いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
インフルエンザ、今年の流行は抑えられています。
しかし、毎年、1月、2月ごろに流行期があります。
ワクチンも十分にあり、治療薬もあることから
新型コロナウィルスのように
流行期であっても外出自粛のようなことはありません。
それは人が長年付き合ってきて免疫がある程度保有されている
というのもあると思いますが、
ワクチンや治療薬がある事も大きいです。
治療薬ではすぐに解熱するという効果も伺っています。
治療薬にはタミフル、リレンザ、ゾフルーザがあります。
細かい機序は異なりますが、
いずれも「インフルエンザウィルスの増殖を防ぐ」薬です。
従って、ウィルスが十分に増える前の初期での
処方ができれば望まれるということです。
一方、ウィルスは脳にも隠れて残るという話もあり
症状が現れた場合には薬剤によってしっかり抑え込む
というのは非常に重要なことです。
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新型コロナウィルスの場合は治療の中で一つ難しいのが
潜伏期間が長いという特徴がある事です。
初期に気付きにくいために
治療がどうしても後手に回ってしまうということです。
さらに今は医療機関も逼迫していますから
社会的な状況としても早期治療の難しさに直面しています。
また新型のウィルスであり、
身体があまり知らないウィルス株なので
免疫機能を高く惹起してしまうと考えられ、
それによっても免疫異常が生じやすくなっていると考えられます。
従って、治療には
上述したようにウィルス増殖を抑えるだけではなく
免疫機能の調整、血液の流動性を保つなど
複数の経路が必要になっています。
そこで医師の方は
ウィルスの増殖を抑えるレムデシビルだけではなく
免疫調整のデキサメタゾン、アクテムラ、
血液の凝固を抑えるヘパリンなどを併用しています。
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ウィルスの増殖を抑えるレムデシビルは
エボラ出血熱の薬として開発され、それをリパーポスしたものです。
従って、新型コロナウィルスの抗ウィルス薬としての
開発余地はまだまだ残されていると言えます。
薬剤を投与した時に速く、多くのウィルスを消滅できれば
治療は楽になると考えられます。
また社会状況が改善されてくると早期の治療がしやすくなるので
抗ウィルス薬の効果も高まってくると思います。
つまり重症化する前に治療できるようになる可能性です。
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Shin-ichiro Hattori氏ら日本、アメリカの
医療、研究チームは試験管の結果で
レムデシビルよりも高い効果が期待できる薬剤について
報告しています(1)。
今後、動物や人で試されていくと考えられます。
本日はその内容の一部を追記しながら
読者の方と情報共有したいと思います。
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//薬剤標的酵素(プロテアーゼ:Mpro)について//ーーーーーーーー
新型コロナウィルスのグルタミンなどのペプチド結合を
この酵素の働きで切断することで
新型コロナウィルスが感染細胞内でRNAを増殖させる事に関与します。
従って、このMproは新型コロナウィルスの増殖を防ぐ
抗ウィルス薬において標的とされるものです(2-5)。
実際にレムデシビルもこのMproを標的としています。
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//評価環境//ーーーーーー
VeroE6細胞
アフリカミドリザルの腎臓上皮細胞
による培養環境
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//高い有効性が認められた薬剤:5hについて//ーーーーーーーー
インドール系(アルカノイドの一種)
その他GRL-1720についても効果が得らえた。
窒素、水素、酸素、炭素をベースとした薬剤。
5hは硫黄を含む。
(参考文献(1) Fig.2より)
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//レムデシビルと5hの比較//ーーーーーー
(抗体蛍光発光による残存ウィルスの評価)
回復期の患者(さん)の抗体を取り出し、
それを新型コロナウィルスのマーカーとして蛍光発光させることで
VeroE6細胞培養環境における薬剤投与時の
残存ウィルスを評価しています。
レムデシビルではVirus breakthrogh
つまり薬剤耐性を持つウィルス株が現れました。
(参考文献(1) Supplementary Figure.5 緑、黄色に見えている部分)
しかし、5h、GRL-1720では100μMとFig.2で確認された
十分な量を投与すると残存ウィルスは確認されませんでした。
同じ量でレムデシビルでは残存ウィルスが確認されています。
--
RNA-PCRでVeroE6細胞培養環境における
新型コロナウィルス株の減少量を
5h、レムデシビルにおける投与量を変化して評価されています。
これらの薬剤の混合、同時投与も調べています。
10μMの投与量では
レムデシビルはほとんど減少しなかったのに対して
5hは2桁程度ウィルス量が減少しています。99%低下。
同時投与の評価においては
5h 20μMと
レムデシビル+5h(10+10μM)で比較すると
薬を混合させた方が効果が高いことを示しています。
従って、
レムデシビルとの併用の効果が期待できます。
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//構造的評価//ーーーーーーーー
実際に5hがMproに構造的にどのように作用しているか
X線結晶評価によって調べられています。
(参考文献(1) Fig.6bより)
これによると
Mproの溝の部分にすっぽり埋まるような結合位置を取り
その部分は親水性があり、
ファンデルワールス力を通した
6つの水素結合を形成しています。
さらにCys-145という部分においては共有結合も形成しています。
この薬が作用した時の
Mproの融点を調べると量依存的に融点が上がり
Mproの構造的な安定性が向上したと考えられます。
このことは酵素としての動的は働きを阻害するものである
と考えられます。
また、それらの結合が強く、安定なものであると考えられます。
一方、併用されたときに効果が高いことは
Mproに対してレムデシビルと5hの結合部位が異なる
事を示している可能性があります。
ワクチンでも異なる抗体が同時に結合することで
変化に強い抑制作用を示すことが知られていますが、
薬剤においても同時に結合し、幅広いエピトープに作用することで
より交差性が高く、強い効果を発揮する可能性が考えられます。
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//筆者の追記、考察//ーーーーーーーー
新型コロナウィルスはまだ多くの科学的証拠は
揃っていませんが脳に残る可能性も否定はできない
とされているので、
このような効果の高い抗ウィルス薬が生まれることは
後遺症軽減にも貢献する可能性があります。
実際に
今、入院されている重症患者に効くかどうか?
この点に関しては実際に使われてみないとわかりませんが、
投与された時のウィルス量に依存すると考えられます。
すでにウィルス量が十分に減っていて
症状が免疫異常に強く依存している場合においては
どちらかというと免疫調整剤や血液凝固抑制剤などの
効果が大きくなると考えられます。
従って、インフルエンザでも一部謳われていますが、
ウィルス量が増える前の初期の治療として
5hような抗ウィルス性が高い薬剤が使用されることが期待されます。
早期治療を実現するためには
〇マスク・〇3密回避・〇手洗い・〇消毒・〇うがい
などの社会的な感染対策とともに
早期のワクチン接種を実現して、
医療機関の状況を改善する事が求められます。
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以上です。
(参考文献)
(1)
Shin-ichiro Hattori, Nobuyo Higashi-Kuwata, Hironori Hayashi, Srinivasa Rao Allu, Jakka Raghavaiah, Haydar Bulut, Debananda Das, Brandon J. Anson, Emma K. Lendy, Yuki Takamatsu, Nobutoki Takamune, Naoki Kishimoto, Kazutaka Murayama, Kazuya Hasegawa, Mi Li, David A. Davis, Eiichi N. Kodama, Robert Yarchoan, Alexander Wlodawer, Shogo Misumi, Andrew D. Mesecar, Arun K. Ghosh & Hiroaki Mitsuya
A small molecule compound with an indole moiety inhibits the main protease of SARS-CoV-2 and blocks virus replication
Nature Communications volume 12, Article number: 668 (2021)
Department of Refractory Viral Infections, National Center for Global Health and Medicine Research Institute, Tokyo, Japan.
Department of Intelligent Network for Infection Control, Tohoku University Hospital, Miyagi, Japan.
Department of infectious Diseases, International Research Institute of Disaster Science, Tohoku University, Miyagi, Japan.
Department of Chemistry and Department of Medicinal Chemistry and Molecular Pharmacology, Purdue University, West Lafayette, IN, USA.
Experimental Retrovirology Section, HIV and AIDS Malignancy Branch, National Cancer Institute, National Institutes of Health, Bethesda, MD, USA.
Department of Biochemistry and Department of Biological Sciences, Purdue University, West Lafayette, IN, USA.
Kumamoto Innovative Development Organization, Kumamoto University, Kumamoto, Japan.
Department of Environmental and Molecular Health Sciences, Faculty of Medical and Pharmaceutical Sciences, Kumamoto University, Kumamoto, Japan.
Graduate School of Biomedical Engineering, Tohoku University, Miyagi, Japan.
Protein Crystal Analysis Division, Japan Synchrotron Radiation Research Institute, Hyogo, Japan.
Protein Structure Section, Center for Structural Biology, National Cancer Institute, Frederick, MD, USA.
Basic Science Program, Leidos Biomedical Research, Frederick National Laboratory for Cancer Research, Frederick, MD, USA.
Viral Oncology Section, HIV and AIDS Malignancy Branch, National Cancer Institute, National Institutes of Health, Bethesda, MD, USA.
Department of Infectious Diseases, Graduate School of Medicine and Tohoku Medical Megabank Organization, Tohoku University, Miyagi, Japan.
Department of Clinical Sciences, Kumamoto University Hospital, Kumamoto, Japan
(2)
Zhang, L. et al.
Crystal structure of SARS-CoV-2 main protease provides a basis for design of improved alpha-ketoamide inhibitors.
Science, https://doi.org/10.1126/science.abb3405 (2020).
(3)
Jacobs, J. et al.
Discovery, synthesis, and structure-based optimization of a series ofN-(tert-butyl)-2-(N-arylamido)-2-(pyridin-3-yl) acetamides (ML188) as potentnoncovalent small molecule inhibitors of the severe acute respiratory syndromecoronavirus (SARS-CoV) 3CL protease.
J. Med. Chem. 56, 534–546 (2013).
(4)
Xue, X. et al.
Structures of two coronavirus main proteases: implications for substrate binding and antiviral drug design.
J. Virol. 82, 2515–2527 (2008).
(5)
Jain, R. P. et al.
Synthesis and evaluation of keto-glutamine analogues as potent inhibitors of severe acute respiratory syndrome 3CLpro.
J. Med. Chem.47, 6113–6116 (2004).
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