いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
ある医学を専門とされる先生は「2型糖尿病の治療にはインスリンの接種は適さない。」
このように言われていました。
2型糖尿病はインスリンの感受性が落ちている疾患なので
血糖値に対して敏感にインスリンの量を調整するように
それに関わる生理機序(受容体)などを制御する必要があります。
2型糖尿病の薬としてGLP-1受容体作動薬というのがあります。
これは血糖値が上がると小腸にあるL細胞から分泌され
膵臓のβ細胞表面にあるGLP-1の鍵穴に結合し
β細胞内からインスリンを分泌させます。
従って、「血糖値が高い場合にのみ」インスリンを分泌させます(2)。
このGLP1-RAは比較的新しい薬で
世界で初めて承認されたのが2005年となっています。
(参考文献(1) Fig.1より)
経口のGLP-1受容体作動薬の登場が近づいており
今、日本では第3相治験が終了している段階です。
(2019年4月15日時点の情報)
このGLP-1は上部小腸の影響吸収レートを調整することで
十二指腸の流れや胃内容物の排出レートを調整する役割もあります(3)。
従って、GLP-1受容体作動薬を使用すると、
血糖値が急上昇しないように
食後の糖の吸収をゆっくりにするように調整することに貢献します(4)。
またGLP-1受容体作動薬は脳幹や視床下部など
食欲や代謝を調整する神経系にも作用することがわかっています(5)。
実際にGLP-1受容体作動薬に対する
脳神経系の疾患についての治療についても調査されています(9)。
GLP-1作動薬は臨床試験によるメタ分析では
心拍数があがり、最大血圧が下がるという傾向がありました(6)。
しかし、GLP-1の欠損自体が2型糖尿病の
インスリンの分泌阻害、血糖値に対する感受性を下げるわけではなく
高血糖になった結果としてGLP-1が欠損することがわかっています(7)。
つまり、因果関係は
GLP1欠損⇒2型糖尿病ではなく
2型糖尿病(高血糖状態維持)⇒GLP1欠損
この関係であると考えられています。
また、DDP4阻害薬も併用されることがあります。
これは血液中でのGLP-1の不活性化を抑えることで
GLP-1レベルを上げやすくするものです(8)。
GLP-1の人における身体の部位別の機能を列挙します。
-
(中枢神経系)
吐き気があがる
摂食量が下がる
-
(心臓血管系)
心拍数上昇
心臓保護能力向上
-
(肝臓)
インスリン感受性が上がる
-
(膵臓)
インスリン放出量が上がる
ソマトスタチン放出量が上がる
グルカゴン放出量が下がる
-
(胃)
胃の排出量が下がる
-
(腎臓)
ナトリウム利尿が上がる
利尿作用がある
-
(筋肉)
インスリン感受性が上がる
-
(参考文献(1) Fig.3より)
※
Fiona M. Gribble氏、Frank Reimann氏
医療、研究グループによる報告を参考にしながら記載しました(1)。
以上です。
(参考文献)
(1)
Fiona M. Gribble & Frank Reimann
Metabolic Messengers: glucagon-like peptide 1
Nature Metabolism (2021)
(2)
秋田大学大学院医学系研究科
内分泌・代謝・老年内科学 山田 祐一郎教授
GLP-1とは?
(3)
Wu, T., Rayner, C. K., Young, R. L. & Horowitz, M.
Gut motility and enteroendocrine secretion.
Curr. Opin. Pharmacol. 13, 928–934 (2013).
(4)
Meier, J. J.
GLP-1 receptor agonists for individualized treatment of type 2 diabetes mellitus.
Nat. Rev. Endocrinol. 8, 728–742 (2012).
(5)
Knudsen, L. B. & Lau, J.
The discovery and development of liraglutide and semaglutide.
Front. Endocrinol. (Lausanne) 10, 155 (2019).
(6)
Sun, F. et al.
Impact of GLP-1 receptor agonists on blood pressure, heart rate and hypertension among patients with type 2 diabetes: a systematic review and network meta-analysis.
Diabetes Res. Clin. Pract. 110, 26–37 (2015).
(7)
Vollmer, K. et al.
Hyperglycemia acutely lowers the postprandial excursions of glucagon-like peptide-1 and gastric inhibitory polypeptide in humans.
J. Clin. Endocrinol. Metab. 94, 1379–1385 (2009).
(8)
Deacon, C. F.
Peptide degradation and the role of DPP-4 inhibitors in the treatment of type 2 diabetes.
Peptides 100, 150–157 (2018).
(9)
Müller, T. D. et al.
Glucagon-like peptide 1 (GLP-1).
Mol. Metab. 30, 72–130 (2019).

0 コメント:
コメントを投稿