いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
新型コロナウィルスのワクチンの接種に各国課題があるようです。
その一番の理由は、
「十分な医療スタッフ(の方)を確保できないこと」
にあるようです。
なぜなら、各国、現在進行中の世界的流行の中で
患者の治療に手一杯だからです。
現在の治療とワクチン接種の両立というのは考えているよりも難しく
綿密な計画が必要であると考えられます。
昨日の読売新聞(さん)の報道では
厚生労働省は新型コロナウィルスの接種を全国1万か所の医療機関を
基本的な接種施設として、そこで冷凍保存して
そこでも接種を実施するし、
そこから近郊の地域の診療所などの施設に運び、
5日以内に使い切るようにシステムを形成すると発表しています。
従って、「2段階の対策」となっています。
基本型とサテライト型を合わせると人口5000人に一か所です。
65歳以上の人口が3617万人なので
基礎疾患の方も合わせて初めに人口の1/3程度の接種を進めるとすると
その「第一弾の人口に対して」1667人に一か所あることになります。
仮に医療スタッフの方の尽力で1日に12時間対応していただけたとすると
1時間当たり139人となりますが、それを14日間で終わらせるとすると
1時間当たり10人の接種、6分に1人となります。
ワクチンは28日間空けて2回接種ですから
トータルで1か月半程度で終わらせることができることになります。
今度は一般の人に向けて、そのペースで出来れば、
残りの2/3の人口は3か月程度で終わることになります。
もちろんこれは接種率100%での計算なので
60%~80%の方が接種してくれたとすれば
上の計算よりはもう少し余裕があります。
うまく医療機関と地域の診療所が連携できれば、
あるいは大きなトラブルがなければ、
3月末から始めて8月中旬くらいまでになんとか終わらせることができます。
高齢者の方や基礎疾患のある方は重症化するリスクが高いですから、
上手くワクチンが治験通りに機能すれば、
3月末くらいから接種し始めて5月中旬くらいに
ワクチンの効果が出てきますから、
それくらいで新たに出る重症者の数も減ってくると思います。
そうすると5月中旬くらいからは
今よりももう少し経済活動を開くことができるようになるかもしれません。
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しかし、前提としてあるのは
5000人に一か所ということは25000か所くらいですから
それぞれの施設で
医師が最低1人、看護師2人、保健所スタッフ2人くらい必要となると
医師の方、25000人、看護師、保健所の方、50000人必要になります。
東京都は人口が927万人ですから、1854か所必要になります。
そうすると医師の方は1854人、
看護師、保健所の方は3708人、東京都だけで必要になります。
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もし、これを実現できれば
先進国の中ではワクチンの調達、接種開始は遅れていますが、
接種のスピードは一番速いということになります。
海外の事情に鑑みると、このように計算する事は容易ですが
難しい問題は色々あるのだと拝察します。
ワクチンの接種に関して
このような配送、配置、接種の課題、
また安全性、国民許容度、安定確保、国内生産、データ分析など
取り巻く課題、
その課題は枚挙にいとまがありませんが、
もし、それらを高いレベルでクリアして、
2021年の後半には社会が回復しているという事が実現されれば
それは国政(政府)、地方自治、医療機関、保健所、大学など
ワクチン接種の課題に取り組んだり、環境を整えた方の成果は
測りしれないと考えられます。
医療機関、ローカルな経済を必要とする方は特に
本当に困っているので何とか成功させてほしいと考えます。
新型コロナウィルスは日本では第2波を経験してから
一旦、小康状態となりましたが、
また第3波が訪れています。今までで一番大きな波です。
それは海外でも同じです。
イギリスの方はこの状況をここで言葉にするのをためらうくらい
非常に悲観的に捉えています。
このように定期的に波がやってくることを想定すると
インフルエンザのように1年ごとの接種が必要になる可能性は高い
と考えられます。
従って、今回大規模に接種するワクチンのデータ分析とともに
新型コロナウィルスのワクチンが
身体の中でどのように働くかといった研究も必要になります。
控えめに見積もっても数十年に1度の規模の感染症といえますから、
ここでワクチン学を一気に推し進め、
その技術力を一気に高めておく必要があります。
アメリカ合衆国のLisa E. Wagar氏ら医療、研究グループは
人の扁桃腺の人工組織でワクチンを接種した時の
リンパ節を含む免疫細胞の応答について報告しています(1)。
報告は主にインフルエンザに関するものですが、
一部、新型コロナウィルスの情報もあり、
同じ呼吸器系の感染症であるので、
今後の新型コロナウィルスの同様の研究の知見として
役立つものであると考えています。
本日はその内容の一部を読者の方と情報共有したいと思います。
(※)
=====の⇒は私の見識、追記、考察
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⇒
今までは試験管やマウスを使った実験で
ワクチンを接種した時のB細胞を中心とする抗体を発現するまでの
液性免疫の機序について詳しく調べる事ができましたが
人の場合は遺伝子や環境が異なるために
それが人の体内で同様に当てはまるかどうかわからない部分がありました。
特定の組織には多くの種類の細胞があります。
免疫細胞もその一つです。
それらの連携の中で獲得免疫がワクチンの接種によって構築されるので
その発展機序を詳しく理解するためには
Lisa E. Wagar氏らのように特定の人の組織を人工的に作製し
その環境の中で免疫機能のプロセスを評価してく必要があります。
-
ただ参考文献(1)に記載されているように外科的な手術の際に
取り出された扁桃腺を培養して人工臓器を作製しているので
その提供者の身体の状態がどのようであったか?
それが結果に反映する部分があります。
例えば、免疫抑制剤であるデキサメタゾンが投薬されていれば
当然、免疫系の応答が悪くなります。
また、組織を再構築させた際のプロセス要因による
偏差も存在すると考えられています。
従って、データ上で免疫応答にバラツキがあるのは、
このような提供者(患者さん)の治療の状態、
あるいは製造プロセスに起因する部分もあるということです。
ここが一つ難しい点ではあります。
-
もし、iPS細胞などで健康な人の体内から
特定の液性免疫にかかわるリンパ節を含む扁桃腺などの組織を
人工的に構築することができれば、
提供者の類別性があがるので
このような偏差の課題を一部解決できる可能性があると考えられます。
従って、
人の身体のワクチンの免疫機能を含めた反応を評価する際には
iPS細胞の技術は非常に有用である可能性があります。
-
今回は喉の両サイドにある扁桃腺の人工臓器であり、
新型コロナウィルスを含む呼吸器系のウィルスの入り口の部分の
リンパ節を有する組織なので、有用な研究情報であると考えられます。
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//結果//ーーーーー
-
(抗原特異的B細胞)
インフルエンザワクチン接種群においては7日後
インフルエンザ特異的B細胞の発現量の増加が見られています。
(参考文献(1) Fig.1(e)より)
-
(抗原特異的CD8+T細胞)
インフルエンザワクチン接種群においては7日後
インフルエンザ特異的CD8+T細胞の発現量の増加が見られています。
(参考文献(1) Fig.2(f)より)
-
(胚中心B細胞)
インフルエンザワクチン接種群においては5日後
胚中心B細胞が増えています。
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⇒
胚中心でCD4+T細胞や血漿樹状細胞などを通した
抗原認識を行い、インフルエンザ特異的なB細胞の発展があるので
胚中心のB細胞が増えている事は胚中心での
抗原に応じたB細胞の成熟化が起こっている事を示唆するものです。
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-
(抗原特異的IgG抗体)
インフルエンザワクチン接種群においては10日後
インフルエンザ特異的IgG抗体が発現されています。
(参考文献(1) Fig.3(f)より)
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(体細胞Hypermutationの特異性)
抗原に応じた獲得免疫が生じているか評価するために
細胞がどのような遺伝子変異を経たかという評価において
インフルエンザウィルスHAのB細胞受容体に
類似性を示す遺伝子変異の割合が大きくなっています。
(参考文献(1) Fig.4(e)より)
-
(CD4+T細胞の影響)
CD4+T細胞を欠如させると
特異的なB細胞の成熟(plasmablast)とigG抗体の
分泌量は顕著に低下します。
(参考文献(1) Fig.5(c)(d)より)
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⇒
このCD4+T細胞はTh1型ですが
新型コロナウィルスのワクチンの免疫応答では
ほぼ共通してTh1型の活性(Skewed Th1)が見られています。
従って、IgG抗体の発現を支える一つの免疫機能が
高められたことを示しています。
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(新型コロナウィルスの結果)
扁桃腺人工臓器に
不活化アデノウィルスワクチン接種投与後、
14日後にB細胞の成熟、CD8+T細胞の上昇が見られています。
(参考文献(1) Fig.6(g)より)
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(アドジュバントの効果)
アルミニウム塩のアドジュバントにより
特異的B細胞の量が増えています。
(参考文献(1) Fig.6(d)より)」
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//追加情報//ーーーーーーーー
血漿中の樹状細胞はB細胞の分化を
「Ⅰ型インターフェロン」を通じて促します(2)。
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⇒
新型コロナウィルスではⅠ型インターフェロンの
感染初期の分泌が抑制されることが重症化と関連がある
とされていますが、Ⅰ型インターフェロンは
NK細胞の選択性を上げて抗ウィルス性を示すものですが、
抗体の発現を担うB細胞の成熟にも影響を与えていることが
このことから示唆されます。
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⇒
//追記、考察//ーーーーーーーーー
このようにワクチン接種に関わる液性免疫の発展機序において
それに関わる重要な細胞種が明らかになります。
ワクチンはIgG抗体の量(抗体価)、中和能を評価し
接種する私たちの関心の一つは
「その効力がいつまで続くか?」というところにあります。
その継続性を評価するときに
IgG抗体だけではなく
上述した「重要な細胞種」がワクチン接種後
どれくらい持続するか?
これについても重要な情報です。
また、間を空けて繰り返してワクチンを接種した時に
そのワクチンに対する応答時間はどうか?
あるいは、複数回接種する事において
細胞の発展はどのように変わるか?積み重なっていくか?
そういった情報も継続的な接種の上で大切になります。
この研究の一つの価値は
そのような液性免疫における重要な細胞種の特定を
人の組織でできることにあると考えています。
人工臓器の保存が可能であれば、
1年後、数年後に再度ワクチンを接種した時に
1回目とどのような変化があるか?
そのような研究も価値があると考えられます。
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(参考文献)
(1)
Lisa E. Wagar, Ameen Salahudeen, Christian M. Constantz, Ben S. Wendel, Michael M. Lyons, Vamsee Mallajosyula, Lauren P. Jatt, Julia Z. Adamska, Lisa K. Blum, Neha Gupta, Katherine J. L. Jackson, Fan Yang, Katharina Röltgen, Krishna M. Roskin, Kelly M. Blaine, Kara D. Meister, Iram N. Ahmad, Mario Cortese, Emery G. Dora, Sean N. Tucker, Anne I. Sperling, Aarti Jain, D. Huw Davies, Philip L. Felgner, Gregory B. Hammer, Peter S. Kim, William H. Robinson, Scott D. Boyd, Calvin J. Kuo & Mark M. Davis
Modeling human adaptive immune responses with tonsil organoids
Nature Medicine volume 27, pages125–135(2021)
https://doi.org/10.1038/s41591-020-01145-0
(2)
Jego, G. et al.
Plasmacytoid dendritic cells induce plasma cell differentiation through type I interferon and interleukin 6.
Immunity 19, 225–234 (2003).
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