いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
例えば、スーツをテーラーメイドで作ってもらうとします。
そうした場合には店舗にいって
自分の身体を細かく採寸してもらって
スーツの色、デザイン、生地などを細かく選択していきます。
店頭に並べられているスーツを買う場合には
それを試着室で着て、サイズが合えばすぐに購入できます。
しかし、テーラーメードの場合は
しばらく完成まで待つ必要があるし、費用も当然高くなります。
おそらく近年では採寸や服の作製技術が上がることで
完成までの時間、かかる費用は下がってきているかもしれません。
一方、これを医療でする場合には
テーラーメイド医療、精密医療と呼ばれます。
しかし、服の場合はそれが異なることによって
健康状態に著しく影響を与える事はないですが、
医療の場合は違います。
従って、その安全性と効果を定められたプログラムで
確かめる必要があります。
それは失敗に終わることもありますから
費用と時間を考えると今まで通りでは現実的ではありません。
ここの出口をよく考えないと
基礎研究で積み上げた事も臨床に応用できない
ということになります。
製薬メーカー、病院、装置メーカーも
会社や病院の存続、
従業員の給与を払う、
設備投資する
これらのためには利益を確保する必要がありますから、
費用と時間の事、
臨床応用のための現実的なプロセスを考える事は
実現する上で非常に重要な命題です。
Michael J. Mitchell氏, Margaret M. Billingsley氏,
Rebecca M. Haley氏, Marissa E. Wechsler氏,
Nicholas A. Peppas氏, Robert Langer氏の研究グループが
ナノ粒子を使った精密医療について包括しています(1)。
本日はその結論について
内容を参照しながら大部分において
独自の視点で書きました。
それについて情報共有したいと思います。
//結論//ーーーーーーーー
9回の記事にわたり参考文献(1)の内容について
追記、考察を加えながら情報共有してきました。
その中で異種的な、場所特異的な生物学上の障壁、課題を
克服するために様々なナノ粒子のデザイン、材料選択
あるいはその生体工学について紹介してきました。
このような課題は
患者さんの併存症、症状の程度、進行度、
その患者さんが持つ特有の身体の特徴などによって
より複雑になります。
従って、本当にナノ粒子が患部に届いているか
あるいはその中の機能が目的とする疾患に作用しているか
というのは結果として臨床症状の変化を見るだけではなく
ナノ粒子を追跡して観察するシステムなどを構築する
必要があると思います。
なぜなら、今述べた様に患者さんごとに作用機序が
異なる可能性があるので、ガイドラインが定められないからです。
従って、ナノ粒子が本当に働いているかどうかを
物理、化学、生物的に追跡する評価手段も含めて
ガイドラインを考える必要があります。
ナノ粒子は患者さんごとに大きさ、形、表面電荷
表面特性(形状、平坦度など)、反応性など
様々な要因の中で最適なデザインを設計する必要がありますが、
最終的には医師の方が薬を処方するときに
薬剤師の方が専用の機会で細かく指示された
薬剤設計に応じた薬剤を任意に作製することができるか?
ということです。
一般的に普及させることを考えると
薬の処方のシステム自体を大きく変える必要性もあります。
また、精密医療では患者さんとナノ粒子薬剤を一対一で
つなげる必要がありますが、
どのような指標でそれが可能になるのか
そこには様々な課題があると考えられます。
しかし、このようなシステムの場合
現状では治験を進める事が難しいです。
人それぞれ条件が異なるとなれば、
どのように安全性や効果を確かめるための
治験プログラムを組めばいいか?という課題もあります。
-
例えば、
ナノ粒子の中にAとBという薬を入れるとします。
その時にAとBという薬剤は
薬剤としてFDAに承認されているとします。
Aに対してBは禁忌ではないとします。
そしてナノ粒子自体も一般的に安全性が確かめられている
とします。
その時にそれらの組み合わせが
薬剤を併用するときと同じように許可されるか?
ということです。
しかし、ナノ粒子の装飾因子や大きさなどの
パラメータ一つ一つを承認プロセスに流すことは
おそらく現実的ではないと思われます。
なぜなら連続的(seamless)に変わるからです。
-
参考文献(1)では患者さんの層化
つまり似た病理、病態を持つ患者さんを分類して
そのうえで治験を行うことが提案されていますが、
患者さんごとに存在する「異種性の高さ」をどう考えるか?
という課題はこのような層化が行われたとしても残ります。
ある程度「寛容性」「許容範囲」を持った形での
治療を考える必要があるのか?ということです。
それに従う時点で「精密医療から離れること」
を意味すると思います。
一方、細かく分けて治験を行うことは費用や時間がかかります。
従って、少ない治験でどう効果の一般性を見出して
任意に設計できるようにするか?ということです。
特にナノ粒子の設計自由度をどう確保するか?ということです。
安全性の事も考えると
そこの壁はかなり大きいと考えられます。
ナノ粒子における精密医療を実現するためには
いろんな立場の方のコミュニケーションが必要です。
これを議論の俎上に載せるためには
この方式はほぼ間違いなく医療の発展に貢献するものだ
ということを科学的に証明する必要があります。
ーーーーーーーー
以上です。
(参考文献)
(1)
Michael J. Mitchell, Margaret M. Billingsley, Rebecca M. Haley, Marissa E. Wechsler, Nicholas A. Peppas & Robert Langer
Engineering precision nanoparticles for drug delivery
Nature Reviews Drug Discovery (2020)

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