いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
私たちは生まれながらにして
運命が遺伝子によって決まっているのか?
おそらくその運命を一部決める決定的な遺伝子はあると思います。
また一卵性双生児のように遺伝情報の一致が高ければ、
外見は見分けがつかないように非常に似るということがあります。
しかし、学生さんであれば勉強すれば頭がよくなります。
あるいは何かを夢を持つことによって
人格も変わることがあるかもしれません。
それが生まれながらにして持っていた遺伝子のみで起こっていて
そもそもそのような固定的な才能があったのか?
このことに関しては疑問符が付きます。
エピゲノムという考え方があり、
遺伝子は構造的な変化があることです。
例えば、特定の遺伝子座がメチル化する事によって
遺伝子のスイッチが変わることも考えられます。
また生活していると色んな環境変化がありますから
その影響を受けて遺伝子が変わることも考えられます。
また、今までの先祖が生きてきた過程で変わった遺伝子が
子孫である私たちに引き継がれていることもあります。
そう考えると遺伝子配列そのものだけではなく
その遺伝子に結合した装飾因子も
人を含めた生物の生理、特質に影響を与えると考えられます。
しかし、そのようなエピゲノムが
それぞれどのような表現型、
つまり特徴的な結果をもたらすのかというのは
はっきりとはわかっていないと理解しています。
もし、そのエピゲノムを正確に編集して
その部分の構造を変える事が出来たら、
その変化点において生物においてどのような影響があるか
という結果を分析する事で
影響をヒューリスティックな部分は排除できませんが
理解することができます。
「Epigenome editting」の動機の一つは
このような背景があると理解しています。
ーーーーーーーー
Muneaki Nakamura氏、Yuchen Gao氏,
Antonia A. Dominguez氏、Lei S. Qi氏
アメリカで主に活動されている医療、研究チームは
CRISPR技術を使った精密なエピゲノム編集の技術について
詳しく包括しています(1)。
本日は、その内容の一部を読者の方と
追記を加えながら情報共有したいと思います。
ーーーーーーーー
実際にエピゲノム編集を正確にするためには
編集したいクロマチン、DNA、RNAなど遺伝子配列を持つ
部位に対して特異的親和性を持つ必要があります。
そうでないと他の意図しない部分の遺伝子を変えてしまう
事に繋がります。
これを「オフターゲット効果」と呼びます。
このオフターゲット効果を下げるためには
Sequence-specific DNA-binding domains(DBDs)と呼ばれる
その遺伝子配列が特異的に持つDNA結合ドメインを認識して、
遺伝子改変、
エピゲノムに対して改変する効果を持つ物質
(Epigenetic effectors)など
装飾因子も含めた標的とする遺伝子座に固定させて
特異的な改変を実現する事が求められます。
従って、このDBDsという特異的結合面は
エピゲノム医療工学では非常に重要な役割を果たします(3-11)。
しかし、結合面での面の一致は交差性が低く
特異的親和性を示すのが難しいという課題があり、
そこでCRISPRシステムでは
実際にはREC1、REC2ドメインにCasと呼ばれる遺伝子編集する
エフェクター物質を「誘導員のように」先導する
ガイドRNAを結合させます。
このガイドRNAは小さな分子量からなるため
標的性に優れていると考えられてます(1)。
従って、Casと呼ばれる編集物質とCasに装飾した
エピゲノムに働くエフェクター物質とguideRNA両方の複合体により
標的性と編集能力を両立させたシステムとなっています。
また、オフターゲット効果を上げる要因としては
Casなどの遺伝子改変物質、エピゲノムエフェクター物質の
過剰活性などにもよるとされています(1)。
しかし、実際に遺伝子改変に成功したとしても
それがどれだけ持続するかという問題があります。
参考文献(1) Table 1に示されているように
1分未満という非常に短時間なものから
100日という長い時間もあります。
このような継続時間は細胞などが持つ
内的な改変因子との相互作用の中で変わるともいわれています(12-15)。
エピゲノムの根本的な課題の一つは
そもそもそのような遺伝子に影響を与えるような
装飾因子が実際にどこに結合しているかどうかの確認が
難しいという事です。
それを克服するために
・ナノ空孔(16)
・DNA修復や転写のプロセス追跡(17)
・相分離(18)
・エンハンサーとプロモーターの相互作用(19,20)
これらが挙げられています。
エピゲノムも含めた遺伝子編集を行う前の評価もそうですが
その介入を行った後の評価として
実際にエピゲノムも含めて編集されたのかどうかの評価においても
これらの技術は重要になると考えられます。
冒頭でも述べた様に実際には生まれてから
歳を重ねて、長い時間過ごせば、
それだけ多く環境にさらされるために
メチル化、アセチル化、ユビキチン化などを含めた
遺伝子装飾因子による遺伝子活性の改変が起こると考えられます。
老化に伴う病気
例えば、癌、神経変性、糖尿病などがありますが、
これらはエピゲノムによる要因もあると指摘されています(21-24)。
細胞特異的輸送系統の観点としては
編集したい細胞種、組織、臓器などが特定されている場合において
Cas、guideRNAを保護しながら輸送するところに
貢献できる可能性があると考えています。
主に遺伝子が表現型を示すのは
エネルギーの代謝が行われている細胞内が主要であると
考えられるので、遺伝子編集の輸送に関しては
標的とする細胞内にどう保護しながら輸送するか?
このことを考えるのが重要になると考えられます。
以上です。
(参考文献)
(1)
Muneaki Nakamura, Yuchen Gao, Antonia A. Dominguez & Lei S. Qi
CRISPR technologies for precise epigenome editing
Nature Cell Biology volume 23, pages11–22(2021)
(2)
Stricker, S. H., Köferle, A. & Beck, S.
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(3)
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Mol. Cell. Biol. 25, 4552–4564 (2005).
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Gao, X. et al.
Comparison of TALE designer transcription factors and the CRISPR/dCas9 in regulation of gene expression by targeting enhancers.
Nucleic Acids Res. 42, e155 (2014).
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