いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
今の日本の医療の状況を見ると
中等症、重症になっても入院できるかどうか
わからないわけですが、
もう少し感染が落ち着いてくると
あるいは治療技術が進んだときには、
PCR検査を受けた時点である程度その後のリスクがわかる
というのが好ましいです。
PCRは新型コロナウィルスのRNA量を調べます。
アメリカの情報ですが
そのPCRの検出限界は10^2 copies/mlとなっています(2)。
少なくとも10^3~10^4 copies/mlくらいは
検出できるのではないかと考えています。
そのRNAウィルス量は多い人では10^10 copies/mlくらいある(1)ので
少なくともPCR陽性の方の中の
ウィルス量の偏差、ばらつきは10^6 copies/mlくらいあり
6桁開きがあることになります。
このPCRで陽性、陰性という情報の裏にある
RNAウィルス量の定量的な値というのは非常に重要な情報ではないか
と考えられます。
Jeroen J. A氏ら医療、研究グループによる調査では
猿の腎臓上皮細胞であるVero細胞培養環境に
患者(さん)から取り出したサンプルをしみこませて
新型コロナウィルスが培養するかどうかを評価した時には
ウィルス量が多いほうがその確率は上がります(1)。
その閾値となる値、増殖陽性確率5%のラインは
PCR-RNA量と対応させたとき10^6.63 copies/mlとなっています。
つまり、
PCRの検出限界よりも2~4桁以上高い
RNAウィルス量でなければVero細胞感染が拡大していかない事を
示しています。
参考文献(1) Fig.1では
症状が出てからの期間とPCR-RNA量(copies/ml)の
相関が記載されています。
中等症、重症の患者さん129人のデータです。
(参考文献(1) Table 1より)
それを見ると重症の患者さんでも
症状が出始めてから5日くらい経つと
感染細胞培養しないケースが出てきており、
5日を超えると一気に感染細胞培養できる割合が下がるとともに
RNAウィルス量も下がっています。
そして15日になると感染細胞培養に成功するケースは
ほとんどなくなります。
ウィルス量もゼロにはなりませんが
10^8(copies/ml)以下でそれよりも数桁小さいケースが増えてきます。
Vero細胞で培養可能、不可能が
体内の機序とどうつながるか?
という点においては
培養環境と例えば肺胞、血液中の環境において
どちらが増殖しやすい環境か?
それを考える必要があります。
普通に考えれば、Vero細胞培養環境では
免疫細胞、抗体を共存させるわけではないので、
体内の方が増殖しにくいと考えられます。
そう考えると
発症初期におけるPCRのウィルス量の値において
少なくとも10^7(copies/ml)以上くらいの
RNA量がリスクの高い高齢の方に現れた場合には
注意が必要ですという
PCR検査時のスクリーニングができるのではないか?
と考えました。
実際にウィルス量と重症化のリスクの正の相関がある
という複数の報告があります(3-7)。
一方、抗体量に関しては80倍希釈条件で50%のウィルスを
減らすことができる状態にあれば、
細胞培養が可能になるほどのウィルスの量、状態には
ほとんどのケースでならないとされています.
(参考文献(1) Fig.2(c)より)
上述したことを踏まえるとPCR検査するときに
陽性と陰性というデータだけではなく
RNAウィルス量という数字データも
早期の治療に生かされる可能性があると考えられます。
以上です。
(参考文献)
(1)
Jeroen J. A. van Kampen, David A. M. C. van de Vijver, Pieter L. A. Fraaij, Bart L. Haagmans, Mart M. Lamers, Nisreen Okba, Johannes P. C. van den Akker, Henrik Endeman, Diederik A. M. P. J. Gommers, Jan J. Cornelissen, Rogier A. S. Hoek, Menno M. van der Eerden, Dennis A. Hesselink, Herold J. Metselaar, Annelies Verbon, Jurriaan E. M. de Steenwinkel, Georgina I. Aron, Eric C. M. van Gorp, Sander van Boheemen, Jolanda C. Voermans, Charles A. B. Boucher, Richard Molenkamp, Marion P. G. Koopmans, Corine Geurtsvankessel & Annemiek A. van der Eijk
Duration and key determinants of infectious virus shedding in hospitalized patients with coronavirus disease-2019 (COVID-19)
Nature Communications volume 12, Article number: 267 (2021)
Department of Viroscience, Erasmus MC, Rotterdam, The Netherlands. 他
(2)
Ramy Arnaout, Rose A. Lee, Ghee Rye Lee, Cody Callahan, Christina F. Yen, Kenneth P. Smith, Rohit Arora, and James E. Kirby
SARS-CoV2 Testing: The Limit of Detection Matters
bioRxiv. Preprint. 2020 Jun 4.
doi: 10.1101/2020.06.02.131144
(3)
Liu, Y. et al.
Viral dynamics in mild and severe cases of COVID-19.
Lancet Infect. Dis. 20, 656–657 (2020).
(4)
Zheng, S. et al.
Viral load dynamics and disease severity in patients infectedwith SARS-CoV-2 in Zhejiang province, China, January-March 2020:retrospective cohort study.
BMJ 369, m1443 (2020).
(5)
Lui, G. et al.
Viral dynamics of SARS-CoV-2 across a spectrum of diseaseseverity in COVID-19.
J. Infect. 81, 324–327 (2020).
(6)
He, X. et al.
Temporal dynamics in viral shedding and transmissibility of COVID-19.
Nat. Med. 26, 672–675 (2020).
(7)
Xu, T. et al.
Clinical features and dynamics of viral load in imported and non-imported patients with COVID-19.
Int. J. Infect. Dis. 94, 68–71 (2020).
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