いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
昨日、菅総理が河野大臣を
ワクチン担当大臣として任命しました。
今まで官邸主導で各省庁に指示が分散される形で
政府の中でワクチンに対して行政がなされてましたが、
その様に指示系統を一本化することで
情報共有の精度が上がり、
行政の精緻化、迅速化が進むものと考えられます。
河野大臣のコメントの中で
「ワクチン接種を望む国民にワクチンを届ける。」
このようなことがありました。
ワクチンは自分の身を守るため、
予防的な処置として接種するものですが、
副反応が軽いものも含まれると出る場合もあるので、
個人の判断の判断に委ねられると思います。
しかし、国民の多くがマスクをしていますが、
それは自分自身の身を守るためだけではありません。
周りの方、社会に対する配慮もあります。
ワクチンも同様です。
より多くの人が接種すれば集団免疫に近づくため、
社会の中での新型コロナウィルスの脅威は下がっていきます。
そうすると
今一番苦しんでいる医療機関や飲食業、観光業の方々の
負担や経営が改善、回復されます。
それだけではなく、社会機能が回復してくると
若い方であれば、
音楽のライブなどを我慢していた人もいると思いますが、
そういったエンターテイメントの世界も回復してきます。
今の制限された日常生活も変わるという事です。
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一方で、新しく開発されたワクチンなので
正直、怖いという感覚がある人もいると思います。
従って、専門家の方々と国民の間で
正しい情報に基づいた良いコミュニケーションが大切です。
一度ではなく繰り返し何度も伝える事が肝要です。
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ワクチンに対する専門家の方も含めた気になるデータとして
「ワクチンがどれだけ持続するか?」
このことがあると思います。
今わかっている情報ではmRNAワクチンで
3か月は抗体量が維持されるという34名のデータがあります(2)。
少なくとも多くの方が接種する事を想定すると
インフルエンザと同じ年に1度くらいの頻度にしたいわけですから
抗体が生成されてから
抗体を含めた免疫機能がどう時間とともに変化していくか?
このことを調べることは非常に重要です。
Christian Gaebler氏ら医療、研究グループは
「新型コロナウィルスに罹患した患者87人に対して」
抗体と抗体の発現に関わるB細胞が
6.2か月後(192日後)にどのように変わるかというのを
詳細に調べています(1)。
本日は、その内容の一部について読者の方と
情報共有したいと思います。
※ワクチン接種に対する免疫発展ではありません。
しかし、同じような特徴を持つ可能性は考えられます。
//抗体の継続に関して//ーーーーーーーー
---
(IgG抗体)
1.3か月後⇒6.2か月後
IgG抗体は32%まで低減します。
(参考文献(1) Fig.1(b)より)
しかし、IgG抗体は引き続き検出されています。
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(中和能力)
1.3か月後⇒6.2か月後
血中の中和能力は1/5程度(20%程度)になります。
(参考文献(1) Fig.1(j)より)
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(他の報告)
実際に抗体量が減少する事は知られています。
しかし、検出できないほど下がるわけではなく
一定割合の抗体が数か月後も残ることがわかっています(3-12)。
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//B細胞の機能//ーーーーーーーー
---
B細胞の発達段階である
ナイーブB細胞、メモリB細胞、プラズマブラスト、血漿細胞
は6.2か月後も維持されます。
(参考文献(1) Extended Data Fig.3(a)(b)より)
-
Extended Data Fig.3(b)
ナイーブB細胞:2
メモリB細胞:7
プラズマブラスト:8
血漿細胞:10
-
B細胞の中の新型コロナウィルスSタンパク質受容体結合面に対する
メモリB細胞の比重は
1.3か月後⇒6.2か月後:49%⇒58%
このように高まります。
---
(抗体の質)
6か月後、抗体の量が減り、それに応じて中和能も減りますが、
抗体の性能そのものの質は6.2か月後も変わりません。
(参考文献(1) Fig.4(a)より)
---
(免疫機能の交差性)
今、日本で問題となっている欧州変異種、
南アフリカ変異種の問題があります。
欧州変異種は感染力が高いことが指摘されており、
社会的な脅威が高まっています。
このことから免疫機能が変異に対して
どのように交差性を持って反応するかというのは
重要な科学情報です。
-
E484G, Q493R, R346S(mutant spike proteins)
これらの変異を意図的に人工的に作り出した
新型コロナウィルスと同じスパイクを持つウィルスに
導入して、1.3か月後⇒6.2か月後でどう
中和能力が変化するかみました。
その結果
「6.2か月後の抗体では顕著に変異に強い
高い交差性を示す中和能が確認されました。」
(参考文献(1) Fig.4(c)青:1.3か月後 赤:6.2か月後)
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(他の報告)
B細胞の反応は基本的には長く継続する
ことが報告されています(13-15)。
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//私の追記、考察//ーーーーーーーー
今回の結果は新型コロナウィルスの患者さんの
回復後、6.2か月後の抗体、B細胞の評価結果です。
その中で抗原を認識して抗体を発現させる
B細胞の機能が維持され、
新型コロナウィルスに対する感受性、特異性があがるような
メモリー細胞の割合が上がり、
さらに変異に強い免疫機能を構築することがわかっています。
Christian Gaebler氏らの医療、研究部ループによる
参考文献(1)の結びの部分でも言われているように
このようなB細胞の記憶性の強化は
「迅速な免疫応答」に貢献する可能性がある
ということです。
基本的には新型コロナウィルスは潜伏期間が長く
症状が出るまでに遅れがあるので
暴露されて口、鼻、目からウィルスが入った時に
「迅速に体が反応する事」が少なくとも重症化を防ぎ
症状の有無に関連すると考えられます。
従って、B細胞が訓練され、
それが長く維持されることは、
今後の新型コロナウィルスとの共存、
ウィズコロナ時代において、
その脅威は段階的に下がっていく事を示唆するものです。
これが、自然な罹患ではなく
予防的医療介入であるワクチンによる
B細胞や抗体の誘発によっても同じような維持効果があるのであれば、
よりリスクの小さい形で
新型コロナウィルスに対する社会のリスクを
段階的に下げていくことができる事を示すものです。
従って、
同じような事がワクチンで生まれた免疫機能でも
確認されるかという事を調べる事は重要です。
また、インフルエンザワクチンのように
繰り返し、何種類かのワクチンを接種する事によって
B細胞を始めとする免疫機能の表現型が
どのように蓄積され、発展していくか?
このことを調べていく事は
新型コロナウィルスを始め
インフルエンザなどの他の感染症に対しても
今後、共存していく上で有用であると考えられます。
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(参考文献)
(1)
Christian Gaebler, Zijun Wang, Julio C. C. Lorenzi, Frauke Muecksch, Shlomo Finkin, Minami Tokuyama, Alice Cho, Mila Jankovic, Dennis Schaefer-Babajew, Thiago Y. Oliveira, Melissa Cipolla, Charlotte Viant, Christopher O. Barnes, Yaron Bram, Gaëlle Breton, Thomas Hägglöf, Pilar Mendoza, Arlene Hurley, Martina Turroja, Kristie Gordon, Katrina G. Millard, Victor Ramos, Fabian Schmidt, Yiska Weisblum, Divya Jha, Michael Tankelevich, Gustavo Martinez-Delgado, Jim Yee, Roshni Patel, Juan Dizon, Cecille Unson-O’Brien, Irina Shimeliovich, Davide F. Robbiani, Zhen Zhao, Anna Gazumyan, Robert E. Schwartz, Theodora Hatziioannou, Pamela J. Bjorkman, Saurabh Mehandru, Paul D. Bieniasz, Marina Caskey & Michel C. Nussenzweig
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(2)
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Durability of Responses after SARS-CoV-2 mRNA-1273 Vaccination
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