2021年2月13日土曜日

一般的免疫疾患との相違から治療を改善策を探る

いつも記事を読んでくださり、ありがとうございます。

新型コロナウィルスの治療には
免疫調整のためデキサメタゾン、アクテムラ
抗ウィルスのためレムデシビル
血液の凝固を防ぐためヘパリン
これらが現場で医師の方が状況を見ながら
患者に投与していると理解しています。
どの疾患にも言える事ですが
その薬がピンポイントでその疾患、疾患の亜型、
もっと言えば患者さん一人一人に合っているか
という点においては
改善の余地はどのような場合においても
残されていると考えています。
例えば、
レムデシビルは感染細胞内で
ウィルスのRNAの複製を防ぐ役割がありますが、
エボラ出血熱のために開発された薬です。
同じRNAウィルスには変わりないですが、
新型コロナウィルス用に開発されたものではありません。
従って、もっと効果の高い薬剤の開発余地は
残されているといえます。
それは免疫抑制剤である
デキサメタゾン、アクテムラに関してもいえることです。
このような薬の選択に当たっては
新型コロナウィルスの臨床症状と類似性を示す
過去から知られている疾患の治療を参考にします。
例えば、
多発性硬化症という脳の疾患があります。
免疫機能との関連も指摘されています(2,3)。
神経細胞を繋ぐ軸索の周りにある
神経のミエリン鞘が破壊され信号伝達が阻害され
それによって神経細胞が細胞死し、
神経系に異常が生じる疾患です。
多発性硬化症の病因は不明ですが、
ウィルスによる発症も指摘されています。
従って、新型コロナウィルス感染時の急性期
あるいは後遺症の慢性期などにおいて
この疾患との類似性を診断、評価していく必要があります。
但し、ここで考えないといけないのは
新型コロナウィルス特有の神経系への影響があって
それによって微妙な事も含めて
臨床症状に違いがある可能性があります。
そうした場合においては
新型コロナウィルス感染が原因で起こった
脳の疾患に関してはそれと親和性の高い治療が存在する事になります。
従って、
今後、過去の疾患の臨床研究成果、臨床実績を
適用しようとする場合においては
少なくとも一定割合は異なる部分が存在するかもしれない
という慎重な視点も肝心になります。
例えば、
サイトカインストームという言葉も使われますが、
サイトカインの異常状態が血液などを通じて
広がる事であるとするならば
その概念は広範であり、
一義的に決められない部分もあると考えられます。
ーーーーーーーー
Dennis McGonagle, Athimalaipet V. Ramanan, Charlie Bridgewood
からなるイギリスの医療研究チームは
マクロファージの異常活性症状
(Macrophage activation syndrome:MAS)
これについて新型コロナウィルスとの違いに着目しながら
詳しく包括的に報告されています(1)。
本日はその内容の一部を筆者の視点、考察を追記しながら
読者の方と情報共有したいと思います。
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マクロファージの異常活性(MAS)は
関節炎、関節痛に関わる
Systemic juvenile idiopathic arthritis (sJIA) 
Adult- onset Still disease (AOSD),
あるいは
全身性エリテマトーデス(SLE)
川崎病
とも関連があるとされています。

実際に関節痛も新型コロナウィルスの症状としてありますし、
川崎病に似た症状も日本では確認されていませんが、
海外では報告されています。
しかし、新型コロナウィルスの特徴を考える上で
重要な事はそれが
①全身性か、局所的かという事を考える事。
②因果性その経路を考える事。
これらです。

①に関しては
例えば、肺に集中してマクロファージなどの
炎症性を示す免疫細胞やサイトカインなどが存在して
全身の中の分布に揺らぎあるかどうか?
あるいは全身で比較的均一に炎症が見られるかどうか?
その場所特異性、偏差を評価する事です。

②に関しては
1次的な原因、それに付随して起こる2次的な原因。
結果として生じた臨床症状に対する
病因としての段階を評価することです。

この①と②を正確に見る事ができれば
新型コロナウィルスにより合った薬剤の選択
あるいは治療ができると考えられます。

①に関しては新型コロナウィルスは
局所的である可能性があります。
その理由は
マクロファージの異常活性(MAS)で見られる
・フェリチン
・C反応性タンパク
これらの上昇が
新型コロナウィルス重症患者では
MASに比べて低い傾向にあるからです(4)。
これは局所的には上がっている可能性がありますが、
全身の血液の中で希釈されているからではないか?
と筆者は考えました(※英訳部分)。
ーーー
(※)
I consider that the reason why two biomakers are modest compared with MAS is that these biomakers are diluted at liquid biopsy, meaning that these biomakers indicating inflammation may be elevated locally, such as lung.
ーーー
参考文献(1)の指摘では
組織特異的なサイトカインの反応である可能性がある
ということです。
つまり、新型コロナウィルス感染によって影響を受けた
組織が炎症を起こし、
局所性を持って炎症反応が出ているという事です。
従って、
②に関しては、
1次的反応:肺などの組織の炎症
2次的反応:その組織特有の炎症反応⇒一部血液で広がる
ということが起こっているのではないか?
と考えました。
従って、関節痛など類似する症状は
自己免疫疾患の症状よりも軽いのではないかと思います。
つまり炎症反応が希釈されて全身に緩く影響を与えている
ということです。

従って、治療をするときには
まずは炎症を起こした組織の回復を助ける
ということです。
例えば、デキサメタゾンを投与した時には
全身の免疫機能に影響を与えると考えられますが、
理想を言えば、炎症が起こっている肺などに
強く働くように投与する事が
より効果の高い治療になる可能性があります。
また副作用も小さくなる可能性があります。
一定割合の患者さんはデキサメタゾンで
悪化する場合もあると伺っているからです。
例えば
肺に届きやすいかもしれない吸入投与が適しているならば
それは検討される必要があります。
いずれにしても
1次的な反応として組織の炎症という示唆があります(1)。
2次的は反応を抑える事と同時に
その原因である1次的要素を改善させる事が
治療の中で求められると思います。
抗ウィルス薬は根本的な治療であると考えられますが、
タイミングによっては
ウィルスを減らすよりも
組織の回復や免疫機能の調整が求められる事があります。
特に治療が遅れて重症化した場合がそうです。
(※)
Can you provide medical care in a lung-specific manner?
Especially, clinical condition is severe after controlling virus load.

以上です。

(参考文献)
(1)
Dennis McGonagle, Athimalaipet V. Ramanan & Charlie Bridgewood 
Immune cartography of macrophage activation syndrome in the COVID-19 era
Nature Reviews Rheumatology (2021)
(2)
Scott S. Zamvil, M.D., Ph.D., and Stephen L. Hauser, M.D.
Antigen Presentation by B Cells in Multiple Sclerosis
The New England Journal of Medicine  384;4 378-381 January 28, 2021
(3)
Joan M. Goverman, Ph.D.
Regulatory T Cells in Multiple Sclerosis
The New England Journal of Medicine  384;6 578-580 February 11, 2021
(4)
Chen, N. et al. 
Epidemiological and clinical characteristics of 99 cases of 2019 novel coronavirus pneumonia in Wuhan, China: a descriptive study. 
Lancet 395, 507–513 (2020).


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