感染するか?
これの疫学データが
このアストラゼネカ社(さん)から提供される
ワクチンの1回「のみ」の接種における
新型コロナウィルス予防効果の予測に役立つと思われます。
抗体の持続レベルに対しては
少なくとも接種2週間後から2か月程度は維持されますが、
2回接種よりも低いレベルでも
相対的には同じ期間維持されるか?
それも安全性をより配慮して
1回接種が運用検討の枠内に入っているのであれば
重要なデータになると考えられます。
実際に日本のワクチンについて詳しい専門家の方は
「ワクチンの感染予防効果がありすぎること」
を懸念されていました。
インフルエンザワクチンが5,6割の予防効果であることも
考慮してのコメントだと思われます。
そのような意見も考慮されるものだと思われます。

以上です。

(参考文献)
(1)
Katie J. Ewer, Jordan R. Barrett, Sandra Belij-Rammerstorfer, Hannah Sharpe, Rebecca Makinson, Richard Morter, Amy Flaxman, Daniel Wright, Duncan Bellamy, Mustapha Bittaye, Christina Dold, Nicholas M. Provine, Jeremy Aboagye, Jamie Fowler, Sarah E. Silk, Jennifer Alderson, Parvinder K. Aley, Brian Angus, Eleanor Berrie, Sagida Bibi, Paola Cicconi, Elizabeth A. Clutterbuck, Irina Chelysheva, Pedro M. Folegatti, Michelle Fuskova, Catherine M. Green, Daniel Jenkin, Simon Kerridge, Alison Lawrie, Angela M. Minassian, Maria Moore, Yama Mujadidi, Emma Plested, Ian Poulton, Maheshi N. Ramasamy, Hannah Robinson, Rinn Song, Matthew D. Snape, Richard Tarrant, Merryn Voysey, Marion E. E. Watson, Alexander D. Douglas, Adrian V. S. Hill, Sarah C. Gilbert, Andrew J. Pollard, Teresa Lambe & the Oxford COVID Vaccine Trial Group
T cell and antibody responses induced by a single dose of ChAdOx1 nCoV-19 (AZD1222) vaccine in a phase 1/2 clinical trial
Nature Medicine (2020)
(2)
Kevin W. Ng et al.
Preexisting and de novo humoral immunity to SARS-CoV-2 in humans
Science  11 Dec 2020: Vol. 370, Issue 6522, pp. 1339-1343


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