2020年12月17日木曜日

重症患者の治療

いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。

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50歳の以前は健康だった方が呼吸困難に陥り
2日で救急診療部に入院しました。
彼は症状を示す前は熱、咳、倦怠感がありました。
彼は急に症状が悪化しました。
体温は39.5℃
心拍数は100 beat/min、
呼吸数は24 breasths/min
血圧は130/60 mmHg
酸素飽和度は 87%
しかし、人工呼吸器、酸素吸入器などの必要はありません。
白血球数は7300/μL (リンパ球球減少)
胸部X戦では肺実質の両側に不透明部が所見
鼻咽頭スワブでPCR陽性。
このケースをどのように評価し、治療していきますか?
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アメリカのニューヨーク市の
ワイル・コーネル・メディカル・カレッジ
David A. Berlin, M.D., 
Roy M. Gulick, M.D., M.P.H.,  
Fernando J. Martinez, M.D.  
彼らは私たちに問いかけています。
彼らは、日本、ドイツも含め、
世界中で非常に問題になっている重症患者の治療について
現在わかっていることを包括しています(1)。
本日は、その報告を医療関係の方と共有し、
私自身の知識も総動員しながら一緒に考えたいと思います。
(⇒、=====内は私の考察、追記)

/臨床における問題/
新型コロナウィルスの共通する初期の症状は
・咳・熱・倦怠感・頭痛・筋肉痛・下痢です(1)。
重症化し始めるのはおおよそ症状が現れてから約1週間といいます。
参考文献(1) Figure 1からは
重症化のタイミングは7~10日になっています。
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⇒症状が現れてからの期間が大きく個人差がなく
7~10日程度と揃っているのであれば、
そこから基礎、応用研究として考えられることがあるはずです。
治療についても症状が現れてから1週間の間に
どのような治療をするか?が大事になります。
従って、入院患者の受け入れの際には、
上の症状が「いつ現れたのか?」それを確認することが肝心です。
インフルエンザでも同じですが
新型コロナウィルスでは感染初期の段階で
如何に良い治療をするかが大切です。
ウィルスの数は免疫による漸近はあるものの
基本的には指数で増えていきます。
ウィルスが増えればそれだけ免疫機能が乱れるわけですから
治療は当然難しくなります。
従って、重症化する前の1週間程度で
どのような良い医療的な介入が行えるか?
それが非常に大切になります。
この段階で大切になるのは「ウィルスを減らす」ということです。
抗体を入れるという選択肢もあるし、
応答が速いと考えられる自然免役系を
ワクチンに使われるアドジュバントで刺激するというのもあります。
重症の患者さんで回復期の抗体が多い((3)Figure.3)のは
基本的には「ウィルスの数が圧倒的に多い」からである
と考えています。
ウィルスの数が多くなれば、ウィルスはウィルス株が持つ
小さな分子パターンを自然免疫細胞のパターン認識受容体が認識して
抗原認識性を上げると考えられます。
ワクチンの場合はアドジュバントは1回か2回で
その半減期は42時間(4)という報告もあるので
すぐに消え去る可能性もあります。
しかし、ウィルスは体内で増殖を繰り返しながら長く残るので
ずっと自然免役系が刺激されている状態になると考えられます。
従って、ウィルスが長くいて数が増えると
抗体の産生効率が上がり、抗体価が上がってくると考えられます。
従って、重症化する前の初期の段階としては
上述したように「ウィルスを減らす」ということが
最重要になると考えられます。
但し、その医療的介入を行ったときに
その薬効が迅速に出るものでないと遅れる可能性があるので
その薬理の迅速性をよく考える必要があります。
例えば、ワクチンを治療に使う場合では
抗体が出るまでに時間がかかるために好ましくありません。
投薬したらすぐに反応する方法が好ましいです。
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呼吸困難は重症患者で見られる最も共通した症状であり
低酸素血症が併発しています(5,6)。
その直後、進行性の呼吸不全に陥ります。
患者は急性促拍症候群の評価基準を満たしています(7)。
・肺実質両方に浸潤物が見らえる
・肺水腫(心不全や体液過剰では説明できないもの)
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⇒低酸素になっている原因は2つ考えました
①肺胞での酸素の交換がうまくいっていない。
肺胞と血管の間の多層組織、サーファクタント(界面活性物質)
などが損傷している可能性があります。
-
②血栓ができたことによって血液循環が悪化している
-
従って、呼吸困難になっている状態の治療としては
肺胞の状態、血管の状態を検査して、
その状態から治療することが求められます。
その場合
血液系であれば、血液の粘性を変えるような従来の治療を
新型コロナウィルスで使用できるか?
肺胞であれば、肺胞の組織を回復させることが重要になります。
マクロファージなどの免疫機能、
あるいは肺胞の環境に対して吸入により介入できないか?
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重症患者の多くはリンパ球減少がある(8)。
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⇒リンパ球は、B細胞、T細胞、NK細胞があります。
B細胞は抗原認識して抗体を放出する能力が主にあります。
T細胞は他の免疫細胞の活性化に貢献したり、
感染細胞を認識して細胞傷害性を示します。
NK細胞は自然免役系でウィルスをパターン認識して
ウィルスや感染細胞を攻撃します。
抗ウィルス性の初動を担います。
高齢の方はNK細胞が減少する傾向にあるので
これがインターフェロンの分泌を悪くしたり、
感染初期でのウィルス増加抑制が
うまくいかない原因になっている可能性があります。
--
レムデシビル+バリシチニブ併用で
レムデシビルの群よりもリンパ球減少が24人から11人に減っています。
(参考文献(8) Supplementary material Table S11)
バリシチニブ併用によって中等症、重症患者の退院が
処方6日目からレムデシビル単独に比べて多くなっているので
リンパ球減少と症状の重さが関連性を持っている可能性があります。
(ただし、ECMO患者では効果が小さい。)
従って、リンパ球減少は非常に重要な検査項目です。
その場合は、B細胞、T細胞、NK細胞などが減っていますから、
これらの細胞を刺激、引き寄せる(Recruitement)させることが
必要になります。
その際、これらの細胞に働きかけるサイトカイン、
あるいは走化性、Recruitmentを示すケモカインを亢進させる
薬剤の投薬が検討項目となります。
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重症患者の多くは
・血栓閉塞性合併症(9)
・中枢、末梢神経系の異常(10)
があります。

また関連が指摘される疾患
・急性心疾患
・急性腎疾患
・急性肝臓傷害
・心臓不整脈
・横紋筋融解症
⇒直接的、間接的な筋肉傷害。筋線維の死亡、
筋線維が血管の中に入り込む。
・ショック
⇒急激な血圧の低下
・凝血[血液凝固]障害
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これらの特徴は「急性」であること。
なぜ、一気に臓器不全が起こるのか?ということです。
一つの視点としては免疫機能の障害です。
血管、毛細血管は全身に流れていて、
血管の成分の中には免疫である白血球があります。
サイトカイン、ケモカインがあります。
「多臓器不全であること」「急性であること」
「サイトカインストームがある事」
これらの事から
「慣れないウィルスが急激に増えたことによって
生じた免疫不全に起因する」
急性臓器傷害であると考えました。
従って、応急的に大切になるのは
「崩れた免疫機能を「1分でも早く」正常に近づけることです。」
(急性なので処置は急がれます。)
それを部分的に可能にする薬が今のところは
「ステロイド、デキタメタゾン」になります。
但し、リンパ球減少が見られ、
(好中球/リンパ球)比が増加しているので
免疫抑制剤がリンパ球に与える影響を考慮する必要があります。
最も好ましいのはリンパ球の数を増やして
その他の過剰に出ている炎症性免疫細胞を減らすことです。
また、相対的に「腎傷害」の頻度、
あるいは透析患者のリスクが高い(11)ことが
身体の中で主に起こっていることのヒントになる可能性があります。
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上述した臓器不全は
・高熱
・血小板減少症
・高鉄血(症)
・C反応性タンパク質
・IL-6
これらとの関連性がしてきされています(12)。
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従って、血液性の異常が多く見られます。
前駆細胞である造血幹細胞、
それが存在する骨髄に対する影響
あるいはこれらの細胞が
身体のどの部位で特異的に分裂、分化していくのか?
その上で新型コロナウィルスとの関連性を考えていく事が
少なくとも基礎、応用研究においては
一つの筋道になるかもしれません。
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胸部X線で見られる特徴
・両側への浸潤物
・すりがらすのような不透明性
(参考文献(1) Fig.2より)
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⇒すりがらす(Ground-glass)の特徴、診断
・特異的なサインではない。広範な疾患でみられる
疾患:感染症、慢性間質疾患、急性気管支疾患
・場所特異性なく平均的に不透明部が分散
(考えられる「一般的な」病因)
・空隙の部分的な埋没
・気管支の部分的な崩壊、傷害
・間質が厚くなる
⇒細胞外マトリックス(コラーゲン、フェブロネクチン)が溜まる、
それらタンパク質の物理的性質の改変、例えば、硬化(?)
・炎症
・浮腫
・線維化
・腫瘍のうろこ状の増殖
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呼吸困難の評価基準(13)
①呼吸速度 30回/分以上
(通常は12~20回、頻呼吸で25回以上)
②血液酸素飽和度 93%以下
(正常99~96%)
③動脈の酸素分圧(吸入酸素に対して)300 mmHg以下
(通常 400 mmHg以上)
④肺の浸潤物、部分面積 50%以上

((罹患者の疫学))
罹患された方のうち
①81%が中等症以下
②14%が重症
③5%がが生命に危険がある
-
③のうち49%が命を落とされた。
※中国による調査(13)
--
年齢が重症化の一番のリスク要因(14)。
--
<重症化リスクのある既往歴>
・心臓血管疾患
・糖尿病
・免疫系の疾患(imunosuppression)
・肥満
--
性別 男性>女性
--
<リスクの高い民族>
黒人、ヒスパニック系
※アメリカの調査(14)
⇒但し、医療環境など社会的な要因は排除できない
と考えています。
--
社会的な要因は影響を与える(14)。
⇒日本で亡くなられた方が少ないのは
社会的環境が良いという可能性はあります。
医療機関、行政など
治療にあたってくれる方、
あるいは環境を整えてくれる方に感謝は必要です。

((社会的な問題点))
地方を含めた地域の医療機関の不足
以下の訓練を受けたスタッフ不足
・人工呼吸器
・腎臓代替療法
・ICU(集中治療室)運用
※日本に限らず、この報告のアメリカを始め
世界で考えられる状況です。

//新型コロナウィルスの治療の戦略//-----
/初期の段階/
重症の患者さんに対しては
注意深いモニタリングが必要です。
院内感染のリスクを考えると
厳しい感染管理は全ての時間において必要とされます。
もし可能であれば、患者さんに対しても
感染飛沫の拡散を防ぐ外科手術用マスク(surgical mask)
の着用を検討すべきです(15)。
医師、看護師の方は
局所的な感染防止プログラムを作製し
個人的な感染防護装置を着用すべきです。
特に飛沫感染のリスクが高まる作業においては注意が必要です。
その作業は、例えば
・気管内挿管、それらの抜管
・気管支鏡検査法
・気道吸引
・噴霧療法
・鼻カニューレ
・非侵襲の通気
・bag-mask  deviceによる手動の通気
これらです(16)。
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⇒つまり、感染で酸素飽和濃度が下がってくると
動脈に対して酸素の供給が必要になります。
その際に空気を肺胞に余分に送り込む必要があります。
鼻腔、口腔、気管挿管などによって介入を行う場合
患者さんが咳などをする可能性もありますし、
飛沫感染のリスクが高まります。
直接作業を行う医師(の方)だけではなく、
周囲にいる看護師などのスタッフも防護装置の着用を
確実にする必要があるということだと理解しています。
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アメリカでの現在のガイドラインは
・ガウンの装着
・グローブ
・N95マスク
・目の防護
・陰圧室(エアロゾル飛沫がある作業の場合はいつでも)
これらが定められています(17)。
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⇒このような防護服のガイドラインは
これから日本の病院で入られる
清掃業者の方に対しても必要であると考えられます。
すでに現場で蓄積してきた経験も踏まえて
あるいは限られた備品も考慮しながら
どの程度の防護が必要か現場の意見が必要になると思います。

重症患者の人は長い入院生活、後遺症、
命を落とされるリスクもあります。
できるだけ早い機会に
医療従事者の方は患者さんとパートナーを組み
これから起こりうることを総括したり
(Review advanced directive)
代理の医療意思決定者の方と情報共有したり
(Surrogate medical decision makers)
適切な医療のゴールを定める必要があります。
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⇒命の危機にさらされた時の延命治療の有無もあります。
また現状では日本において重症病床、医療スタッフが
逼迫している状況なので
そういったやむおえない状況も伝えて
お互い納得のいく形での話し合いというのは
医療従事者の方と患者さん、
あるいはその家族の方と必要であるということです。

/呼吸器治療の基礎/(1)
患者は直接的な経過観察とパルスオキシメトリ(※)で
注意深く経過観察する必要があります。
------
※パルスオキシメトリは
検知器指先や耳たぶなどに付けて、侵襲を伴わずに
脈拍数と経皮的動脈血酸素飽和度 (SpO2) 
をリアルタイムでモニターするための医療機器です。
⇒日本の現場のある医療看護部長はメディアで
「酸素のモニターが重要である。」
という認識を持たれています。
従って、24時間観察できる場所に
酸素濃度を掲示するモニターを設置して逐次経過観察されています。
つまり、酸素不足になる事の体への影響は
非常に大きいことを意味しています(19,20)。
(局所的な事も含めて)酸素が不足する要因としては
①肺胞での動脈への酸素供給が上手くいかない
②血管に血栓ができる
これらが少なくとも考えられますが、
血管に血栓ができて酸素不足にあるという点においては
指先や耳たぶだけの局所的なデータでは不足する可能性がないか
という点が気になります。
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酸素は鼻カニューレ、Venturi maskの使用によって補助的に供給され
ヘモグロビンの酸素飽和濃度は90~96%に維持される必要があります(18)。
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⇒その他
・気管内挿管、それらの抜管
・気管支鏡検査法
・気道吸引
・噴霧療法
・非侵襲の通気
・bag-mask  deviceによる手動の通気
これらで補助的に酸素を供給する場合も上の酸素飽和濃度が
目安になると考えられます。
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このように挿管するかどうかの判断は
重症患者において現場の医師の中では
非常に重要であるとされています。
この時の判断基準として
--
①時期尚早の挿管のリスク
②突然呼吸が止まる事のリスク
--
これらを考え、天秤にかける必要があります。
②では大混乱の中での挿管必要性があるため
医療スタッフの感染のリスクも高まります。
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⇒挿管のリスク
〇歯(セメントなど)の損傷
〇喉、気管などの損傷
〇臓器、組織に過剰の液体が流入
〇出血
〇肺の合併症、損傷
〇誤嚥(胃内容物、酸が肺に入る)
特に高齢の方に対しては誤嚥性肺炎のリスクが通常でも高いために
気管内挿管におけるリスクは高い可能性があります。
-----
挿管するかどうかの判断は
「単一の評価基準では定められない」とされています。
医師(の方)は多面的な判断が求められます。
(参考文献(1) Figure.3(A)参照、以下説明)
--
--気管内挿管の考えられる臨床的な信号--
・差し迫った気道障害
・呼吸が持続出来ないサイン
・持続する低酸素状態
・高炭酸、酸血症
・脳障害、不適切な気道保護
-----
⇒酸素が不足して一番最初に問題になる臓器
あるいは後遺症の恐れがある臓器は脳であると考えられます。
従って、脳障害が出ている場合には
リスクの天秤の中で「挿管が優先される」ということです。
あるいは酸素が低下してきている中で
その状態が持続しそうなときには「挿管」が検討されます。
-----
--追加的な判断材料--
・疾患の進行状態は悪化しそうですか?
・気管内挿管の困難性が予想されますか?
・血行動態不安定はありますか?
・挿管は患者の今後の治療や移動の安全性を今改善しますか?
・挿管による感染の制御、医療スタッフの安全性は担保されていますか?
-----
⇒医療従事者の方のスキル、患者さんの年齢、誤嚥の状態
医療施設の環境などにもよると思います。
補助的に酸素を供給する手段が
気管内挿管以外に鼻腔カニューレなどありますが、
他の手段で代替できるか?
というのも判断材料になると思います。
------

(今述べた)鼻腔カニューレの流量を上げると(制御して)
酸素濃度の改善が見られ、
いくつかの患者で気管内挿管の抑制が可能かもしれない
という報告があります(17,18)。

(挿管に慎重性が必要な場合)
・慢性の閉塞性肺疾患
・心臓性の肺浮腫
・閉塞性睡眠時無呼吸
これらを罹患している新型コロナウィルス感染者に対しては
「急性呼吸促拍症候群が見られない場合」には
非侵襲の陽圧通気の使用は「おそらく」避けたほうがいい
とされています(1)。

高流量の鼻腔カニューレ、非侵襲の通気で
治療している患者に対しては
非侵襲人工呼吸器の必要性を示すサインがあるかどうか
注意深く経過観察する必要があります(18)。

(現在日本の医療現場で行われている)
患者さんの体勢をうつ伏せにすることや
高濃度の酸素吸入を行うことは
重症患者の酸素濃度を改善する可能性があります。
しかし、うつ伏せにすること自体が
重症患者の酸素状態を改善するかどうかは
まだ明らかになっていません(1)。
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⇒低酸素状態と免疫機能は細胞、分子レベルの研究でも
臨床においても密接に関連しているとされています。
長期間にわたる低酸素状態は
免疫による炎症を高め、マクロファージを通した
炎症系サイトカインの惹起にもつながる可能性があります(19,20)。
従って、酸素状態を適正な水準に保つという事は
ウィルスによって乱された免疫機能を改善するために
寄与する可能性があります。
逆に、ウィルスで乱された免疫の上に
低酸素の状態が続くとさらに免疫機能のバランスが
悪化する可能性もあります。
(今後詳しく調査予定です。)
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/気管内挿管/(1)
技術力を要した作業者(の方)が重症患者に対する
気管内挿管を行う必要があります。
・慣れない防護装置
・医療スタッフの感染リスク
・重度の低酸素状態の存在
これらは挿管を困難にさせる要因です。
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⇒挿管というのは傷や誤嚥の危険性があるので
通常でも難しい可能性がありますが、
新型コロナウィルスの場合は感染のリスクに気を払ったり、
動きにくい防護服を身に着けたり、
目を覆うことで視界が悪くなったり、
様々な障害があるために熟練した方が行う必要がある
と考えられます。
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挿管を行う際
・事前の酸素供給
・鎮静剤の迅速な導入
・神経筋遮断薬の迅速な導入
・抗ウィルスフィルターを気道に沿って設置
これらが「可能な限り」必要になります。
-
作業の容易性を上げるためには
・咽頭鏡検査法によるビデオによる可視化によって
比較的離れた位置からも気道の視認性が上がります(21)。
-
作業者は一回目の処置によって成功するような
選択肢、技術を選ぶ必要があります。
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⇒複数回挿管を試みることは
歯、喉、気管への傷のリスクや誤嚥のリスクを
上げる事につながるからであると考えました。
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挿管を受ける患者さんは
鎮静剤による血管拡張や陽圧の通気によって
挿管後すぐに低血圧になることが度々あります。
従って
・静脈内輸液・昇圧剤
これらは作業してすぐに投与できるように
準備しておく必要があります。
また低血圧になることに備えて、
注意深く血流の経過観察を行う必要があります(21)。

/換気、酸素補助的導入中の管理/(1)
今のところ新型コロナウィルスは
人工呼吸器の治療戦略が利点を示すだろう
急性呼吸促拍症候群の独特な特徴と関連しているか
どうかはわかりません。
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⇒新型コロナウィルスの呼吸困難が
急性呼吸促拍症候群の従来の分類に
完全に含まれるかどうかはわからないということです。
つまり、違う特徴を有している可能性は
除外できないということです。
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しかしながら、重症化した後、亡くなられた患者さんの
解剖の結果によると急性呼吸促拍症候群の兆候を示す
分散した肺胞の傷害の存在が見られたとされています(22)。
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⇒肺胞は直径約300μmで、約3億個存在するといわれています。
肺の特定の場所に損傷が固まることなく
散発的に存在することは
特異的なウィルスや免疫機能の走化性は認められない
という事を示しているのではないかと考えられます。
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新型コロナウィルスの重症患者の呼吸困難時の
呼吸器系の整合性、関連性、進展性(compliance)
および窒素、酸素、二酸化炭素のガスの交換は
急性呼吸促拍症候群で以前に治験に参加した人と
特徴の類似性が見られました(23)。
従って、臨床医は過去20年に築かれた
急性呼吸促拍症候群(ARDS)の治療ガイドラインに
従う必要があるとされています(17,18)。
-
(このARDSの治療ガイドラインの目的、方針)
・肺胞の膨満
・酸素過剰
・循環性の肺胞の損傷
これらを避けることによって
通気による肺の損傷を避けることを目的としています。
-----
⇒陽圧通気なので、どれくらいの空気圧で
通気するのか?というのが定められていると思います。
-
(参考)(24)
PEEP positive end-expiratory pressure
(usually 3 to 12 mm Hg)
positive inspiratory pressure 
(usually 5 to 25 mm Hg) 
-
肺胞が膨らんで損傷したり、酸素過剰になることがないように
適切な圧力で通気する必要があります。
通気中に酸素濃度をモニターできればさらによいのではないか
と考えます。
-----
(上述したことも踏まえた参考文献(1)内容)
肺胞の膨満を防ぐために
・通気装置によって運搬される1回あたりの換気量
・吸気の終了時の肺胞の最大圧力
これらは制限(精密に制御)される必要があります。
これを実現するために
通気を行う作業者は
「体重1kgあたり6~8mL(を目安として)」
1回あたりの換気量を制御する必要があります。
量の調整は患者の状態を見ながら行います。
患者がより酸素を必要としてるような兆候が見られれば
逐次、流量を調整することになります。
-
また臨床医は1日に数回、0.5秒間吸気を休止して
患者と通気装置の間の圧力を平衡状態にする必要があります。
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⇒通気の連続的な安定した供給を実現するためには
装置のハード面での定期的な調整が必要である
ということだと考えました。
従って、定期的に圧力をリセットする必要があります。
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肺胞の過度の膨満を防ぐために
一定となる圧力(過渡状態を除く)を
30cm of waterを超えないようにしなければなりません。
参考文献(1) Figure 3 (B)に示されるように
導入初期には過渡応答として「一時的に」30cm of water
を超えることがあります。
しかし、その後安定する際にその値を超えないようにすることです。
-
しかしながら、
肥満、不適合な胸壁を持つ患者に対しては
この圧力では足りない可能性があります。
-----
⇒これはアメリカの報告なので
平均的な身体の大きさが日本とは異なるので
日本独自の経験的な指標が大切になると考えられます。
-----

これらの陽圧通気によって適切な酸素分圧を保つことは
肺胞の損傷を防いだり、不安定な肺領域の誘発を
防ぐことに貢献します。
しかしながら
心臓への静脈還流が減少することで
血流の不安定性を引き起こすことがあります。
-----
⇒心臓に戻る静脈が減ると
心臓を通した動脈、静脈の体全体の血流の流れの恒常性
平衡状態が悪くなり、結果として血圧などが不安定になる
という事が考えられます。
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どれくらい陽圧で空気を送り込むかの最適地の決定要因において
特別ではない方法が他の方法よりも優れるとされています(17)。
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⇒つまり標準的な基準が一番いいということです。
-----

鎮静剤、鎮痛剤は
痛み、呼吸困難、苦痛、不安などにおいて
投薬を検討される必要があります。
それらは呼吸器系の反応(drive)を鈍らせるので
(外側から介入を行った)人工呼吸器などと
患者の状態が調和しやすいとされています(1)。

(追加的な投薬について)
鎮静剤は肺に空気を送り込んでいる患者さんにおいて
発熱が見られる場合には使用が勧められます(1)。
(especially important)
神経筋遮断薬は
・通気のため副筋を使っている方
・頑固な低酸素状態の方
これらで「深く鎮静状態にある」場合に
使用されることができます(17)。
(can be used)
--
これらの薬剤は呼吸数を減らすことができるため
呼吸をすることで酸素を減らし、
二酸化炭素を生み出すことを減らすことができます。
つまり、
酸素量の損失を減らすことができます。
酸素量を維持しやすくなります(25)。
また、
肺の損傷のリスクを減らしたり
自発的な呼吸を促すことができます。
-----
⇒呼吸の状態は精神状態に影響を受けます。
不安、痛みなどがあると呼吸が浅くなることも考えられます。
患者さんに対する看護師さんの心のケアや
薬によって気持ちを楽にしたり、痛みをとったりすることは
呼吸の安定にもつながるため
適性な酸素状態を無理なく維持することが可能になる
可能性があると考えました。

今日は、以上です。
治療よろしくお願いいたします。

(参考文献)
(1)
David A. Berlin, M.D., Roy M. Gulick, M.D., M.P.H.,and Fernando J. Martinez, M.D.  
Severe Covid-19
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(2)
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(4)
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