いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
新型コロナウィルスの治療薬として
レムデシビル、デキサメタゾン、アクテムラ、
ヘパリンなどが使われますが、
これらは新型コロナウィルスのために開発された薬ではなく
他の目的で使用されてきた薬をリパーポスとして使用されています。
このように薬理を考えながら
新型コロナウィルスの治療に生かせそうな薬を選び出すことは
緊急的な使用には適していると考えられます。
なぜならすでに他の目的では承認されている薬であるからです。
新型コロナウィルスは
基本としてはレムデシビルのように
抗ウィルス性があってウィルス量を減らす薬が
薬剤開発の基本としてあると思います。
しかし、現状では顕著な効果がある薬はまだなく、
重症化する患者(さん)においては
免疫機能が乱され、肺、血管を始め
様々な臓器、組織に支障をきたします。
新型コロナウィルスの患者の様子をメディアなどで拝見すると
症状の程度に関わらず、咳こむ方が多いと感じます。
その原因の一つは肺にあると考えられます。
肺炎を併発しやすい感染症である事には間違いないので
類似性が一定程度認められる
新型コロナウィルス以外の原因で生じた肺疾患に対する
臨床研究などは、適用検討の余地があります。
ーーーーーーーー
Aaron Waxman氏らアメリカ合衆国の医療、研究グループは
間質性の肺線維症や閉塞性肺疾患を主に伴う
動脈の肺高血圧症について
血管拡張薬であるトレプロスチニルの吸入投与の効果を
二重盲検比較試験おいて確認しています(1)。
新型コロナウィルスの状況を踏まえ、
追記、考察を加えながらその内容の一部について
読者の方と情報共有したいと思います。
(※)
=====の⇒は筆者の追記、考察です。
ーーーーーーーー
//重要な結果概要//ーーーーーーーー
トレプロスチニル投与群において16週後の評価の結果
6分間歩行距離が31.12m、非投与群(偽薬)に対して平均改善しました。
肺高血圧症は運動機能が低下する事が知られているので
歩行距離が改善する事は症状が改善したことを示す
一つの機能的要因であると評価できます。
またその運動能力は非投与群では
治療初期に比べて低下している一方で
投与群では4週目から8週目に一気に歩行能力が改善しています。
その後緩やかな改善が見られています。
(参考文献(1) Figure.2より)
また、血流を送る心臓の負担を示すマーカーである
脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)は
投与群では15%低下、非投与群では46%増加となっています。
--
副作用として投与群が相対的に多いものは
・咳・頭痛・喉の炎症・口咽頭の痛み
これらとなっています。
ーーーーーーーーー
//肺高血圧症とその経緯について//ーーーーーー
肺高血圧症は肺の動脈圧と血管抵抗が上昇する事です(2)。
----
⇒
血管抵抗を示す要因は様々ですが、
一つは血管(周辺)の筋組織などの柔軟性などが関係している
と考えられます。従って組織の線維化など
新型コロナウィルスの肺炎として考えられる症状は
血管抵抗を上昇させる懸念があります。
----
WHO(世界保健機関)は肺疾患による肺高血圧症は
グループ3に分類しています。
このグループは主に慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患
にあたります。
----
⇒
新型コロナウィルスと動脈性肺高血圧症の関連については
今のところ明確な報告は揃っていない状況である
と考えています(3)。
しかし、間質性肺疾患は別名で肺線維症と呼ばれます。
肺胞、肺胞の周りの血管、気道の周りの間質と呼ばれる
組織が損傷、炎症することで生じるとされています。
新型コロナウィルスでは胸部CT画像において
組織の硬化を示す白色の部分が所見されます。
それが肺に存在する肺胞、血管、気道などの硬化を
示しているとするならば、間質性肺疾患と重なる部分がある
と評価できるのではないかと考えられます。
-----
間質性肺疾患を持つ患者の86%は
・運動能力の低下・酸素補充要・生活の質の低下・命を失う
これらのいずれかが確認されています(4-6)。
しかしながら
現状では「承認されている治療法はありません。」
-
今まで臨床研究として試された薬剤として
・Soluble guanylate cyclase stimulator:Riociguat
(可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬:リオシグアト)
がありますが、重篤な副作用が確認されたため
使用が停止されている状況です(7)。
--
Aaron Waxman氏らが参考文献(1)で効果を確認した
トレプロスチニルはプロスタサイクリンの安定類似体で
-
・肺や動脈の血管を直接的に拡張する
・血小板の凝集を抑制する
-
これらの薬理があります(8)。
吸入器による投与によって
グループ1の肺高血圧症(突発性やHIV感染症など)において
治療から12週間後に運動能力が向上したことが
報告されています(9)。
--
また間質性肺疾患などを伴う肺高血圧症である
グループ3についても血流や機能的な改善が
罹患している患者さんにおいて診られたとされています(10-13)。
ーーーーーー
//条件//ーーーーーー
①投与群②偽薬群
--
(評価期間)
2017年2月3日~2019年8月30日まで
※従って新型コロナウィルス流行前
--
(人数)
①130人②128人
※16週の治療を完了した人数
--
(年齢)
18歳以上
中央値:①65.6歳②67.4歳
65歳未満:①64人②48人
65-80歳未満:①83人②100人
80歳以上:①16人②15人
--
(性別)
女性比率:①52.1%②41.7%
--
(肺疾患の原因)
突発性間質肺炎:①39.9%②49.7%
肺線維症と気腫:①25.8%②24.5%
結合性組織不全:①24.5%②19.6%
慢性過敏性肺炎:①6.1%②5.5%
職業性肺疾患:①3.1%②0.6%
--
(突発性間質肺炎のサブカテゴリ)
突発性肺線維症:①22.7%②33.7%
突発性、かつ非特異性肺炎:①12.9%②9.8%
--
(他の薬物治療(Background therapy))
特になし:①81.6%②73.0%
--
(酸素補充装置の使用)
①73.0%②69.9%
--
(トレプロスチニルの投与方法)
吸入(Inhaled)
濃度(0.6mg/ml)
超音波、パルス輸送吸入器
(Ultrasonic, pulsed-delivery nebulizer)
1呼吸当たり6μg
1回目:3呼吸
その後、1時間経過観察
3日おきに徐々に投与量を増やす
最大投与量12呼吸(24μg)
※ただしターゲット投与量は患者によって異なる
1日4回
16週まで継続投与。
--
(運動能力測定条件)
6分間歩行
直近の投与から10分から60分後
(正確にはトレプロスチニル血漿濃度最大値から)
運動の前後、運動中には
パルスオキシメーターで酸素濃度をモニター
--
ーーーーーー
//結果//ーーーーーー
-----
-----
((運動能力))
治療開始時から6分間の歩行距離の差
4週後:4.79m
8週後:22.84m
12週後:29.2m
16週後:30.97m
(参考文献(1) Supplementary appendix Figure S3より)
-
<より効果的だった群>
女性:36.9m
ベース歩行距離350m以下:33.8m
血管抵抗が高い群(4 wood unit以上) :40.8
-
<最大薬剤投与量依存>
4-6 breath:-9.5m ※ただし人数が①6人②2人と少ない
7-9 breath:17.7m
10-12 breath:33.7m
(参考文献(1) Supplementary appendix Figure S2より)
-----
⇒
重要なのが薬剤の吸入投与量によって
結果が大きく異なる事です。
従って、治療を行う際には
薬剤投与量をしっかり最適化する事が求められます。
-----
-----
((NT-proBNP))
動脈を通して血液を送る心臓の負担についてのマーカー
①投与群
ベースライン:2118.75(pg/ml)
8週後:1915.35(pg/ml)
16週後:1957.75(pg/ml)
-
②偽薬
ベースライン:2106.05(pg/ml)
8週後:2347.6(pg/ml)
16週後:2737.45(pg/ml)
(参考文献(1) Supplementary appendix Figure S4より)
-----
-----
((副作用))※相対的に投与群が多いものを抽出
・咳(43.6%)
・頭痛(27.6%)
・喉の炎症(12.3%)
・口腔咽頭の痛み(11.0%)
-----
⇒
特に喉や口腔咽頭の痛みは差があるので
口から吸引する際にこれらの器官に
若干の負担がかかることを示している可能性があります。
ただし、頻度としては多くありません。
-----
ーーーーーー
-----
⇒
//筆者の追記、考察//ーーーーーーーー
新型コロナウィルスの回復期の治療において
医療機関でのリハビリテーションとかねて
トレプロスチニルの吸入による治療は検討される価値はある
と考えます。
その際、運動時の酸素飽和度の測定や
NT-proBNPなどのバイオマーカーをできれば検査しながら
実際に効果があるかどうかの確認が必要だと思います。
基本的には血管拡張効果があるので
血栓や炎症などが考えられる症状において
一定の奏功を示す可能性があると考えます。
ーーーーーーーー
-----
以上です。
(参考文献)
(1)
Aaron Waxman, M.D., Ph.D., Ricardo Restrepo-Jaramillo, M.D., Thenappan Thenappan, M.D., Ashwin Ravichandran, M.D., Peter Engel, M.D., Abubakr Bajwa, M.D., Roblee Allen, M.D., Jeremy Feldman, M.D., Rahul Argula, M.D., Peter Smith, Pharm.D., Kristan Rollins, Pharm.D., Chunqin Deng, M.D., Ph.D., Leigh Peterson, Ph.D., Heidi Bell, M.D., Victor Tapson, M.D.,and Steven D. Nathan, M.D.
Inhaled Treprostinil in Pulmonary Hypertension Due to Interstitial Lung Disease
The New England Journal of Medicine 2021;384:325-34.
(2)
Simonneau G, Montani D, Celermajer DS, et al.
Haemodynamic definitions and updated clinical classification of pulmo-nary hypertension.
Eur Respir J 2019; 53: 1801913.
(3)
Samar Farha, Gustavo A. Heresi
COVID-19 and Pulmonary Arterial Hypertension: Early Data and Many Questions
Ann Am Thorac Soc. 2020 Dec; 17(12): 1528–1530.
(4)
Nathan SD.
Pulmonary hypertension in interstitial lung disease.
Int J Clin Pract Suppl 2008; 160: 21-8.
(5)
Nathan SD, Hassoun PM.
Pulmonary hypertension due to lung disease and/or hypoxia.
Clin Chest Med 2013; 34: 695-705.
(6)
King CS, Shlobin OA.
The trouble with group 3 pulmonary hypertension in interstitial lung disease: dilemmas in diagnosis and the conundrum of treatment.
Chest 2020; 158: 1651-64.
(7)
Nathan SD, Behr J, Collard HR, et al.
Riociguat for idiopathic interstitial pneumonia-associated pulmonary hypertension (RISE-IIP): a randomised, placebo-controlled phase 2b study.
Lancet Respir Med 2019; 7: 780-90.
(8)
Whittle BJ, Silverstein AM, Mottola DM, Clapp LH.
Binding and activity of the prostacyclin receptor (IP) agonists, treprostinil and iloprost, at human pros-tanoid receptors: treprostinil is a potent DP1 and EP2 agonist.
Biochem Pharmacol 2012; 84: 68-75.
(9)
McLaughlin VV, Benza RL, Rubin LJ, et al.
Addition of inhaled treprostinil to oral therapy for pulmonary arterial hypertension: a randomized controlled clinical trial.
J Am Coll Cardiol 2010; 55: 1915-22.
(10)
Faria-Urbina M, Oliveira RKF, Agarwal M, Waxman AB.
Inhaled treprostinil in pulmonary hypertension associated with lung disease.
Lung 2018; 196: 139-46.
(11)
Agarwal M, Waxman AB.
Inhaled treprostinil in group-3 pulmonary hyper-tension.
J Heart Lung Transplant 2015; 34: Suppl: S343. abstract.
(12)
Bajwa AA, Shujaat A, Patel M, Thomas C, Rahaghi F, Burger CD.
The safety and tolerability of inhaled treprostinil in patients with pulmonary hypertension and chronic obstructive pulmonary disease.
Pulm Circ 2017; 7: 82-8.
(13)
Wang L, Jin Y-Z, Zhao Q-H, et al.
Hemodynamic and gas exchange effects of inhaled iloprost in patients with COPD and pulmonary hypertension.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis 2017; 12: 3353-60.
いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
実際に新型コロナウィルスに限らず
薬剤を開発するときには
条件を任意に変えて総当たり的に調べられていく
発見的問題解決を基礎とすることもあると思います。
しかし、Srinivas Niranj Chandrasekaran氏らは
イメージベースの薬剤開発について総括しています(8)。
その一つの指針としては
構造解析を精度良くして、空間的な分子、位置情報に基づいて
薬剤の作用を想定して、結果を構造でも分析します。
そのうえで生理的、薬理的な機序を考えるということです。
この場合、特定の薬効の数値だけではなく
画像ベースのデータに基づいた評価も行われることになります。
実際に新型コロナウィルスでも
抗体が新型コロナウィルスのSタンパク質に結合する様子などが
低温顕微鏡やX線結晶評価などによって画像化されています。
さらに様々なスケールで動的なデータも含めて
構造的に薬剤の作用を評価できれば、
より効果の高い、あるいは汎用的な
薬剤の開発に貢献する可能性があります。
ーーーーーーーー
イギリスのケンブリッジ大学(現:アメリカ-プリンストン大学)
オックスフォード大学の
Aartjan J. W. te Velthuis, Jonathan M. Grimes, Ervin Fodor
(敬称略)からなる医療、研究チームは
新型コロナウィルスを含むRNAウィルスの構造について
詳細に総括しています(1)。
その内容の一部を新型コロロなウィルスの状況を考慮しながら
特に複製機能に着目して、追記、考察しながら抽出しました。
本日は、それについて読者の方と情報共有したいと思います。
ーーーーーーーー
ウィルスの増殖はRNAポリメラーゼと呼ばれる酵素が関わっていいます。
そのRNAの複製においてはアンチゲノムと呼ばれる複製時の
中間生成物が関与しており、
これがRNAゲノムのコピーを生み出す
前記ポリメラーゼによって使用されます。
このアンチゲノムは相補鎖と呼ばれます。
分子生物学における相補性とは鍵と鍵穴のような関係を示している
とされています。その相補的な塩基対の形成によって
遺伝子情報をコピーする事が可能になっています。
鍵と鍵穴ですからそれぞれの塩基配列が
互いに親和性を持って結合するようになっており、
その結合した状態から複数の同じ配列の遺伝子がコピーされることになります。
但し、稀にここでコピーミスが起こることがあり、
それが今問題となっている新型コロナウィルスの変異株の
一つの原因となっていると考えられます。
実際のこれらの1本鎖のRNAは複合体となっていて
重合体となっている核タンパク質に包まれるような形となっています。
(参考文献(1) Box1より)
従って、細胞内に新型コロナウィルスが感染した時に
エンベロープタンパク質が溶けて、
中のRNAが解放された時、その複製過程において
RNA自身だけではなく、複合体として形成されている
核タンパク質の役割を考える事も重要になります。
--
ウィルスが細胞内に感染した時に、
このような核タンパク質とRNAの端(?)に
複製時の物質の反応に関わる酵素であるポリメラーゼが
結合すると考えられます。
このポリメラーゼにはその反応に関わる
いくつかの活性サイト(触媒残基)があるとされています(2-4)。
--
実際に新型コロナウィルスで使用されている
レムデシビルなどはこのような複製を抑制する働きがありますが、
RNAポリメラーゼに作用すると考えられています。
またMproなどのプロテアーゼが標的とされることもありますが、
これらは「Non-structural protein」と呼ばれ
定義によると「ウィルスの構造の一部ではない」とされています。
これは宿主によって制御されるとあるので
ウィルスが細胞内に感染した時に
核タンパク質が放出されて複製するときに
宿主の細胞から受けとるたんぱく質の事であると考えます。
--
これらのRNAポリメラーゼには4つのチャンネルがあり
そこからRNAを出し入れできるようになっています。
(参考文献(1) Fig.1a,b一番右の図より)
従って、核タンパク質にまとわりつくように
存在するウィルスのRNAはポリメラーゼによって
引き付けられ、ポリメラーゼのチャンネルを通して
出し入れされ、複製されると考えられます。
実際にポリメラーゼによって
RNAが伸張、終端されるときには
それぞれの機能に従って
ポリメラーゼは構造を柔軟に変える事が知られています(5,6)。
--
実際にShin-ichiro Hattori氏らの研究によれば
Mproを標的とした5hという薬剤が
新型コロナウィルスにおいて
レムデシビルよりも抗ウィルス効果が高い可能性がある事が
示されています(7)。
レムデシビルはポリメラーゼに作用する薬で
Mproは宿主のタンパク質であるプロテアーゼに作用する薬です。
実際にプロテアーゼ、ポリメラーゼの
分子量、活性サイトのアクセス性によって
薬剤として標的としたときの薬効が変わる可能性があると思います。
またポリメラーゼはRNAを複製する際に
様々な段階を経て、言い換えれば様々な機能を発揮します。
(参考文献(1) Fig.5より)
どの段階のプロセスに抑制性を持たせるかによって
薬剤としての効力が変わる可能性があると考えられます。
以上です。
(参考文献)
(1)
Aartjan J. W. te Velthuis, Jonathan M. Grimes & Ervin Fodor
Structural insights into RNA polymerases of negative-sense RNA viruses
Nature Reviews Microbiology (2021)
(2)
Hengrung, N. et al.
Crystal structure of the RNA- dependent RNA polymerase from influenza C virus.
Nature 527, 114–117 (2015).
(3)
Peng, Q. et al.
Structural insight into RNA synthesis by influenza D polymerase.
Nat. Microbiol. 4, 1750–1759 (2019).
(4)
Reich, S. et al.
Structural insight into cap-snatching and RNA synthesis by influenza polymerase.
Nature 516, 361–366 (2014)
(5)
Wandzik, J. M. et al.
A structure- based model for the complete transcription cycle of influenza polymerase.
Cell 181, 877–893 e21 (2020).
(6)
Kouba, T., Drncova, P. & Cusack, S.
Structural snapshots of actively transcribing influenza polymerase.
Nat. Struct. Mol. Biol. 26, 460–470 (2019).
(7)
Shin-ichiro Hattori, Nobuyo Higashi-Kuwata, Hironori Hayashi, Srinivasa Rao Allu, Jakka Raghavaiah, Haydar Bulut, Debananda Das, Brandon J. Anson, Emma K. Lendy, Yuki Takamatsu, Nobutoki Takamune, Naoki Kishimoto, Kazutaka Murayama, Kazuya Hasegawa, Mi Li, David A. Davis, Eiichi N. Kodama, Robert Yarchoan, Alexander Wlodawer, Shogo Misumi, Andrew D. Mesecar, Arun K. Ghosh & Hiroaki Mitsuya
A small molecule compound with an indole moiety inhibits the main protease of SARS-CoV-2 and blocks virus replication
Nature Communications volume 12, Article number: 668 (2021)
(8)
Srinivas Niranj Chandrasekaran, Hugo Ceulemans, Justin D. Boyd & Anne E. Carpenter
Image-based profiling for drug discovery: due for a machine-learning upgrade?
Nature Reviews Drug Discovery (2020)
いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
先日メディアで、東京都江東区の開業医の方が
かかりつけ医として新型コロナウィルスのワクチン接種に
協力してくださるという事を一つのニュースとして知りました。
この医師によれば、そのようにしないと
円滑なワクチンの接種は難しいと考えている
という事でした。
一方、
全国、市792区198町743村183の自治体があります。
メディアで伺っていますが、
それぞれの市区町村の職員の方が今、一生懸命
円滑なワクチン接種に対して準備してくれています。
先日は神奈川県の川崎市でシミュレーションがありました。
--
このような取り組みを有効にするためには
もちろん色んな要素がありますが、
一番上流にあるのはワクチンがしっかり届くことです。
ファイザー社(さん)は米国から輸入となります。
4月からは生産設備が増強されるという
首相官邸のTwitterの情報を拝見しましたが、
今、アメリカも接種が遅れていることから
早期に供給されるか不安要素はないわけではありません。
もし、ワクチンが4月初旬に届かなければ
いろんな準備も無駄とはいいませんが、
スムーズな接種の為の努力の一部は失われてしまいます。
--
その様な事も考えると
アストラゼネカ社(さん)、モデルナ社(さん)のワクチンも
保険として供給を早い段階で確保しておきたいところです。
28日の加藤官房長官の記者会見で
4500万人以上のワクチンについて
日本で生産する方針を厚生労働省に伝えた事を明らかにされました。
1500万人分に対しては3月末までに供給される契約となっています。
製造はJCRファーマ社(さん)、第一三共社(さん)などが
関わるとされています。
しかし、昨年12月に発表された第三相の治験結果では
接種された年齢は18歳から55歳までとされており(3)、
ドイツでは65歳以上は接種推奨しないとされています。
それを受けて日本政府はどのような判断をするか?です。
ただ、不活化アデノウィルスを使ったワクチンであり
保存に関しては寛容的で特殊な冷凍庫を必要としないので
地方、島、山間部の地域など
ワクチンの保管、冷凍輸送が難しいところを含めて
上手く割り当てながら
全国民に1日でも早くワクチンが届くようにしていただきたい
と思います。
ただ、一方で決められた計画があるでしょうから
その中でどれくらい弾力性を持たせることができるか?
という事になると思います。
保存温度も違うのでかなり難しい手続きとなると拝察します。
--
厚生労働省の職員の方々を始め日本政府、
JCRファーマ社、第一三共社の
交渉の貢献も、もちろんあると思いますが、
イギリスのアストラゼネカ社、オックスフォード大学に対しては、
日本に供給する事、日本で生産する事を
選択して下さった事には非常に感謝しています。
このような決断を無駄にしないためにも
精緻な計画、準備を期待します。
国民といたしましても定められたルールに従って
接種していく事が求められます。
繰り返しになりますが
世界では新型コロナウィルスワクチンは
決して供給過多ではなく行きわたらない国もありますから
国民全員が接種を受けられる供給が予定されている
日本は非常に恵まれていると考えられます。
私も含め国民はそれが当たり前ではないと
少なくとも認識する事が必要です。
--
医療機関やローカルな経済を必要としている業種の方など
体力が奪われている事は日々、報道によって伝えられています。
1日も早く負担を軽くするためにも
その決め手の一つとなるワクチン接種が
滞りなく進められることを願っています。
ーーーーーーーー
このイギリスから日本に供給される
チンパンジー由来のアデノウィルスワクチン
(以下、ChAdOx1ワクチン)
これについての免疫獲得過程に関して
Nicholas M. Provine, Ali Amini, Lucy C. Garner, Alexandra J. Spencer,
Christina Dold, Claire Hutchings, Laura Silva Reyes,
Michael E. B. FitzPatrick, Senthil Chinnakannan,
Blanche Oguti, Meriel Raymond, Marta Ulaszewska,
Fulvia Troise, Hannah Sharpe, Sophie B. Morgan,
Timothy S. C. Hinks, Teresa Lambe, Stefania Capone,
Antonella Folgori, Eleanor Barnes, Christine S. Rollier,
Andrew J. Pollard, Paul Klenerman(敬称略)
からなるイギリス、イタリアの医療、研究チームが
アメリカの科学雑誌サイエンスで報告されています(1)ので
その内容の一部について読者の方と情報共有したいと思います。
(※)
=====の⇒は読者の追記、考察です。
//概要、重要な内容まとめ//ーーーーーーーー
ChAdOx1ワクチンは自然免疫系と獲得免疫系のつなぎ役(4)となる
粘膜に関連するT細胞(MAIT細胞)を活性化します。
単球や樹状細胞がこの不活化ウィルスを抗原認識して
それによって生み出されたサイトカインによって活性化されます。
(参考文献(2) Figureより)
このMAIT細胞はワクチンによる獲得免疫において
アドジュバントとして働いている可能性があります。
(補助的な役割)
それらのサイトカインに対して陽性なT細胞は
MAIT細胞の活性化に部分的に関わっています。
またアデノウィルスの種類によってMAIT細胞の活性化の
度合いは変わっています。
このチンパンジー由来のChAdOx1は他のAd5などと比較しても
高くMAIT細胞を活性化することがわかっています。
実際にこのワクチン接種によって高められた
MAIT細胞が獲得免疫系であるT細胞、B細胞において
ウィルス特異的な発展に関わっているかどうかは不明ですが
B細胞に関してはMAIT細胞が活性化される事により
抗体の発現が活性化されることが報告されています。
ただし、HIV/SIVワクチン、感染のケース。
(参考文献(5) Figure.6G,Hより)
またMAIT細胞は脳を始め
脂肪組織、腸、関節、肝臓、すい臓、肺(?)、唾液腺、皮膚
などに血流などを通して拡散する事が知られています。
(参考文献(4) Fig.2より)
従って、特異的ではない抗原認識など
自然免疫系の要素を持つT細胞であるMAIT細胞の働きについて
T細胞やB細胞などの特異的発展を含めた
新型コロナウィルスでの詳細な研究が待たれます。
しかし、
このMAIT細胞はインターフェロン依存的な活性化が認められており
新型コロナウィルスで重症化する患者(さん)においては
このインターフェロンの反応が抑制されるということもあります。
また新型コロナウィルスでのリスク因子となっている
2型糖尿病、肥満、老化などによって
MAIT細胞の反応が変わるという指摘もあります。
(参考文献(4) Table 3より)
従って、これらのリスク因子に対する
ChAdOx1ワクチンの生理反応の相違という点も
調べる余地がある可能性があります。
ーーーーーーーー
//結果//ーーーーーー
--
(インターフェロン依存的なCD69+MAIT細胞変化量)
インターフェロンの量が向上すると
MAIT細胞分泌量は増加します。
※CD69はMAIT細胞活性化に関わる受容体
(参考文献(1) Fig.2C、Fig.4Bより)
--
(MAIT細胞の有無によるT細胞の影響)
MAIT細胞はMR1受容体を抗原認識細胞(単球、樹状細胞など)
をTCR(T細胞受容体)を介して結合して活性化されます。
(参考文献(4) Fig.1より)
このMR1を欠損させる事によりMAIT細胞の発現の有無を
実現しています。
それによるとCD107、IFNγ、TNF陽性の
CD8T細胞おいてMAIT細胞が欠損することにより
その量を減らすことがわかっています。
これらはMAIT細胞を自然免疫系から活性化させる
サイトカイン特異的なCD8+T細胞です。
(参考文献(1) Fig.4C,D,E,Fより)
--
(血漿樹状細胞とインターフェロンの関係)
樹状細胞が欠損することでIFNαは顕著に少なくなっています。
(参考文献(1) Fig.2Hより)
--
(単球とインターフェロン陽性MAIT細胞の関係)
CD14+単球が欠損するこでIFN-γ陽性MAIT細胞の数が
ほとんど検出されなくなっています。
(参考文献(1) Fig.3Bより)
--
(インターフェロン陽性MAIT細胞の偏差要因)
アデノウィルスの種類によって
IFNγ陽性MAIT細胞の割合が変わります。
また、個人差があります。
(参考文献(1) Fig.1Eより)
ーーーーーー
以上です。
(参考文献)
(1)
Nicholas M. Provine, Ali Amini, Lucy C. Garner, Alexandra J. Spencer, Christina Dold, Claire Hutchings, Laura Silva Reyes, Michael E. B. FitzPatrick, Senthil Chinnakannan, Blanche Oguti, Meriel Raymond, Marta Ulaszewska, Fulvia Troise, Hannah Sharpe, Sophie B. Morgan, Timothy S. C. Hinks, Teresa Lambe, Stefania Capone, Antonella Folgori, Eleanor Barnes, Christine S. Rollier, Andrew J. Pollard, Paul Klenerman
MAIT cell activation augments adenovirus vector vaccine immunogenicity
Science 371 (6528) 521-526 (2021)
(2)
Jennifer A. Juno, Shelby L. O'Connor
Translating viral vaccines into immunity
Science 371 (6528) 460-461 (2021)
(3)
Merryn Voysey*, Sue Ann Costa Clemens*, Shabir A Madhi*, Lily Y Weckx*, Pedro M Folegatti*, Parvinder K Aley, Brian Angus, Vicky L Baillie, Shaun L Barnabas, Qasim E Bhorat, Sagida Bibi, Carmen Briner, Paola Cicconi, Andrea M Collins, Rachel Colin-Jones, Clare L Cutland, Thomas C Darton, Keertan Dheda, Christopher J A Duncan, Katherine R W Emary, Katie J Ewer, Lee Fairlie, Saul N Faust, Shuo Feng, Daniela M Ferreira, Adam Finn, Anna L Goodman, Catherine M Green, Christopher A Green, Paul T Heath, Catherine Hill, Helen Hill, Ian Hirsch, Susanne H C Hodgson, Alane Izu, Susan Jackson, Daniel Jenkin, Carina C D Joe, Simon Kerridge, Anthonet Koen, Gaurav Kwatra, Rajeka Lazarus, Alison M Lawrie, Alice Lelliott, Vincenzo Libri, Patrick J Lillie, Raburn Mallory, Ana V A Mendes, Eveline P Milan, Angela M Minassian, Alastair McGregor, Hazel Morrison, Yama F Mujadidi, Anusha Nana, Peter J O’Reilly, Sherman D Padayachee, Ana Pittella, Emma Plested, Katrina M Pollock, Maheshi N Ramasamy, Sarah Rhead, Alexandre V Schwarzb
Nisha Singh, Andrew Smith, Rinn Song, Matthew D Snape, Eduardo Sprinz, Rebecca K Sutherland, Richard Tarrant, Emma C Thomson, M Estée Török, Mark Toshner, David P J Turner, Johan Vekemans, Tonya L Villafana, Marion E E Watson, Christopher J Williams, Alexander D Douglas*, Adrian V S Hill*, Teresa Lambe*, Sarah C Gilbert*, Andrew J Pollard* on behalf of the Oxford COVID Vaccine Trial Group†
Safety and efficacy of the ChAdOx1 nCoV-19 vaccine (AZD1222) against SARS-CoV-2: an interim analysis of four randomised controlled trials in Brazil, South Africa, and the UK
The Lancet (2020) doi.org/10.1016/S0140-6736(20)32661-1
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Mucosal-associated invariant T (MAIT) cells provide B-cell help in vaccinated and subsequently SIV-infected Rhesus Macaques
Scientific Reports volume 10, Article number: 10060 (2020)
いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
インフルエンザ、今年の流行は抑えられています。
しかし、毎年、1月、2月ごろに流行期があります。
ワクチンも十分にあり、治療薬もあることから
新型コロナウィルスのように
流行期であっても外出自粛のようなことはありません。
それは人が長年付き合ってきて免疫がある程度保有されている
というのもあると思いますが、
ワクチンや治療薬がある事も大きいです。
治療薬ではすぐに解熱するという効果も伺っています。
治療薬にはタミフル、リレンザ、ゾフルーザがあります。
細かい機序は異なりますが、
いずれも「インフルエンザウィルスの増殖を防ぐ」薬です。
従って、ウィルスが十分に増える前の初期での
処方ができれば望まれるということです。
一方、ウィルスは脳にも隠れて残るという話もあり
症状が現れた場合には薬剤によってしっかり抑え込む
というのは非常に重要なことです。
--
新型コロナウィルスの場合は治療の中で一つ難しいのが
潜伏期間が長いという特徴がある事です。
初期に気付きにくいために
治療がどうしても後手に回ってしまうということです。
さらに今は医療機関も逼迫していますから
社会的な状況としても早期治療の難しさに直面しています。
また新型のウィルスであり、
身体があまり知らないウィルス株なので
免疫機能を高く惹起してしまうと考えられ、
それによっても免疫異常が生じやすくなっていると考えられます。
従って、治療には
上述したようにウィルス増殖を抑えるだけではなく
免疫機能の調整、血液の流動性を保つなど
複数の経路が必要になっています。
そこで医師の方は
ウィルスの増殖を抑えるレムデシビルだけではなく
免疫調整のデキサメタゾン、アクテムラ、
血液の凝固を抑えるヘパリンなどを併用しています。
--
ウィルスの増殖を抑えるレムデシビルは
エボラ出血熱の薬として開発され、それをリパーポスしたものです。
従って、新型コロナウィルスの抗ウィルス薬としての
開発余地はまだまだ残されていると言えます。
薬剤を投与した時に速く、多くのウィルスを消滅できれば
治療は楽になると考えられます。
また社会状況が改善されてくると早期の治療がしやすくなるので
抗ウィルス薬の効果も高まってくると思います。
つまり重症化する前に治療できるようになる可能性です。
ーーーーーーーー
Shin-ichiro Hattori氏ら日本、アメリカの
医療、研究チームは試験管の結果で
レムデシビルよりも高い効果が期待できる薬剤について
報告しています(1)。
今後、動物や人で試されていくと考えられます。
本日はその内容の一部を追記しながら
読者の方と情報共有したいと思います。
ーーーーーーーー
//薬剤標的酵素(プロテアーゼ:Mpro)について//ーーーーーーーー
新型コロナウィルスのグルタミンなどのペプチド結合を
この酵素の働きで切断することで
新型コロナウィルスが感染細胞内でRNAを増殖させる事に関与します。
従って、このMproは新型コロナウィルスの増殖を防ぐ
抗ウィルス薬において標的とされるものです(2-5)。
実際にレムデシビルもこのMproを標的としています。
ーーーーーーーー
//評価環境//ーーーーーー
VeroE6細胞
アフリカミドリザルの腎臓上皮細胞
による培養環境
ーーーーーー
//高い有効性が認められた薬剤:5hについて//ーーーーーーーー
インドール系(アルカノイドの一種)
その他GRL-1720についても効果が得らえた。
窒素、水素、酸素、炭素をベースとした薬剤。
5hは硫黄を含む。
(参考文献(1) Fig.2より)
ーーーーーーーーー
//レムデシビルと5hの比較//ーーーーーー
(抗体蛍光発光による残存ウィルスの評価)
回復期の患者(さん)の抗体を取り出し、
それを新型コロナウィルスのマーカーとして蛍光発光させることで
VeroE6細胞培養環境における薬剤投与時の
残存ウィルスを評価しています。
レムデシビルではVirus breakthrogh
つまり薬剤耐性を持つウィルス株が現れました。
(参考文献(1) Supplementary Figure.5 緑、黄色に見えている部分)
しかし、5h、GRL-1720では100μMとFig.2で確認された
十分な量を投与すると残存ウィルスは確認されませんでした。
同じ量でレムデシビルでは残存ウィルスが確認されています。
--
RNA-PCRでVeroE6細胞培養環境における
新型コロナウィルス株の減少量を
5h、レムデシビルにおける投与量を変化して評価されています。
これらの薬剤の混合、同時投与も調べています。
10μMの投与量では
レムデシビルはほとんど減少しなかったのに対して
5hは2桁程度ウィルス量が減少しています。99%低下。
同時投与の評価においては
5h 20μMと
レムデシビル+5h(10+10μM)で比較すると
薬を混合させた方が効果が高いことを示しています。
従って、
レムデシビルとの併用の効果が期待できます。
ーーーーーー
//構造的評価//ーーーーーーーー
実際に5hがMproに構造的にどのように作用しているか
X線結晶評価によって調べられています。
(参考文献(1) Fig.6bより)
これによると
Mproの溝の部分にすっぽり埋まるような結合位置を取り
その部分は親水性があり、
ファンデルワールス力を通した
6つの水素結合を形成しています。
さらにCys-145という部分においては共有結合も形成しています。
この薬が作用した時の
Mproの融点を調べると量依存的に融点が上がり
Mproの構造的な安定性が向上したと考えられます。
このことは酵素としての動的は働きを阻害するものである
と考えられます。
また、それらの結合が強く、安定なものであると考えられます。
一方、併用されたときに効果が高いことは
Mproに対してレムデシビルと5hの結合部位が異なる
事を示している可能性があります。
ワクチンでも異なる抗体が同時に結合することで
変化に強い抑制作用を示すことが知られていますが、
薬剤においても同時に結合し、幅広いエピトープに作用することで
より交差性が高く、強い効果を発揮する可能性が考えられます。
ーーーーーーーー
//筆者の追記、考察//ーーーーーーーー
新型コロナウィルスはまだ多くの科学的証拠は
揃っていませんが脳に残る可能性も否定はできない
とされているので、
このような効果の高い抗ウィルス薬が生まれることは
後遺症軽減にも貢献する可能性があります。
実際に
今、入院されている重症患者に効くかどうか?
この点に関しては実際に使われてみないとわかりませんが、
投与された時のウィルス量に依存すると考えられます。
すでにウィルス量が十分に減っていて
症状が免疫異常に強く依存している場合においては
どちらかというと免疫調整剤や血液凝固抑制剤などの
効果が大きくなると考えられます。
従って、インフルエンザでも一部謳われていますが、
ウィルス量が増える前の初期の治療として
5hような抗ウィルス性が高い薬剤が使用されることが期待されます。
早期治療を実現するためには
〇マスク・〇3密回避・〇手洗い・〇消毒・〇うがい
などの社会的な感染対策とともに
早期のワクチン接種を実現して、
医療機関の状況を改善する事が求められます。
ーーーーーーーー
以上です。
(参考文献)
(1)
Shin-ichiro Hattori, Nobuyo Higashi-Kuwata, Hironori Hayashi, Srinivasa Rao Allu, Jakka Raghavaiah, Haydar Bulut, Debananda Das, Brandon J. Anson, Emma K. Lendy, Yuki Takamatsu, Nobutoki Takamune, Naoki Kishimoto, Kazutaka Murayama, Kazuya Hasegawa, Mi Li, David A. Davis, Eiichi N. Kodama, Robert Yarchoan, Alexander Wlodawer, Shogo Misumi, Andrew D. Mesecar, Arun K. Ghosh & Hiroaki Mitsuya
A small molecule compound with an indole moiety inhibits the main protease of SARS-CoV-2 and blocks virus replication
Nature Communications volume 12, Article number: 668 (2021)
Department of Refractory Viral Infections, National Center for Global Health and Medicine Research Institute, Tokyo, Japan.
Department of Intelligent Network for Infection Control, Tohoku University Hospital, Miyagi, Japan.
Department of infectious Diseases, International Research Institute of Disaster Science, Tohoku University, Miyagi, Japan.
Department of Chemistry and Department of Medicinal Chemistry and Molecular Pharmacology, Purdue University, West Lafayette, IN, USA.
Experimental Retrovirology Section, HIV and AIDS Malignancy Branch, National Cancer Institute, National Institutes of Health, Bethesda, MD, USA.
Department of Biochemistry and Department of Biological Sciences, Purdue University, West Lafayette, IN, USA.
Kumamoto Innovative Development Organization, Kumamoto University, Kumamoto, Japan.
Department of Environmental and Molecular Health Sciences, Faculty of Medical and Pharmaceutical Sciences, Kumamoto University, Kumamoto, Japan.
Graduate School of Biomedical Engineering, Tohoku University, Miyagi, Japan.
Protein Crystal Analysis Division, Japan Synchrotron Radiation Research Institute, Hyogo, Japan.
Protein Structure Section, Center for Structural Biology, National Cancer Institute, Frederick, MD, USA.
Basic Science Program, Leidos Biomedical Research, Frederick National Laboratory for Cancer Research, Frederick, MD, USA.
Viral Oncology Section, HIV and AIDS Malignancy Branch, National Cancer Institute, National Institutes of Health, Bethesda, MD, USA.
Department of Infectious Diseases, Graduate School of Medicine and Tohoku Medical Megabank Organization, Tohoku University, Miyagi, Japan.
Department of Clinical Sciences, Kumamoto University Hospital, Kumamoto, Japan
(2)
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J. Med. Chem. 56, 534–546 (2013).
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J. Med. Chem.47, 6113–6116 (2004).
リンパ性小児がんに対するCAR-T細胞療法、課題、今後の展望
いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
身体にとって優しい薬というのは
一つの大きな要因は副作用が少ないことです。
副作用には意図しない場所に働いてしまうという
オフターゲット効果もあります。
もう一つは、薬剤自身を身体が異物、敵とみなし、
免疫機能を強化させて、
その薬剤を消滅させようとすることです。
その反応が強くなると
いわゆるアレルギーのように身体の色んな所に
障害をきたすことになります。
--
近年の医療技術の発展で
エンジニアリング、医療工学技術で
特定の生理機能を引き出すように改良した細胞自身を
薬剤として使う構想があります。
「細胞性薬剤」と呼ばれ、
この細胞特異的輸送系統の輸送媒体としても
一つの骨子として想定していることです。
例えば、近年注目され、一部承認されている
CAR-T細胞による免疫療法は
異常なB細胞など特定の細胞に結合して
そこで免疫機能を特異的に発揮して
その細胞を選択的に消滅させる事です。
しかし、そのCAR-T細胞自身が他の人や動物の細胞から
作られたものであれば、
投与された人が高い確率でアレルギー反応を示します。
その時には宿主である投与された人自身が
抗体を発現して免疫機能を惹起させる事も考えられますが、
CAR-T細胞の場合は移植された細胞自身が
免疫惹起の原因となることがあります。
造血幹細胞移植などでも確認されていますが、
これを「移植片対宿主病」と呼びます。
--
小児がんは成人の癌とは特徴が大きく異なっていると
いわれています。
その中で罹患しやすい癌がありますが、
そのうちの一つが血液性の癌です。
白血病、リンパ腫などです。
従って、CAR-T細胞の対象となる
CD-19陽性のB細胞のリンパ腫に罹患するケースもあります。
しかし、お子さんの場合において
特に考えないといけないのが副作用です。
体力が十分に備わっていないということもあります。
まだ発達段階で有り、医療介入によって
もたらした結果が成長に大きく影響を与えてしまう可能性があります。
また、残された生活の時間が長いですから、
その中で長期的なサポート、モニタリングが必要になります。
ベースとして常にあるのが
「副作用の少ない治療」です。
CAR-T細胞による治療は有効性が確かめられていますが、
小児がんに適用するときには特に
その副作用について考える必要があります。
ーーーーーーーー
Haneen Shalabi, Juliane Gust, Agne Taraseviciute,
Pamela L. Wolters, Allison B. Leahy, Carlos Sandi,
Theodore W. Laetsch, Lori Wiener, Rebecca A. Gardner,
Veronique Nussenblatt, Joshua A. Hill, Kevin J. Curran,
Timothy S. Olson, Colleen Annesley, Hao-Wei Wang,
Javed Khan, Marcelo C. Pasquini, Christine N. Duncan,
Stephan A. Grupp, Michael A. Pulsipher & Nirali N. Shah(敬称略)
からなるアメリカ合衆国の医療、研究グループは
CAR-T細胞で治療された子供に対する副作用と
長期的なケアについて包括されています(1)。
ここでは副作用の種類について主に抽出して、
そこから従来のCAR-T細胞の治療技術を超えて
細胞特異的輸送系統の観点も含め
より負担の少ない治療を探っていきたいと思います。
(※)
=====の⇒は筆者の追記、考察です。
ーーーーーーーー
//小児CAR-T細胞療法の承認の歴史//ーーーーーーーー
(2012年)
急性B細胞リンパ腫に対して
子供に対してCD19標的としたCAR-T細胞治療が
初めて行われました(2,3)。
(2017年)
25歳以下の若い人に対して
CD-19標的のCAR-T細胞治療がFDAによって承認されました。
(2019年)
日本ではノバルティス社(さん)が
3月26日のプレスリリースでCAr-T細胞療法
「キムリア🄬」の製造販売承認を取得しています。
(※)
日本では保険診療で受けられる予定ですが、
金額が非常に高額なため
現状の医療状況を考えると患者さんを抱える家族の方は
もちろんですが国の負担も懸念されます。
従って、どうやって治療コストを下げていくか?
このことが課題です。
ーーーーーーーー
//CD19+CAR-T細胞治療について//ーーーーーーーー
血液の癌のうち免疫細胞であるB細胞に異常が見られ
癌化が確認される場合において、CD19という
B細胞表面にある受容体が活性になって関与している場合には
そのCD19という受容体に結合するように
細胞死させることができるT細胞を改変します。
T細胞は人から取り出され、
その後、ウィルスベクターなどによって細胞内の遺伝子を
任意に改変してCD19に結合するように
細胞表面にタンパク質を発現するようにします。
そしてそれを培養して数を増やして
患者さんの体内に注入します。
(※)
この時に患者さん自身のT細胞を使うことができれば
冒頭で述べたアレルギー反応、副作用は小さくできる
可能性があります。
また、培養環境において細菌などの異物の付着や
生成する受容体の精度によって
アレルギー反応や副作用の影響も変わってくると考えられます。
従って、
精度、衛生、製造速度などの技術的な要因が
大きくかかわると考えられます。
もし、迅速にできるとなれば、
患者さん自身のT細胞を使える機会は大きくなる
と考えられます。
(※)
ただし、対象となるのはCD19という受容体が関わっている場合であり
それが陰性である場合には他の治療や
他の受容体を標的とする必要があります。
ーーーーーーーー
//副作用について//ーーーーーー
--
(免疫全般)
CAR-T細胞を投与することで
サイトカインストームを引き起こすことが懸念されています。
このような症候群に対して
緩和させるための治療は精巧に用意されています(4,5)。
(例えば、免疫抑制剤コルチコステロイド)
またそれでもうまく抑える事が出来なかった時に対して
の治療が今治験の中で調べられています(6,7)。
その中で考えられているのは
・サイトカインを標的とするタイミング(8)
・構成物質や方法の最適化(9-11)。
これらです。
またアメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health、NIH)
Nirali Shah氏らが
今、普及し始めている子供に対するCAR-T細胞治療について
懸念されているサイトカイン放出症候群に対して
「Beyond the storm」ということで
その副作用に対する治療のガイドラインの設立に努めています。
参考文献(1) Fig 1で示されているように
・感染症などの合併症
・神経毒性による学習への影響
・癌の再発
・心理的なマネイジメント
・命をつなぐこと
・他の臓器に対する毒性
これらの要因について考えられています。
--
(神経毒性)
サイトカイン放出症候群などの免疫機能の異常によって
引き起こされる神経毒性は
Immune effector cell-associated neurotoxicity(以下ICANS)
このように呼ばれます。
これはCAR-T細胞療法の副作用で多く確認されるものです(12,13)。
造血性の癌を持つ子供の25~44%で出たという報告もあります(14-16)。
具体的な重篤な症状としては
・てんかん・浮腫・昏睡状態
これらが挙げられています。
またリスク要因としては
・高いレベルのCAR-T細胞
・神経変性の併存症
・癌の遺伝子変異の度合いが高い(High mutation burden)
・重度なサイトカインストーム
これらが挙げられています(17-19)。
-
実際の治療としてはサイトカインストームの場合でも
同様だと考えられますが、免疫機能を調整する
コルチコステロイドなどです(4,5)。
--
(神経認知機能)
ICANSによって引き起こされる認知機能への影響では
・記憶、注意(集中力)、言語に対する障害が
確認されています(19-21)。
実施にはこれらの機能低下の長期的な影響に対する
報告は不足している状態ですが、
Patient-Reported Outcomes Measurement Information System
(PROMIS) によって1年から5年後の認知機能の
長期的な評価が行われているところです(22)。
--
(ICANSの画像診断)
急性のICANSを持つ患者さんの20~40%は
脳のMRI画像において異常が見られます(23,24)。
-
・両面視床、橋(Pon)の出血(T2 FLAIR)
・白質のミエリン鞘の異常
・血管原性の浮腫
・脳漿の膨大部の限定拡散、粘膜以上
--
(ICANSのバイオマーカー)
IL-6, IL-10, IL-15, IFNγ
これらの血液中の分泌量が増えています(12,13)。
-----
⇒
追加のバイオマーカーとして
脳脊髄液などの脳の情報だけを拾う
液体生検などによるものが考えられます。
-----
--
(感染症)
CAR-T細胞による治療を受けると血球が減少する事があり
それによって免疫機能が低下して、
感染症のリスクが高まるケースがあります(25,26)。
時期としては投与されてから一カ月以内が
全体の22~42%を占めます(27-29)。
--
(B細胞の形成不全(B cell aplasia(BCA))
継続的に行われるCAR-T細胞治療によって
B細胞の形成不全は1か月から1年続くことがあります(25,26,30)。
--
(血液系の異常)
・Hyperferritinaemia(鉄の貯蔵に影響)
・Cytopenias(血球の減少)
・Hypofibrinogenaemia(線維組織の元に影響)
・Thrombocytopenia(血小板減少)
・Neutropenia(好中球減少)
これらは臓器の異常に影響を与えます(31,32)。
--
(報告されている他の臓器への影響)
・心臓・肺・眼・腎臓
-----
⇒
これらの臓器疾患は血液系の異常に関連していると
考えられるので、異常が出た時には
各臓器ごと個別の治療が必要になると考えられますが、
根本としては免疫機能も含めた血液の異常を正常化させることが
求められます。
-----
--
(癌の再発)
CD19陽性のB細胞リンパ腫であっても
CAR-T細胞におけるCD19標的の治療を行ううちに
系統の変化が起こり、それに耐性を示す
他の性質を持ったB細胞リンパ腫が再発する事があります(33)。
参考文献(1) Fig.3で示されているように
抗原回避を獲得した再発リンパ腫に対しては
標的とする受容体を変える必要があります。
-----
⇒
//細胞特異的輸送系統の観点//ーーーーーーーー
基本的にCAR-T細胞のコンセプトは細胞特異的輸送系統のそれと
一定の類似性が見出だせます。
CD19というB細胞リンパ腫で強く発現されている受容体に
特異的親和性を持つようにT細胞を人工的に設計することです。
この時におそらく副作用の原因となるのは
投入されたCAR-T細胞そのものにあると考えられます。
それによって起こったアレルギー反応が
雪崩のように様々な疾患を引き起こしている可能性があります。
従って、そのようなアレルギー反応を最小化して
そのうえで癌となっているB細胞だけを標的にするには
その輸送媒体をよく考える必要があります。
例えば、
iPS細胞などでは自分の体細胞から取り出した細胞を元に
分化、成熟させて、元の個体(マウス)に戻した時には
異常な免疫機能の惹起は抑えられたという報告があります(34)。
脳、心臓、肝臓、腎臓、脾臓、肺、胸腺などでは
免疫原性を示す遺伝子(Zg16、Hormad1)は見られておらず
確認されたのは睾丸、腸のみでした。
(参考文献(34) Figure 4より)
このことはCAR-T細胞の元となるT細胞が
患者さん自身の細胞であれば、サイトカインストームの
リスクが減ることを示すものであると考えています。
--
細胞特異的輸送媒体においては
輸送する媒体は細胞に限らず、免疫原性の
低い材料を任意に選ぶことができます。
しかし、この場合は
どうやってその輸送媒体表面にCD19に特異的親和性を
示す装飾因子を作り込むかが課題となります。
遺伝子的な作用を利用して作ることが無理であれば、
ナノ粒子と装飾因子を別々に作り出して
何らかの方法でうまく表面に結合させることが考えられます。
--
また有望な治療法としてNK細胞にキメラ抗原受容体を
形成することです(CAR-NK細胞療法)。
これによればサイトカインストームを起こすことなく
11人中7人の患者さんにおいて
CD19陽性の慢性リンパ性白血病、リンパ腫が
寛解したという報告もあります(35)。
ただし、好中球、リンパ球減少はみられています。
従って、感染症などの影響は懸念されます。
また年齢は47歳以上なので
子供にも同じような効果があるかどうかは不明です。
--
細胞特異的輸送系統の可能性としては
CD19を機能を改変させながら
免疫チェックポイント阻害薬(pembrolizumab)や
細胞内に作用する薬剤(Chemotherapy)を
同封できる事です。
CD19はB細胞の発展や生存に関わる受容体なので
それをアンカーとすることで
これらの機能に介入できる可能性があります。
その上でアドジュバント、両立できる治療として
免疫療法や化学療法があります。
他には似たような構想として
B細胞は抗原認識しますから、
Antigen-drug-conjugate(抗原薬物複合体)などが
抗体薬物複合体の代替案として考えられます。
しかし、この場合、癌化しているB細胞だけ
抗原認識する機序を探す必要があります。
--
(まとめ)
子供さんの副作用を減らし、その後の生活の質を上げる事に
貢献するためには基本的な戦略としては
〇免疫原生の低い輸送媒体を選ぶ
〇リンパ腫に対する標的性を上げる
〇複合体として免疫治療、化学療法を同時に行う
これらが挙げられます。
このことを軸に細胞特異的輸送系統として
できることを今後探っていきたいと思います。
また、
大元として免疫原性の基礎的な生理を理解することで
他の人の細胞であってもそれを下げるような
戦略が生まれる可能性があります。
一方、
新型コロナウィルスの治療などで鋭意考えられていますが、
異常に高まった免疫機能をどのように精度よく
うまく制御していくかという治療の側面もあります。
ーーーーーーーー
-----
以上です。
(参考文献)
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Ryoko Araki, Masahiro Uda, Yuko Hoki, Misato Sunayama, Miki Nakamura, Shunsuke Ando, Mayumi Sugiura, Hisashi Ideno, Akemi Shimada, Akira Nifuji & Masumi Abe
Negligible immunogenicity of terminally differentiated cells derived from induced pluripotent or embryonic stem cells
Nature volume 494, pages100–104(2013)
Transcriptome Research Group, National Institute of Radiological Sciences, Chiba 263-8555, Japan.
PRESTO, Japan Science and Technology Agency (JST), Kawaguchi 332-0012, Japan.
Department of Pharmacology, School of Dental Medicine, Tsurumi University, Yokohama 230-8501, Japan.
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Use of CAR-Transduced Natural Killer Cells in CD19-Positive Lymphoid Tumors
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いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
新型コロナウィルスはインフルエンザなどに比べて
比較的感染力に関わる部分の構造は安定であるという話もありますが、
RNAウィルスでRNAは動的で、不安定さもあるので
今1億人を超える感染者が世界で出ている事、
これからも新規感染者が出る事などを考えると
色んな変異が起こることが想定されます。
その中でワクチンに求められることは、
変異に対する「交差性」です。
つまりいろんな変異をしても中和能を大きく落とさない
変化に寛容的な抗体を生み出すワクチンを作ることです。
アメリカのC. Garrett Rappazzo氏ら医療研究グループは
2003年に流行したSARSの記憶型B細胞から
いくつかの抗体を取り出し、
それを酵母を使って成熟化させることで
抗体を最適化しました(1)。
--
Yeast surface display technology
⇒Affinity matured antibody
--
参考文献(1)Fig.2BではSARS-CoV-1およびSARS-CoV-2に対して
広く高い中和能を持つ抗体が生まれています(ADG-2)。
このADGという成熟化された抗体は
想定される様々なRBD(受容体結合部位)の変異に対して
強いことを示しています(参考文献(1)Fig.2Cより)
また
Fcドメインを通じた自然免疫系のNK細胞の活性は
親和性が成熟されたADG-2抗体のほうが
他の抗体よりも強いことが示されています。
(参考文献(1) Fig.4Aより)
//筆者の追記、考察//ーー
このような親和性の成熟(Affinity maturation)は
1回目の免疫反応よりも2回目の免疫反応のほうが
数倍、親和性が上がることを示しています。
参考文献(1)では単一のウィルス株ではなく
親和性成熟の中で交差性を発揮しました。
Booster doseのように
2回接種が行われることによって生み出される抗体の
中和能が上がることを示しているのか?
あるいは、
定期的に異なるワクチンを接種することで
新型コロナウィルスに対する免疫網が精緻になるのか?
言い換えれば変異に強い獲得免疫を手に入れられるのか?
これらの事は調査の余地があると考えられます。
ーー
以上です。
(参考文献)
(1)
C. Garrett Rappazzo et al.
Broad and potent activity against SARS-like viruses by an engineered human monoclonal antibody
Science 25 Jan 2021:eabf4830
いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
細胞特異的輸送系統で考えないといけないことは
たくさんありますが、
一つの重要な課題は、任意の場所で
その輸送媒体が解放されて、中の薬剤が放出されることです。
もちろんエンドソームのpHの変化の中で
胞といて覆っている膜を溶かすという方法もあります。
しかし、想定している輸送経路は
細胞にエンドサイトーシスさせるだけに限りません。
細胞の外で細胞膜貫通タンパク質に結合して
それをアンカーとして、
その状態で何とか輸送媒体(胞)を開放したい
という需要もあります。
輸送媒体を細胞にする場合には
もし自分の体細胞を使う形のiPS細胞から
任意に分化させた細胞を輸送媒体として使うことができれば
拒絶反応を少なくすることが期待できます(1)。
サイトカインストームなどの免疫惹起が少ない形で
細胞を輸送媒体として投与します。
その細胞の中に薬剤を封入して
標的まで特異的に運ぶことができた時には
標的細胞表面の突起、アンカーに固定されている状態を想定します。
その時に薬剤を放出するためには
その細胞が破壊される必要があります。
その時に輸送媒体が細胞であれば
細胞死という生理機序を利用することができます。
その細胞死を促す遺伝子
「Suicide gene」というのがあるので
もし、アンカーに結合した時に
うまくその細胞死を促す遺伝子をONにできたら
その時点で細胞死を通じて細胞から
薬剤の放出を促すことができる可能性があります。
そのONにするスイッチはp53タンパク質と言われています。
従って、例えば、
アンカーに結合する前にはp53は固定(抑制)された状態にありますが、
アンカーに結合した後にp53が解放されて活性になり
輸送媒体の細胞内遺伝子に結合してアポトーシスに向かわせる
ことができるか?ということです。
以上です。
(参考文献)
(1)
Ryoko Araki, Masahiro Uda, Yuko Hoki, Misato Sunayama, Miki Nakamura, Shunsuke Ando, Mayumi Sugiura, Hisashi Ideno, Akemi Shimada, Akira Nifuji & Masumi Abe
Negligible immunogenicity of terminally differentiated cells derived from induced pluripotent or embryonic stem cells
Nature volume 494, pages100–104(2013)
Transcriptome Research Group, National Institute of Radiological Sciences, Chiba 263-8555, Japan.
PRESTO, Japan Science and Technology Agency (JST), Kawaguchi 332-0012, Japan.
Department of Pharmacology, School of Dental Medicine, Tsurumi University, Yokohama 230-8501, Japan.
いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
今、イギリスで主に発生が確認されている変異株(VUI-202012/01)や
南アフリカ主に発生が確認されている変異株(B.1.351)を始め
変異株の脅威が高まっています。
VUI-202012/01変異株では感染力が70%も高いということでした。
現時点で確定的な事は言えまんが、
自然に考えると感染力が高いとは
--
〇空気中での寿命(半減期)が長い
〇細胞への感染能力が高い
〇細胞内での増殖力が高い
--
これらの事が可能性としては考えられます。
いずれにしても感染力が高いというのは
体内でのウィルス量が増えやすいという事を意味しますから
もしウィルス1株当たりの身体に対する負担が変わらず
かつウィルス量と重症度に正の相関性が一定見られるのであれば、
それに対して重症化や亡くなるリスクも上がる
ということになります。
確定的な報告を確認する前に
過度な不安を煽ることは避けたいですが、
自然に考えれば可能性としては否定はできないということです。
--
南アフリカの変異株はワクチンの効果が落ちるかもしれない
という話があります。
実際に2021年1月19日南アフリカのConstantinos Kurt Wibmer氏らの
発表によれば、回復期血漿から取り出した抗体に対しての
中和能力が下がった(2)と言われています。
その抗体は
CA1、LyCoV016、CC12.1、BD23、C119、P2B-2F6
これらが挙げられています。
これらの中和能力を下げる主要要因は
新型コロナウィルスのエントリー受容体(ACE2)の結合面である
RBD(受容体結合ドメイン)が変異する(構造が変わる)ことです。
南アフリカであれば
K417、E484、N501という参考文献(2)Fig.1aに示される
受容体結合面の構造が変わっています。
それによって抗体の親和性が下がり結合しにくくなる
ということが一つとして考えられます。
実際にはワクチンの標的とするRBDは
それぞれ細かく見れば異なるので、
効果が落ちにくいワクチンとそうではないワクチンが存在する
と考えられます。
実際にモデルナ社(さん)のワクチンでは
中和活性が1/6に減少したので
ワクチンの接種回数を3回にすることで
抗体量を増やして対抗しようとしています(3)。
--
ここで先に述べますが、
おそらくもっと有効な方法は中和抗体を混ぜることです。
中和抗体を混ぜることで変異に対する中和能の変化が小さくなる(1)
と考えられています。
従って、この効果を今後のワクチン接種でどのように生かしていくか
を考える必要があります。
--
ただ現時点では南アフリカ株は気を付けたほうがいいです。
実際にイーライリリー社(さん)の治験第3相に進んでいる
ワクチンLY-CoV016もK417という南アフリカ株に含まれる
RBDの変異に対して中和能が落ちることが確認されています。
(参考文献(1) Fig.1B,Cより)
--
今、日本は感染対策の要としてワクチン接種を掲げていて
政府の方々、地方自治を担う方々、全国市町村の職員の方々
医療に関係する方々、保健所の方々、大学の方々
関連企業の方々、NGOの方々など多くの人が
国家プロジェクトとして動いています。
これを成功させるためには
現時点ではワクチンの効果に影響があるかもしれない
南アフリカ株については特に
水際対策をしっかりして感染が広がらないように監視する事が大切です。
--
また後述しますが、抗体は特異的に設計されているので
RBDの変異が起こる場所によっては中和能はどうしても変わってしまいます。
(参考文献(1) Fig.1Bより)
従って、複数の抗体を混ぜて接種する事もそうですが、
ワクチンは万能ではないという認識のもと
〇手洗い・〇消毒・〇マスク
これらの対策は引き続き徹底する必要があります。
〇3密に関しては今はもちろん回避すべきですが、
ワクチン接種が行われて医療の状況、感染状況が改善してきたら
段階的に考えられていく要因だと考えます。
また、
ワクチンだけではなく、
治療薬の開発も引き続き進める必要があります。
--
ただ、一つ断わっておきたいことがあります。
モデルナ社のワクチンで中和能が落ちたという話があります(3)。
しかし、中和能が落ちても
それは抗体自身がワクチンを半分にする能力が落ちた
ということを「独立に」評価した指標にすぎません。
他にもTh1のT細胞の活性やB細胞の活性
あるいはマクロファージ、NK細胞、樹状細胞など
様々な免疫細胞の作用もあるので
仮に1/6になっても6倍感染しやすくなるというのを
示すものではないということです。
ーーーーーーーー
アメリカ合衆国のTyler N. Starr氏ら医療、研究グループは
新型コロナウィルスの受容体結合面(RBD)の変異に種類に対する
指定された抗体の中和能への影響について調べられています(1)。
その内容の一部について読者の方と情報共有したいと思います。
(※)
=====の⇒は筆者の追記、考察です。
ーーーーーーーー
//概要、重要な内容について//ーーーーーーーー
基本的には抗体の種類によって
RBDのどの部位に変異が入った時に中和能が変わるかという
各部位における感受性は抗体によって異なります。
比較的、影響を受けやすい抗体もあります。
しかし、確実にいえることは
抗体を混ぜる(REGN10933+REGN10987)ことで
変異に対しては強くなると考える事ができます。
ーーーーーーーー
//評価プロセス、方法//ーーーーーー
・酵母の表面上にRBD変異ライブラリーを作製
・蛍光発光によって細胞を活性化させて分類
・RBDの構造、ACE2親和性、抗体結合性の変異の影響を解析
・遺伝子配列解析を行う
参考文献(4)(5)に従う。
---
選び出された抗体は
REGN10933、REGN10987、REGN10933+REGN10987(混合)
LY-CoV16(イーライリリー社)
これらの抗体。
ーーーーーー
//結果評価//ーーーーーー
参考文献(1)Fig.3の横軸は変異の頻度(起こりやすさ)
縦軸に関しては変異に対する中和能の影響を
見ている(と理解しています)。
つまり、変異の頻度と中和能の影響が高い
右上の点の変異は脅威が大きいことを示しています。
例えばLY-CoV16(イーライリリー社)の抗体であれば
K417Nが一番、変異が起こりやすく脅威があるということです。
実際、ここは南アフリカで変異している部分で
すでに社会で影響を与えています。
他にはY453F、N439K、N501Yも変異の頻度が高く
注意が必要です。N501は南アフリカですでに起こっています。
Y453はREGN10933において中和能への影響もあるので
注意が必要です。
--
しかし、REGN10933+REGN10987(混合)に関しては
参考文献(1)Fig.3からわかるように
影響が大きな変異に対しても極めて頻度が低いことがわかります。
従って、抗体のカクテルは
今後変異が考えられる新型コロナウィルスの脅威を
下げるものであると考えられます。
ーーーーーー
-----
⇒
//追記、考察//ーーーーーーーー
実際に抗体を混ぜた時になぜ変異に対して強いか?
このことに対しては今後詳しく治験なども含めて
調べられていくと考えますが、
Zhiqiang Ku氏らの指摘によれば、
異なる抗体が「同時に」「異なる場所で」結合することで
変異に対して抗体能が落ちにくくなるということです(6)。
従って、性質が極めて近い抗体の場合は
重複する部分があり同時結合が実現しない可能性も
否定はできないので、
どの抗体を組み合わせるのか?
この点においては「同時結合」を一つの判断基準として
考える必要があります。
参考文献(6)ではK444R、E484Aという
それぞれ単一の抗体CoV-06、CoV-14では中和能が大きく
低下した変異に対して、
この抗体を二つ組み合わせたことで
これらの変異に対する中和能の低下は顕著に抑えられています。
(参考文献(6) Fig.5(b)より)
それぞれの抗体は上述したように同時に結合しますが、
低温電子顕微鏡の構造が参考文献(6)Fig.3dに示されています。
ーーーーーーーー
-----
以上です。
(参考文献)
(1)
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Molecular determinants and mechanism for antibody cocktail preventing SARS-CoV-2 escape
Nature Communications volume 12, Article number: 469 (2021)
いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
私たちは生まれながらにして
運命が遺伝子によって決まっているのか?
おそらくその運命を一部決める決定的な遺伝子はあると思います。
また一卵性双生児のように遺伝情報の一致が高ければ、
外見は見分けがつかないように非常に似るということがあります。
しかし、学生さんであれば勉強すれば頭がよくなります。
あるいは何かを夢を持つことによって
人格も変わることがあるかもしれません。
それが生まれながらにして持っていた遺伝子のみで起こっていて
そもそもそのような固定的な才能があったのか?
このことに関しては疑問符が付きます。
エピゲノムという考え方があり、
遺伝子は構造的な変化があることです。
例えば、特定の遺伝子座がメチル化する事によって
遺伝子のスイッチが変わることも考えられます。
また生活していると色んな環境変化がありますから
その影響を受けて遺伝子が変わることも考えられます。
また、今までの先祖が生きてきた過程で変わった遺伝子が
子孫である私たちに引き継がれていることもあります。
そう考えると遺伝子配列そのものだけではなく
その遺伝子に結合した装飾因子も
人を含めた生物の生理、特質に影響を与えると考えられます。
しかし、そのようなエピゲノムが
それぞれどのような表現型、
つまり特徴的な結果をもたらすのかというのは
はっきりとはわかっていないと理解しています。
もし、そのエピゲノムを正確に編集して
その部分の構造を変える事が出来たら、
その変化点において生物においてどのような影響があるか
という結果を分析する事で
影響をヒューリスティックな部分は排除できませんが
理解することができます。
「Epigenome editting」の動機の一つは
このような背景があると理解しています。
ーーーーーーーー
Muneaki Nakamura氏、Yuchen Gao氏,
Antonia A. Dominguez氏、Lei S. Qi氏
アメリカで主に活動されている医療、研究チームは
CRISPR技術を使った精密なエピゲノム編集の技術について
詳しく包括しています(1)。
本日は、その内容の一部を読者の方と
追記を加えながら情報共有したいと思います。
ーーーーーーーー
実際にエピゲノム編集を正確にするためには
編集したいクロマチン、DNA、RNAなど遺伝子配列を持つ
部位に対して特異的親和性を持つ必要があります。
そうでないと他の意図しない部分の遺伝子を変えてしまう
事に繋がります。
これを「オフターゲット効果」と呼びます。
このオフターゲット効果を下げるためには
Sequence-specific DNA-binding domains(DBDs)と呼ばれる
その遺伝子配列が特異的に持つDNA結合ドメインを認識して、
遺伝子改変、
エピゲノムに対して改変する効果を持つ物質
(Epigenetic effectors)など
装飾因子も含めた標的とする遺伝子座に固定させて
特異的な改変を実現する事が求められます。
従って、このDBDsという特異的結合面は
エピゲノム医療工学では非常に重要な役割を果たします(3-11)。
しかし、結合面での面の一致は交差性が低く
特異的親和性を示すのが難しいという課題があり、
そこでCRISPRシステムでは
実際にはREC1、REC2ドメインにCasと呼ばれる遺伝子編集する
エフェクター物質を「誘導員のように」先導する
ガイドRNAを結合させます。
このガイドRNAは小さな分子量からなるため
標的性に優れていると考えられてます(1)。
従って、Casと呼ばれる編集物質とCasに装飾した
エピゲノムに働くエフェクター物質とguideRNA両方の複合体により
標的性と編集能力を両立させたシステムとなっています。
また、オフターゲット効果を上げる要因としては
Casなどの遺伝子改変物質、エピゲノムエフェクター物質の
過剰活性などにもよるとされています(1)。
しかし、実際に遺伝子改変に成功したとしても
それがどれだけ持続するかという問題があります。
参考文献(1) Table 1に示されているように
1分未満という非常に短時間なものから
100日という長い時間もあります。
このような継続時間は細胞などが持つ
内的な改変因子との相互作用の中で変わるともいわれています(12-15)。
エピゲノムの根本的な課題の一つは
そもそもそのような遺伝子に影響を与えるような
装飾因子が実際にどこに結合しているかどうかの確認が
難しいという事です。
それを克服するために
・ナノ空孔(16)
・DNA修復や転写のプロセス追跡(17)
・相分離(18)
・エンハンサーとプロモーターの相互作用(19,20)
これらが挙げられています。
エピゲノムも含めた遺伝子編集を行う前の評価もそうですが
その介入を行った後の評価として
実際にエピゲノムも含めて編集されたのかどうかの評価においても
これらの技術は重要になると考えられます。
冒頭でも述べた様に実際には生まれてから
歳を重ねて、長い時間過ごせば、
それだけ多く環境にさらされるために
メチル化、アセチル化、ユビキチン化などを含めた
遺伝子装飾因子による遺伝子活性の改変が起こると考えられます。
老化に伴う病気
例えば、癌、神経変性、糖尿病などがありますが、
これらはエピゲノムによる要因もあると指摘されています(21-24)。
細胞特異的輸送系統の観点としては
編集したい細胞種、組織、臓器などが特定されている場合において
Cas、guideRNAを保護しながら輸送するところに
貢献できる可能性があると考えています。
主に遺伝子が表現型を示すのは
エネルギーの代謝が行われている細胞内が主要であると
考えられるので、遺伝子編集の輸送に関しては
標的とする細胞内にどう保護しながら輸送するか?
このことを考えるのが重要になると考えられます。
以上です。
(参考文献)
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いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
1月25日現在の全国の重症患者の数は1017人で
昨日よりも10人増えています。
重症の患者さんに対する治療は約1か月と長くかかるので
なかなか空床となりません。
その中で一定の割合の方が重症化すると、
重症患者(さん)はどんどん増えていきます。
その中で重症の患者さんに対する
より有効な治療が強く求められる状況です。
埼玉医科大学総合医療センター感染症科の岡秀昭先生によれば
重症の患者さんに対する治療は
レムデシビル、ヘパリン、デキサメタゾン、アクテムラなどを
併用しながら行わているということでした。
ウィルスの増殖、血液の凝固を抑える、
免疫炎症を抑制して調整する役目の薬が使われることです。
今後はワクチンによって
恐らく重症化する患者は減ると思われますが、
それでも南アフリカ株で確定的ではないですが、
ワクチンの効果が減少するという変異が指摘されています。
このような事が起こらないとは言えないので
ワクチンに頼るだけではなく、
特効薬の開発や
特に重症化した時によく効く薬が強く求められます。
重症化した時に特効性を示す薬剤を開発するためのヒントは
重症化した人が共通で持っている特有の信号を掴む必要があります。
それが分かれば、そこから治療薬への道が開けることになります。
ーーーーーーーー
アメリカ合衆国のAlexis J. Combes氏ら
医療、研究グループは重症患者特有の免疫的な特徴を見つけ出し
その原因について非常に重要な発見をしています(1)。
その発見は新型コロナウィルス重症患者に特効性を示すかもしれない
薬剤の開発に貢献するものだと考えられます。
その内容の一部について読者の方と共有したいと思います。
(※)
=====の⇒は筆者の追記、考察です。
ーーーーーーーー
//概要、重要な結論まとめ//ーーーーーーーー
新型コロナウィルスの重症の患者さんでは
好中球、単球、リンパ球(T細胞、B細胞)など
様々な免疫細胞のインターフェロン刺激遺伝子の発現が抑えられ
それによってインターフェロンの働きが
系統的に抑えられていることがわかります。
この傾向は、新型コロナウィルス非感染の急性呼吸器疾患を
持っている患者さんには診られません。
従って、新型コロナウィルス重症患者特有です。
インターフェロンの発現が弱いのは以前から指摘されていました。
--
ここからが重要です。
そのインターフェロンは重症患者(さん)が発症間もなく
発現する新型コロナウィルスに対する抗体によって
系統的に弱められている可能性が高いという事です。
抗体にはFabドメイン、Fcドメインがありますが、
新型コロナウィルスのSタンパク質に結合するFabドメインではなく
Y字型抗体の根元のFcドメインが
FcγRIIb(CD32b)という受容体に結合し、
この受容体の機能を高める事によって、
インターフェロンの分泌が抑制されています。
従って、
免疫細胞のFcγRIIb(CD32b)に結合し、
機能を弱めるモノクローナル抗体(抗CD32b)が開発されれば
重症の患者さんのインターフェロンを高める事が出来
それによって症状改善に貢献する可能性があります。
他の提案としては
抗CD20モノクローナル抗体であるリツキシマブが
インターフェロン刺激遺伝子の統一的な標的として
挙げられています。
--
また回復者血漿療法においては
重症の患者さんから集めた抗体については
CD32bを高めてインターフェロンの働きを抑制する可能性があるので
血漿を集める際に患者さんのスクリーニングは
必要な可能性があります。
ーーーーーーーー
//条件//ーーーーーー
健常者:14人
新型コロナウィルス陽性:20人
(うち重症:10人、軽症:10人)
新型コロナウィルス陰性(肺疾患):11人
(うち重症:5人、軽症:6人)
ーーーーーー
//結果(インターフェロン)//ーーーーーー
--
(好中球中のインターフェロン刺激遺伝子)
7つ亜型のインターフェロン刺激遺伝子で
新型コロナウィルス重症患者では軽症に比べて
全てにおいて優位にその機能が抑制されています。
(参考文献(1) Fig.1gより)
--
(単球中のインターフェロン刺激遺伝子)
新型コロナウィルス陽性で軽症の方は
単球中のインターフェロン刺激遺伝子は
陰性の人よりも多く、個人差があります。
しかし、陽性で重症のケースでは
軽傷にケースに比べて全体的に少なくなっています。
(参考文献(1) Fig.2aより)
--
(T細胞、B細胞中のインターフェロン刺激遺伝子)
新型コロナウィルス陽性で軽症の方は
T細胞中のインターフェロン刺激遺伝子は
陰性の人よりも多く、個人差があります。
しかし、陽性で重症のケースでは
軽傷にケースに比べて全体的に少なくなっています。
B細胞も同様です。
(参考文献(1) Fig.2cより)
--
(血小板のインターフェロン刺激遺伝子)
新型コロナウィルス陽性で軽症の方は
血小板中のインターフェロン刺激遺伝子は
陰性の人よりも多く、個人差があります。
しかし、陽性で重症のケースでは
軽傷にケースに比べて全体的に少なくなっています。
(参考文献(1) Fig.2eより)
ーーーーーー
//結果(免疫細胞の数)//ーーーーーー
新型コロナウィルス陽性、陰性の
重症の患者では好中球が多く、
T細胞、NK細胞が少なくなっています。
(参考文献(1) Fig.1bより)
新型コロナウィルス陽性に限れば
T細胞、NK細胞の数が軽症の方は多くなっています。
(参考文献(1) Fig.2f-hより)
ーーーーーー
//結果(抗体とインターフェロンの関係)//ーーーーーー
新型コロナウィルス陽性、重症、軽症の患者さんにおいて
血液中の抗体の有無においてのインターフェロン関連
タンパク質(IFITM3)のレベルを検出しました。
その結果
重症の患者の血液では
抗体がある状態ではインターフェロンの減少が示唆されます。
しかし、抗体がない状態では減少量が顕著に少なくなります。
軽傷の患者の血液では抗体有無に対して
インターフェロン膜貫通タンパク質の増減は
重症患者ほど多くありませんでした。
(参考文献(1) Fig.3gより)
免疫細胞に存在するFc受容体(CD16/CD64/CD32)のどれが
働いているか調べられました。
その結果CD32を機能を抑制した時に
重症患者におけるインターフェロン膜貫通タンパク質の量に
大きな変化がありました。
(参考文献(1) Fig.4eより)
このCD32のうちFcγRIIb(CD32b)は
樹状細胞や単球においてインターフェロンとの関連がある
ということが従来から知られています(3)。
-----
⇒
実際にこれがなぜ重症の患者さんにだけ生じているのか不明ですが、
B細胞によって生み出された抗体の種類が異なる可能性があります。
患者さん自身の免疫細胞のFc受容体の構造や感受性が異なる
可能性ももちろん考えられますが、
Alexis J. Combes氏らの指摘を踏まえると
自己抗体も含めた産生されている抗体の方に原因がある事が
考えられます。
従って、結びの所ではB細胞の反応を抑える薬剤
リツキシマブの使用が提案されています。
-----
ーーーーーー
-----
⇒
//インターフェロンの一般的な説明//ーー
インターフェロンは細胞の間を伝達する小さな胞のである
サイトカインの一種で病原体を消滅させる役割があります。
ウィルスにおいては細胞を保護する事によって
ウィルスの複製を防ぐ役割があります。
一つの具体的な機能としてはウィルスが細胞質に入るのを
防ぐ役割があります(2)。
また、NK細胞やマクロファージ
あるいはMHC受容体を通じてT細胞など
多様な免疫細胞を活性化させる作用があります。
一般的に感染症にかかった時に熱や筋肉痛が生じるのは
一つの原因としてはインターフェロンの産生が挙げられます。
--
新型コロナウィルスに対して発熱が生じるのは
免疫細胞が産生されている証拠ではあります。
しかし、熱が下がらず慢性化する場合には注意が必要です。
上の結果でも示されているように
NK細胞の数に軽症と重症の患者さんにおいて差があったのは
インターフェロンの産生量を相関がある可能性があります。
Ⅰ型インターフェロンはNK細胞の機能を
感染細胞特異的に働くようにMHCクラスⅠ分子の発現を
増加させて調整するので
インターフェロンとNK細胞の働きは
新型コロナウィルス感染細胞を不活性化、死滅させるうえでは
重要な役割を果たしていると考えられます。
ーー
-----
-----
⇒
//追記、考察//ーー
Alexis J. Combes氏らによってインターフェロン抑制との
指摘がされているFcγRIIb(CD32b)が
どの免疫細胞に発現されているかというと
好中球、好酸球、好塩基球、
単球、マクロファージ、樹状細胞、B細胞
これらとなっています。
T細胞にはFc受容体の発現は陰性となっています。
(参考文献(4) Fig.1より)
T細胞におけるインターフェロン刺激遺伝子に関しては
違う経路か間接的に作用している可能性があります。
ーー
-----
以上です。
(参考文献)
(1)
Alexis J. Combes, Tristan Courau, Nicholas F. Kuhn, Kenneth H. Hu, Arja Ray, William S. Chen, Nayvin W. Chew, Simon J. Cleary, Divyashree Kushnoor, Gabriella C. Reeder, Alan Shen, Jessica Tsui, Kamir J. Hiam-Galvez, Priscila Muñoz-Sandoval, Wandi S. Zhu, David S. Lee, Yang Sun, Ran You, Mélia Magnen, Lauren Rodriguez, K. W. Im, Nina K. Serwas, Aleksandra Leligdowicz, Colin R. Zamecnik, Rita P. Loudermilk, Michael R. Wilson, Chun J. Ye, Gabriela K. Fragiadakis, Mark R. Looney, Vincent Chan, Alyssa Ward, Sidney Carrillo, The UCSF COMET Consortium, Michael Matthay, David J. Erle, Prescott G. Woodruff, Charles Langelier, Kirsten Kangelaris, Carolyn M. Hendrickson, Carolyn Calfee, Arjun Arkal Rao & Matthew F. Krummel
Global absence and targeting of protective immune states in severe COVID-19
Nature (2021)
(2)
I. C. Huang et al.,
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(3)
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(4)
Stylianos Bournazos, Aaron Gupta & Jeffrey V. Ravetch
The role of IgG Fc receptors in antibody-dependent enhancement
Nature Reviews Immunology volume 20, pages633–643(2020)
いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
世界の新型コロナウィルスの感染者数は9874万人で1億人近くになっています。
日本はやや感染が落ち着いてきて、
昨日は東京は1000人を切りましたが、
依然、高止まりの状況で、専門家の方は
引き続き緊急事態宣言は必要な可能性が高いと考えられています。
世界で1年に1億人、世界中に蔓延している感染症ですから
これを抑え込むためには「集団免疫」が必要です。
つまり、人との人の接触機会を劇的に減らして
大気中で新型コロナウィルスが死滅して収まるのを待つのではなく
人の身体の免疫機能で人の身体の中で消滅させる能力を
世界全体で高めるということです。
もちろん、極端なことはできず、
今のように
〇手洗い・〇消毒・〇マスク・〇三密回避
など基本的な対策は必要です。
しかし、一方で経済活動の事も考慮に入れると
「如何に安全な形で免疫を手に入れるか?」
それを個人レベルだけではなく、社会全体で考えていく必要があります。
基本的には、日本に供給予定、
2月末から段階的に接種されるワクチンがあります。
治験による科学データは効果がある事を示していますから
2回目の接種が終わったころから十分な効果が期待できます。
徐々にワクチンの効果が目に見えるようになってきますが、
その時期というのはまだ見通せない要素もあり
実際に一般の多くの人が接種して効果が出るのは
もう少し先という事になると思います。
それまでは「ワクチンなし」で感染症の中で
どのように社会として向き合っていく必要があるか
政府、自治体の方だけではなく国民一人一人が考えていく必要があります。
どんなに素晴らしい政策も
国民に実際の行動も含めたことが浸透しなければ、
機能を果たさないからです。
Takashi Akamatsu氏ら研究チームは
ワクチンを前提としないで社会としてどのように
集団免疫を獲得していくのが得策か考えるために
亡くなられる方の割合、医療機関の能力を考慮しながら
数理モデルを構築されています(1)。
本日はその内容の一部を参照しながら
ワクチンの普及も踏まえて社会としての感染症蔓延の中での
在り方を探っていきたいと思います。
(※)
=====の⇒は筆者の追記、考察です。
//基本的な考え方//ーーーーーー
ワクチンを前提としない形で集団免疫を手に入れるためには
「リスクの高い人への感染を防ぎながら」
医療機関の容量を超えない形で感染制御していく必要があります。
例えば、80歳以上の方の亡くなられるリスクは
10代の人よりも1000倍~10000倍高いと言われています(2,3)。
-----
⇒
その比較参照基準40代以下にすると
40代では2倍、50代では20倍、60代では40倍、70代では100倍
とおおよそ見積もることができます。
(参考文献(4) Fig.1より)
従って、40代以下の人の100人の感染と
70代の方の1人の感染は
新たに生まれる亡くなられる方の数において
このリスクからすると同じになります。
集団免疫は年齢に対する重みづけはないですから、
より安全に社会として免疫を手に入れるためには
リスクの高い高齢者や基礎疾患のある方に対する
感染を防ぐことが重要になります。
しかし、
若い人の中で無秩序に感染が広がることは、
社会生活がどうしても必要な高齢の方への感染リスクが高まります。
あるいは、医療機関の収容能力の問題もあります。
もし、ワクチンがないとすれば
実際に感染する中でどうやって集団免疫を獲得していくか
考える必要がありますが、
今は、ワクチンがありますから
ワクチンを接種して、免疫を手に入れるまで
社会としてどう機能させていくか考える必要があります。
水谷大二郎助教率いる研究チームの報告を考慮にいれると
少なくとも
「リスクの高い高齢者のコミュニティーを閉じる」
ということが重要です。
西村康稔新型コロナウィルス担当大臣が明言されている事の中で
成人式の時でしたが、
「久しぶりに会うと人の会食を控えてください」
というのがあります。
久しぶりに会うというのは
「異なるコミュニティーのつながり」を意味します。
これが一気に感染症を拡大させる要因となります。
逆に言えば、コミュニティーを閉じる事が
感染抑制のためには重要です。
例えば、高齢の方と同居している3世代の家族は
子供であっても学校は仕方がないですが
できるだけ家族以外の人とは会わないことです。
もちろん高齢者自身もそうです。
高齢の方、基礎疾患などリスクの高い疾患を持っている
方と同居している人は生活環境の範囲を限定して、
食材の買い出しなど必要な外出も
いつもの近くのスーパーで済ませる事です。
このように「リスクの高いコミュニティーを独立、閉じながら」
感染状況を見てうまく社会経済活動と両立させる事が重要です。
-----
ーーーーーー
集団免疫を手に入れるためには60~80%の方の
新型コロナウィルスの免疫が必要ですから
仮にワクチンがないことを想定すると
医療崩壊を防ぐためには、
「長い間かけて免疫を手に入れること」が重要です。
仮に1か月に今のような数千人という感染者がでると
一気に医療崩壊してしまうので、
社会経済活動を制限した形で感染者数を
ある程度の水準に保ちながら免疫を獲得していくことです。
参考文献(1)にある一番上のグラフの
積分が総感染者数ですから
いろんなシナリオにおける積分は集団免疫のために同じ
と仮定するとグレーで示されたように
上限を医療崩壊が起こらない水準に保ちながら
免疫を持つ人を社会として確保していく戦略です。
そのためには一番下のグラフの
社会的活動を今の緊急事態宣言のように制限していく必要があります。
その時には初めは強くハンマーを打って
徐々に弱めていくシナリオです。
-----
⇒
しかし、2月からワクチンがありますから
今までのデータに依拠すれば、
かなり安全な形で免疫を手に入れる事が出来、
免疫獲得の中での入院などの確率も大きく下がります。
そうした中にはおいては
ワクチン接種には様々な課題がありますが、
短い時間で多くの国民にいきわたるような準備が大切です。
そうすれば、
これらの計算、社会的条件はかなり有利になるので
Go Toなどの経済喚起の選択肢が生まれます。
-----
基本的にリスクの低いグループ(Active group)の
感染の割合が増える、
逆に言えば、リスクの高いグループ(Protected group)の
感染の割合が減れば、実行再生産数が上がっても
社会としてのリスクが減るという事です。
(参考文献(1) Figure 2のグレーが許容できない領域)
-----
⇒
しかし、上で述べた様に
リスクの低いと考えられている若い人のリスクは
感染症蔓延や後遺症などを考えると決して低いわけではありません。
従って、ワクチン接種でリスクの低い群が多くなれば
もちろんそれでも感染対策は必要ですが、
社会経済活動のつまみをかなり開放しても
新型コロナウィルスとうまく社会として付き合っていける
状況になることを示すものです。
-----
従って、海外では度々都市のロックダウンが行われますが、
上の事を考慮に入れると
「リスクの高い人に如何に感染させない政策が機能するか?」
これが重要であるという事が謳われています。
-----
⇒
今、変異ウィルスなど未知の脅威はあります。
もちろん水際対策などが大切になりますが、
もし仮に広がってまた第4波が来た時には
今のように
〇リスクの高い場所の活動を制限する
このことに加えて
〇リスクの高い人のコミュニティーを閉じる
これらの事がうまく機能するように政策を組むことが
大切になると考えられます。
-----
以上です。
(参考文献)
(1)
Takashi Akamatsu, Takeshi Nagae, Minoru Osawa, Koki Satsukawa, Takara Sakai & Daijiro Mizutani
Model-based analysis on social acceptability and feasibility of a focused protection strategy against the COVID-19 pandemic
Scientific Reports volume 11, Article number: 2003 (2021)
Graduate School of Information Sciences, Tohoku University, Sendai, Miyagi 980-8579, Japan.
Graduate School of Engineering, Tohoku University, Sendai, Miyagi 980-8579, Japan.
Institute of Economic Research, Kyoto University, Kyoto 606-8501, Japan.
New Industry Creation Hatchery Center, Tohoku University, Sendai, Miyagi 980-8579, Japan.
International Research Institute of Disaster Science, Tohoku University, Sendai, Miyagi 980-8572, Japan.
(2)
Verity, R. et al.
Estimates of the severity of coronavirus disease 2019: a model-based analysis.
]Lancet Infect. Dis. 20, 669–677 (2020).
(3)
Salje, H. et al.
Estimating the burden of SARS-CoV-2 in France.
Science 369, 208–211 (2020).
(4)
Norbert Stefan, Andreas L. Birkenfeld & Matthias B. Schulze
Global pandemics interconnected — obesity, impaired metabolic health and COVID-19
Nature Reviews Endocrinology (2021)
いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
12月25日に大阪大学(吹田キャンパス)で記者発表が行われました。
大阪大学大学院医学系研究科(心臓血管外科)の澤芳樹教授らの
研究グループはヒトiPS細胞から心筋細胞を作り出し
それを大量に培養し、心筋組織(シート状)としました。
それを動脈硬化などの原因によって
血管が硬く、狭くなり心筋に十分な血液、
それに伴う栄養が行きわたらなくなる
虚血性心筋症に罹患している患者さん3名に対して
ヒトiPS細胞で作り出した心筋シートを移植しました。
移植手術経過後は順調に推移しているようです。
参考文献(2)では腹膜の網(omentum)とともにヒトiPS細胞を
移植することで毛細血管の生成、筋線維芽細胞生成を
促すことができたと理解しています(2)。
(VEGF, SDF-1, bFGFの亢進)
このことは、ヒトiPS細胞を種として
そこから筋組織や血管などの生成が自発的に促された
ことを意味していると考えました。
参考文献(1)でも示されている通り、
心筋の機能が失われると心臓の免疫機能や間質液圧の
恒常性に関わるリンパ節や
栄養、酸素などのガス、代謝生成物を運ぶ血液の流れが
抑制されるため、さらに虚血性心疾患を悪化させる事に
繋がると考えられます。
人の心臓の再生機能は決して高くないと言われており(3)、
iPS細胞によってその運命を劇的に変えられる可能性がある事は
医療として大きな道を切り開くものであると考えられます。
記者発表の内容の中には社会に与える影響として
重症心不全に対する有効な治療法がなく
今は心臓移植に頼るしかない状況で、
十分なドナーは存在せず課題がありましたが、
その課題に一石を投じる治療法になる
とされています。
このような再生医療をより有効にするためにも
心臓組織に備わる再生の生理を如何に有効に引き出すか
その機序について考える必要があります。
Konstantinos Klaourakis氏, Joaquim M. Vieira氏、Paul R. Riley氏
からなるイギリスの医療、研究チームは
マクロファージなどの免疫細胞による再生において
免疫細胞の生成や運搬に関わるリンパ節に対する
心臓組織の再生、治療戦略について詳しく総括しています(1)。
本日はその内容の一部について読者の方と情報共有したいと思います。
(※1)
=====の⇒は筆者の追記、考察
(※2)
心臓の回復機序についてはマウスやゼブラフィッシュなどの
人以外のモデルでの報告が多く、
それを人に適用する際には構造的な違いなどを含めた
付加的な考慮が必要です。
//血管とリンパ節の概説//ーーーーーーーー
身体には血管とリンパ管があります。
血管は心臓から血液が送り込まれますが、
動脈と静脈、その中の毛細血管などは
基本的には血液が身体の中に
滞留すること、出血することは身体には害がありますから、
閉じた経路(Closed system)となっています。
その閉ループの血液の循環の中で
酸素や二酸化炭素などのガス、
血液の成分(血小板、白血球、赤血球など)、
摂食などで得た栄養素、代謝生成物などを
細胞や細胞からなる組織に運ぶ役割があります(4)。
--
一方、身体の組織は細胞の外側に間質と呼ばれる部分があり
そこは血管、リンパ管などの間に存在します。
その間質には間質液という液体が流れており、
その組織の流れの均衡状態はリンパ管によって維持されています(5)。
このリンパ管は参考文献(1)a,bの緑のラインからわかるように
臓器、組織に終端する形となっています(Open circulatory system)。
参考文献(1)Fig 1cに示されるように終端した部分には
リンパ液が流れ出ないように出口がふさがれており、
側面にはリンパ系内皮細胞があり外部に滲出しないように
制御されています。また所々に弁のような構造があり
液体の流れが制御されています。
またリンパ管はリンパ節があり、
そこでは細胞が抗原などの信号に応じて特異的な発展を遂げます。
そのような免疫細胞が細胞の集合である組織に機能する際には
このようなリンパ系のつながりが非常に重要になります。
ーーーーーーーー
//リンパ系と心臓の修復//ーーーーーーーー
リンパ系は免疫機能の発展や輸送に関わっていますから
心臓を含めた臓器や組織などの恒常性に関わるものです。
また心筋など組織が損傷した時には
免疫細胞などを通じて筋組織を修復させる際に
重要な経路となります(6)。
ーーーーーーーー
//虚血性心筋症の機序//ーーーーーーーー
心臓には血液を送り出すために収縮する必要があります。
従って、柔軟性に富む筋組織がありますが、
それらは動的であり、非常に大きなエネルギーを必要とする
と考えられます。そのエネルギー源は主に血液から
運ばれますから、その血管が硬化などによって
閉塞して血流が阻害されると筋組織は機能を失い
死滅してしまいます。それが進めば心不全となります。
そうするとそれと連動して
リンパ系組織の機能も改変され、
間質液なども含めた液体の排出機能が損なわれ
液体が溜まる浮腫などの原因にもなります(7-9)。
ーーーーーーー
//心臓を修復する免疫機能//ーーーーーーーー
心臓組織に栄養が届かず、組織が炎症を起こし
損傷した時にはダメージ関連分子が放出され
それを自然免疫系が感知して、免疫機能が
順次引き出されます。
----
(心筋梗塞から3日まで)
好中球が放出されます。
-
(1日~4日)
炎症性単球が放出されます(10,11)。
-
(~5日)
単球と単球由来のマクロファージが放出されます(12)。
-
(5日~)
抗炎症性マクロファージが放出されます(10,11,13)。
-----
実際に修復に関わるマクロファージは
壊死した心筋組織に対して肉芽組織の形成を得て
柔軟性のある膠原線維や結合組織になる
「瘢痕」が形成されます。いわゆる傷跡です。
参考文献(1)Fig 3に示されているに
瘢痕には免疫細胞が居住し、残存します。
通常リンパ組織はこの過剰な免疫細胞を排出してくれますが、
瘢痕の程度がひどい場合にはその機能が十分働かず
そこに免疫細胞が残ることがあります。
それによって慢性的な炎症や瘢痕が残ることがあります(14,15)。
--
またこのような自然免疫系だけではなく
獲得免疫系が働くことがありますが、
この際にはCD4+、CD8+のエフェクターT細胞ではなく
免疫機能を抑える制御型T細胞の働きを引き出すことが
組織の修復のためには重要であるとされています(16,17)。
-
実際に心筋組織、機能を回復させるためには
血管生成を促す必要があります。
従って、冒頭で述べた澤教授チームの幹細胞シート移植においても
事前に豚の組織で血管生成因子が働いているかどうか
これのチェックが行われています(2)。
従って、再生が上手く機能していないときには
血管生成が阻害されている状態です(18)。
マクロファージは血管生成に直接的にも、間接的にも
関与すると言われているので免疫機能による
組織の回復においては中核をなす免疫細胞です(19)。
ーーーーーーーー
//治療戦略//ーーーーーーーー
--
(積極的な組織の再生)
血管内皮細胞増殖因子受容体の一つである
VEGFR-3と親和性を持つ
「VEGFC-C156S」が心筋梗塞において
マウスのモデルでMRIなどの評価を通して
心臓機能が回復したことを示しています(15,20,21)。
ただ、この薬剤は血清では寿命が短いことから
アデノウィルスなどのウィルス輸送媒体が検討されています(20)。
実際に人における治験では
VEGFD-ΔNΔC遺伝子療法において
虚血性心筋の症状が認められる患者さんに対して
顕著な奏功が認められたものがあります(23)。
しかし、コストなどの課題が挙げられています。
--
(血流の改善)
損傷を起こしている組織、周辺組織も含めて
梗塞している血管を修復する必要があります。
そのために
ACE抑制剤、β-ブロッカーが薬剤の候補として上がります(22)。
また血管の閉塞度合いがひどく、
主要な血管の場合には血管バイアス手術なども考えられます。
--
(リンパ管の修復)
血管と同じようにリンパ管も修復する必要があります。
実際にリンパ管の生成と浸透率制御性を上げる
Adrenomedullinがあります(24,25)。
実際に人のケースでMRIにおいて
心筋梗塞において心筋の構造の改善が
Adrenomedullinの静脈注射による投与で確認されています(25)。
-----
⇒
実際に幹細胞シートなどによる組織の修復
血管やリンパ管の生成を促す薬剤
そしてそのベースとして
血管の流れをよくしたり、梗塞を取り除くような治療
これらを兼ね備える事が
心不全に対する治療において求められると考えられます。
-----
ーーーーーーーー
//新型コロナウィルスと関連//ーーーーーー
新型コロナウィルスでは免疫機能が乱され
サイトカインストームが起こります。
血管を通じて異常な免疫細胞が運ばれますから
心臓組織に対する影響も懸念されます。
実際に心筋組織、冠動脈の微視的構造が
このようなサイトカインストームを通じて
間接的に悪影響を受けていることが指摘されています(26-29)。
従って、心臓組織の修復、治療を考える事は
後遺症を含めた治療の中で重要性が高まっています。
ーーーーーー
-----
⇒
//細胞特異的輸送系統の観点//ーーーーーーーー
--------
(再生医療のアドジュバント)
再生医療によって心筋機能が回復していくのを助けるため
血管、リンパ管を通して再生医療によって
生み出された心筋シートに特異的な走化性を持つような
輸送媒体を使い、そこで再生に必要な栄養素、薬剤、
あるいは再生に関わる免疫細胞を引き付けるような物質を運びます。
従って、再生医療によって心筋機能が回復していくときに
その再生医療によって生み出された心筋シートが
他にはない何らかの受容体を持っていれば
それがマーカーとなる可能性があります。
そうすればヒトiPS細胞から作りだした筋組織シートが
より良く働くように補助的な役割を果たす薬剤などの投与の
可能性を開いてくれます。
--------
(血管、組織再生因子の特異的輸送)
もし、心筋閉塞症などによって心筋が損傷し
その損傷パターンによって生み出された免疫機能が
近くに存在するリンパ節などを通して
特異的な発展を遂げ、受容体などのマーカーがあれば、
そのマーカー受容体をアンカーのための標的として
輸送媒体を設計し、
VEGF, SDF-1, bFGFなど血管、リンパ管生成
組織再生因子を増やし、免疫細胞への負担を減らし
過剰に高めらえた免疫機能を抑え、
心筋組織の回復に貢献できないか考えます。
基本的には血管の生成を助けるVEGFCとそのイソ型は
血清での寿命が短いとされています(30)。
従って、ウィルスベクトルなどの輸送が検討されていると思います。
この点においても細胞特異的輸送系統において
VEGFCを保護しながら目的とする損傷した筋組織まで運ぶ
医療工学技術の介入余地があります。
ーーーーーーーー
以上です。
(参考文献)
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いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
日本医師会の釜萢敏先生が先日テレビ出演されていた際に
ワクチンの優先接種の要件として
身長と体重から算出されるBMI>30以上の肥満(2度)に当たる方
というのが一つとして挙げられていました。
この水準は
170cmの方が87kg以上であった時の水準なので
筋肉量にもよるのですが、
日本ではかなり太っているほうであると考えられます。
これらは自己申告で特に医師の診断書などは
今のところ想定されていないという話でした。
しかし、
他の優先接種の対象となる基礎疾患
慢性呼吸器疾患、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、心血管疾患など
と並べてこの肥満が挙げられています。
従って、コロナ禍において無視できる因子ではありません。
Norbert Stefan氏, Andreas L. Birkenfeld氏, Matthias B. Schulze氏
ドイツ、イギリスの医療、研究グループは
新型コロナウィルスと肥満の関係について
リスク、他の疾患との関連、社会的状況、対策など
詳しく包括しています(1)。
本日はその内容の一部について読者の方と情報共有したいと思います。
(※)
=====の⇒は筆者の追記、考察です。
//肥満のリスク//ーーーーーー
参考文献(1) Table 1に
新型コロナウィルス重症度とBMIの関係についての
コホート研究がまとめられています。
おおよそ2400万人規模の患者のデータである
OpenSAFETYによるまとめによれば
日本で基準とされているBMI>30では
おおよそ1.5~2倍程度、亡くなられるリスクがあがります。
(参考文献(1) Table 1より)
例えば、重症とされるICU(集中治療室)に関するデータでは
アメリカの調査では2491人の調査(3)で
BMI≧30 1.31倍のリスク
イギリスの827万人の調査(4)では
BMI≧30 2.59倍のリスク
これらとなっています。
ーーーーーー
//肥満と他の疾患の関連//ーーーーーー
--
(心臓)
肥満は血管の凝固を高め、血栓や動脈硬化の原因の
一つとなります。
さらに新型コロナウィルスは
血管の内皮細胞へのACE2受容体を通した感染により
血栓のリスクを上げると考えられています(5)。
また血管の炎症や組織を硬化させる物質
心筋の炎症が重症患者で確認されています(6-11)。
従って、肥満は新型コロナウィルス感染を通して
心疾患のリスクを高める可能性があります。
--
(腎臓)
元々、腎臓は高血圧、高血糖症、インスリン抵抗性など
肥満と関連が高い血液の異常に対して
慢性疾患を抱えるリスクがあると考えられています(12,13)。
腎臓を形作る様々な細胞には
新型コロナウィルスに関わるACE2受容体があり(14)
それによって糸球体、尿細管、線維化などのダメージが
このようなACE2受容体を介した感染によって
引き起こされている可能性が示唆されています(14)。
従って、腎臓に負担を掛けるとされる肥満による血液異常は
新型コロナウィルスにおける腎臓への影響の
感度を上げる可能性が考えられます。
--
(肝臓)
肥満による糖の代謝、脂質の異常などは
非アルコール性脂肪肝と関連があるとされています(15,16)。
非アルコール性脂肪肝と新型コロナウィルスの
リスクについてはいくつかの報告があります(17,18)。
従って、非アルコール性脂肪肝のリスクを
通常の状態でも高めるとされる肥満による
糖、脂質代謝異常は、
新型コロナウィルス感染に対する非アルコール性脂肪肝
へのリスクを高める可能性が考えられます。
--
(消化器、胃腸)
肥満に食生活に関わる高脂肪食などは
腸の炎症作用に関わるとされています。
腸の組織のバリア、障壁機能が乱されると
内部組織に新型コロナウィルス、あるいは腸内細菌などの
病原体が入り、免疫機能を惹起させてしまう可能性があります(19,20)。
--
(膵臓)
膵臓は循環代謝に関わる臓器の一つです。
膵臓のβ細胞の異常は2型糖尿病に関わります。
従って、他のリスク要因とされる糖尿病と関連の深い臓器です。
高血糖、高血圧などの血液の異常が慢性化することで
2型糖尿病などのリスクが上がると考えられます。
そうした中で新型コロナウィルスに感染する事は
双方向的なリスクにつながる可能性があります。
実際に新型コロナウィルスに罹患したことで
新たに糖尿病に罹患した患者(さん)も一定割合います(21)。
ーーーーーー
//肥満と生活環境//ーーーーーー
-----
⇒
日本においても外出自粛、テレワークなどによって
運動の機会が減っています。
家の限られた空間の中では歩行数も少なくなり
日々の基本的な運動が妨げられます。
特にリスクの高い高齢の方は、
運動しなくなった時の筋力の低下などが懸念されます。
それによってより運動しにくくなる身体状況となります。
-----
実際に若い健康な男性においても
2週間、日常的な運動が減少すると筋肉量が減少し
内臓脂肪量、インスリン抵抗性、血清脂質が上がる
ことが報告されています(22)。
--
アメリカのテキサス州で都市のロックダウンが行われた際の
人々の行動分析の中で、今述べた運動量低下のありますが、
食糧の買いだめやストレスによる過食が50%
あるいはそれを超える割合の方でみられました(23)。
-----
⇒
従って、運動不足に加えてストレスによる過食などによる
行動自粛による肥満などが懸念されます。
ゆえに下の提案(間欠的、周期的空腹)に加えて、
家の中で出来る運動など工夫して
運動習慣を維持する必要があります。
またストレス解消のためにオンラインを使った
友人との会話や食事も友人と画面を通して一緒にとれば
会話しながら食事ができるので、
ゆっくり食べて、食べる量も制限できる可能性があります。
あるいは、今は冬季ですから、
糖質を含まないコーヒー、お茶、紅茶など
暖かい飲み物を食事の間に組み込むことによって
気分を落ち着けたりする効果が期待できます。
-----
ーーーーーー
-----
⇒
//提案(日常的に空腹感を得る)//ーーーーーーーー
Valter D. Longo氏ら、医療、研究グループは
間欠的、周期的な空腹感に対する
寿命や病気への影響を包括しています(2)。
--
実際には「マウスなど人以外」においては
カロリー制限や定期的な断食(いわゆるプチ断食)は
寿命を改善させるという報告があります(2,24-30)。
--
人においては効果が見られる一方で
長期的な介入の場合は副作用もあるとされています。
それはもちろん
どれくらい食事を制限するかという程度もあると思います。
--
(筆者の提案)
食事の間隔を1日のうち空ける時間帯を作るということです。
基本的に眠っている時にお腹が空いて
起きて食べる事はほとんどないですから
仮に睡眠時間が8時間だとすると
その8時間を利用して食事の間隔を空けるということです。
例えば、
夕食は早めに18時くらいに食べて、
それから朝の食事を7時にとれば、
夕食から翌日の朝までは13時間空くことになります。
あるいは土曜、日曜、祝日など
食事の時間を動かせる時には
夕食を軽めにするとか
朝食を10時くらいにして、昼ご飯を食べない
などの戦略も考えられます。
朝を10時にすれば前の日に18時に食べたなら
16時間食事の間隔が空くことになるので
血糖値を十分下げる事ができます。
そこで代謝的なリフレッシュが行われる可能性があります。
極端な低血糖は危険であると医師の方の指摘もある
と思いますが、これくらいの程度であれば
おそらく体調を大きく崩すことはないだろうと思います。
逆に、空腹感を日常的に得ることで
コロナ禍においては身体の調子を整える一つのきっかけになる
と考える事もできます。
--
カロリー制限、プチ断食の人への効果に関する報告は
まだ十分ではないですが、
1日おきにカロリー制限を行うことで
体重減少、腹部脂肪、脂質、インスリン感受性が
人のケースで上がったというコホート研究が1つあります(31)。
--
少なくともお腹が空いていない時に食べるとか
あるいは満腹なのにさらに食べるとか
そういったことは特に代謝能力が落ちてくる
40代以降では肥満のリスクが上がってくると思います。
今はコロナ禍で運動の機会も制限されるので
それに従って、摂取カロリーも減らす必要があります。
カロリー制限という選択肢もありますが、
食事の間隔を空けるというのも一つの方法だと思います。
ーーーーーーーー
-----
以上です。
(参考文献)
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