2021年1月1日金曜日

モデルナ社ワクチン第3相治験結果

いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。

アメリカで昨年12月21日から
モデルナ社(さん)の新型コロナウィルスのワクチン接種が
始まりました。日本も5000万回分の供給を受ける予定なので
2500万人分のワクチンをモデルナ社から確保できることになります。
昨日の東京の感染者数が1337人で、
神奈川県など周辺の県も合わせて一気に増えています。
医療と特定の経済がもう限界にきているので、
非常に難しい状況がこれから続くと思われます。
医療に従事されている方、
高齢の方、基礎疾患があるの方など
感染のリスクが高い、あるいは感染した時に重症化しやすい方に対しては
「急ぐべきではない」という意見もありますが、
今の社会状況を考えると
1日でも早くワクチンの接種を開始してほしいと願います。
海外の変異種の存在もありますし、
すでに日本の中でもそれが起こっている可能性も否定できません。
そうした中で第一波、第二波の後のように
感染が一時、低水準になることは期待できないのではないかと思います。
本日、紹介するモデルナ社のワクチンも含めて
高齢の方や基礎疾患のある方において
接種に際して特別高いリスクがあるという情報はありません。
また感染を予防する効果は見られていることから、
経済なども含めて様々なバランス関係、天秤を考えると
ワクチンの接種を迅速に進める事が求められるのではないか
と思います。1日の短縮が大きな意味を持ちます。

本日はL.R. Baden, H.M氏ら医療、研究グループが
モデルナ社のmRNAワクチンの治験第3相の結果(1)について
読者の方と情報共有したいと思います。

//結果概要//---------
ワクチンの接種において感染のリスクは1/10程度になります。
但し、評価期間は最大で3か月程度です。
接種群の感染者が少ないために
統計的な精度の観点から1/10程度としました。
また、無症状で陽性になっている方に関しては
この結果には含まれていません。
しかし、ワクチン接種において重症化した人は0人で
38℃以上の発熱が見られた人も14134人中2人しかいませんでした。
従って、軽症化の効果もあると考えます。
効果に対して年齢依存性はなく、
高齢の方でも同様のワクチン接種予防効果があります。
軽い副反応はいくつかみられますが、
そのほとんどは1日~3日程度で収まります。
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//ワクチンについて//--------
(ワクチン名)
mRNA-1273
-
(ワクチンの設計)
脂質ナノ粒子の中に新型コロナウィルスのSタンパク質
(抗体が結合してウィルスの細胞感染を防ぐ部位を含む)
を体内で作り出すmRNAを封入。
新型コロナウィルスのSタンパク質だけ作り出すので
それ自体、細胞内で増殖することはありません。
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//条件//--------
(年齢)
18歳以上
※高校生以下のリスクの低い群に対しては
対象から除かれています。
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(接種)
2回接種:100μg 28日間空ける
偽薬:生理食塩水
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(保管条件)
2℃~8℃(接種場所における接種準備段階)
接種前において8時間まで室温で保管可能
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(接種箇所)
三角筋(肩)への筋肉注射
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(治験期間)
接種:2020年7月27日か10月23日まで
経過観察期間:最大で3か月程度
報告は2020年11月21日までのデータ
(参考文献(1) Figure3 No.at Riskの数字参照)
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(治験場所)
アメリカ、99か所
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(接種後の感染確認条件)
ワクチン接種、偽薬接種後の感染確認方法
-
A:発熱(38℃以上)、悪寒、筋肉痛、頭痛、咽頭炎、
嗅覚、味覚異常
これらの2つ以上の条件を満たす
-
B:鼻咽頭、鼻、唾液によるPCR陽性(いずれか)
-
AとBを満たせば「陽性、感染」とカウント
(※)
数万人の調査で何回も定期的にPCR検査を
全員するわけにもいかないので、上の条件を定めて、
Aのうち2つ以上の条件がある場合にPCR検査を受ける事にしている
と考えられます。
従って、参考文献(1)Discussionにも記載がありますが
Aの症状に該当しないような
無症状で陽性になった方のカウントは反映されていません。
その点に関しては注意が必要です。
しかし、それは同様に偽薬群にも当てはまります。
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(新型コロナウィルス重症の基準)
-
呼吸数:30回/分
酸素飽和度:93%以下
酸素分圧:300mmHg
呼吸不全
急性呼吸促迫症候群
昇圧剤の使用が必要(最大血圧 90mmHg以下、最小血圧 60mmHg以下)
腎臓、肝臓、神経の顕著な臨床症状
ICU
救命不可
-
これらいずれか1つに該当
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(治験参加人数)
mRNA-1273接種:15181人
偽薬:15170人
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(分類)
①18歳以上65歳まで リスクが高くない群
--
②18歳以上65歳まで リスクが高い群
高リスクの条件
-肺の疾患-
肺気腫、慢性気管支炎、肺線維症、中程度以上のぜんそく
-心臓の疾患-
心不全、冠動脈疾患、心筋症、肺高血圧
-重度の肥満-
BMI:40以上
-膵臓の疾患-
Ⅰ型、Ⅱ型糖尿病
-肝臓の疾患-
-免疫不全ウィルス感染症-
これらのいずれか一つが条件として指定されています。
--
③65歳以上
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//結果//--------
-
(左)感染人数/(右)総人数
①18歳以上65歳まで リスクが高くない群
mRNA-1273接種:5/8396
偽薬:121/8403
ワクチンの効果:95.9%
---
②18歳以上65歳まで リスクが高い群
mRNA-1273接種:2/2155
偽薬:35/2118
ワクチンの効果:94.4%
---
③65歳以上
mRNA-1273接種:4/3583
偽薬:29/3552
ワクチンの効果:86.4%
--
全体
mRNA-1273接種:11/14134
偽薬:185/14073
ワクチンの効果:94.1%
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(私の追記)

接種群は一人の感染の上下でワクチンの効果の数字は
大きく変わるため、細かい数字の上下は参考程度であると考えます。
いずれにしてもリスクは1/10程度に抑えられています。
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(感染者の重症度)
偽薬で感染した185人中32人が
上述した重症の基準を満たしています。
一方、mRNA-1273接種群の感染者11人のうち
「重症はいません。0人です。」
また、38℃以上の発熱も2人。
多い症状は倦怠感9人。頭痛10人。鼻づまり8人。
(参考文献(1) Supplementary appendix Table S13より)
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(私の追記)

ワクチンを接種した人で1か月から3か月程度の評価で
14134人中感染して発熱がみられたのは2人だけです。
従って、重症化や症状を軽くすることにも
ワクチンの接種は貢献すると考えられます。
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//副反応、副作用について//---------
1回目接種よりも2回目接種のほうが副反応が多くなる傾向。
偽薬と差があり、頻度としてやや高い副作用
・接種箇所の痛み
・頭痛
・倦怠感
・筋肉痛
・関節痛
・悪寒
(参考文献(1) Figure 2より)
副作用から回復する期間は
おおよそ1~3日間
(参考文献(1) Supplementary appendix Table S5より)
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深刻な副作用は偽薬と比較して
顕著に差があるものはないと評価します。
(参考文献(1) Supplementary appendix Table S10 S11より)
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年齢別見ると③の65歳以上の方の副反応は
参考文献(1)では①、②18~65歳より少ないという記載になっており
実際にデータを見る限り少なくとも
高齢者に対して特別副反応のリスクが高いとは評価できません。
(参考文献(1) Supplementary appendix Table S4より)
リスク別①と②の分類について
副反応については行われていません。
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以上です。

(参考文献)
(1)
L.R. Baden, H.M. El Sahly, B. Essink, K. Kotloff, S. Frey, R. Novak, D. Diemert, S.A. Spector, N. Rouphael, C.B. Creech, J. McGettigan, S. Khetan, N. Segall, J. Solis, A. Brosz, C. Fierro, H. Schwartz, K. Neuzil, L. Corey, P. Gilbert, H. Janes, D. Follmann, M. Marovich, J. Mascola, L. Polakowski, J. Ledgerwood, B.S. Graham, H. Bennett, R. Pajon, C. Knightly, B. Leav, W. Deng, H. Zhou, S. Han, M. Ivarsson, J. Miller, and T. Zaks, for the COVE Study Group
Efficacy and Safety of the mRNA-1273 SARS-CoV-2 Vaccine
The New England Journal of Medicine  December 30, 2020,


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