いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。
今、新型コロナウィルスの変異株が注目されています。
イギリス、あるいは南アフリカで主に広がっている
変異株について、気になることは
ワクチンが効力を発揮するのか?
これについてです。
南アフリカの変異においては
ワクチンの効力が下がるかもしれないという報道もあり
ワクチンを感染対策の決め手としている状況において
監視を続ける必要がある事項です。
実際に南アフリカ株のK417の変異に対しては
LY-CoV16の抗体では中和能が低下するという報告もあります。
(参考文献(3) Fig.1Cより)
しかし、参考文献(3)では抗体を複数混ぜると
変異に強いことが確認されていることから
今後、違う会社のワクチンを組み合わせた時に
変異に対する耐性はどうなるか?
このような治験が必要になる可能性もあります。
--
このような変異は基本的にはランダムに起こるとされていますが、
生物の進化のように結果的に主要な勢力となるのは
感染力の強いウィルス株という事になると考えられます。
昨年2月ごろから一気に広まった新型コロナウィルスにおいて
D614G変異株というSタンパク質に変異が起きました。
この変異がハムスターのケースで
感染力が高いことが以前から知られていました(2)。
ーーーーーーーー
Seiya Ozono, Yanzhao Zhang, Hirotaka Ode(敬称略)ら
日本(東京、山梨、愛知、熊本)の医療研究グループは
このD614Gの変異株についての野生株、他の変異との比較、
構造の特徴、温度特性、中和能などを詳しく調査されています(1)。
本日はその内容の一部について読者の方と情報共有したいと思います。
ーーーーーーーー
//D614G変異株の蔓延の状況//ーーーーーー
アメリカのニューヨーク市では87%がD614G変異株でした(4)。
アイスランドでは76%(5)。
日本、ヨーロッパでも主要な広がりを見せています(6,7)。
ーーーーーー
//変異株の比較//ーーーーーー
野生株に対して3倍から4倍の細胞感染能力を持っています。
(参考文献(19 Fig.2bより)
(※)
試験管で293T cellsに対して
ACE2とTMPRSS2両方を発現させた場合。
TMPRSS2はタンパク質を切ってエンドサイトーシスする際に
細胞膜と融合するためにタンパク質の結合を切る酵素。
ーーーーーー
//構造について//ーーーーーー
D614Gの変異が入るとS1タンパク質とS2タンパク質の
水素結合がなくなり、構造としての柔軟性があがると
考えられています。
(参考文献(1) Fig.3dより)
それが一つ細胞感染能力の高さに関係している
可能性があります。
ーーーーーーー
//温度特性について//ーーーーーー
野生株では30℃から37℃まで上げると
ACE2受容体のSタンパク質の結合活性が低下しますが、
その低下幅がD614Gでは小さい。
(参考文献(1) Fig.4より)
このことは季節性の要素を減らし
温度の高い夏場でも感染力をある程度維持する事を
示唆している可能性があります。
ーーーーーー
//抗体の中和能//ーーーーーー
回復者からの血漿から取り出した抗体による
中和能は5人の検査で
野生株とD614G変異株は顕著な差はありません。
従って、抗体やワクチンに対する反応が
D614G変異が起こる事によって変化するという事を
示す結果では少なくともないと考えられます。
(参考文献(1) Fig.5より)
ーーーーーー
以上です。
(参考文献)
(1)
Seiya Ozono, Yanzhao Zhang, Hirotaka Ode, Kaori Sano, Toong Seng Tan, Kazuo Imai, Kazuyasu Miyoshi, Satoshi Kishigami, Takamasa Ueno, Yasumasa Iwatani, Tadaki Suzuki & Kenzo Tokunaga
SARS-CoV-2 D614G spike mutation increases entry efficiency with enhanced ACE2-binding affinity
Nature Communications volume 12, Article number: 848 (2021)
(2)
Yixuan J. Hou, Shiho Chiba, Peter Halfmann, Camille Ehre, Makoto Kuroda, Kenneth H. Dinnon III, Sarah R. Leist, Alexandra Schäfer, Noriko Nakajima, Kenta Takahashi, Rhianna E. Lee, Teresa M. Mascenik, Rachel Graha, Caitlin E. Edwards, Longping V. Tse, Kenichi Okuda, Alena J. Markmann, Luther Bartelt, Aravinda de Silva, David M. Margolis, Richard C. Boucher, Scott H. Randell, Tadaki Suzuki, Lisa E. Gralinski, Yoshihiro Kawaoka, Ralph S. Baric
SARS-CoV-2 D614G variant exhibits efficient replication ex vivo and transmission in vivo
Science 18 Dec 2020:Vol. 370, Issue 6523, pp. 1464-1468
(3)
Tyler N. Starr, Allison J. Greaney, Amin Addetia, William W. Hannon, Manish C. Choudhary, Adam S. Dingens, Jonathan Z. Li, Jesse D. Bloom
Prospective mapping of viral mutations that escape antibodies used to treat COVID-19
Science 10.1126/science.abf9302 (2021).
(4)
Gonzalez-Reiche, A. S., et al.
Introductions and early spread of SARS-CoV-2 in the New York City area.
Science 369, 297–301 (2020).
(5)
Gudbjartsson, D. F., et al.
Spread of SARS-CoV-2 in the Icelandic population.
N. Engl. J. Med. 382, 2302–2315 (2020).
(6)
Hu, J., et al.
The D614G mutation of SARS-CoV-2 spike protein enhancesviral infectivity and decreases neutralization sensitivity to individualconvalescent sera.
Preprint at bioRxiv https://doi.org/10.1101/2020.06.20.161323 (2020).
(7)
Pellis, L., et al.
Challenges in control of Covid-19: short doubling time andlong delay to effect of interventions.
Preprint at medRxiv https://doi.org/10.1101/2020.04.12.20059972 (2020).
登録:
コメントの投稿 (Atom)

0 コメント:
コメントを投稿