2020年12月25日金曜日

再感染のリスクの評価(医療従事者のケース)

今、日本全国的に感染が広がっていて世界でも同様です。
感染の勢いは衰えることなく
むしろ強まっている印象なので
都市がロックダウン状態の国もありますし
日本でも医療緊急事態宣言が出ています。
医療関係者の方を始め
自粛生活を余儀なくされている方、
経営、経済的に問題のある方など
医療、経済、生活を著しく脅かしていますが、
「この状態がいつまで続くのか?
事態が収束することはあるのか?」
という事を考える人は多いと思います。
特に医療をされているの方は疲労が限界にきていると報道されています。
特効薬や標準的な治療ガイドラインが
定まるまで時間がかかると思いますし、
中等症や重症の患者数が増えていることから
感染初期の圧倒的に多い患者(さん)に対しての
治療まで手が回らないことから
ワクチンによる集団免疫の構築が
今、収束のためには必要ではないかと思います。
しかし、ワクチンを接種して
社会の感染の状況が収まるかどうか?
それに対しては治験において良い結果が得られていますが、
実際に社会で接種を進めていった時に感染の状況がどうなるか?
というのは未知の部分があります。
その中で
新型コロナウィルスに罹患したら
しばらく感染することはないのか?
ワクチンを接種したら新型コロナウィルス感染は防げるのか?
またそれはどれくらいの期間維持されるのか?
それについて注目が集まるところです。

S.F. Lumley氏ら医療、研究チームは
医療に従事される方の一万人以上の大規模な調査によって
感染により抗体を保持しているグループと
抗体を保持していないグループにわけ
それぞれの再感染のリスク
あるいは感染した時の症状の度合いについて
比較評価しています(1)。

//結果概要//---------------
新型コロナウィルスに感染した人(血清抗体陽性)の
その後の感染のリスクは
そうではない人に対しておおよそ1/10(11.8%)である。
感染した1265人のうち2人しか再感染していません。
再感染した2人とも症状は「無症状」です。
少なくとも再感染を評価した期間は
平均して139日です。
従って、4~5か月程度は
少なくとも再感染のリスク、感染しても症状が現れる
リスクは低い、ほとんどないということになります。
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//条件//-------------
(場所)
英イングランド南東部の州の複数の病院
オックスフォード、
チャーウェル、
ベイル・オブ・ホワイト・ホース、
西オックスフォードシャー、
南オックスフォードシャー
※オックスフォード大学病院が主導
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(評価期間)
2020年4月23日~11月30日
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(年齢)
平均:38歳
(16~86歳)
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(性別)
女性74.1%、70.9%(各比較条件)

医療従事者なので女性が多い
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(人種)
白人73.7%、59.7%(各比較条件)
次いでアジア系
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(職業)
看護師、アシスタント:34.9%、47.5%
次いで医師
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(評価期間、PCR検査頻度)
2週間に一回
※血清の検査2か月に1回
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(人数)
血清抗体陰性:11543人
血清抗体陽性:1172人
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(再感染評価日数)
血清抗体陰性:200日(IQR:180~207日)
血清抗体陽性:139日(IQR:117~147日)
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//結果//---------------
-
血清陰性グループ
新型コロナウィルスに感染していない
新型コロナウィルス免疫、抗体がない人
11543人中226人感染(PCR陽性)
1.10/10000 days at risk
1万日過ごしたら1,1回感染する頻度
おおよそ1年間で100人に1人感染する頻度
100人:無症状
123人:有症状
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血清陽性グループ
新型コロナウィルスに感染している
新型コロナウィルス事前免疫、抗体を保持
1172人中2人感染(PCR陽性)
0.13/10000 days at risk
2人:無症状
つまり症状のある再感染者はいない
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第二波がイギリスで訪れた
9月~11月に感染者が増えている
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//追記//
新型コロナウィルス陽性のグループ1172人の中において
32%は無症状であり、残りの群の中には
軽症で済んだ方もいると思います。
新型コロナウィルスの回復期の
抗体量、中和能は症状の程度によってレベルが異なる
というデータはある程度共通していて
無症状、軽症の方は少ないのが一般的です。
ワクチンで実現される抗体量、中和能は
無症状、軽症の回復期の方よりも高い値が実現されているので、
結果に対して慎重な見方はあるものの
治験の結果と合わせると
十分な感染予防効果を発揮する可能性は高い
と考えられます。

以上です。

(参考文献)
(1)
S.F. Lumley, D. O’Donnell, N.E. Stoesser, P.C. Matthews, A. Howarth, S.B. Hatch, B.D. Marsden, S. Cox, T. James, F. Warren, L.J. Peck, T.G. Ritter, Z. de Toledo, L. Warren, D. Axten, R.J. Cornall, E.Y. Jones, D.I. Stuart, G. Screaton, D. Ebner, S. Hoosdally, M. Chand, D.W. Crook, A.-M. O’Donnell, C.P. Conlon, K.B. Pouwels, A.S. Walker, T.E.A. Peto, S. Hopkins, T.M. Walker, K. Jeffery,  and D.W. Eyre, for the Oxford University Hospitals Staff Testing Group
Antibody Status and Incidence of SARS-CoV-2 Infection in Health Care Workers
The New England Journal of Medicine  December 23, 2020,

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