2020年12月4日金曜日

感染による免疫機構と治療戦略

いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。

身体は細胞が密に結合することで組織を作り
その組織が器官、臓器を作っています。
その間には可塑性に富む間質があって
そこにタンパク質や間質液などがあります。
あるいは血管、リンパの中にも
血液やリンパ液が流れています。
しかし
冒頭で述べた連続的な組織以外の間質などにも
膜に囲まれた細胞があります。
色んな疾患を考える時
その原因、因子が
細胞の劣化、接続切断、死滅に向かわせるのか?
他の細胞や胞などの物質を介してそうさせるのか?
完全には切り離せなくても考える必要があります。
新型コロナウィルスが直接
細胞死させるような細胞毒性があるかどうか?
というのは議論されています(2)。
しかし、それよりも多くの報告では
免疫機能の惹起が指摘されています。
その中でサイトカインストームの症状も同様です(3-5)。
つまりおそらくは
免疫機能を介して体の異常をきたしている
と考えることができます。

例えば、血液中の
interleukin-1β, 
interleukin-6, 
IP-10, TNF, 
interferon-γ,
macrophage inflammatory protein (MIP) 1α and 1β,
VEGF.
これらのサイトカインの上昇が見らえれています(6,7)。
サイトカインの寿命が短いことを考えると
これらの血液中の検出は
常時、身体全体で高まっているとも考える事ができます。
また
免疫細胞であるCD4+T細胞、CD8+T細胞の活性も上がっています(8)。

さらにウィルスの入り口である鼻腔、口腔のウィルス量と
サイトカインのレベルに正の相関がみられています。
従って、ウィルスレベルに応じて
免疫機能が高まっていることが分かります(9)。

また高血圧、糖尿病、肥満など
特に血管、血液に問題が生じる疾患
あるいは特質を持つ方のリスクが懸念されていますが、
元々、慢性的な炎症があることで
臓器不全に陥るために閾値が低くなっているため
という見解もあります(1)。

また新型コロナウィルスの特徴として
リンパ球減少と血栓(10)が生じやすいこと
が挙げられています。
リンパ球減少は特に重症化した方の
初期の症状で現れており、
他のサイトカインストームを惹起する疾患では
稀な事だと考えられています(1)。

免疫抑制剤であるデキサメタゾンが
亡くなられた方の割合を減らしている(11)ことからしても
反対の結果はあるかもしれないですが、
統計的には
炎症性免疫機能が多く出ているか
余分な免疫機能が生じている可能性が示唆されます。

新型コロナウィルスは
ウィルス量に対する免疫の感受性が高い
と考えるとするならば、
当たり前なのですが、
基本的な対策としては
体内でウィルス量を増やさないことが大事です。
そのためには
増殖回数に対して指数関数で増えていく機序に対して
増殖初期に如何に免疫機能で抑え込むか
という事が大事になります。
増えてしまうとそこから減らすことが難しくなります。
ワクチン接種のよる事前免疫のほかに
大切な機序として
重症の方が感染初期にどうして
リンパ球減少が見られるのか?
あるいは、免疫応答が遅いことは何に起因するのか?
重症化するケースでの
初期での体の応答について詳しく知ることで
それに対する薬剤が考えられます。
新型コロナウィルスは
感染初期、中期、後期で
それぞれ状況が異なるので、
それぞれのステージに対して
独自の薬剤、治療戦略が必要になると思います。

以上です。

(参考文献)
(1)
David C. Fajgenbaum, M.D., and Carl H. June, M.D.  
Cytokine Storm
The New England Journal of Medicine 2020;383:2255-73.
(2)
Denisa Bojkova et al.
SARS-CoV-2 infects and induces cytotoxic effects in human cardiomyocytes
Cardiovascular Research, Volume 116, Issue 14, 1 December 2020, Pages 2207–2215,
(3)
David S. Khoury, Adam K. Wheatley, Mitchell D. Ramuta, Arnold Reynaldi, Deborah Cromer, Kanta Subbarao, David H. O’Connor, Stephen J. Kent & Miles P. Davenport 
Measuring immunity to SARS-CoV-2 infection: comparing assays and animal models
Nature Reviews Immunology volume 20, pages727–738(2020)
(4)
Matthew Zirui Tay, Chek Meng Poh, Laurent Rénia, Paul A. MacAry & Lisa F. P. Ng 
The trinity of COVID-19: immunity, inflammation and intervention
Nature Reviews Immunology volume 20, pages363–374(2020)
(5)
Shintaro Hojyo, Mona Uchida, Kumiko Tanaka, Rie Hasebe, Yuki Tanaka, Masaaki Murakami, Toshio Hirano
How COVID-19 induces cytokine storm with high mortality
Inflamm Regen. 2020; 40: 37.
(6)
Huang C, Wang Y, Li X, et al. 
Clinical features  of  patients  infected  with  2019 novel coronavirus in Wuhan, China. 
Lancet 2020; 395: 497-506.
(7)
Zhu Z, Cai T, Fan L, et al. 
Clinical value of  immune-inflammatory  parameters  to assess the severity of coronavirus disease 2019. 
Int J Infect Dis 2020; 95: 332-9.
(8)
Mathew D, Giles JR, Baxter AE, et al. 
Deep immune profiling of COVID-19 patients reveals distinct immunotypes with therapeutic  implications.  
Science  2020; 369(6508): eabc8511.
(9)
Lucas C, Wong P, Klein J, et al. 
Longitudinal  analyses  reveal  immunological misfiring  in  severe  COVID-19.  
Nature 2020; 584: 463-9.
(10)
Klok FA, Kruip MJHA, van der Meer NJM, et al. 
Confirmation of the high cumulative incidence of thrombotic compli-cations in critically ill ICU patients with COVID-19: an updated analysis. 
Thromb Res 2020; 191: 148-50.
(11)
The RECOVERY Collaborative Group. 
Dexamethasone  in  hospitalized  patients with Covid-19 — preliminary report. 
N Engl J Med DOI: 10.1056/NEJMoa2021436.


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