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新型コロナウィルスのワクチンにおいて
アメリカのエモリー大学小児感染症科紙谷先生は
「良薬口に苦し」という言葉を使っています。
ワクチンによって発熱、倦怠感など軽い症状が現れるのは
そのワクチンが正常に効いている証拠である
ということです。
新たな抗体は楽に獲得できるものではなくて
そこには一定の苦しみはあるという事です。
しかし、実際に罹患して得るリスクよりは大きく下がります。
微熱や倦怠感といったワクチンの副反応も1,2日で収まる
という治験データがあります。
このようにワクチンを入れる事は
体外から今までにない物質を入れる事になるので
身体全身を監視している免疫機能が反応する事を意味します。
ワクチンではそれが許容範囲内にうまく収まっているから
予防的な医療介入として非常に適している
ということが今までの歴史で示されています。
しかし、臓器や細胞など移植などを行う際には
免疫が過剰に反応して、移植片対宿主病に繋がることもあります。
従って、一つの理想としては
治療効果があるけど、免疫があまり反応しない
免疫寛容性を示すことです。
そのために
自分の身体の中にすでにある物質と
高い類似性を示すものを入れたり、
あるいは免疫刺激になるエピトープ(面)を含まないように
予め設計して治療の元となる物質を入れる事が挙げられます。
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一つの方法として挙げられるのが
新型コロナウィルスが細胞に感染するときに結合する受容体である
ACE2受容体「だけ」をエクトドメイン(細胞外ドメイン)として
体内に入れる事です。
参考文献(2)Fig.1で示されるように
緑のACE2受容体単体(HrsACE2)が新型コロナウィルスの
スパイクについて細胞上にあるACE2に結合できないようにします。
この方法がいいのは参考文献(1)Fig.2(a)で示されるように
免疫信号の原因となるFcドメイン(3)をあらかじめ
細胞内で設計してACE2を作製するときに
遺伝子を操作して削除することができます。
それによってこの方式は免疫寛容的であり、
HrsACE2を入れることで余計な免疫機能を惹起させない
可能性が考えられます。
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実際にこのHrsACE2の知見は第二相に進んでいます。
(NCT04335136)。
従って、一つの治療法として効果が確認されているところです。
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Tianshu Xiao氏、Jianming Lu氏、 Jun Zhang氏ら
医療、研究グループは
この人工的に作り出した人型のACE2タンパク質を
構造的に最適化して、新型コロナウィルスと
非常に高い親和性(Max:60pM)を実現しました(1)。
本日はその内容の一部について読者の方と情報共有します。
//作製方法//ーーーーーーーー
実際にACE2を作る遺伝子を人胎児腎細胞293(HEK293)に入れて
任意のACE2受容体をエクトドメイン、単独精製しました。
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//構造最適化のポイント//ーーーーーーーー
①The C-terminal domain of T4 fibritin (foldon)
②ACE2-RBD界面の結合部位であるT27,H34,K353を変異させ
この結合において重要な部分を構造変化、最適化
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//結果//ーーーー
ACE2(615)-foldon T27W
という①②T27変異の構造変化を加えたACE2において
60pMのSタンパク質結合親和性
IC50(50%のウィルス培養環境低減率濃度)は
0.21μg/mL D614型疑似的ウィルス
0.12μg/mL G614型疑似的ウィルス
0.08μg/mL 新型コロナウィルス
これらを実現しています。
この値は結合親和性の値と一定の相関があり
結合親和性の高さがウィルス増殖に貢献していることを示しています。
(参考文献(1) Table.2より)
ーーーー
以上です。
(参考文献)
(1)
Tianshu Xiao, Jianming Lu, Jun Zhang, Rebecca I. Johnson, Lindsay G. A. McKay, Nadia Storm, Christy L. Lavine, Hanqin Peng, Yongfei Cai, Sophia Rits-Volloch, Shen Lu, Brian D. Quinlan, Michael Farzan, Michael S. Seaman, Anthony Griffiths & Bing Chen
A trimeric human angiotensin-converting enzyme 2 as an anti-SARS-CoV-2 agent
Nature Structural & Molecular Biology (2021)
(2)
Tarek Mohamed Abd El-Aziz, Ahmed Al-Sabi & James D. Stockand
Human recombinant soluble ACE2 (hrsACE2) shows promise for treating severe COVID19
Signal Transduction and Targeted Therapy volume 5, Article number: 258 (2020)
(3)
Alexander Zoufaly, Marko Poglitsch, Judith H Aberle, Wolfgang Hoepler, Tamara Seitz , Marianna Traugott, Alexander Grieb, Erich Pawelka,Hermann Laferl, Christoph Wenisch, Stephanie Neuhold, Doris Haider, Karin Stiasny, Andreas Bergthaler, Elisabeth Puchhammer-Stoeckl,Ali Mirazimi, Nuria Montserrat , Haibo Zhang, Arthur S Slutsky, Josef M Penninger
Human recombinant soluble ACE2 in severe COVID-19
Lancet Respir Med 2020;8: 1154–58
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