いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
新型コロナウィルスに罹患した後、
再感染するか、あるいは感染しても無症状、軽症で済むか
あるいは後遺症の程度はどうか?
といった事は、体内にある免疫機能に影響を受けます。
体内に抗体があれば、ウィルスの細胞内への浸入を防ぐことになるし、
他の記憶型の細胞によって抗体産生の迅速性
あるいは感染細胞への攻撃性などにも影響します。
ワクチンでももちろんそうですが
新型コロナウィルスに対する免疫機能がどれくらい継続するか?
というのは非常に重要なデータです。
去年の初めから感染が始まって
すでに1年以上経過していますから、
長期間にわたる免疫持続に関する
データもこれから多く出てくると思われます。
Jennifer M. Dan氏ら医療、研究チームは
新型コロナウィルスの患者188人に対して
その後、8カ月の免疫機能に関する追跡評価を行っています(1)。
その報告の内容の一部について読者の方と情報共有したいと思います。
//結果概要//ーーーーーー
軽症者においても抗体量、記憶型B細胞、記憶型T細胞からなる
統合的な免疫機能は「少なくとも8か月間」は保持されています。
しかし、T細胞については緩やかな減少傾向がある事と
一部の人は検出限界以下でした。
軽症者と入院が必要な中等症、重症の方の比較では
中等症、重症の方の方が抗体発現に関わるB細胞、
あるいは抗体量は高い傾向にありました。
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//条件//ーーーーーー
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(調査人数)
188名
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(分析対象者の住所)
カリフォルニア、ニューヨーク
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(年齢)
19-81歳(平均40歳)
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(症状の程度)人数/総人数
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無症状:2%(4/188)
Score1:活動の制限はない
-
軽症:90%(170/188)
Score2:入院なし(活動の制限される)
Score3 入院、継続的な治療なし
-
中等症:3%(6/188)
Score4:入院、継続的な治療
Score5:入院、酸素補充あり
-
重症:4%(7/188)
Score6:入院、挿管、高濃度酸素補充
Score7:ECMO
⇒
ほとんどの方が軽症
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(症状からの分析対象日数)
6-240日(平均88日)
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//結果//ーーーーーー
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(IgG抗体)
スパイク、受容体結合面(RBD)特異的IgG抗体は
発症から240日高いレベルで維持されます。
受容体結合面特異的IgG抗体に関しては
8か月間で1桁程度の低下が見られますが、
検出限界以上の水準を保っています。
(参考文献(1) Fig.1 (A,C)より)
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⇒
新型コロナウィルスに感染後少なくとも8か月間は
再度、暴露した時には細胞へのウィルス感染が予防される
と考えられます。
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(メモリーB細胞)
スパイク、受容体結合面(RBD)特異的
メモリーB細胞は発症間もなく形成され
そこから3か月程度かけてゆっくり細胞数が向上します。
そして飽和領域に達し、そこから8か月間
ほとんど減少することなく維持されます。
(参考文献(1) Fig.2 (C,E)より)
発現する抗体のタイプとしては
時間が経過するにつれてIgG抗体の割合が多くなります。
(参考文献(1) Fig.2 (O)より)
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⇒
新型コロナウィルスに感染後少なくとも8か月間は
再度暴露した時には迅速な抗体の産生が
促されると考えられます
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(CD8+T細胞)
新型コロナウィルスに特異的なCD8+T細胞は
8か月間の間でやや減少傾向にありますが、
初期で発現した人は維持されます。
しかし、一定割合の人が
このCD8+T細胞の反応が検出限界以下です。
(参考文献(1) Fig.3 (B)より)
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⇒
新型コロナウィルスに感染後少なくとも8か月間は
再度暴露した時にはウィルスや感染細胞を
攻撃する能力があります。
但し、人によって能力差があります。
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(CD4+T細胞)
新型コロナウィルスに特異的なCD4+T細胞は
8か月間の間でやや減少傾向にありますが、
初期で発現した人は維持されます。
しかし、一定割合の人が
このCD4+T細胞の反応が検出限界以下です。
この人の割合はCD8+T細胞より少ないです。
(参考文献(1) Fig.4 (B)より)
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⇒
新型コロナウィルスに感染後少なくとも8か月間は
再度暴露した時には他の免疫機能を助ける
働きが維持されます。
但し、人によって能力差があります。
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(その他)
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IgG抗体において男女、大きな性別差はありません。
(参考文献(1) Fig.5 (A)より)
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入院した人の方がIgG、メモリーB細胞は高いが
メモリーT細胞は差がない
(参考文献(1) Fig.5 (B-E)より)
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⇒
//追記、考察//
ほとんどが軽症の人で、
軽症の人は基本的には抗体量は中等症、重症の方よりも
低いというデータがあります。
しかし、軽症でも抗体量、B細胞、T細胞の免疫機能は
少なくとも8か月間は統合的に維持されます。
これが
「感染から8が月は再感染はしない
という事を保証するものではない」ですが、
仮に陽性になったとしても初回に感染した時よりも
症状の程度は軽くなるということは考えられます。
実際に、ワクチン接種後罹患したとした時の
軽症化を示唆するデータはあります。
一方、新型コロナウィルス特異的なCD4、CD8といった
T細胞の活性が高ければ、軽症化するという報告もあります(2)。
従って、統合的な免疫機能の強化は
発症のリスクを下げるものでであると考えられます。
-
実際の疫学調査では、
2800人の新型コロナウィルス罹患者の
「症状のある」再感染は少なくとも118日間は確認されなかった(3)。
1246人の調査で6か月は
「症状のある」再感染は確認されてなかった(4)。
このような報告があります。
-
このような維持がワクチンでも同じように当てはまるか?
また抗体、B細胞、T細胞など免疫機能の統合性において
その維持能力は同様か?
そのデータが待たれます。
しかし、ウィルス特異的なT細胞の反応性は
スパイクだけを生成するワクチンにおいては
記憶性が生まれない可能性があります。
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以上です。
(参考文献)
(1)
Jennifer M. Dan, Jose Mateus, Yu Kato, Kathryn M. Hastie, Esther Dawen Yu, Caterina E. Faliti, Alba Grifoni, Sydney I. Ramirez, Sonya Haupt, April Frazier, Catherine Nakao, Vamseedhar Rayaprolu, Stephen A. Rawlings, Bjoern Peters, Florian Krammer, Viviana Simon, Erica Ollmann Saphire, Davey M. Smith, Daniela Weiskopf, Alessandro Sette, Shane Crotty
Immunological memory to SARS-CoV-2 assessed for up to 8 months after infection
Science 10.1126/science.abf4063 (2021).
(2)
C. Rydyznski Moderbacher, S. I. Ramirez, J. M. Dan, A. Grifoni, K. M. Hastie, D. Weiskopf, S. Belanger, R. K. Abbott, C. Kim, J. Choi, Y. Kato, E. G. Crotty, C. Kim,S. A. Rawlings, J. Mateus, L. P. V. Tse, A. Frazier, R. Baric, B. Peters, J. Greenbaum, E. Ollmann Saphire, D. M. Smith, A. Sette, S. Crotty,
Antigen-specific adaptive immunity to SARS-CoV-2 in acute COVID-19 and associations with age and disease severity.
Cell 183, 996–1012.e19 (2020).
(3)
D. Wyllie, R. Mulchandani, H. E. Jones, S. Taylor-Phillips, T. Brooks, A. Charlett, A. E. Ades, EDSAB-Home Investigators, A. Makin, I. Oliver, P. Moore, J. Boyes, A. Hormis, N. Todd, I. Reckless,
SARS-CoV-2 responsive T cell numbers are associated with protection from COVID-19: A prospective cohort study in keyworkers.
medRxiv 2020.11.02.20222778 [Preprint]. 4 November 2020.
(4)
S. F. Lumley, D. O’Donnell, N. E. Stoesser, P. C. Matthews, A. Howarth, S. B. Hatch, B. D. Marsden, S. Cox, T. James, F. Warren, L. J. Peck, T. G. Ritter, Z. de Toledo, L. Warren, D. Axten, R. J. Cornall, E. Y. Jones, D. I. Stuart, G. Screaton, D. Ebner, S. Hoosdally, M. Chand, O. U. H. S. T. Group, D. W. Crook, A.-M. O’Donnell, C. P. Conlon, K. B. Pouwels, A. S. Walker, T. E. Peto, S. Hopkins, T. M. Walker, K. Jeffery, D. W. Eyre,
Antibodies to SARS-CoV-2 are associated with protection against reinfection.
medRxiv 2020.11.18.20234369 [Preprint]. 19 November 2020.
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