いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
それぞれの方が性別、年齢、BMI、筋肉量、既往歴、
治療中の疾患(基礎疾患を含む)、、、、、
これらの要因に対してそれぞれの条件を保有しています。
それによって新型コロナウィルス罹患
あるいはその治療に対して有利に働く部分と
逆に不利に働く部分があります。
例えば、
高齢で男性の方は一般的に新型コロナウィルス罹患すると
重症化しやすいと言われていますが、
ワクチン接種に関しては抗体も十分に出るし、
ワクチンの種類にも依りますが、
副反応が若い人よりも少ないケースがあります。
このような特徴を捉えると
高齢の男性の方は特にワクチンの接種に関して
リスクとベネフィットの天秤の中で考えらえることがあります。
一方、
女性は、重症化のリスクが少なく
亡くなられるリスクも男性よりも1.7倍少ない
という統計結果もあります(2)。
しかし、女性は「Long COVID」と呼ばれる
いわゆる後遺症が現れるケースが多いと言われています。
倦怠感などもそうですが、髪の毛が抜けるケースもあります。
重症化のリスクは小さくても
その後の生活の質の事を考えると
決して新型コロナウィルスは侮られるものではありません。
女性の免疫については後述しますが、
後遺症になりやすい一つの仮説は、
免疫機能が高まりすぎて、自己免疫疾患のような
免疫異常が出ている可能性です。
実際に髪の毛が抜ける事は免疫機能の異常と関係がある
と言われています。
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一般に男性は重症化しやすく、
女性は重症化しにくいけど後遺症が残りやすい
といった特徴がありますが、
これらにはおそらく免疫機能の性差が関わっています。
Takehiro Takahashi氏、Akiko Iwasaki氏は
免疫機能の性差について新型コロナウィルス
の観点を示しながら包括されています(1)。
本日は、その内容の一部について読者の方と情報共有したいと思います。
(※)
=====の⇒は筆者の追記、考察
//他の感染症のケース//ーーー
男性はB型肝炎やHIVにおける
ウィルス量が女性に比べて多いと言われています(3)。
---
女性はインフルエンザワクチンにおいて
強い反応性が出ると言われます。
しかし、免疫機能の反応が良いことは
諸刃の剣の側面もあります。
それによって感染症に対して過剰に免疫機能が反応して
身体に悪影響があることがあります(3)。
ーーー
//免疫機能の性差(新型コロナウィルス)//ーーー
---
(サイトカイン)(4)
男性:IL-8、IL-18が多い
女性:Ⅰ型インターフェロンが多い
(※)
IL-8:好中球走化因子(引き付ける)
IL-18:炎症性サイトカイン(マクロファージが産生)
I型インターフェロン:抗ウィルス性
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ーーー
//染色体と免疫機能の関係//ーーー
女性はXX染色体、男性はXY染色体なので
染色体と免疫機能の関係を調べることは
その性差を考える上で役に立つと考えられます。
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女性が持つX染色体のうち1つは後天的な遺伝子改変に対しては
不活性であると言われてます(X chromosome inactivation)。
しかし、Toll様受容体7がこのX染色体の不活性を抑制する
といわれています。
新型コロナウィルスなどの感染症は、
このような自然免疫系にあるToll様受容体を刺激するので
それによってX染色体の活性が上がっている可能性があります。
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CXorf21(Chromosome X Open Reading Frame 21)
このX染色体の遺伝子がインターフェロン産生と
関わっている可能性が指摘されています。
それによって全身性エリテマトーデスなどの
自己免疫疾患においての性差に関わっていることが
指摘されています(5)。
上で示したようにⅠ型インターフェロンが多いことは
このようなX染色体の遺伝子CXorf21が関わっている
可能性は否定はできません。
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ーーー
//Ⅰ型インターフェロンの性差関連因子//ーーー
血漿の中にある自然免疫系である樹状細胞は
女性においてはインターフェロン制御因子(IRF5)を
多く発現していると言われています。
これがⅠ型インターフェロンの分泌が
女性において多いことと関連していることが示唆されています(2,3)。
ーーー
//免疫機能の年齢依存とその性差//ーーー
65歳以上になると抗体を発現する能力がある
B細胞の数が減少する事が「男性のみ」で知られています(6)。
男性は62~64歳くらいを境に
免疫細胞の分布が大きく変わることが知られています。
免疫のバランスにおいてより炎症が起こりやすくなり、
病原体に応じた獲得免疫の機能も下がると言われています。
-----
⇒
このことは高齢男性の新型コロナウィルスの
重症化のリスクとも関わっている可能性があります。
従って、特に高齢の男性に関しては
予防的に抗体を作りだすワクチンの接種が推奨されると
考えます。
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一方、女性では免疫機能が変わる年齢が
男性よりも5年から6年遅いといわれています(6)。
ーーー
//ホルモンと免疫機能の関係//ーーー
男性と女性では放出されるホルモンの種類と量が異なるので
そのホルモンと関連する免疫機能を調べる事によって
免疫機能の性差を考える事につながります。
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新型コロナウィルスで細胞感染に関わるACE2受容体も
変わると言われており、このACE2発現遺伝子は
エストロゲンによって抑制されると言われています(2)。
従って、女性ホルモンが多い女性は
細胞内のACE2受容体が男性よりも少ない可能性があります。
もしそうであれば細胞内に新型コロナウィルスが
感染しにくいことを示唆します。
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女性ホルモンであるエストロゲン受容体は
多くの細胞に発現され、
自然免疫系、獲得免疫系細胞両方に存在します。
従って、エストロゲンは自然免疫
獲得免疫両方の機能に関与している可能性があります。
例えば、
エストロゲンホルモンの一種であるエストラディオールは
単球やマクロファージなどの自然免疫系からの
炎症性サイトカインを抑える働きがあります(2)。
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女性の場合は、閉経します。
平均的な閉経の年齢は50.5歳と言われています。
閉経すると女性ホルモンが減少します。
従って、閉経前後における
新型コロナウィルスなどの感染症に対する免疫機能は改変します。
また、妊娠、月経周期の中でも
エストロゲンなどの女性ホルモンは変わるので
その中で免疫機能が変わることも考えられます。
実際に卵巣での女性ホルモンなどの
内分泌物質を示すバイオマーカーは
新型コロナウィルスの重症度と相関がある
という報告もあります(7)。
このような卵巣は単球、顆粒球、NK細胞などの機能に関わっており
そこから放出される女性ホルモンエストロゲンは
組織の炎症を防ぐ効果があります(8)。
-----
⇒
特に閉経前の女性で月経周期の中で
特定の周期において後遺症がひどくなるということであれば
女性ホルモンが一部関わっている可能性があります。
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ーーー
以上です。
(参考文献)
(1)
Takehiro Takahashi and Akiko Iwasaki
Sex differences in immune responses
Science 371(6527)347-348 (2021)
(2)
Eileen P. Scully, Jenna Haverfield, Rebecca L. Ursin, Cara Tannenbaum & Sabra L. Klein
Considering how biological sex impacts immune responses and COVID-19 outcomes
Nature Reviews Immunology volume 20, pages442–447(2020)
(3)
S. L. Klein, K. L. Flanagan,
Sex differences in immune responses
Nature Reviews Immunology volume 16, pages626–638(2016)
(4)
T. Takahashi et
Nature 588, 315 (2020).
(5)
Christopher A. Odhams, Amy L. Roberts, Susan K. Vester, Carolina S. T. Duarte, Charlie T. Beales, Alexander J. Clarke, Sonja Lindinger, Samuel J. Daffern, Antonino Zito, Lingyan Chen, Leonardo L. Jones, Lora Boteva, David L. Morris, Kerrin S. Small, Michelle M. A. Fernando, Deborah S. Cunninghame Graham & Timothy J. Vyse
Interferon inducible X-linked gene CXorf21 may contribute to sexual dimorphism in Systemic Lupus Erythematosus
Nature Communications volume 10, Article number: 2164 (2019)
(6)
E. J. Márquez et al.,
Nat. Commun. 11, 751 (2020).
(7)
T. Ding et al.,
Clin. Infect. Dis. 10.1093/cid/ciaa1022 (2020).
(8)
Annechien Bouman, Maas Jan Heineman and Marijke M.Faas
Sex hormones and the immune response in humans
Human Reproduction Update, Vol.11, No.4 pp. 411–423, 2005
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